2013-2015年と、西アフリカで流行したエボラウイルス病は、それまで「ま〜日本にはこないよねえ...」と考えていた関係者(医療機関や行政)にアラームとなりました。
「え?うち第一種指定医療機関だったの?」 → 知らなくてもしかたないかもな状況でした
皆の緊張も限界あるいは疲れてきたところでちょっとゆるんで....といったところで韓国でMERSの「院内感染」としての流行のニュース。
「え?うち第二種?ということはMERSみるの?」 →そうですよ。第一種に搬送じゃないんですよ。
「え?近くの空港からも韓国便とんでるじゃん」 →そうそう
感染症の対策は基本的な整理の軸があって、それをもとに必要な対策を決め、優先順位を考え取り組んでいくというたいへん地道な作業なのですが、その訓練ががない概念を共有していない人がたまたま何かを決めたり口出しできる位置にいると「やらなくていいこと」をやったり、やるべきことをさせなかったりと、関係者や社会の迷惑につながります。
昨日もまた4類の感染症を、その人が特定されそうな情報を含めて記者会見をするという愚行を国がしました。
発表させられている人や部門のせいではないのですが、誰が決めたんですかね〜、感染症対策に協力をあおがなくてはいけない臨床や患者さんたちの信頼を失うようなことはしていただきたくないですね。何人まで数える気ですかね。
人権について学ばない国ですね。
現場はどうですかね? 新しい感染症のニュースがおきるたびに「マニュアルをつくれと上から言われたのですが、見本とさせていただきたいのでマニュアルをいただけないでしょうか」という問い合わせがきます。
皆で同じよなモノを作る時間や労力がもったいないですから、完成に近いものを共有するのはいいアイデアなのですが、そもそも何のため?であります。病院としての受け入れ後の対応(オペレーション)は個別に決めないといけませんし(建物の構造や人員が異なるので)、感染対策ならば病原体ではなく感染経路等をベースにきまるわけです。
MERSもインフルエンザも麻疹の初期も、救急外来受診の時点では症状だけではよくわかりません。
ある情報をもとに特定のアクション(初動)を皆でとれるようにしておくしかない(それがゴール)、そして標準的な予防策ができているかどうかです。
エボラと同じ「出血熱」のカテゴリーとして過去に日本でも1例報告がある「ラッサ熱」にしても、毎年同じような地域でブレイクがある「クリミアコンゴ出血熱」にしても、詳しい検査を国立感染症研究所に送って「そうですよ」と言われるまでわかりません。
あとから「あの患者さん●●だった」ということになるわけですが、
うーん体調悪いな→ 近くの開業医さん
もらったくすりきかないな、違うところにいってみよう → 別の開業医さん
小さいところじゃだめから 大きい病院にいってみよう → 大学病院
あれ、ちょっとおかしい ねえ救急車よんで...→ 市立の救命センター
ご家族のかたちょっとお話を...え!●●●でお仕事して帰国したばかり? →保健所に電話してきいてみよう、指定医療機関はどこだったかなああ...というようなことを事例としてあげてみたいとおもいます。
上記の中でなんどか採血や点滴などが行われるかもしれません。スタンダードプリコーションの教育は今や看護学校在学中にも行われますが、上記のような病院で徹底されているでしょうか。
感染はおきないとしても、「やばー!あのとき素手だったよ!」というようなスキがあると事故がおきるわけですから、診断名が突いてからの話のマニュアルづくりよりは「うちはだいじょうぶかな」と見直す方が大切なわけです。
東京大学医科学研究所→都立(当時)荏原病院のラッサ熱症例について
相楽先生インタビュー
「危険な市中感染症と向き合って―ラッサ熱・HIV感染症・炭疽・SARS・狂犬病対応から学んだことー 」
トリビア情報としましては、東京都が感染症疑い症例を搬送する特別な救急車をもっていますが、それは通称「ラッサ車(しゃ)」とよばれています。
体験を風化させないためにはよいのかもしれません。
ちなみに大阪では「SARS Care」というそうです。
どうでもいい話題かもしれませんが、研修会でお話するとみなさんが「ほ〜」と反応したりします.....
