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Channel: 感染症診療の原則
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野田一成先生のベトナム通信

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本Blog特派員は米国に偏る傾向がありましたが、今後は米国(ボストン、アトランタ)などに限らず、広く欧州・英国、亜細亜にまで拡充して行きたいと願っておりました。(アジアを亜細亜で表現する編集長)

今回は編集長が勝手に特派員だ・・と思っているベトナム在住の野田一成先生のReportです。

野田先生は、もともとNHKの記者であったし、できれば今回に限らず時々、登場して頂きたいです。
え!? 編集長との繋がり? それは勿論、編集長の教え子の一人ですよ・・エヘン


経歴:
茅ヶ崎徳洲会総合病院、大船中央病院等を経て2014年よりベトナムハノイにて医療に従事。

Here we go・・・
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野田一成のベトナム通信

 皆様ご存知の通り、ここベトナムではインフルエンザは一年を通して見られる疾患であり、日本のような大きなピークは見られません。しかし、年末年始やテトと呼ばれるベトナムの正月に合わせて一時帰国した日本人が持ち帰ったインフルエンザが流行するため、ベトナムの日本人コミュニティーでは日本と同様、冬に小さなピークを迎えます。
 私はフランス人、スイス人、それにベトナム人の同僚と診療を行っていますが、この時期彼らの一番の悩みが、日本人患者が一様にオセルタミビルの処方を要求することです。当院ではWHOやCDCの方針と同様、ハイリスク患者にのみオセルタミビルを処方しています。しかし、インフルエンザがself-limiting diseaseであることを丁寧に説明しても納得できず、パラセタモールを処方され憮然として帰宅する日本人が多く見られます。本社(日本)の産業医からオセルタミビルを処方してもらうよう「指示」を受けて来院するビジネスパーソンもいて、対応に苦慮します。同僚医師たちからは、「日本で君たちは一体どんな医療をしているの?」と聞かれる始末です。(下線は編集長による)
「ここで処方してもらえないなら、日系のクリニックで処方してもらうので帰ります」こう言われた時には、さすがに返す言葉がありませんでした。
 最近は日本人の会合などでオセルタミビルや抗菌剤の濫用について話す機会をいただくなどして、少しでも理解が広まるように活動を行っています。小さな子供がいる母親達からは良好な反応を得られるのですが、特に30代以降の男性ビジネスパーソンは、オセルタミビルだけでなく「風邪が早く治る点滴」や「強い抗生剤」の希望が多く、外国人医師たちを驚かせています。

Raffles Medical Hanoi Clinic 野田一成

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