Twitterでおしえていただいた、こちらのブログの記事(子宮頸がんワクチン副作用)が大変参考になりました。
神経内科医の先生の解説です。
情報源がテレビ番組しかない、という人は世の中に一定数いて、それをそのまま信じる人もいますので、メディアがどう伝えるか(どう理解できているか、できていないか)についてどの分野の専門家でも関心を持つ必要があります。
「自分はテレビみないんですよ(新聞読まないんですよ)〜フフ」という意識高い系トークではすまない闇がときにあるからです。(下のMRIC記事に書かれている内容はYoutube等でも見ることはできますが・・・)
先日、京都で開かれる感染症学会の抄録集がとどきましたが、その234ページ 一般演題(ポスター)O1-088に関連の発表をみつけました。
「HPVワクチンにみる日米欧のリスクコミュニケーションの比較検討」
くすりの適正使用協議会海外情報分科会の発表です。結論のところには、「事実を発信するのみでは不十分で、発信者に対する信頼、受信者の理解、工夫された伝達等が受信者(国民)の理解・行動につながる可能性がある」とあります。
(その内容を全部は現時点では知ることができませんが・・・)
新しいワクチンや薬が導入された後は、因果関係や関連性を検討しなくてはいけない有害事象の報告が増えます。
メディアが扱うとその広報効果でさらに報告が増えます。整理がすすみ、メディアがあつかわなくなった後にその数は減っていきます。
米国の場合 MMWR Figure
このような問題をおこさず順調に予防接種プログラムが運営されている国と日本の一番の違いは、皆が寄って立つ信頼できる情報の軸がないことです。厚労省のページや感染研のページを見ても、こうした問題がおこるたびにゆらぐ信頼について回復させる機能や意欲は残念ながらみえません。伝わらなければ無いのと同じ。
そういった信頼の軸がないから、メディアがさわぐ→それが真実であるかのように誤解される→専門家による修正が有効に機能しない→メディアが煽る「被害者」「救済」→ 医学的科学的に説明がつかないことまで司法がねじまげて判断・・という事例を過去に見てきました。
(B型肝炎訴訟では予防接種が感染の原因ということになってしまいました。医学的、科学的にはおかしな説が裁判所で「そうだ」ということになってしまいました。当時の注射器や針等の扱いが、今からみたらおかしいだろう、ということは当時の他の医療や歯科診療でもあったのですが、また日常生活での水平感染が起こることが知られているのに、「予防接種が原因」という話になりました。)
最近の報道には、こんなに副反応がある、というニュアンスがありますが、その内容は何か。「重篤例」の内実は何か。
1次情報を見てのものではなさそうな記事もあり残念ですね。
たとえば、平成26年7月の会議の資料。
重篤例のリストには、喘息、肺炎、起立不耐性、熱性痙攣、ウイルス感染、感染、異常行動、卵巣炎、自殺企図など多様な症例がならんでいます。重篤と考えるかどうかは診た医師の判断です。これらを合計して症例数をいっているのです。
2種類あるワクチンのうちサーバリックス、ガーダシルのそれぞれの副反応報告リストをみると、ワクチンとは直接関係ないものも含まれています。接種「後」に起きた問題のリストですから、これでいいのですが、因果関係や関連性があるかはわからない、「有害事象」のデータのとりかたです。
しかし厚労省(委員会?)はなぜか「副反応」という言葉を使い続けています。(委員会議事録を見ると、変えた方がいいのではないかという提案をしている委員もいます)
厚労省が、あえて誤解や拡大解釈をされるような用語を使い続ける目的は不明ですが。
(予防接種や感染予防に取り組む専門職から疑念をもたれる案件の一つがこれです)
2製剤の副反応の比較
会議では2種類わけていますが、雑なメディアの記事では今でも「子宮頸がんワクチン」という、実際には存在しないワクチン名をつかって書いています。
(メディアの記事の信用度をさげている原因のひとつがこれです)
対応が進まない、遅れているという記事もみかけましたが、これまでの会議資料を読み、会議の流れを学ぶと、検討が進まない、調査をしても進まない状況がわかります。
(健康被害の検討が進まない、と思われることが国やワクチン全体への疑念をもたれる原因の一つになっています)
こちらは平成26年の会議の資料の一部ですが、ケースレポートの「年齢がわからない」「不明項目がある」だけで、個別の事例検討が難しいとか(書類取り寄せに時間がかかる、さらに委員がそれを検討するのにも時間がかかる)、さらにそれは症例蓄積といえるのか(一定のパターンがあるのか等)の検討が難しくなるわけです。
(医療関係の個人情報を文書レベルで集めることがどれだけたいへんか、公表するしないふくめての大変さを知らない人もいます)
PDFしかなかったのでこちらは書き起こしました
ワクチンが原因であると申請されている事例ごとに症状との因果関係などの検討をする手続きは今後も進められるわけですが、そのことと、ワクチン接種の選択の機会を提供すること(制限をしてしまっている問題)は別だと考える時期に来ているのではないでしょうか。
"被害者"支援を言うひとたちが、HPVは子宮頸がんの原因ではない、他のワクチンにまで批判を広げたり、他の人のワクチン接種の機会まで閉ざすような発言をしていることも、本来の解決を遠ざけています。
国や専門会議、専門家が毅然とした態度やメッセージを出せないまま、政治的にねじまげるひとたちが出てくると、HPVワクチンだけでなく、今後回復不可能な予防接種制度やワクチン全体への不信が残るフェーズになっていますし、健康被害のケアも進まないと思います。
そのような中、新しい専門家のグループのアナウンスが4月4日のMRICのメールマガジンで流れてきました。
