コンサルタント業をやっていると不思議と同じ病気、同じ微生物の相談が続いたりするものです。勿論、疫学的に「それは流行ですから・・」という理由もありますが、必ずしもそうでなくても。
H1N1インフルエンザの時には、若者のTSSの相談が続きました。若者なのでH1N1インフルエンザ自身は軽くいなしますが、その後に凶暴なTSS毒を持った黄色ブドウ球菌が気道にColonizeするのか、激しいSeptic shockで市中病院に担ぎ込まれました。手の先、足の先は既に壊死を起こしDICの極致で入院となります。普段、高齢者ばかり診ていると「もう駄目」と思うのですが、流石に若者、黄色ブドウ球菌を殺しSupportiveケアを行えば、大抵の場合、退院に持ち込めました。若者のTSSは諦めず頑張ろう。
さて、次はlugdnensis。 Hidradenitis suppurativa(化膿性汗腺炎)のStage1(Stageってあったんだ・・)では最多原因菌がStaphylococcus lugdnensisであると学びました。更に先日相談を受けた30代主婦、一過性の記憶障害の原因がlugdnensisによる心内膜炎であったのも記憶に新しい。結構、lugdnensis、悪だな・・。
更にブドウ球菌と院内感染症について。
京都でご一緒したDurack DT先生。食事をしながら
編集長:何かブドウ球菌というのは、こちらの抗菌薬の使用法などとは無関係に自分の都合で流行したり、消滅したりしてる感じ。
Durack DT:そんなの当然ですよ。それが現場の正直な観察。でもDo not ask me why.
という事で、なぜ・・とは聞きませんでした。
微生物はやはり生き物ですね・・。溶連菌もブドウ球菌も自分の意志で動いている。人間のActivityだけでは説明できない。MRSAが減っても、感染管理のおかげ・・だけではないかも。