ICAAC2015 「先進国と途上国における結合型肺炎球菌ワクチンの有効性」#4
本日も演者はUniv. of Western AustraliaのPeter Richmond先生
演題は「Preventing Early Pneumococcal Disease: The potential role of Maternal and Neonatal Immunization」
■児を守るために母親・妊婦にワクチンを接種するアイデア
・先行しているワクチンによる成功例(破傷風、百日咳、インフルエンザ)の存在
・生後3ヶ月の防御抗体の必要性(新生児のワクチン接種では予防効果が小さい)
・新生児にPCV接種しても群免疫は作れない。
・母体の保菌、感染を減らせる
・母乳を介して更に利点が
・母体が保菌していると乳児も早期保菌者になる。↓
Francis JP, Richmond PC, Pomat WS, Michael A, Keno H, Phuanukoonnon S, Nelson JB, Whinnen M, Heinrich T, Smith WA, Prescott SL, Holt PG, Siba PM, Lehmann D, van den Biggelaar AH.
Maternal antibodies to pneumolysin but not to pneumococcal surface protein A delay early pneumococcal carriage in high-risk Papua New Guinean infants.
Clin Vaccine Immunol. 2009 Nov;16(11):1633-8.
PMID: 19776196
■母体にPCVワクチン接種する場合の未解決・未知の部分
・もし母体の抗体価が既に十分高ければ利点があるか?
・乳児のPCVに対する効果を下げるか?(実際、母体にPCVワクチン接種すると乳児のPCVに対する反応が悪くなる)
・血清型置換による感染症Serotype replacement disease
・ワクチン再投与の必要性?Polysaccharide型に対する反応が弱る心配ないか?
■妊婦に対するPolysaccharide型ワクチンの経験
・パプアニューギニア、ガンビア、米国、バングラデシュ、ブラジル、フィリピン、オーストラリアの母体に投与経験
・新生児に投与する限られた血清型のPCVよりも、より多くの血清型を持つPolysaccharide型ワクチンを母体に投与可能。安価でもある。
・全ての研究でPolysaccharide型ワクチンは認容性が高く、(新生児に対する)受動的な抗体転送Passive antibody transferも行える。
・23価のPolysaccharide型ワクチンは保菌のみならず、中耳炎の予防にも有効であった。
■肺炎球菌タンパク質ワクチンPneumococcal Protein Vaccine
・PCV10 with proteins pneumolysin and PhtD(GSK)
・Pneumococcal whole-cell vaccine(Malley/PATH)
・母体接種に期待される事
①既に百日咳のタンパク質ワクチンの成功例あり
②より広範囲な発症・保菌予防効果が期待される
③一回接種で十分かも
■演者の結論
・PCVは含まれる血清型による感染症に対して有用(ハイリスク群、様々Scheduleで)
・新生児PCV Schedule:ハイリスク乳児に有用、生後早期から防御効果あるかも。菌量・保菌に対する効果は不明
・母体PCVワクチン:乳児ワクチンのカバー率が低い地域では有用かも。Polysaccharide型は安全で免疫源性あるが感染症予防効果については不明。PCVのデータは極めて少ないが、Polysaccharide型ワクチンその他のワクチンの相互作用が問題となる可能性がある。
■編集長の知識整理
・ワクチンの種類
①弱毒生:麻疹・おたふく・風疹・水疱瘡
②不活化:A肝、インフルエンザ
③遺伝子組み換え(Subunit):B肝
④トキソイド:破傷風、ジフテリア
⑤多糖体・タンパク結合型:肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌(Hib)
⑤-1:多糖体のみPolysaccharide型では、成人では液性免疫+免疫記憶が得られる。乳幼児では液性免疫のみ。免疫記憶は得られない。
⑤-2:多糖体・タンパク結合型では、乳幼児でも液性免疫に加えて免疫記憶も得られる。
本日も演者はUniv. of Western AustraliaのPeter Richmond先生
演題は「Preventing Early Pneumococcal Disease: The potential role of Maternal and Neonatal Immunization」
■児を守るために母親・妊婦にワクチンを接種するアイデア
・先行しているワクチンによる成功例(破傷風、百日咳、インフルエンザ)の存在
・生後3ヶ月の防御抗体の必要性(新生児のワクチン接種では予防効果が小さい)
・新生児にPCV接種しても群免疫は作れない。
・母体の保菌、感染を減らせる
・母乳を介して更に利点が
・母体が保菌していると乳児も早期保菌者になる。↓
Francis JP, Richmond PC, Pomat WS, Michael A, Keno H, Phuanukoonnon S, Nelson JB, Whinnen M, Heinrich T, Smith WA, Prescott SL, Holt PG, Siba PM, Lehmann D, van den Biggelaar AH.
Maternal antibodies to pneumolysin but not to pneumococcal surface protein A delay early pneumococcal carriage in high-risk Papua New Guinean infants.
Clin Vaccine Immunol. 2009 Nov;16(11):1633-8.
PMID: 19776196
■母体にPCVワクチン接種する場合の未解決・未知の部分
・もし母体の抗体価が既に十分高ければ利点があるか?
・乳児のPCVに対する効果を下げるか?(実際、母体にPCVワクチン接種すると乳児のPCVに対する反応が悪くなる)
・血清型置換による感染症Serotype replacement disease
・ワクチン再投与の必要性?Polysaccharide型に対する反応が弱る心配ないか?
■妊婦に対するPolysaccharide型ワクチンの経験
・パプアニューギニア、ガンビア、米国、バングラデシュ、ブラジル、フィリピン、オーストラリアの母体に投与経験
・新生児に投与する限られた血清型のPCVよりも、より多くの血清型を持つPolysaccharide型ワクチンを母体に投与可能。安価でもある。
・全ての研究でPolysaccharide型ワクチンは認容性が高く、(新生児に対する)受動的な抗体転送Passive antibody transferも行える。
・23価のPolysaccharide型ワクチンは保菌のみならず、中耳炎の予防にも有効であった。
■肺炎球菌タンパク質ワクチンPneumococcal Protein Vaccine
・PCV10 with proteins pneumolysin and PhtD(GSK)
・Pneumococcal whole-cell vaccine(Malley/PATH)
・母体接種に期待される事
①既に百日咳のタンパク質ワクチンの成功例あり
②より広範囲な発症・保菌予防効果が期待される
③一回接種で十分かも
■演者の結論
・PCVは含まれる血清型による感染症に対して有用(ハイリスク群、様々Scheduleで)
・新生児PCV Schedule:ハイリスク乳児に有用、生後早期から防御効果あるかも。菌量・保菌に対する効果は不明
・母体PCVワクチン:乳児ワクチンのカバー率が低い地域では有用かも。Polysaccharide型は安全で免疫源性あるが感染症予防効果については不明。PCVのデータは極めて少ないが、Polysaccharide型ワクチンその他のワクチンの相互作用が問題となる可能性がある。
■編集長の知識整理
・ワクチンの種類
①弱毒生:麻疹・おたふく・風疹・水疱瘡
②不活化:A肝、インフルエンザ
③遺伝子組み換え(Subunit):B肝
④トキソイド:破傷風、ジフテリア
⑤多糖体・タンパク結合型:肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌(Hib)
⑤-1:多糖体のみPolysaccharide型では、成人では液性免疫+免疫記憶が得られる。乳幼児では液性免疫のみ。免疫記憶は得られない。
⑤-2:多糖体・タンパク結合型では、乳幼児でも液性免疫に加えて免疫記憶も得られる。