誤解を受けそうなメディアの情報の扱いへの指摘はその通りだとおもいます。
医学的、科学的に整理はすすめられている、ということも事実です。
しかし、正しいことや事実だけを伝えるのでは不足がある、発信者が信頼を得られるか?という課題は残ったままですが、がん患者のそばで、病気の告知から、家族にどう伝えるかを悩む段階、手術や治療、そのあとに起きる後遺症や再発の不安の恐怖、残される家族とくに小さい子どもたちのことをみてきた医師等がたくさんならんでいることがブレークスルーの一歩となるのではないかとおもいます。
というか、それ以外に現在の構造の中で誰が伝えて行けるのだろう、という状況があります。
日本語だけが情報源の人たちは特に。
参考までにMRIC記事の転載をします。
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私達は、子宮頸癌(HPV)ワクチンの正しい理解を求め、その接種を推奨します
―女性と子供、そして、家族と国を守るために―
HPVJAPAN hpvjapan@yahoo.co.jp
呼びかけ人 野田起一郎、今野良
2015年4月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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HPVワクチンの安全性・有効性は世界中で科学的に高い評価が得られています。しかし、国内では、噂、思い込み、紛れ込み、仮説などを大きく扇情的に取り上げる報道記事や番組によって、多くの国民(医療従事者さえも)が誤解をしています。このような非科学的な報道に対して、英国やカナダ等では適切に処理され、不適切な記事の取り下げ、訂正などが行われてきました。しかし、日本ではその傾向がなく、反対活動の記事のみが掲載される事態が見られます。私達は国内外の最高レベルの科学的根拠(1,2,3)をもとに、医学・医療の専門家として以下の声明を発表いたします。全国の有志の声です。
1)日本産婦人科学会等の共同声明 http://www.cczeropro.jp/assets/files/2014.7.pdf
2)日本小児科学会の要望書 http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/HPV141006.pdf
3)WHOの安全性声明(厚労省和訳) http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000050384.pdf
2015年3月
HPV(いわゆる子宮頸癌)ワクチンは、癌を引き起こすヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus, HPV)の感染を予防することを目的に開発されました。HPV感染はほぼすべての子宮頸癌、および、中咽頭癌、肛門癌、外陰癌、腟癌、陰茎癌の多くを引き起こします。日本では、HPV型のうち16型と18型の2つが子宮頸癌の約70%、とくに、20歳代では90%の原因になっています。HPVワクチンが多くの子宮頸癌の罹患や死亡を予防できるベネフィットを考えると、このワクチン接種後に発生した痛みや運動障害の少女の存在が繰り返し報道されたことにより、日本でワクチン接種の勧奨が行われなくなっていることは非常に大きな損失であるといわざるを得ません。
恐ろしい症状や病気があたかも、HPVワクチンの被害であることを示唆するような報道記事やテレビ番組の内容は遺憾なものです。これらの記事やテレビ番組では、HPVワクチン接種の後という時間的な前後関係があるだけにもかかわらず、恐ろしいケースを何例も紹介し、関連をほのめかすことで、ワクチンが引き起こしたという間違った印象を読者や視聴者に与えました。
HPVワクチンを接種した少女たちの多くは、それ以前に麻疹ワクチンも風疹ワクチンも接種していますが、それらとの因果関係はあるのでしょうか。ある記事や番組では、HPVワクチン接種後に病気になったという因果関係があるかのように示唆していますが、それらは証明されたものではありません。
HPVワクチン接種後に交通事故で亡くなったケースや、HPVワクチン接種後に成績が向上して高校・大学に合格したことを、HPVワクチンのせい(副反応)あるいはワクチンのおかげ(効果)と呼ぶでしょうか?一つ目の事象が二つ目の事象を引き起こしたことにはなりません(紛れ込み)。時間の前後関係と因果関係が異なるのは理論的に考えれば分かることです。非常に残念なのは、このような記事や番組を目にした国民が、高度な公衆衛生および保健専門機関であるWHOや厚生労働省が示す科学的なエビデンスや、日本産婦人科学会・医会、日本小児科学会等が発表した接種推奨に対し疑念を抱いている点です。
医薬品やワクチンの副作用や弊害については真摯な対応が必要です。HPVワクチンには異なる2種類の製品がありますが、いずれも世界で2万人以上を対象とした治験で安全性と有効性が検証されたうえで承認されています。日本でも両者で約1500人を対象とした治験が行われたうえで、承認されました。
WHOが、世界で1億7000万件以上の接種が行われたデータを基に有害事象を解析した結果、非常に稀ながら見られる深刻な副反応はアナフィラキシー反応のみでした(アナフィラキシー反応はどんな薬剤にも時には食品にも稀ながら発生します)。世界中の公衆衛生担当者はこれらのデータベースの評価を引き続き実施していますが、この他に深刻な副反応のエビデンスは認められていません。稀に見られる重篤な症例をワクチンと関連付けるためには因果関係の証明が必要で、世界の医学界でそのような因果関係は証明されていません。
