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Channel: 感染症診療の原則
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【Q&A】 4月20日 コンサルテーション力Upセミナー

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サンドの 薬剤師のためのベッドサイドコンサルテーション力Up講座のQ&Aです。
印刷資料ができあがるようなので、欲しい方はサンドにお問い合わせください。
内容は下記と同じですが・・・(^^;)

IDとパスワード配布状況をモニタリングしていると、医師の登録が増えていることが特徴のひとつです。
勉強熱心な方がもともと分母に多いのと、「薬剤師さんが感染症診療チームに加わってくれると、仕事の質が改善されるかも!」の期待も大きいと思います。

症例が増えてくると、つい忘れてしまいそうな期限や確認事項も、チームでカバーしあえるようになりますし。それぞれが得意な領域をあらためて実感できるのはいいですよね。


セミナーでは、「こうやって学ぶとわかりやすいのでは?」という教育コンテンツの提案です。
ぜひ、地元で、薬剤師さんが身近な先生と学べるとよいなーとおもっています。

実は、本資料は本当はもっと早くできあがっていたんです。
相野田先生のお仕事は超速スピードなんですが、青木編集長が空の上にいる時間が長かったため、遅れてしまいました(ぼそぼそ)。


資料はここから
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2012年度第1回 微生物のOverview�−メジャーな細菌
講師  東京女子医科大学病院 感染症科 相野田 祐介 先生
日時 2012年4月20日(金)18:30〜20:00

※本資料は講義中にお受けした質問に対する回答をまとめたものです。
あくまで講義の質問に対する私見であり、臨床現場で用いられる際の責任は負いかねます。
実際の臨床現場ではケースバイケースですので、各個人の責任で御活用下さい。

監修:感染症コンサルタント/サクラ精機(株) 青木 眞 先生
   東京女子医科大学病院 相野田 祐介 先生
    聖路加看護大学  堀 成美 先生


お問合せ先 サンド株式会社マーケティング本部 
抗生剤グループ 沖山、松田 フリーコール 0120-982-001



Q1:起因菌でないと思われる培養結果が出た場合でも、その感受性結果は施設のローカルファクターとしてantibiogramに入れてよいのでしょうか。

A1:施設ごとの判断によると思います。培養検体の種類を絞ったり、あるいは同一患者からの重複検出を入れるか入れないかなど、ばらつきもるため施設ごとの判断になるかと思います。なおWHOが提供するWHONETでは同一患者からの重複菌は最初の一度だけカウントします。また重複菌が初期に感受性であったが培養を繰り返すうちに耐性となった場合は感受性菌としてAntibiogramに載せます。

ただ、実際に起因菌とそうでない菌を分けることは大変であり、機械の設定上起因菌のみを抽出するということはできないことの方が多いのではと思います。ただ汚染菌と思われる菌も将来、他の免疫減弱宿主に対して病原菌となる可能性もあるのでLocal factorとして検討しても良いと思います。


Q2:肺炎球菌による髄膜炎のときに使うVCMについて、トラフ値はいくつにしたらいいのでしょうか?組織移行性を考慮してMRSAのときと同様に15〜20μg/mLでしょうか? トラフ値ではなく30 〜60 mg/kg/日の投与量でしょうか?

A2:ケースバイケースです。菌の感受性にもよりますし、トラフについては様々な議論があります。ただし、一般的に中枢神経への移行性を考慮して高めの血中濃度が設定されることが多いと思いますが、あくまでケースバイケースです。

Q3:CA-MRSA、PVL産生による感染症は壊死性筋膜炎のように早い対応が大事だと教わったことがありますが、壊死性筋膜炎と同程度の対応速度が必要になるのでしょうか?それとももう少し対応に余裕を持っても良いのでしょうか?

A3:一般に壊死性筋膜炎は緊急性の高い疾患です。
感染症の緊急性は、菌のみではなく、背景などの臨床状況やその時の診断(感染臓器)にもよるかと考えます。
PVL産生のCA-MRSAによる感染症の報告はいろいろとありますが実際の臨床現場でたとえばPVL産生を迅速に診断することは困難であると考えます。このため緊急性に関しては、臨床状況に応じた判断が必要と考えます。


Q4:以前、入院中の患者の喀痰から大腸菌が分離されました。この結果の解釈はコンタミネーションということでよろしいのでしょうか?コンタミネーションということであれば、気道に大腸菌が常在したりすることもあるということなのでしょうか?

