今朝のNHKに、「はつ恋」というドラマの主演をする女優さんが出演していました。最近お子さんを出産されたのだそうです。
その主人公は「肝臓がん」になり、昔好きだった男性(ゴッドハンドの外科医)に再会して・・・という切ない話です。
肝臓がんの原因の90%が肝炎ウイルスで、C型肝炎が肝臓がん全体の約70%、B型肝炎ウイルスが全体の約20%となっています。
C型肝炎は日常生活で広がっていくことは考えにくいので、同居家族やパートナーに日常生活でもうつるリスクのあるB型肝炎が問題として取り残されるようになります。
持続感染によることが大きいので、予防ワクチンのあるB型肝炎ウイルスは、ワクチンで予防しようということに世界が取り組んでいます。
しかし、世界初の、がんを予防するワクチンであるB型肝炎ワクチンは、日本の予防接種プログラムにはルチンには位置づけられておらず、定期接種化の話からも取り残されそうな感じになっています。
日本では、昔は、「抗体ができた=陽転した」ら「治りました」と説明していたB型肝炎ウイルス感染症ですが、実はウイルスは肝臓にひっそりとひそんでおり、治療等で免疫が低下した場合に再活性化し、劇症化するということがわかっています。
今年1月の平成23年度都道府県肝疾患診療連携拠点病院研修会の資料をごらんください。
「がん化学療法中のB型肝炎ウイルス再活性化のリスクとその対策
〇4億人/世界 持続感染(HBs抗原陽性)
〇うち3億人(75%)が東南アジアと極東に集中
〇HBs抗原陽性率の違いで3段階(8%以上、2-8%、2%未満) 日本は中蔓延国。
しかし、スライドにワクチン推奨という言葉はでてきません。拠点病院の人たちは予防には興味ないのでしょうか。
製薬会社が作ったパンフレットにある、「現在考えられる感染源」は上ふたつが「刺青」「覚せい剤をうつなどの注射器などの使いまわし」です。イラストはかわいい系ですが、なぜこの2つが上にくるのでしょう。製薬会社のパンフレットリンク先。患者さんには配らないでおこうとおもいます。
5月31日、日本とB型肝炎関連のニュースをみました。
まず日本。例の、訴訟の話のつづきです。
「予防接種でB型肝炎が広がった」という裁判所の考え方。それを検証するのだそうです。B型肝炎の疫学調査は国としての正式なものはありませんので、ぜひ十分な予算と時間をかけてやってほしいものです。
とき・ひと・場所情報の入った疫学データ(Evidence)をぜひベースラインで見せてほしいですね。
予防接種だけで広がるならクラスターとかもみえてくるはずですし。
「予防接種によるB型肝炎の感染拡大を検証- 厚労省検討会が初会合」2012年05月31日 21:34 キャリアブレイン
「集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会」が開かれて、
◆集団予防接種などによりB型肝炎の感染が拡大した背景や原因の検証を行う
◆再発防止策を検討する
ことがきまったようです。検討会の構成委員は医療、法律の専門家にB型肝炎訴訟原告。座長は永井良三・自治医科大学長。
◆実際の検証作業は下部組織の研究班が調査を進め、その報告を基に検討会で議論を行う研究班の代表者は多田羅浩三・日本公衆衛生協会会長。
◆緊急に講じるべき対策は夏の来年度予算要求にあわせて集中議論 →7月にとりまとめ(ってすごい。あと1か月しかありません)
◆検討会は今年度内に、厚生労働省への提言をまとめる
・・・予定だそうです。
はい。そして、アジェンダです。
▽予防接種などの実態
▽日本におけるB型肝炎ウイルスの感染および感染拡大の実態
▽B型肝炎に関する医学的知見およびそれに対する関係機関などの認識
▽集団予防接種などによるB型肝炎感染被害発生の把握および対応
▽諸外国における予防接種制度および予防接種に伴う感染防止対策の実態
▽再発防止策の策定に向けた検討
諸外国からは「なんぜB型肝炎ウイルス拡大が、予防接種で説明着くのかちゃんと説明しろ」といわれています。
裁判の当時の報道をみると新聞記者が本気で予防接種(だけ)で皆が感染したかのように信じている気配を感じます。
米国は、これまでの推計より感染者が多いこと、多くは外国生まれの人であることがニュースになっていました。
米国では1990年代はじめからユニバーサルワクチンがはじまり、現在のB型肝炎ワクチン接種率は90%を超えています。
"Hepatitis B Infection Rates in U.S. Higher Than Thought〜Study finds majority of cases are foreign-born residents"
HealthDay Reporter
----Those infected came mostly from Asia, Africa and Central America, accounting for 58 percent, 11 percent and 7 percent of cases, respectively, which is much higher than previously thought, the researchers noted.
疫学調査の例:
A nationwide molecular epidemiological study on hepatitis B virus in Indonesia: identification of two novel subgenotypes, B8 and C7
Molecular epidemiological study of hepatitis B virus infection in two different ethnic populations from the Solomon Islands.