英国では、MMRワクチンが自閉症の原因であるという仮説が、ある医師により提唱され報道に取り上げられた結果、ワクチン接種率が激減した過去がありました。現在、この医師の仮説は否定され、掲載された論文は取り消され(Retraction of Wakefield et al. In: Lancet 2010;375(9713):445)、医師資格も剥奪されました。しかし、そこに至る期間にワクチンへの不信感を世界中に与えた罪の大きさは計り知れないものがあります。啓発的な正しい報道がHPVワクチンの接種再開に、そして、理解され難い痛みに苦しむ少女とご家族、および、子宮頸癌患者を失くすために役立ってほしいと願っています。HPVワクチンの不安のみを煽る報道は、日本の将来に大きな禍根を残します。
日本で毎日10人の命を奪っている子宮頸癌。日本の子宮頸癌罹患率および死亡率は、米国、英国などの2倍という悲惨な状況です。HPVワクチン接種世代が成人に達した英国では、子宮頸癌初期および前駆病変の発生が50%以上も減少しました。今でも子宮頸癌の多い日本では、有効策を取らずに死と不幸を生み続けている状況です。日頃、進行癌患者さんと一緒に苦しみ努力しても、治療の甲斐なく命が失われる悲劇は、一刻も早く止めたいと祈るばかりです。
副反応と呼ばれる痛み等の原因究明も必要ですが、それに終始するのではなく、そのような症状をもつ患者さんの苦痛を受け止め、治癒をめざした診療体制を整備しながら(現在、厚生労働省ならびに日本医師会・関連学会等で整備が進行中)、一方でワクチン接種を進めるべきであると考えます。公衆衛生という視点から、今や国民のために適切な理論的判断をする時です。
深刻な被害が生じたとされる少女のドラマチックな内容の報道には、大きな不安を覚えますが、日本を含む世界中の研究において、このような例とワクチンとの因果関係は証明されていません。しかし、このような記事や仮説が出回ると、私たち皆が損害を受けます。医学や医療の専門家は、健康の問題に関する最善のエビデンスを提供する責任があります。HPV感染によって子宮頸癌をはじめとする悲惨な病気が発生するエビデンスは非常に明確(2008年のノーベル医学生理学賞)であり、HPV感染に伴うリスクは、接種に伴うリスクよりはるかに大きいものです。報道機関におかれましては、すべての子供たちを癌から守るため、公衆衛生のエビデンスに基づいた私たちの推奨を信頼してほしいと思います。この推奨は命を救うためのものなのですから。
HPVJAPAN(JISコード順)
*この声明への賛同は、個人の見解によるものであり所属する機関・施設を代表するものではありません。
飴谷由佳 富山県立中央病院 産婦人科医師
安部宏 南相馬市立総合病院 産婦人科
庵原俊昭 国立病院機構三重病院 院長
伊藤公彦 関西ろうさい病院 産婦人科
伊藤滋 香川県立中央病院小児科医師
伊藤達朗 岩手県立大船渡病院 院長
伊藤雄二 西吾妻福祉病院 病院長 産婦人科
衣笠万里 尼崎医療生協病院 産婦人科医師
宇垣弘美 大阪府立急性期・総合医療センター産婦人科
永井宣隆 広島女性クリニック 院長
榎谷亜理沙 兵庫県神戸市灘区
遠藤秀彦 岩手県立中部病院 院長
遠野千尋 岩手県立釜石病院 医師
塩崎隆也 紀南病院 産婦人科 医師
奥川利治 三重大学医学部附属病院 産婦人科
奥田美加 国立病院機構横浜医療センター産婦人科部長
横山正俊 佐賀大学医学部産科婦人科 教授
加藤育民 旭川医科大学 産婦人科 講師
加藤久幸 藤田保健衛生大学医学部 耳鼻咽喉科准教授
加藤久盛 神奈川県立がんセンター 婦人科部長
加藤小百合 医療法人豊昌会 豊田健康管理クリニック 医師
加藤正隆 愛媛県新居浜市 家庭医(内科・小児科) 医師
家根旦有 近畿大学医学部奈良病院 耳鼻咽喉科教授
河西十九三 公益財団法人 ちば県民保健予防財団 常務理事
垣添忠生 公益財団法人 日本対がん協会会長
干場勉 石川県立中央病院 産婦人科 医師
関典子 岡山大学病院 産婦人科
関博之 埼玉医科大学総合医療センター 総合周産期母子医療センター 教授
岩成治 島根県立中央病院 産婦人科医師
喜多伸幸 滋賀医科大学産科学婦人科学講座 准教授
菊地紫津子 サラクリニック 院長
菊池俊彦 菊池俊彦内科クリニック 内科
吉岡恵美 関西労災病院 産婦人科
吉川裕之 茨城県立中央病院 院長
吉村泰典 一般社団法人吉村やすのり生命の環境研究所 代表理事
吉田健太 三重大学医学部附属病院 産婦人科
吉田泰之 鳥取県立中央病院 医療技術局長
吉田徹 岩手県立久慈病院 病院長
吉田茂樹 愛仁会千船病院 産婦人科部長
吉田裕之 埼玉医科大学国際医療センター婦人科腫瘍科 講師
久布白兼行 東邦大学医療センター大橋病院 婦人科
宮城悦子 横浜市立大学大学院医学研究科 がん総合医科学 教授
玉井友治 たまい小児科
近藤一成 NTT東日本関東病院産婦人科 医長
桑鶴知一郎 国立循環器病研究センター 周産期婦人科 専攻医
元木葉子 横浜市立大学産婦人科 医師
古田泉 厚木中町クリニック 院長
甲斐健太郎 大分大学医学部産科婦人科学講座
荒井信貴 BML総合研究所所長
荒川敦志 名古屋市立大学産科婦人科 病院准教授
高久史麿 日本医学会 会長
高橋健太郎 滋賀医科大学地域周産期医療学講座、産科学婦人科学講座女性診療科長
高橋裕 富山赤十字病院 産婦人科
高見澤聡 国際医療福祉大学病院 教授、リプロダクションセンター 副センター長
高松潔 東京歯科大学市川総合病院産婦人科 教授
高田雅代 香川県立中央病院 産婦人科
今野良 自治医科大学 総合医学第2講座 教授
紺野愼一 福島県立医科大学医学部整形外科 教授
佐伯吉則 富山県氷見市 佐伯レディースクリニック
坂本優 佐々木研究所附属杏雲堂病院 手術・内視鏡部部長 婦人科科長