米国の大学病院にラッサ熱疑い症例を搬送 2016年3月11日
ドイツの大学病院にラッサ熱疑い症例を搬送 2016年3月10日
エボラよりもラッサ熱やクリミアコンゴ出血熱のほうが数として多く流行地も広いので、「渡航歴あり」から考えなくては行けない症例も多い、、というのは基礎知識です。
その手前として、日本の医療機関としてはSFTSの基礎知識がどの程度広まっているかが気になるところです。
あれは西日本の話だから、うちは関係ないよねという会話は2016年にも聞きます。
よく分からない状況の時にいかに曝露を減らせるか。方法はいろいろ提案されています。
やらない理由探しをする前にactionです。
「え?うち第一種指定医療機関だったの?」 → 知らなくてもしかたないかもな状況でした
皆の緊張も限界あるいは疲れてきたところでちょっとゆるんで....といったところで韓国でMERSの「院内感染」としての流行のニュース。
「え?うち第二種?ということはMERSみるの?」 →そうですよ。第一種に搬送じゃないんですよ。
「え?近くの空港からも韓国便とんでるじゃん」 →そうそう
感染症の対策は基本的な整理の軸があって、それをもとに必要な対策を決め、優先順位を考え取り組んでいくというたいへん地道な作業なのですが、その訓練ががない概念を共有していない人がたまたま何かを決めたり口出しできる位置にいると「やらなくていいこと」をやったり、やるべきことをさせなかったりと、関係者や社会の迷惑につながります。
昨日もまた4類の感染症を、その人が特定されそうな情報を含めて記者会見をするという愚行を国がしました。
発表させられている人や部門のせいではないのですが、誰が決めたんですかね〜、感染症対策に協力をあおがなくてはいけない臨床や患者さんたちの信頼を失うようなことはしていただきたくないですね。何人まで数える気ですかね。
人権について学ばない国ですね。
現場はどうですかね? 新しい感染症のニュースがおきるたびに「マニュアルをつくれと上から言われたのですが、見本とさせていただきたいのでマニュアルをいただけないでしょうか」という問い合わせがきます。
皆で同じよなモノを作る時間や労力がもったいないですから、完成に近いものを共有するのはいいアイデアなのですが、そもそも何のため?であります。病院としての受け入れ後の対応(オペレーション)は個別に決めないといけませんし(建物の構造や人員が異なるので)、感染対策ならば病原体ではなく感染経路等をベースにきまるわけです。
MERSもインフルエンザも麻疹の初期も、救急外来受診の時点では症状だけではよくわかりません。
ある情報をもとに特定のアクション(初動)を皆でとれるようにしておくしかない(それがゴール)、そして標準的な予防策ができているかどうかです。
エボラと同じ「出血熱」のカテゴリーとして過去に日本でも1例報告がある「ラッサ熱」にしても、毎年同じような地域でブレイクがある「クリミアコンゴ出血熱」にしても、詳しい検査を国立感染症研究所に送って「そうですよ」と言われるまでわかりません。
あとから「あの患者さん●●だった」ということになるわけですが、
うーん体調悪いな→ 近くの開業医さん
もらったくすりきかないな、違うところにいってみよう → 別の開業医さん
小さいところじゃだめから 大きい病院にいってみよう → 大学病院
あれ、ちょっとおかしい ねえ救急車よんで...→ 市立の救命センター
ご家族のかたちょっとお話を...え!●●●でお仕事して帰国したばかり? →保健所に電話してきいてみよう、指定医療機関はどこだったかなああ...というようなことを事例としてあげてみたいとおもいます。
上記の中でなんどか採血や点滴などが行われるかもしれません。スタンダードプリコーションの教育は今や看護学校在学中にも行われますが、上記のような病院で徹底されているでしょうか。
感染はおきないとしても、「やばー!あのとき素手だったよ!」というようなスキがあると事故がおきるわけですから、診断名が突いてからの話のマニュアルづくりよりは「うちはだいじょうぶかな」と見直す方が大切なわけです。
東京大学医科学研究所→都立(当時)荏原病院のラッサ熱症例について
相楽先生インタビュー
「危険な市中感染症と向き合って―ラッサ熱・HIV感染症・炭疽・SARS・狂犬病対応から学んだことー 」
トリビア情報としましては、東京都が感染症疑い症例を搬送する特別な救急車をもっていますが、それは通称「ラッサ車(しゃ)」とよばれています。
体験を風化させないためにはよいのかもしれません。
ちなみに大阪では「SARS Care」というそうです。
どうでもいい話題かもしれませんが、研修会でお話するとみなさんが「ほ〜」と反応したりします.....
米国の大学病院にラッサ熱疑い症例を搬送 2016年3月11日
ドイツの大学病院にラッサ熱疑い症例を搬送 2016年3月10日
エボラよりもラッサ熱やクリミアコンゴ出血熱のほうが数として多く流行地も広いので、「渡航歴あり」から考えなくては行けない症例も多い、、というのは基礎知識です。
その手前として、日本の医療機関としてはSFTSの基礎知識がどの程度広まっているかが気になるところです。
あれは西日本の話だから、うちは関係ないよねという会話は2016年にも聞きます。
よく分からない状況の時にいかに曝露を減らせるか。方法はいろいろ提案されています。
やらない理由探しをする前にactionです。