HIV感染症は命にかかわる病気であり、相手にうつしてしまうかもしれない恐怖、高額な医療費など個人や社会にとっても課題が大きく、「どのようにすれば感染を防げるのか」について数十年の努力が続いています。
このような中で、他の国なら選べる予防の選択肢を日本では提供できていないという問題が生じています。
ドラッグラグというわけでもありません。薬はすでに国内にもあります。
使う側の医療者、医療の準備不足といわれる状況です。
(もっとも、検討をしたうえで、日本では提供をしないルールになったのだ、ということを説明できる学会や医療界の責任者がいるのかどうか不勉強のためよくわかりませんが)
Treatment as Preventionとして、感染した人をなるべく早く診断して治療を開始することで、周囲への拡大を防ぐことができるというアイデアは、公費での検査や治療機会の保証にもつながっています。
抗HIV薬で「予防」ができるのだというアイデアは、別の選択肢にもつながっています。
医療者が針刺し事故をした後に抗HIV薬を予防的に内服するように、性的な曝露/注射や針の教養での曝露があった際に予防内服する非職業的な曝露での予防投与(PEP)がひとつ。
もうひとつはリスクの高い(コンドーム無しの)性行為をするとあらかじめわかっている場合に事前の予防内服をするPre-exposure prophylaxis(PrEP)です。拠点病院
例えば、性暴力被害にあった人が、STDの検査をしたり、緊急避妊をしたり抗菌薬ワクチンやグロブリンの投与を考えるような場面がありますが、ここでHIV感染リスクを心配した人がいたときに、「それは日本ではやっていません」と医療側は拒否ができるのでしょうか。
もちろん、レイプされた全員に必要かどうかは議論が残りますが、疫学情報から高リスク地域であり、その事件がおきたのが高リスクコミュニティだったらどうでしょうか。
日本にはそのようなガイドラインや根拠資料がない、ということで免責されるのでしょうか。
HIV診療はいい例なのですが、日本では対応が遅れているので米国や欧州の取り組みを准用する形でいろいろな判断や対応が行われることがあります。
他の診療ではそのようなことを容認する人でも、HIVやSTDについては、予防をしなかったその人の責任という人たちがいます。
それでいいのでしょうか。
曝露後の予防内服には時間の制限があります。対応してくれる医療機関を探しているうちにタイムリミットが近づきます。
「あの病院が出してくれなかったから感染した」
そういわれかねない事案です。
ハイリスク行為を継続している人の場合どのタイミングでその人が感染したのか科学的に把握することはできません。
これまでにおこなわれてきた予防内服は1日1錠でしたが、リスク行為をすることがあらかじめわかっている場合に、オンデマンドで内服する方法もあります。On demand PrEPといわれているものです。
例えば、「週末にハイリスクな性行為がある予定なのでツルバダを処方してくれませんか?」といわれたら日本の医療機関ではどのような対応が可能でしょうか。
<性交渉の2ー24時間前に2錠、24ー48時間後に2錠>
2015年2月の CROI On Demand PrEP With Oral TDF-FTC in MSM: Results of the ANRS Ipergay Trial
2016年7月 High efficacy of on-demand pre-exposure prophylaxis is confirmed
このサンプル数でいいのか、プラセボ群をおく倫理的な問題は?など議論があるところですが、このような結果をもとに話はどんどん進んでいきます。
日本では医療側が対応をできないまま、残薬が流れたりネットでジェネリックを購入して使う人たちもでてきています。
8月2日の英国のニュース High Court overturns NHS England refusal to commission HIV prevention
英国では、PEPもPrEPも行われていますが、誰が負担すべきか、NHSがカバーすべきかが議論になっています。
(現在、日本で曝露後対応をしているところも自費での処方となっています)
「いやー、東京はたいへんですね!」と思っている医療者の皆さま、
旅行前にくださいとか、昨日の東京でのことが不安なので、という形での相談はどの地域でも起こりえます。
今後、エイズ学会や性感染症学会、感染症学会でHIV/STD問題のひとつとしてどのように対応をすすめていくのか。
注目しましょう。