鮫島梓 富山大学 産婦人科
三橋武司 自治医大附属さいたま医療センター 循環器
三上芳喜 熊本大学医学部附属病院病理部・病理診断科 教授
三輪正彦 富山市立富山市民病院産婦人科 医師
山崎恵美子 東京都三鷹市
寺井義人 大阪医科大学産婦人科 准教授
寺内文敏 東京医科大学産科婦人科学講座 教授
寺本勝寛 山梨県立中央病院 医師
シャロンハンリー 北海道大学大学院 総合女性医療システム学講座 特任助教
秋元義弘 岩手県立二戸病院 産婦人科長
秋山芳晃 秋山レディースクリニック さいたま市
小林敏宏 こばやし小児科 医師
小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学
小林良幸 三重大学医学部附属病院 産婦人科
小澤信義 おざわ女性総合クリニック 院長
松口一道 久留米総合病院 産婦人科 医師
松田和則 松田マタニティクリニック
松本光司 筑波大学 医学医療系 産科婦人科学 准教授
松本光史 兵庫県立がんセンター腫瘍内科
上浦祥司 大阪府立成人病センター 婦人科主任部長
新井昇 富山県 かみいち総合病院 産婦人科 医師
新谷雅史 新谷レディースクリニック 産婦人科 院長
森泰輔 京都府立医科大学 産婦人科教室
森谷卓也 川崎医科大学 病理学2
深澤一雄 獨協医科大学 産婦人科教授
水口淳一 みなくち小児科 埼玉県鶴ヶ島市
杉野法広 山口大学大学院医学系研究科産科婦人科学 教授
清水謙 藤間病院 院長 産婦人科
清川貴子 東京慈恵会医科大学 病理学講座 教授
清野義胤 公益財団法人 星総合病院心臓病センター循環器内科 病院長補佐
西村裕美子 兵庫医科大学病院 がんセンターがん看護専門看護師
石原理 埼玉医科大学産科婦人科学
赤坂俊樹 岩手県立中部病院 整形外科
千石一雄 旭川医科大学産婦人科 教授
千田英之 岩手医科大学 産婦人科
川野藍子 横浜市立大学附属病院 産婦人科
泉美貴 東京医科大学 医学部医学科 社会医学部門 医学教育学分野 教授
増崎英明 長崎大学大学院産婦人科
村上節 滋賀医科大学産科学婦人科学講座 教授
村田雅文 富山県射水市 レディースクリニックむらた
大下孝史 JA広島総合病院 産婦人科部長
大橋靖雄 中央大学理工学部 教授
大木規義 愛仁会千船病院 産婦人科
瀧本拓哉 たきもと内科クリニック 和歌山県海南市 内科医師
谷口一郎 大分県地域保健支援センター 参与
谷村悟 富山県立中央病院 産婦人科
丹波嘉一郎 自治医科大学附属病院緩和ケア部 部長 医師
端晶彦 山梨大学医学部 医療福祉支援センター(産婦人科)准教授
池田智明 三重大学医学部附属病院 産婦人科
竹内聡 岩手医科大学 産婦人科
竹林明枝 滋賀医科大学 産科学婦人科学教室
中山昌樹 横浜労災病院 周産期センター長
中川俊信 厚生連高岡病院 産婦人科
中川美生 関西ろうさい病院 産婦人科
中村幸司 大阪大学産婦人科
中島進 聖マリア病院 脳神経外科
中尾佳史 佐賀大学医学部産科婦人科学
中野隆 富山県立中央病院 産婦人科
長谷川幸清 埼玉医科大学国際医療センター婦人科腫瘍科 准教授
長谷川壽彦 東京都杉並区
長野浩明 東京女子医科大学東医療センター 産婦人科 准教授
中村幸司 大阪大学産婦人科
辻本登志英 日本赤十字社和歌山医療センター 集中治療部
田鎖愛理 岩手県立一戸病院 医局 第2精神科長兼リハビリテーション科長
田中尚武 千葉県がんセンター 婦人科部長
田畑務 三重大学医学部附属病院 産婦人科
東理映子 三重大学医学部附属病院 産婦人科
棟方哲 堺市立堺病院 病理診断科
藤井正人 国立病院機構東京医療センター 耳鼻咽喉科 聴覚平衡覚研究部 部長
藤井多久磨 藤田保健衛生大学産婦人科 教授
藤下晃 済生会長崎病院 副院長 婦人科部長
藤原寛行 自治医科大学産婦人科 教授
藤原恵一 埼玉医科大学国際医療センター婦人科腫瘍科 教授
藤原和子 新潟大学 産婦人科 医師
藤田宏行 京都第二赤十字病院 産婦人科部長
奈須家栄 大分大学医学部地域医療支援システム・産婦人科分野 教授
南口早智子 京都大学医学部附属病院 病理診断科 准教授
波多江正紀 鹿児島県医師会理事 母子保健、公衆衛生、医療安全等担当
富樫かおり 京都大学大学院医学研究科 放射線医学講座 教授
風間芳樹 新潟県立小出病院 産婦人科 医師
平戸純子 群馬大学医学部附属病院病理部 准教授
穂積康夫 自治医科大学附属病院乳腺科 准教授
北井里実 東京慈恵会医科大学放射線医学講座
北村邦夫 一般社団法人日本家族計画協会 理事長
堀口育代 香川県立中央病院 産婦人科
堀部晴司 藤田保健衛生大学耳鼻咽喉科学教室客員講師、宮の森クリニック 院長
本橋卓 三重大学医学部附属病院 産婦人科
本郷淳司 香川県立中央病院 部長
木下勝之 日本産婦人科医会 会長
木下由之 近江八幡市立総合医療センター 産婦人科部長
木戸晶 京都大学大学院医学研究科 放射線医学講座 画像診断核医学 特定助教
木口一成 公益財団法人東京都予防医学協会 検査研究センター長
木村 正 大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室 教授
野田起一郎 近畿大学 前学長
矢嶋聰 NTT東日本東北病院 健診センター 医師
矢野久仁子 高知市眼科医
矢野哲也 高知市内科医
油井健宏 藤田保健衛生大学耳鼻咽喉科学教室
鈴鹿清美 千葉県がんセンター 婦人科 主任医長
鈴木光明 自治医科大学 産科婦人科学講座 名誉教授
鈴木孝明 新潟県立小出病院 産婦人科 医師
鈴木済 薩摩川内市里診療所 医師
鈴木信夫 すずき内科クリニック 福島県白河市
和田裕一 宮城県産婦人科医会 会長
櫻井一生 藤田保健衛生大学耳鼻咽喉科 医師
櫻木範明 北海道大学医学部産婦人科
