以前、オーストラリアに留学中の林先生の3番目のお子さんが現地で誕生し、そのうまれてすぐのB型肝炎ワクチンの写真を撮り(!)、「啓発用に使ってください」とご提供いただきました。
その写真と記事はこちら。
(お父さんはそのままの写真をくださったのですが、お嬢さんに将来恨まれないよう、大切なところは隠しました・・・)
先週は八重樫先生から、生まれたてホヤホヤbabyのB型肝炎ワクチン接種の話をうかがいました。
その時の経緯を追加でいただいたので紹介させていただきます。
と、その前にまず、亀田総合病院のお話を少し。
実は岩田先生(現・神戸大学)以前の亀田総合病院のことはよく知らないのですが、岩田先生が着任されたときに様々な改革や改善が行われたと聞いています。
そしてそれは脈々と受け継がれ、発展しています。成果物↓亀まにゅ
総合診療・感染症科マニュアル医学書院
つまり感染症臨床とか感染管理について、その他の病院よりは職員全般の意識が高いとか、岩田先生に教育を受けたスタッフが一定数いてその質を維持しているのだと想像します。
もうひとつ、亀田総合病院の特徴として、海外に留学したり、海外で仕事をした経験のある医師(家族)が多いということがあります。
接種スケジュールの途中で帰国した場合、どのように継続・キャッチアップしていくのかという問題もうまれます。
先日、大路先生にお聞きした時も、「自分の子どもの予防接種ニーズ」というものが改善のモチベーションとしてあったということをお聞きしました(そういった医師が複数)。
小児科学会の要望書も出ていますので、今後話題になっていくことは確かです。
ということで、亀田でのやり取りを教えていただいたので紹介です。
関わった人:
内科ドクター(赤ちゃんのお父さん)
小児科ドクター(と部長)
感染症ドクター(と感染症科の先生たち)
内科Dr.(父親)→小児科Dr.への連絡
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小児科 ●●先生御机下
いつも大変お世話になっております。
退院時診察をして頂き、誠にありがとうございます。
11/30に生まれた息子のHBVワクチンの予防接種目的で御紹介致します。
ACIPの推奨ではB型肝炎の予接接種1回目が出生時ー4週です。入院中に施行して頂くことは可能でしょうか?御検討して頂けたら幸いです。
大変お忙しい中申し訳ありませんが、御検討ご加療よろしくお願い致します。
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小児科Dr.から感染症科Dr.への連絡
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感染症科 〇〇先生御机下
#HBVワクチン接種希望
平素より大変お世話になっております。
38週1日、3152gにて11/30に出生となった男児です。
児の父(当院総合診療科・部長)より連絡がありHBVワクチンの接種を希望されているとのことでした。
当科としては2ヶ月未満での接種の経験がなく、接種の是非について一度貴科的な御高配をいただけると幸いです。何かご不明な点があればご連絡ください。よろしくお願い致します。
小児科 ●●拝
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感染症科からのお返事
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小児科 ●●先生 御机下
御紹介ありがとうございました。
御指摘の通り、CDCのHBVワクチンに関しての推奨は、Pink bookより引用すると「Hepatitis B vaccination is recommended for all infants soon after birth and before hospital discharge」と記載されており、出生直後または退院までに全ての児は、1回目のワクチン接種をされるべきとの推奨があります。また世界的にも多くの国でこれと同様の運用がされています。
確かに、日本の添付文書情報は、2ヶ月以上と記載されておりますが、日本小児科学会が本年9月21日付けで、厚生省に対し0ヶ月からの接種を認めるよう要望を提出しており(http://www.jpeds.or.jp/saisin/saisin_111024.pdf)、その文書中にも本邦のワクチンにおいても新生児で安全に接種を行えたとする知見が多数あるとの報告があります。また平成22年度厚生科学研究でも本邦での健康新生児への投与の業績が報告されており、詳細値は不明ですが、有効な抗体価の上昇が認められたとの記載があります。
以上を考慮すると、本邦のワクチンにおいても、新生児には安全に接種でき、有効な効果が期待できると考えられます。
よって、添付文書の適応外使用とはなり、副反応時の補償等が受けられない可能性はあるものの、そもそもHBVワクチンは保険適応外の診療であり、御家族からの同意が得られるのであれば、接種は可能と考えられます。
宜しく御検討下さい。
感染症科 〇〇拝
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小児科Dr.からの最終的なお返事
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総合診療・感染症科 先生 御机下
こちらこそ大変お世話になっております。
当科部長のおよび感染症科の〇〇先生へ御相談させていただきました。
当科としては2ヶ月未満の児にHBVワクチン接種の経験がありませんが国際的には出生直後または退院までに1回目のワクチン接種を推奨されているようですし、日本小児科学会も接種推奨の要望書を厚生省へ提出している段階のようです。
国内での使用となると添付文章上は適応外使用であり、副反応時の補償が受けられない可能性があり、また保険外診療のため費用として4362円必要であることをご了承いただけましたら、退院日の12/5(月)に接種を検討させていただこうかと思います。また改めてお電話にてご連絡致しますが、まずは取り急ぎ紹介状にてお返事とさせていただきました。よろしくお願い致します。
小児科 ●●拝
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亀田のみなさま 教育的なエピソードをありがとうございました。
(関係ないですが)返事を待つトーマス君。
水平感染のリスクがありますので、保育園など集団生活をはじめるお子さんには、入園前の接種の選択肢の情報提供が必要です。
