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Channel: 感染症診療の原則
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潜在結核 NEJM最新号のReview

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珍しく編集長、どこに行く時にも、この論文携帯しました。それほど大事なTopics、その名も


「潜在結核(Latent Mycobacterium tuberculosis Infection)」
N Engl J Med 2015;372:2127-35.

読者:で、どうだったの? 感想は? 
編集長:ま、ね・・。急いで読まなくても・・。それよりも編集長の結核のBlog記事が良いかな・・(冗談です。嘘です。NEJMですから・・でも少しDisappointing・・)

以下、大事な事、思いだしたい事など
どちらかというと感染症Fellow向きかな・・

#:Latentの状態を数えると世界の1/3の人が結核に罹患している。
・大変です。

#:潜在結核 vs. 発症している結核症
・この2臨床像はスペクトラムとして考えよう。白黒ではない。沢山の中間が。
・今回のReviewで一番残念だったのは、中間の病態に関する話しが殆ど無かった事。

#:免疫は時に結核の増殖を促す。
・とくにinterleukin-1βなど。
・免疫は両刃の剣・・

#:Latent と Persisting の概念
・Latent:Macrophageなど細胞の中で生存
・Persisting:細胞外のBiofilm的な空間で生存
・今後の研究で正確に意識しよう。

#:良い動物モデルが無い。
・感染→発症→治療全体をSimulateできる動物モデル無い。
・ネズミ:治療効果が人間のそれに似る
・ウサギ:組織形態が人間のそれに似る

#:低流行国では発症例の殆どは「再発」
・これに対して高流行国では、発症のかなりは「再感染」
・本当の結核にかかっても、また別の株により第2,第3の結核に罹患・発症。
(なばら結核菌まがいのBCGの効果なんて・・)
・高流行国では、INHの予防投与終了後、再感染はある。故に通常のINHによる予防は不十分。

#:ツ反 Vs IGRA(クアンティフェロンなど)
・ツ反はBCGなどで偽陽性になるがIGRAはならないので、より特異的・・と思うのは間違い。
・IGRAは全く特異的ではない。沢山の偽陽性が問題になっている。
・実際、編集長もツ反からIGRAに変更した地域で「陽性例が何倍にも増えた。これに前例、予防投与するのか・・?」という質問を受ける事が多い。(涙)

#:発症を予測できないツ反とIGRA
・これも編集長が指摘したようにツ反もIGRAも陽性例の殆どは発症しない!!
・だから、発症しやすい症例を探したい現場には「力不足」の検査

#:予防投与の処方は沢山のVarietyがある。
INHのみ9ヶ月
RIFのみ3-4ヶ月
INH+RIF:3-4ヶ月
INH+Rifapentineを週1回:3ヶ月

#:ついでに有益文献をひとつ紹介(NEJMではありません)
・これからは、やはり「Molecular」か・・

Drobniewski F, Cooke M, Jordan J, et al.
Systematic review, meta-analysis and economic modelling of molecular diagnostic tests for antibiotic resistance in tuberculosis.
Health Technol Assess. 2015 May;19(34):1-188.
PMID: 25952553
Review: Rapid molecular diagnostic tests for drug-resistant tuberculosis have > 84% sensitivity and > 98% specificity.


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