澤田守男 京都府立医科大学大学院女性生涯医科学 学内講師
濱田実 浜田内科胃腸科
齋藤俊章 九州がんセンター 婦人科 医師
(2015年4月2日10時 現在)
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その他ネットで読める関連の意見(ブログ等)
2015年1月 (小児科医)
2014年12月 (内科医)
2014年10月(小児科医)
2014年10月 (内科医)
このワクチンや接種じたいを反対している医師のブログ記事やHP記事なども検索でさがせます。関心ある方はチェックを。
たとえば こちら (内科医) (内科医)
最近は検診もワクチンも意味がないといっている医師の意見もメディアがとりあげています。
【有害事象/副反応についての参考情報】
2011年 【ホットな話題をわかりやすく解説】くすりと有害事象の因果関係
2012年 【ホットな話題をわかりやすく解説】続編:くすりと有害事象の因果関係
2014年 科学的な安全対策への転換をめざして(2)―個別の有害事象が副作用になるまで―
費用対効果上どうなんだという話は、これもまた試算方法等が複数あり、各国で議論が生じました。しかし、一般に高齢者の問題である癌の、死亡が減るのかという通常の判断軸とは別に、若い女性の妊娠出産に関連するイベントの評価も入ってくるので、政治判断的に公費で支援する(そのかわり製薬会社に割引交渉をする、検診間隔を開ける)という決着になっているのだと理解しています。
製薬会社のロビーは各国で嫌われていますが、だからといって予防の選択を閉ざすというわけでもない。
誰のための何の議論かを見失わないことの重要さを学びます。
4/5資料追加 【他の国の対応例】
オーストラリアが2015年2月にHPVワクチンプログラムのふりかえり資料を公表しました。
Safety(安全性) 116ページやメディア記事の分析(36ページ)も記載があります。
116ページの表をみると、2007年に学校での接種プログラムが始まってから、2007年5月集団ヒステリー、7月アレルギー、アナフィラキシー反応複数例発生、2009年1月と6月に有害事象症例報告、2013年にHPVワクチンプログラムの対象拡大の際にどのような対応を行ったのかという解説がついています。
オーストラリアとの比較においては、ワクチンでの健康被害補償は制度も中身も日本の方が当事者にとって親切な仕組みになっています。
神経内科医の先生の解説です。
情報源がテレビ番組しかない、という人は世の中に一定数いて、それをそのまま信じる人もいますので、メディアがどう伝えるか(どう理解できているか、できていないか)についてどの分野の専門家でも関心を持つ必要があります。
「自分はテレビみないんですよ(新聞読まないんですよ)〜フフ」という意識高い系トークではすまない闇がときにあるからです。(下のMRIC記事に書かれている内容はYoutube等でも見ることはできますが・・・)
先日、京都で開かれる感染症学会の抄録集がとどきましたが、その234ページ 一般演題(ポスター)O1-088に関連の発表をみつけました。
「HPVワクチンにみる日米欧のリスクコミュニケーションの比較検討」
くすりの適正使用協議会海外情報分科会の発表です。結論のところには、「事実を発信するのみでは不十分で、発信者に対する信頼、受信者の理解、工夫された伝達等が受信者(国民)の理解・行動につながる可能性がある」とあります。
(その内容を全部は現時点では知ることができませんが・・・)
新しいワクチンや薬が導入された後は、因果関係や関連性を検討しなくてはいけない有害事象の報告が増えます。
メディアが扱うとその広報効果でさらに報告が増えます。整理がすすみ、メディアがあつかわなくなった後にその数は減っていきます。
米国の場合 MMWR Figure
このような問題をおこさず順調に予防接種プログラムが運営されている国と日本の一番の違いは、皆が寄って立つ信頼できる情報の軸がないことです。厚労省のページや感染研のページを見ても、こうした問題がおこるたびにゆらぐ信頼について回復させる機能や意欲は残念ながらみえません。伝わらなければ無いのと同じ。
そういった信頼の軸がないから、メディアがさわぐ→それが真実であるかのように誤解される→専門家による修正が有効に機能しない→メディアが煽る「被害者」「救済」→ 医学的科学的に説明がつかないことまで司法がねじまげて判断・・という事例を過去に見てきました。
(B型肝炎訴訟では予防接種が感染の原因ということになってしまいました。医学的、科学的にはおかしな説が裁判所で「そうだ」ということになってしまいました。当時の注射器や針等の扱いが、今からみたらおかしいだろう、ということは当時の他の医療や歯科診療でもあったのですが、また日常生活での水平感染が起こることが知られているのに、「予防接種が原因」という話になりました。)
最近の報道には、こんなに副反応がある、というニュアンスがありますが、その内容は何か。「重篤例」の内実は何か。
1次情報を見てのものではなさそうな記事もあり残念ですね。
たとえば、平成26年7月の会議の資料。
重篤例のリストには、喘息、肺炎、起立不耐性、熱性痙攣、ウイルス感染、感染、異常行動、卵巣炎、自殺企図など多様な症例がならんでいます。重篤と考えるかどうかは診た医師の判断です。これらを合計して症例数をいっているのです。
2種類あるワクチンのうちサーバリックス、ガーダシルのそれぞれの副反応報告リストをみると、ワクチンとは直接関係ないものも含まれています。接種「後」に起きた問題のリストですから、これでいいのですが、因果関係や関連性があるかはわからない、「有害事象」のデータのとりかたです。