A4:消化管はもちろん、口から肛門までつながっていますので、例えば入院中で消化管の動きが悪い場合などでは、喀痰培養をすると大腸菌やクレブシエラ属などの腸内細菌が検出されることがあります。肺炎の起因菌として考慮するためには、そもそも肺炎があるのかどうかと、検出された菌が起因菌かコンタミかどうか、あるいは検出されていない起因菌の可能性を考慮する必要があります。今回の講義でお示しした内容は、菌ごとのフォーカスとなりえる場所の頻度を並べたもので、感染症診療における1つの要素です。実際の臨床ではこれらを含む様々な要素を加味して判断する必要があります。


Q5:海外と日本の投与量の違いについてはどのように比較検討すればよろしいでしょうか。

A5:ケースバイケースです。だだし、国内のほとんどの施設で用いられている培養結果の感受性の基準は米国のCLSIのものであり、これはあくまで米国の投与量で用いられたときのS・I・Rですので、結果の解釈には十分ご注意ください。また、近年では多くの国内の先生方の御尽力により、抗菌薬の投与可能量に関しては、あまり差がなくなってきたものも多々あります。詳しくは個々に成書をご参照ください。


Q6:ESBLは阻害剤入りの薬もだめでしょうか?

A6:試験管内ではしばしば感受性という結果が出ることもありますが、臨床的にESBL産生菌の治療にβラクタマーゼ阻害薬配合の抗菌薬で良いかどうかについては、一部疾患については賛否両論の意見がありますが、全体として現時点ではまだ今後のデータの蓄積が必要かと考えます。


Q7:血液内科と化学療法の患者が入院している病棟を担当しています。かならず、口の中を見るようにしているのですが、ほとんど口内炎として主治医に軟膏やうがい薬を依頼している状況です。口内炎から連鎖球菌を外すコツはありますでしょうか?

A7:いわゆる口内炎なのか、あるいは歯肉など口腔内・周辺領域の皮膚軟部組織感染症なのかは、臨床所見によると思います。粘膜表面のみの病変なのか、あるいは軟部組織に及んでいるかなど、ケースバイケースで検討する必要があります。


Q8:緑膿菌をコンタミネーションと考える根拠はどうしたらよいか?血液培養で1/2セットのみの検出?とか、患者の状態とかになるのでしょうか?

A8:喀痰培養などでは保菌のこともあるかと思いますが、通常血液培養での緑膿菌のコンタミネーションは比較的まれであると考えます。最終的には臨床状況を踏まえての判断となりますが、通常十分な消毒と清潔操作を行ったうえで血液培養に緑膿菌がコンタミする頻度は低いのではと考えます。(Clin Infect Dis. 1997;24:584-602.) 血液培養で生えた緑膿菌がコンタミか起炎菌か迷うならば「起炎菌として治療」する事をお勧めします。起炎菌であるのに治療しそこなう事のリスクは、コンタミに対する不要な治療のリスクよりも大きいからです。


Q9:大変わかりやすい講義をありがとうございました。連鎖球菌の分類がいつも覚えられず、困っていましたが解決しそうです。研修医の先生方にも好評でした。院内の職員にもっと見るように勧めたいと思います。ぜひまた再放送をお願いします。(一度に見られない方もおられるようなので、できれば早送りできるようにしていただけないでしょうか?厚かましいお願いで申し訳ありません。)

A9:御視聴いただきありがとうございます。再視聴等についてはまだ未定です。


Q10:IPM/CS+CLDMが外科のSSI等で使用されることがあるのですが、基本的にはIPM/CSのみで嫌気性菌をカバーしているので十分だと思います。CLDMはエンドトキシンショック予防のために追加されているものと思います。その場合、薬剤師として、嫌気性菌はカバーしているのでCLDMはいらないのでは?とDrに確認していいものでしょうか。


A10:嫌気性菌にもさまざまな種類があると思いますが、今回は下部消化管に多いB.fragilisのことという意味であれば、CLDMやβラクタマーゼ阻害薬配合抗菌薬や、もちろんご指摘の薬剤でも感受性はあります。コミュニケーションが取れる方であれば、一度確認してみるのもよいかもしれません。


Q11:ありがとうございました。今回の講義で感染症がより身近に感じられるようになりました。質問ですが、黄色ブ菌が尿から検出されたなど明らかな場合を除き、培養で出てきた菌がその感染症の起因菌ではないと判断する要因にはどのような事が挙げられますか?