Epidemiologic study of chronic hepatitis B virus infection in male volunteer blood donors in Karachi, Pakistan
その主人公は「肝臓がん」になり、昔好きだった男性(ゴッドハンドの外科医)に再会して・・・という切ない話です。
肝臓がんの原因の90%が肝炎ウイルスで、C型肝炎が肝臓がん全体の約70%、B型肝炎ウイルスが全体の約20%となっています。
C型肝炎は日常生活で広がっていくことは考えにくいので、同居家族やパートナーに日常生活でもうつるリスクのあるB型肝炎が問題として取り残されるようになります。
持続感染によることが大きいので、予防ワクチンのあるB型肝炎ウイルスは、ワクチンで予防しようということに世界が取り組んでいます。
しかし、世界初の、がんを予防するワクチンであるB型肝炎ワクチンは、日本の予防接種プログラムにはルチンには位置づけられておらず、定期接種化の話からも取り残されそうな感じになっています。
日本では、昔は、「抗体ができた=陽転した」ら「治りました」と説明していたB型肝炎ウイルス感染症ですが、実はウイルスは肝臓にひっそりとひそんでおり、治療等で免疫が低下した場合に再活性化し、劇症化するということがわかっています。
今年1月の平成23年度都道府県肝疾患診療連携拠点病院研修会の資料をごらんください。
「がん化学療法中のB型肝炎ウイルス再活性化のリスクとその対策
〇4億人/世界 持続感染(HBs抗原陽性)
〇うち3億人(75%)が東南アジアと極東に集中
〇HBs抗原陽性率の違いで3段階(8%以上、2-8%、2%未満) 日本は中蔓延国。
しかし、スライドにワクチン推奨という言葉はでてきません。拠点病院の人たちは予防には興味ないのでしょうか。
製薬会社が作ったパンフレットにある、「現在考えられる感染源」は上ふたつが「刺青」「覚せい剤をうつなどの注射器などの使いまわし」です。イラストはかわいい系ですが、なぜこの2つが上にくるのでしょう。製薬会社のパンフレットリンク先。患者さんには配らないでおこうとおもいます。
5月31日、日本とB型肝炎関連のニュースをみました。
まず日本。例の、訴訟の話のつづきです。
「予防接種でB型肝炎が広がった」という裁判所の考え方。それを検証するのだそうです。B型肝炎の疫学調査は国としての正式なものはありませんので、ぜひ十分な予算と時間をかけてやってほしいものです。
とき・ひと・場所情報の入った疫学データ(Evidence)をぜひベースラインで見せてほしいですね。
予防接種だけで広がるならクラスターとかもみえてくるはずですし。
「予防接種によるB型肝炎の感染拡大を検証- 厚労省検討会が初会合」2012年05月31日 21:34 キャリアブレイン
「集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会」が開かれて、
◆集団予防接種などによりB型肝炎の感染が拡大した背景や原因の検証を行う
◆再発防止策を検討する
ことがきまったようです。検討会の構成委員は医療、法律の専門家にB型肝炎訴訟原告。座長は永井良三・自治医科大学長。
◆実際の検証作業は下部組織の研究班が調査を進め、その報告を基に検討会で議論を行う研究班の代表者は多田羅浩三・日本公衆衛生協会会長。
◆緊急に講じるべき対策は夏の来年度予算要求にあわせて集中議論 →7月にとりまとめ(ってすごい。あと1か月しかありません)
◆検討会は今年度内に、厚生労働省への提言をまとめる
・・・予定だそうです。
はい。そして、アジェンダです。
▽予防接種などの実態
▽日本におけるB型肝炎ウイルスの感染および感染拡大の実態
▽B型肝炎に関する医学的知見およびそれに対する関係機関などの認識
▽集団予防接種などによるB型肝炎感染被害発生の把握および対応
▽諸外国における予防接種制度および予防接種に伴う感染防止対策の実態
▽再発防止策の策定に向けた検討
諸外国からは「なんぜB型肝炎ウイルス拡大が、予防接種で説明着くのかちゃんと説明しろ」といわれています。
裁判の当時の報道をみると新聞記者が本気で予防接種(だけ)で皆が感染したかのように信じている気配を感じます。
米国は、これまでの推計より感染者が多いこと、多くは外国生まれの人であることがニュースになっていました。
米国では1990年代はじめからユニバーサルワクチンがはじまり、現在のB型肝炎ワクチン接種率は90%を超えています。
"Hepatitis B Infection Rates in U.S. Higher Than Thought〜Study finds majority of cases are foreign-born residents"
HealthDay Reporter
----Those infected came mostly from Asia, Africa and Central America, accounting for 58 percent, 11 percent and 7 percent of cases, respectively, which is much higher than previously thought, the researchers noted.
疫学調査の例:
A nationwide molecular epidemiological study on hepatitis B virus in Indonesia: identification of two novel subgenotypes, B8 and C7
Molecular epidemiological study of hepatitis B virus infection in two different ethnic populations from the Solomon Islands.
Epidemiologic study of chronic hepatitis B virus infection in male volunteer blood donors in Karachi, Pakistan