しかし厚労省(委員会?)はなぜか「副反応」という言葉を使い続けています。(委員会議事録を見ると、変えた方がいいのではないかという提案をしている委員もいます)
厚労省が、あえて誤解や拡大解釈をされるような用語を使い続ける目的は不明ですが。
(予防接種や感染予防に取り組む専門職から疑念をもたれる案件の一つがこれです)
2製剤の副反応の比較
会議では2種類わけていますが、雑なメディアの記事では今でも「子宮頸がんワクチン」という、実際には存在しないワクチン名をつかって書いています。
(メディアの記事の信用度をさげている原因のひとつがこれです)
対応が進まない、遅れているという記事もみかけましたが、これまでの会議資料を読み、会議の流れを学ぶと、検討が進まない、調査をしても進まない状況がわかります。
(健康被害の検討が進まない、と思われることが国やワクチン全体への疑念をもたれる原因の一つになっています)
こちらは平成26年の会議の資料の一部ですが、ケースレポートの「年齢がわからない」「不明項目がある」だけで、個別の事例検討が難しいとか(書類取り寄せに時間がかかる、さらに委員がそれを検討するのにも時間がかかる)、さらにそれは症例蓄積といえるのか(一定のパターンがあるのか等)の検討が難しくなるわけです。
(医療関係の個人情報を文書レベルで集めることがどれだけたいへんか、公表するしないふくめての大変さを知らない人もいます)
PDFしかなかったのでこちらは書き起こしました
ワクチンが原因であると申請されている事例ごとに症状との因果関係などの検討をする手続きは今後も進められるわけですが、そのことと、ワクチン接種の選択の機会を提供すること(制限をしてしまっている問題)は別だと考える時期に来ているのではないでしょうか。
"被害者"支援を言うひとたちが、HPVは子宮頸がんの原因ではない、他のワクチンにまで批判を広げたり、他の人のワクチン接種の機会まで閉ざすような発言をしていることも、本来の解決を遠ざけています。
国や専門会議、専門家が毅然とした態度やメッセージを出せないまま、政治的にねじまげるひとたちが出てくると、HPVワクチンだけでなく、今後回復不可能な予防接種制度やワクチン全体への不信が残るフェーズになっていますし、健康被害のケアも進まないと思います。
そのような中、新しい専門家のグループのアナウンスが4月4日のMRICのメールマガジンで流れてきました。
誤解を受けそうなメディアの情報の扱いへの指摘はその通りだとおもいます。
医学的、科学的に整理はすすめられている、ということも事実です。
しかし、正しいことや事実だけを伝えるのでは不足がある、発信者が信頼を得られるか?という課題は残ったままですが、がん患者のそばで、病気の告知から、家族にどう伝えるかを悩む段階、手術や治療、そのあとに起きる後遺症や再発の不安の恐怖、残される家族とくに小さい子どもたちのことをみてきた医師等がたくさんならんでいることがブレークスルーの一歩となるのではないかとおもいます。
というか、それ以外に現在の構造の中で誰が伝えて行けるのだろう、という状況があります。
日本語だけが情報源の人たちは特に。
参考までにMRIC記事の転載をします。
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私達は、子宮頸癌(HPV)ワクチンの正しい理解を求め、その接種を推奨します
―女性と子供、そして、家族と国を守るために―
HPVJAPAN hpvjapan@yahoo.co.jp
呼びかけ人 野田起一郎、今野良
2015年4月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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HPVワクチンの安全性・有効性は世界中で科学的に高い評価が得られています。しかし、国内では、噂、思い込み、紛れ込み、仮説などを大きく扇情的に取り上げる報道記事や番組によって、多くの国民(医療従事者さえも)が誤解をしています。このような非科学的な報道に対して、英国やカナダ等では適切に処理され、不適切な記事の取り下げ、訂正などが行われてきました。しかし、日本ではその傾向がなく、反対活動の記事のみが掲載される事態が見られます。私達は国内外の最高レベルの科学的根拠(1,2,3)をもとに、医学・医療の専門家として以下の声明を発表いたします。全国の有志の声です。
1)日本産婦人科学会等の共同声明 http://www.cczeropro.jp/assets/files/2014.7.pdf
2)日本小児科学会の要望書 http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/HPV141006.pdf
3)WHOの安全性声明(厚労省和訳) http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000050384.pdf
2015年3月
HPV(いわゆる子宮頸癌)ワクチンは、癌を引き起こすヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus, HPV)の感染を予防することを目的に開発されました。HPV感染はほぼすべての子宮頸癌、および、中咽頭癌、肛門癌、外陰癌、腟癌、陰茎癌の多くを引き起こします。日本では、HPV型のうち16型と18型の2つが子宮頸癌の約70%、とくに、20歳代では90%の原因になっています。HPVワクチンが多くの子宮頸癌の罹患や死亡を予防できるベネフィットを考えると、このワクチン接種後に発生した痛みや運動障害の少女の存在が繰り返し報道されたことにより、日本でワクチン接種の勧奨が行われなくなっていることは非常に大きな損失であるといわざるを得ません。
