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Channel: 感染症診療の原則
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英語の情報がなくて混乱、な韓国のMERS

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感染症がアウトブレイクしたときに、全体像を把握するために症例の「ラインリスト」作成、「エピカーブ」書いて・・・という作業をしていくのですが、その情報がなかなか得られません。

韓国のMERS情報は公式なサイトからは韓国語ででてくること
先行して英語でニュースで流れ、記事によって少しずつ内容が違うこと
WHOは確定したものを載せるのでそこをみていくことになりますが、詳細な情報はないこと


人の情報: 性別、年齢、基礎疾患、どのような人(家族、お見舞い、医療関係者、とおりすがり等)

時の情報: 曝露した日(勤務日、訪問日など)、発症日(症例定義に定めた症状が出た日)、検査確定日
とありますが、ニュースを見ると検査でカウントされた日が多く、いつ頃発症したのかがわかりづらいです

場所の情報: どのあたりの人がリスクなのか?ですが、曝露がおきたかもしれない医療機関の情報は混乱をさけるためという理由で(病院から抵抗もあったかもですが)ずっと伏せられてきました。

Openessが必要じゃないか?という指摘もあったためか、本日24医療機関が公開されています(現在症例が入院しているのは6病院)。
名前をみて「きゃー」となる人もいるので相談電話番号も公開されています。

検査対象者が増えると検査センターもたいへんですね。


英語情報がないよ!?と困っている世界の関係者の声は、同じようなことがおきたときに日本に向けられることになります。

Googleなどの機械翻訳はかなりミスりますので、何度か数か国語でかけあわせ確認をしたり時間がとてもかかります。

西アフリカのエボラ対策支援にいくときに、リベリアとシエラレオネは英語で活動ができたのは幸いでした。
ギニアにはフランス語ができる人を送る必要がありました。
ヨーロッパ等は3か国語4か国語話せる人たちがいますので、うらやましいですね。


アジアの感染症情報も英語だけてみているとタイムラグもありますし、ひろえない情報があります。
危機管理のための情報収集だけでも独立したポジションに人が配置されています。
日本は言語の壁を乗り越えることとあわせて仕組みとして今後どうしていくのか課題。


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