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Channel: 感染症診療の原則
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染色も培養も検査室に出しっぱなしにしない

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「染色も培養も検査室に出しっぱなしにしない!」ことはとても重要

編集長のマニュアルにある細やかな「Memo」が誠実な臨床現場に届いていた・・という話しです。


#1:金子心学氏

青木先生

お疲れ様です。少し長いですがお付き合いください

昔話をします
細菌検査室勤務を突然命じられたころ、大した教育もなく細菌検査結果を報告するようになりました。長い間、誰からも文句を言われませんでした
ある時、自分の出した結果が間違っていることに気づきました。それでも、だれからもクレームが来ませんでした。それで、初めてつまらない細菌検査結果を返しているから誰も結果を見ようとしないことに気づきました
それから、検査結果にコメントを付けるようになり、緊急性が高いと思えば電話するようになりました。カビについて知識が全く足りないと思ったので千葉大学に飛び込みで教えを請いに行きました
そのうちに、結果間違いがあると怒鳴られ、結果が遅いと文句を言われるようになりました。朝から鳴りやまない電話対応でルーティーンがストップしむかつきながら残業しました。でもそれが、とても嬉しく感じました
そのうちに、他院の細菌検査技師と情報交換するようになり、細菌検査に興味を持ってくださった医師が細菌検査室に出入りするようになり(代表:林先生)、いつの間にか看護師や薬剤師や栄養士、歯科衛生士も来てくださるようになりました
初めて、感染症の患者さんの治療に参加している実感がわいてきたのを覚えています
昔話終了

コメント
微生物検査は、自動同定感受性システムや自動血液培養システム、遺伝子検査、質量分析装置の出現があり、だれでも大量に早く正確に微生物検査結果が出せるように急速に進歩してきました
しかしこれらは従来からのグラム染色や培地による培養同定検査を十分理解したうえで、初めて優れたツールになるものです
感染症診療の基本は、医師と患者と周辺スタッフのチームプレーである原点に立ち返り基本を十分に熟知したうえで最新のツールを使いこなしていただきたいと思います

基本は人、コミュニケーションです

新米の細菌検査技師が、訳も分からず突然カルバペネムから使い始めてはいけません

金子心学


#2:林 俊誠先生

私はこのMemoを見て細菌検査室に足を運ぶようになった研修医でした。
ですのでこのMemoにはとても思い入れがあります。
当院の研修医には舌以外のすべての感覚を使って細菌検査室実習を楽しんでもらっています。
研修医自身の採取した血液培養が陽性となれば、指導医に先んじてグラム染色を確認してほしいと教えています。

PCRや質量分析法は、培養同定、場合により感受性試験に要していた時間を短縮するメリットがあります。
しかし検査室からの迅速な結果報告を本当に迅速に活用できるかどうかは主治医次第ですし、
グラム染色や培養と組み合わせなければ誤った微生物診断に繋がってしまいます。
例えばPCRは死菌でも感染症を起こさない量の菌でも陽性になりますし、
質量分析法は2菌種以上が同時に発育した血液培養ではすぐに活用できません。

コロニーを一緒に確認できるというのは検査技師の方との最高のコミュニケーションの機会です。
このMemoを読んで足繁く細菌室に通う「あのころ研修医だった指導医」がこれからも増えることを願っています。
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林 俊誠 拝

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