恐ろしい症状や病気があたかも、HPVワクチンの被害であることを示唆するような報道記事やテレビ番組の内容は遺憾なものです。これらの記事やテレビ番組では、HPVワクチン接種の後という時間的な前後関係があるだけにもかかわらず、恐ろしいケースを何例も紹介し、関連をほのめかすことで、ワクチンが引き起こしたという間違った印象を読者や視聴者に与えました。
HPVワクチンを接種した少女たちの多くは、それ以前に麻疹ワクチンも風疹ワクチンも接種していますが、それらとの因果関係はあるのでしょうか。ある記事や番組では、HPVワクチン接種後に病気になったという因果関係があるかのように示唆していますが、それらは証明されたものではありません。
HPVワクチン接種後に交通事故で亡くなったケースや、HPVワクチン接種後に成績が向上して高校・大学に合格したことを、HPVワクチンのせい(副反応)あるいはワクチンのおかげ(効果)と呼ぶでしょうか?一つ目の事象が二つ目の事象を引き起こしたことにはなりません(紛れ込み)。時間の前後関係と因果関係が異なるのは理論的に考えれば分かることです。非常に残念なのは、このような記事や番組を目にした国民が、高度な公衆衛生および保健専門機関であるWHOや厚生労働省が示す科学的なエビデンスや、日本産婦人科学会・医会、日本小児科学会等が発表した接種推奨に対し疑念を抱いている点です。
医薬品やワクチンの副作用や弊害については真摯な対応が必要です。HPVワクチンには異なる2種類の製品がありますが、いずれも世界で2万人以上を対象とした治験で安全性と有効性が検証されたうえで承認されています。日本でも両者で約1500人を対象とした治験が行われたうえで、承認されました。
WHOが、世界で1億7000万件以上の接種が行われたデータを基に有害事象を解析した結果、非常に稀ながら見られる深刻な副反応はアナフィラキシー反応のみでした(アナフィラキシー反応はどんな薬剤にも時には食品にも稀ながら発生します)。世界中の公衆衛生担当者はこれらのデータベースの評価を引き続き実施していますが、この他に深刻な副反応のエビデンスは認められていません。稀に見られる重篤な症例をワクチンと関連付けるためには因果関係の証明が必要で、世界の医学界でそのような因果関係は証明されていません。
英国では、MMRワクチンが自閉症の原因であるという仮説が、ある医師により提唱され報道に取り上げられた結果、ワクチン接種率が激減した過去がありました。現在、この医師の仮説は否定され、掲載された論文は取り消され(Retraction of Wakefield et al. In: Lancet 2010;375(9713):445)、医師資格も剥奪されました。しかし、そこに至る期間にワクチンへの不信感を世界中に与えた罪の大きさは計り知れないものがあります。啓発的な正しい報道がHPVワクチンの接種再開に、そして、理解され難い痛みに苦しむ少女とご家族、および、子宮頸癌患者を失くすために役立ってほしいと願っています。HPVワクチンの不安のみを煽る報道は、日本の将来に大きな禍根を残します。
日本で毎日10人の命を奪っている子宮頸癌。日本の子宮頸癌罹患率および死亡率は、米国、英国などの2倍という悲惨な状況です。HPVワクチン接種世代が成人に達した英国では、子宮頸癌初期および前駆病変の発生が50%以上も減少しました。今でも子宮頸癌の多い日本では、有効策を取らずに死と不幸を生み続けている状況です。日頃、進行癌患者さんと一緒に苦しみ努力しても、治療の甲斐なく命が失われる悲劇は、一刻も早く止めたいと祈るばかりです。
副反応と呼ばれる痛み等の原因究明も必要ですが、それに終始するのではなく、そのような症状をもつ患者さんの苦痛を受け止め、治癒をめざした診療体制を整備しながら(現在、厚生労働省ならびに日本医師会・関連学会等で整備が進行中)、一方でワクチン接種を進めるべきであると考えます。公衆衛生という視点から、今や国民のために適切な理論的判断をする時です。
深刻な被害が生じたとされる少女のドラマチックな内容の報道には、大きな不安を覚えますが、日本を含む世界中の研究において、このような例とワクチンとの因果関係は証明されていません。しかし、このような記事や仮説が出回ると、私たち皆が損害を受けます。医学や医療の専門家は、健康の問題に関する最善のエビデンスを提供する責任があります。HPV感染によって子宮頸癌をはじめとする悲惨な病気が発生するエビデンスは非常に明確(2008年のノーベル医学生理学賞)であり、HPV感染に伴うリスクは、接種に伴うリスクよりはるかに大きいものです。報道機関におかれましては、すべての子供たちを癌から守るため、公衆衛生のエビデンスに基づいた私たちの推奨を信頼してほしいと思います。この推奨は命を救うためのものなのですから。
HPVJAPAN(JISコード順)
*この声明への賛同は、個人の見解によるものであり所属する機関・施設を代表するものではありません。
飴谷由佳 富山県立中央病院 産婦人科医師
安部宏 南相馬市立総合病院 産婦人科
庵原俊昭 国立病院機構三重病院 院長
伊藤公彦 関西ろうさい病院 産婦人科
伊藤滋 香川県立中央病院小児科医師
伊藤達朗 岩手県立大船渡病院 院長
伊藤雄二 西吾妻福祉病院 病院長 産婦人科
衣笠万里 尼崎医療生協病院 産婦人科医師
宇垣弘美 大阪府立急性期・総合医療センター産婦人科
永井宣隆 広島女性クリニック 院長
榎谷亜理沙 兵庫県神戸市灘区
遠藤秀彦 岩手県立中部病院 院長
遠野千尋 岩手県立釜石病院 医師
塩崎隆也 紀南病院 産婦人科 医師
奥川利治 三重大学医学部附属病院 産婦人科
奥田美加 国立病院機構横浜医療センター産婦人科部長
横山正俊 佐賀大学医学部産科婦人科 教授
加藤育民 旭川医科大学 産婦人科 講師