A11:一つは今回の講義でお示ししましたように、どのような菌がどのような臓器に感染症を起こしやすい/起こしにくいという疫学を知っておかれることをお勧めします。その上で、臨床現場における様々な要素を踏まえて、臨床状況に応じて判断していくことになります。
また、尿からブドウ球菌が検出された場合、もちろん一般的にはコンタミであることが多いのですが、膿瘍や菌血症のなれの果てをみている場合もありますので、臨床状況からこれらが考えられる場合には血液培養を採取するなど適切な対応が必要となることもあります。


Q12:化膿性関節炎(初期段階)にてMSSAが検出されました。関節への移行の高い薬剤としてはどの抗生剤が使用されますでしょうか。現在CEZ使用ですが、治りがよくない模様です。


A12:今回の講義とは内容が外れますのでコメントは控えさせていただきますが、一般に何をメルクマールとしてよくなっていないと判断しているかを整理していただく必要があるかもしれません。また、抗菌薬以外に外科的治療が必要なのか、あるいはそもそもそういいう自然経過なのかなども考える必要があるかと思います。


Q13:今日は部位ごとに起因菌として考える主たる細菌名を整理していただきありがとうございました。先日、入院中の肺炎感染疑いで、喀痰グラム染色GNR(3+)GPC(2+)WBCフィブリンは新鮮なものが多いが扁平上皮も混入(誤嚥でよく混ざっている)。後日、培養でGNRはE.coli(ESBL)とK.pnemoniae(PCG耐性非ESBL)がわかりました。SBT/ABPCを数日投与後に症状が軽減し投薬終了。2日後に発熱し呼吸状態悪く、喀痰G染色でK.pnemoniaeらしいものが多く見られました。抗菌役投与後なのでESBLを疑いカルバペネル投与しました。その後培養結果でESBLではないK.pnemoniaeが検出されました。この場合はK.pnemoniaeがESBLではないと判断してDeescalationしても良いのですか、たまたま感受性試験をしたコロニーがESBLでなくて、ESBLも混在していると恐れる必要はないのでしょうか?ひとつのコロニーから採ったMICをみてSなら、耐性菌との混在の可能性は低いのでしょうか?

A13:A4でも述べさせていただきましたが、まずはこれが本当に起因菌なのかどうかについて検討する必要があります。しばしば腸内細菌は喀痰培養で検出されることがあるからです。仮に真の起因菌だとした場合でも、実際の薬剤選択はケースバイケースです。


Q14:当院は全ての検査が外注となっているため、グラム染色の結果が「グラム陽性菌 (3+)、グラム陰性菌(2+)」といった報告様式です。せっかくのグラム染色ですが球菌、桿菌の情報すら無い状態で、培養結果と合わせて考える時に、しばしば喀痰から「グラム染色はグラム陽性菌(2+)、グラム陰性菌(2+)、培養はMRSAが(2+)、緑膿菌が(2+)、起因菌は培養で出た菌で本当にいいのか?」と医師と一緒に悩むことがあります。必要充分な患者の病歴、身体所見を取れば、現状のグラム染色と培養結果から確定診断をつけることは可能状況なのでしょうか?

A14:日々ご苦労なさっておられることを推察いたします。一般にグラム染色の結果を確認する際には菌の形も同時にわかっているはずなので、検査機関に確認して本当にこれ以上の情報がないのかを協議する必要があるかもしれません。状況によってはなくても何とかなることがあるかもしれませんが、しかし可能ならばグラム染色だけでも貴施設で施行可能になれば良いですね。


Q15:緊急性の高い感染症にはどのようなものがありますか?

A15:今回御紹介した壊死性筋膜炎や細菌性髄膜炎など様々ありますが、詳しくは成書をご参照ください。なお感染症の緊急性は、壊死性筋膜炎といった感染症の「種類」のみならず、良く見られる尿路感染症でも敗血症化しているといった「重症度」によっても決まります。


Q16:今後、微生物をさらに勉強していくにあたって、良い方法などがあれば教えてください。

A16:今回の講義は、感染症診療を学ぶにあたってどうしても避けて通れない微生物の勉強の導入編です。実際には日々の診療の中で疑問に思ったことをその都度調べていったり、あるいは細菌検査室の方々と密にコミュニケーションをとり、細菌検査室に積極的に足を運ぶことで様々な微生物を勉強する機会はさらに広がるのではと思います。


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ここまで。

薬剤師の皆様、感染症に関心をもっていただきありがとうございます♪
今後ともよろしくお願いします。

主役の講師の先生をおもてなしする(はずの)コメンテーターはこの人。



会場はこんなかんじでやってます。


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