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Channel: 感染症診療の原則
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NARMS 視点の(位置)の重要性

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NARMSとはNational Antimicrobial Resistance Monitoring System - Enteric bacteriaの略です。ちなみに米国の耐性監視・検出装置は

1)CDC:Human相手
2)FDA:食肉Retail meats相手。先のNARMSが関係
3)USDA:アメリカの農林省みたいな役所。Animalが相手

以前に編集長はAcinetobacterだけを取り上げて大騒ぎし、特別のSurveillanceする事の虚しさみたいな事をどこかで書きました。
何が虚しいといって、Surveillanceの結果が何も臨床現場のPracticeを変えない・・といった事です。Acinetobacterなどはserratia marcescensなどと一緒に院内感染症がらみの弱毒耐性菌の仲間として十把一絡げ的な扱いをしても差し支えない・・

その点、毎年120万人の人が発症、400人以上の生命を奪うサルモネラなどに関する感受性の動きは放置できませんね。

昨年のICAACで発表されたBeth Karp先生によると抗菌薬のうち、動物よりも人間界でより多く使用されているのはペニシリン系とセファロスポリン系のみ。他の全てのクラスの抗菌薬は動物界のほうでより多く消費されている。当然のこと、多剤耐性グラム陰性桿菌は鶏肉や七面鳥に多くみられる。(多剤耐性の定義は便宜上、発表の中では3クラス or 5クラス以上の抗菌薬に耐性)

動物に対するセフェム系抗菌薬の使用が抑制されると当然感受性が戻り、FQ使用によりFQ耐性が増える・・といったMonitoringが続けられています。

耐性菌を見つけては、その仕組みを試験管の中で検討し生活している人々には分かりにくいでしょうが、臨床現場での日々のPracticeに影響を与える情報を意識してSurveillance対象を選ぶ。これが大事ですね・・。視点をどこに置くか・・。そろそろ日本のSurveillanceもOutcomeを強烈に変えうるものに絞り込んでは・・と思う次第です。

(写真:Thomasの視線)

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