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Channel: 感染症診療の原則
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敗血症診療にバイオマーカーは役立つの? Q&A

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皆様、少し遅れましたが、先日の亀田の林先生の、敗血症とBiomarkerの講演のQ&Aが参りました。

Q1
腎機能が低下している患者さんへの抗菌薬投与について教えてください。 初回投与は減量しないとのことですが、抗菌薬投与によって腎障害が起きた場合に抗菌薬の減量・中止を考慮するケースはどのような場合でしょうか?

A1
腎障害の原因が抗菌薬投与によるものか否かに関係なく、腎機能が低下した際には2回目以降の抗菌薬投与量を減量したり投与間隔を延長したりする必要があります。クレアチニン・クリアランスに応じた投与量・投与間隔の調節方法は各種教科書を参照してください。

Q2
MAPのターゲットに達するまでFluid Challenge Testを繰り返すということですが、輸液過剰となることが心配です。5リットルが目安ということですが、患者さんの背景疾患や検査データなどによって変える必要がありますでしょうか?

A2
5Lというのは極めてラフな目安ですのであまり気にしないでください。実際にはfluid challenge testが複数回必要であれば、ノルアドレナリンの投与を開始することがほとんどです。そのような場面では、まだ中心静脈カテーテル留置が行われていないこともしばしばですので、薄めのノルアドレナリン溶液(例えば、3mg/100mL)を信頼できる末梢静脈ラインから持続投与開始しています。低心機能(既往としてある場合のみならず、敗血症の合併症としても珍しくありません)のある患者では、輸液過多が循環破綻の原因となりやすいのでfluid challenge testの繰り返しには慎重になるべきです。


Q3
オランダからの報告でプロカルシトニン連日測定による抗菌薬投与期間の短縮については理解できるのですが、抗菌薬投与の早期中止によって生命予後が改善した理由は何でしょうか? 抗菌薬による腎障害の影響があるのでしょうか?

A3
この疑問に答えることは不可能です。様々な可能性を想像することは可能ですが、私個人が最も可能性が高いと思っている要因は、「単なる偶然」です。同様の研究は今後も行われるでしょうから、生命予後改善という観点で再現性があるかは注視すべきでしょう。

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