これは林先生にいただいたTwinrix (HAV HBV)の写真。
その写真と記事はこちら。
(お父さんはそのままの写真をくださったのですが、お嬢さんに将来恨まれないよう、大切なところは隠しました・・・)
先週は八重樫先生から、生まれたてホヤホヤbabyのB型肝炎ワクチン接種の話をうかがいました。
その時の経緯を追加でいただいたので紹介させていただきます。
と、その前にまず、亀田総合病院のお話を少し。
実は岩田先生(現・神戸大学)以前の亀田総合病院のことはよく知らないのですが、岩田先生が着任されたときに様々な改革や改善が行われたと聞いています。
そしてそれは脈々と受け継がれ、発展しています。成果物↓亀まにゅ
総合診療・感染症科マニュアル医学書院
つまり感染症臨床とか感染管理について、その他の病院よりは職員全般の意識が高いとか、岩田先生に教育を受けたスタッフが一定数いてその質を維持しているのだと想像します。
もうひとつ、亀田総合病院の特徴として、海外に留学したり、海外で仕事をした経験のある医師(家族)が多いということがあります。
接種スケジュールの途中で帰国した場合、どのように継続・キャッチアップしていくのかという問題もうまれます。
先日、大路先生にお聞きした時も、「自分の子どもの予防接種ニーズ」というものが改善のモチベーションとしてあったということをお聞きしました(そういった医師が複数)。
小児科学会の要望書も出ていますので、今後話題になっていくことは確かです。
ということで、亀田でのやり取りを教えていただいたので紹介です。
関わった人:
内科ドクター(赤ちゃんのお父さん)
小児科ドクター(と部長)
感染症ドクター(と感染症科の先生たち)
内科Dr.(父親)→小児科Dr.への連絡
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小児科 ●●先生御机下
いつも大変お世話になっております。
退院時診察をして頂き、誠にありがとうございます。
11/30に生まれた息子のHBVワクチンの予防接種目的で御紹介致します。
ACIPの推奨ではB型肝炎の予接接種1回目が出生時ー4週です。入院中に施行して頂くことは可能でしょうか?御検討して頂けたら幸いです。
大変お忙しい中申し訳ありませんが、御検討ご加療よろしくお願い致します。
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小児科Dr.から感染症科Dr.への連絡
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感染症科 〇〇先生御机下
#HBVワクチン接種希望
平素より大変お世話になっております。
38週1日、3152gにて11/30に出生となった男児です。
児の父(当院総合診療科・部長)より連絡がありHBVワクチンの接種を希望されているとのことでした。
当科としては2ヶ月未満での接種の経験がなく、接種の是非について一度貴科的な御高配をいただけると幸いです。何かご不明な点があればご連絡ください。よろしくお願い致します。
小児科 ●●拝
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感染症科からのお返事
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小児科 ●●先生 御机下
御紹介ありがとうございました。
御指摘の通り、CDCのHBVワクチンに関しての推奨は、Pink bookより引用すると「Hepatitis B vaccination is recommended for all infants soon after birth and before hospital discharge」と記載されており、出生直後または退院までに全ての児は、1回目のワクチン接種をされるべきとの推奨があります。また世界的にも多くの国でこれと同様の運用がされています。
確かに、日本の添付文書情報は、2ヶ月以上と記載されておりますが、日本小児科学会が本年9月21日付けで、厚生省に対し0ヶ月からの接種を認めるよう要望を提出しており(http://www.jpeds.or.jp/saisin/saisin_111024.pdf)、その文書中にも本邦のワクチンにおいても新生児で安全に接種を行えたとする知見が多数あるとの報告があります。また平成22年度厚生科学研究でも本邦での健康新生児への投与の業績が報告されており、詳細値は不明ですが、有効な抗体価の上昇が認められたとの記載があります。
以上を考慮すると、本邦のワクチンにおいても、新生児には安全に接種でき、有効な効果が期待できると考えられます。
よって、添付文書の適応外使用とはなり、副反応時の補償等が受けられない可能性はあるものの、そもそもHBVワクチンは保険適応外の診療であり、御家族からの同意が得られるのであれば、接種は可能と考えられます。
宜しく御検討下さい。
感染症科 〇〇拝
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小児科Dr.からの最終的なお返事
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総合診療・感染症科 先生 御机下
こちらこそ大変お世話になっております。
当科部長のおよび感染症科の〇〇先生へ御相談させていただきました。
当科としては2ヶ月未満の児にHBVワクチン接種の経験がありませんが国際的には出生直後または退院までに1回目のワクチン接種を推奨されているようですし、日本小児科学会も接種推奨の要望書を厚生省へ提出している段階のようです。
国内での使用となると添付文章上は適応外使用であり、副反応時の補償が受けられない可能性があり、また保険外診療のため費用として4362円必要であることをご了承いただけましたら、退院日の12/5(月)に接種を検討させていただこうかと思います。また改めてお電話にてご連絡致しますが、まずは取り急ぎ紹介状にてお返事とさせていただきました。よろしくお願い致します。
小児科 ●●拝
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亀田のみなさま 教育的なエピソードをありがとうございました。
(関係ないですが)返事を待つトーマス君。
水平感染のリスクがありますので、保育園など集団生活をはじめるお子さんには、入園前の接種の選択肢の情報提供が必要です。
これは林先生にいただいたTwinrix (HAV HBV)の写真。