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First lonely voice, 卒後4年目の医師が書いた手紙

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4月20日に英字新聞が1人の医師が亡くなったことを伝えていました。

Dr. Irwin Schatz, the first, lonely voice against infamous Tuskegee study, dies at 83

Irwin Schatz, 83, Rare Critic of Tuskegee Syphilis Study, Is Dead


Schatz医師はデトロイトのHenry Ford病院で循環器の医師として働いていました。
1965年にある記事を目にします。
それは、1932年から米国の公費で行われていたある実験についての報告です。それは、ある農村部のアフリカ系アメリカ人を梅毒に感染させて、無治療で観察をするというものでした。この時点でペニシリンが治療薬として広く使われていた時代です。関係者以外に知られていなかったこの実験とその非倫理性が問題視されはじめます。

この"実験"が大きく問題視され中止されたのは1972年のAssociated Press社による特集が影響しています。が、そのきっかけになったのがWall Street Journalが行った"A Freedom of Information Act" による情報開示請求によってみつかったSchatz医師の手紙の公開です。

主任研究者であるDr. Donald H. Rockwellに書いた手紙は共著者であるCDCのDr. Anne R. Yobsにわたります。この時の上司へのメモは" “This is the first letter of this type we have received. I do not plan to answer this letter.”と書かれていました。

この問題の詳細はSusan Reverby Wellesley Collegeの歴史学の専門家の Examining Tuskegee: The Infamous Syphilis Study and its Legacyと Tuskegee Truths: Rethinking the Tuskegee Syphilis Studyの2冊の本に詳しく紹介されています。

結果として当時のクリントン大統領が正式に謝罪をします。
Presidential Apology:U.S. Public Health Service Syphilis Study at Tuskegee(CDCホームページ)

Tuskegee UniversityにはNational Center for Bioethics in Research and Health Careが設置されています。

"この実験の一番の倫理的な問題点は、効果的な治療方法が事実上なかった頃ならばともかく、ペニシリンによる治療の有効性が証明された1947年以降も、この経過観察、つまり<何も治療をしない>という実験が続けられ、あまつさえ観察対象者である患者たちがペニシリンによる治療を受けるのを実験の関係者たちが妨害したこと"
「今月の映画:Miss Evers' Boys: Based on the True Story of the Infamous Tuskegee Experiment」より



現在、編集長の界隈(東京あたり)では梅毒が再流行しています。
健康を阻害される人たちが増えているというデータがすでにあり(報告率は低いのに)、若い女性のケアが必要なことも分かっていますが、対策が十分に行われているとはいえません。
今年初めて気づいた傾向ではなく、昨年すでに報じられている案件です。

よく性感染症では差別や偏見が問題として語られますが、感染した人に向けられる攻撃的な視線や言葉だけでなく、この問題で困っている人たちの軽視やスルーも偏見だと考えています。
なぜ、性感染症は他の感染症と比べて対策が遅れるのか、感染症の専門家でさえ、一部の人の問題的な反応になるのか。
たいへん興味深い現象です。

保健所や行政の人からは「しょせん5類」という言い方をされることがあります。

では麻疹はどうなのか?
(麻疹は放っておけば広がるし、1,000人に1人の分母分子の規模で死亡者が出ますしね→放っておいたら死に至る、母子感染等でも困る性感染症はありますよ・・・)


梅毒は報告率が数パーセント程度といわれていますので、実際にはすごく広まってしまっているのだと思います。放置している間に、高リスク層から低リスク層へ拡大しています。

梅毒の場合、対応の遅れの結果は母子感染の問題として示されます。

専門家や行政のだんまりや対応の遅れで、赤ちゃんや妊婦さんが犠牲になるのかと思うとやりきれませんので、lonly voiceでもブツブツ,コツコツ情報発信をすることが大切なわけですが、、、
現場の医師からは、「こういったことが問題ではないか」「こうしたらいいのでは」という提案も出ていますので、集めて行けば「現場からの提案」として意味を持つかもしれません。



厚生労働省が今年の2月にQ&Aを掲載しました


流行地でも、診ているのは町のクリニックが中心。
医師会や地域のネットワークを通じて、診断の工夫、完治までの治療計画、パートナーの検査と治療について紹介をしていくことが課題のひとつ。

クリニックの非常勤看護師の気づきからはじまったアウトブレイク対応

"The nurse reported these cases to the regional public health office staff that provides disease investigation services for the county and to the Georgia Division of Public Health. Initial assessment suggested that the outbreak involved a substantial number of people, with groups of people who interacted sexually on a regular basis. Additional help for disease investigation was mobilized from a larger nearby county STD control program. "

疫学調査の結果200例の規模で感染拡大が把握されました。

海外のエキスパートも「梅毒では魔法のようにうまくいく対策がない」と語ります。
まずは、ゴールドスタンダードである早期診断と接触者の検査治療。

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