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Channel: 感染症診療の原則
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非典型的な「手足口病」の報告

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今年シンガポールやベトナム、マレーシアで例年の倍をいく症例報告がすでにある「手足口病」。
ワクチンがないので対応が難しいのが特徴です。

原因となるウイルスは複数あるのですが、非典型的なコクサッキ−ウイルスでの症例が4つの州で確認されているという話が米国CDCのMMWRに掲載されていました。

現場からの速報的な記事は勉強になりますね。日本でもIASRに臨床や公衆衛生の先生が報告をしている記事がとても参考になります。

Notes from the Field: Severe Hand, Foot, and Mouth Disease Associated with Coxsackievirus A6 ― Alabama, Connecticut, California, and Nevada, November 2011–February 2012
MMWR March 30, 2012 / 61(12);213-214

米国での流行シーズンは夏から秋にかけて、主にserotype coxsackievirus A16が原因。

何が非典型的だったかというと・・・
まず季節? 2011年11月7日から2012年2月29日までに、CDCに報告された手足口病の症状のある症例は63例、発熱と、非典型的な発疹:アラバマ州38例、カリフォルニア州7例、コネチカット州1例、ネバダ州17例。

米国では報告疾患ではないため、自発的に医療者から公衆衛生局への連絡があり、CDCが診断のための支援を行うなかで把握されました。

63例中43例の検体が確保され、74%にあたる25例からコクサッキ−ウイルスA6(CVA6)が検出されました。
他の9例からはエンテロウイルスは検出されませんでした。

63例のうち、40例(63%)は2歳以下、15例(24%)は18歳以上。44例(70%)は子どものケア施設や学校での接触があり、15例の成人の症例は子ども施設での接触がありました。
発熱と発疹は通常より重症であり、通常の手足口病よりも入院となるケースが多かったのも特徴です。
(この期間の死亡報告はありませんでした)

国際的に把握されているアウトブレイク株との関連性については、今後詳細が検討されてまた報告があるのではないかとおもいます。



日本のまとめ
「手足口病 2002 〜2011年」 (IASR Vol. 33 p. 55-56: 2012年3月号)

「東アジアにおけるエンテロウイルス71型感染症の流行」 (IASR Vol. 30 p. 9-10:2009年1月号)

「手足口病、ヘルパンギーナおよび関連合併症の入院症例に関する全国調査(2010年分)―中間集計結果」
(IASR Vol. 33 p. 63-64: 2012年3月号)

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