参考 米国 AIDS.GOV PRE-EXPOSURE PROPHYLAXIS (PrEP)
このような中で、他の国なら選べる予防の選択肢を日本では提供できていないという問題が生じています。
ドラッグラグというわけでもありません。薬はすでに国内にもあります。
使う側の医療者、医療の準備不足といわれる状況です。
(もっとも、検討をしたうえで、日本では提供をしないルールになったのだ、ということを説明できる学会や医療界の責任者がいるのかどうか不勉強のためよくわかりませんが)
Treatment as Preventionとして、感染した人をなるべく早く診断して治療を開始することで、周囲への拡大を防ぐことができるというアイデアは、公費での検査や治療機会の保証にもつながっています。
抗HIV薬で「予防」ができるのだというアイデアは、別の選択肢にもつながっています。
医療者が針刺し事故をした後に抗HIV薬を予防的に内服するように、性的な曝露/注射や針の教養での曝露があった際に予防内服する非職業的な曝露での予防投与(PEP)がひとつ。
もうひとつはリスクの高い(コンドーム無しの)性行為をするとあらかじめわかっている場合に事前の予防内服をするPre-exposure prophylaxis(PrEP)です。拠点病院
例えば、性暴力被害にあった人が、STDの検査をしたり、緊急避妊をしたり抗菌薬ワクチンやグロブリンの投与を考えるような場面がありますが、ここでHIV感染リスクを心配した人がいたときに、「それは日本ではやっていません」と医療側は拒否ができるのでしょうか。
もちろん、レイプされた全員に必要かどうかは議論が残りますが、疫学情報から高リスク地域であり、その事件がおきたのが高リスクコミュニティだったらどうでしょうか。
日本にはそのようなガイドラインや根拠資料がない、ということで免責されるのでしょうか。
HIV診療はいい例なのですが、日本では対応が遅れているので米国や欧州の取り組みを准用する形でいろいろな判断や対応が行われることがあります。
他の診療ではそのようなことを容認する人でも、HIVやSTDについては、予防をしなかったその人の責任という人たちがいます。
それでいいのでしょうか。
曝露後の予防内服には時間の制限があります。対応してくれる医療機関を探しているうちにタイムリミットが近づきます。
「あの病院が出してくれなかったから感染した」
そういわれかねない事案です。
ハイリスク行為を継続している人の場合どのタイミングでその人が感染したのか科学的に把握することはできません。
これまでにおこなわれてきた予防内服は1日1錠でしたが、リスク行為をすることがあらかじめわかっている場合に、オンデマンドで内服する方法もあります。On demand PrEPといわれているものです。
例えば、「週末にハイリスクな性行為がある予定なのでツルバダを処方してくれませんか?」といわれたら日本の医療機関ではどのような対応が可能でしょうか。
<性交渉の2ー24時間前に2錠、24ー48時間後に2錠>
2015年2月の CROI On Demand PrEP With Oral TDF-FTC in MSM: Results of the ANRS Ipergay Trial
2016年7月 High efficacy of on-demand pre-exposure prophylaxis is confirmed
このサンプル数でいいのか、プラセボ群をおく倫理的な問題は?など議論があるところですが、このような結果をもとに話はどんどん進んでいきます。
日本では医療側が対応をできないまま、残薬が流れたりネットでジェネリックを購入して使う人たちもでてきています。
8月2日の英国のニュース High Court overturns NHS England refusal to commission HIV prevention
英国では、PEPもPrEPも行われていますが、誰が負担すべきか、NHSがカバーすべきかが議論になっています。
(現在、日本で曝露後対応をしているところも自費での処方となっています)
「いやー、東京はたいへんですね!」と思っている医療者の皆さま、
旅行前にくださいとか、昨日の東京でのことが不安なので、という形での相談はどの地域でも起こりえます。
今後、エイズ学会や性感染症学会、感染症学会でHIV/STD問題のひとつとしてどのように対応をすすめていくのか。
注目しましょう。
参考 米国 AIDS.GOV PRE-EXPOSURE PROPHYLAXIS (PrEP)