加藤久幸 藤田保健衛生大学医学部 耳鼻咽喉科准教授
加藤久盛 神奈川県立がんセンター 婦人科部長
加藤小百合 医療法人豊昌会 豊田健康管理クリニック 医師
加藤正隆 愛媛県新居浜市 家庭医(内科・小児科) 医師
家根旦有 近畿大学医学部奈良病院 耳鼻咽喉科教授
河西十九三 公益財団法人 ちば県民保健予防財団 常務理事
垣添忠生 公益財団法人 日本対がん協会会長
干場勉 石川県立中央病院 産婦人科 医師
関典子 岡山大学病院 産婦人科
関博之 埼玉医科大学総合医療センター 総合周産期母子医療センター 教授
岩成治 島根県立中央病院 産婦人科医師
喜多伸幸 滋賀医科大学産科学婦人科学講座 准教授
菊地紫津子 サラクリニック 院長
菊池俊彦 菊池俊彦内科クリニック 内科
吉岡恵美 関西労災病院 産婦人科
吉川裕之 茨城県立中央病院 院長
吉村泰典 一般社団法人吉村やすのり生命の環境研究所 代表理事
吉田健太 三重大学医学部附属病院 産婦人科
吉田泰之 鳥取県立中央病院 医療技術局長
吉田徹 岩手県立久慈病院 病院長
吉田茂樹 愛仁会千船病院 産婦人科部長
吉田裕之 埼玉医科大学国際医療センター婦人科腫瘍科 講師
久布白兼行 東邦大学医療センター大橋病院 婦人科
宮城悦子 横浜市立大学大学院医学研究科 がん総合医科学 教授
玉井友治 たまい小児科
近藤一成 NTT東日本関東病院産婦人科 医長
桑鶴知一郎 国立循環器病研究センター 周産期婦人科 専攻医
元木葉子 横浜市立大学産婦人科 医師
古田泉 厚木中町クリニック 院長
甲斐健太郎 大分大学医学部産科婦人科学講座
荒井信貴 BML総合研究所所長
荒川敦志 名古屋市立大学産科婦人科 病院准教授
高久史麿 日本医学会 会長
高橋健太郎 滋賀医科大学地域周産期医療学講座、産科学婦人科学講座女性診療科長
高橋裕 富山赤十字病院 産婦人科
高見澤聡 国際医療福祉大学病院 教授、リプロダクションセンター 副センター長
高松潔 東京歯科大学市川総合病院産婦人科 教授
高田雅代 香川県立中央病院 産婦人科
今野良 自治医科大学 総合医学第2講座 教授
紺野愼一 福島県立医科大学医学部整形外科 教授
佐伯吉則 富山県氷見市 佐伯レディースクリニック
坂本優 佐々木研究所附属杏雲堂病院 手術・内視鏡部部長 婦人科科長
鮫島梓 富山大学 産婦人科
三橋武司 自治医大附属さいたま医療センター 循環器
三上芳喜 熊本大学医学部附属病院病理部・病理診断科 教授
三輪正彦 富山市立富山市民病院産婦人科 医師
山崎恵美子 東京都三鷹市
寺井義人 大阪医科大学産婦人科 准教授
寺内文敏 東京医科大学産科婦人科学講座 教授
寺本勝寛 山梨県立中央病院 医師
シャロンハンリー 北海道大学大学院 総合女性医療システム学講座 特任助教
秋元義弘 岩手県立二戸病院 産婦人科長
秋山芳晃 秋山レディースクリニック さいたま市
小林敏宏 こばやし小児科 医師
小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学
小林良幸 三重大学医学部附属病院 産婦人科
小澤信義 おざわ女性総合クリニック 院長
松口一道 久留米総合病院 産婦人科 医師
松田和則 松田マタニティクリニック
松本光司 筑波大学 医学医療系 産科婦人科学 准教授
松本光史 兵庫県立がんセンター腫瘍内科
上浦祥司 大阪府立成人病センター 婦人科主任部長
新井昇 富山県 かみいち総合病院 産婦人科 医師
新谷雅史 新谷レディースクリニック 産婦人科 院長
森泰輔 京都府立医科大学 産婦人科教室
森谷卓也 川崎医科大学 病理学2
深澤一雄 獨協医科大学 産婦人科教授
水口淳一 みなくち小児科 埼玉県鶴ヶ島市
杉野法広 山口大学大学院医学系研究科産科婦人科学 教授
清水謙 藤間病院 院長 産婦人科
清川貴子 東京慈恵会医科大学 病理学講座 教授
清野義胤 公益財団法人 星総合病院心臓病センター循環器内科 病院長補佐
西村裕美子 兵庫医科大学病院 がんセンターがん看護専門看護師
石原理 埼玉医科大学産科婦人科学
赤坂俊樹 岩手県立中部病院 整形外科
千石一雄 旭川医科大学産婦人科 教授
千田英之 岩手医科大学 産婦人科
川野藍子 横浜市立大学附属病院 産婦人科
泉美貴 東京医科大学 医学部医学科 社会医学部門 医学教育学分野 教授
増崎英明 長崎大学大学院産婦人科
村上節 滋賀医科大学産科学婦人科学講座 教授
村田雅文 富山県射水市 レディースクリニックむらた
大下孝史 JA広島総合病院 産婦人科部長
大橋靖雄 中央大学理工学部 教授
大木規義 愛仁会千船病院 産婦人科
瀧本拓哉 たきもと内科クリニック 和歌山県海南市 内科医師
谷口一郎 大分県地域保健支援センター 参与
谷村悟 富山県立中央病院 産婦人科
丹波嘉一郎 自治医科大学附属病院緩和ケア部 部長 医師
端晶彦 山梨大学医学部 医療福祉支援センター(産婦人科)准教授
池田智明 三重大学医学部附属病院 産婦人科
竹内聡 岩手医科大学 産婦人科
竹林明枝 滋賀医科大学 産科学婦人科学教室
中山昌樹 横浜労災病院 周産期センター長
中川俊信 厚生連高岡病院 産婦人科
中川美生 関西ろうさい病院 産婦人科
中村幸司 大阪大学産婦人科
中島進 聖マリア病院 脳神経外科
中尾佳史 佐賀大学医学部産科婦人科学
中野隆 富山県立中央病院 産婦人科
長谷川幸清 埼玉医科大学国際医療センター婦人科腫瘍科 准教授
長谷川壽彦 東京都杉並区
長野浩明 東京女子医科大学東医療センター 産婦人科 准教授
中村幸司 大阪大学産婦人科
辻本登志英 日本赤十字社和歌山医療センター 集中治療部
田鎖愛理 岩手県立一戸病院 医局 第2精神科長兼リハビリテーション科長
田中尚武 千葉県がんセンター 婦人科部長
田畑務 三重大学医学部附属病院 産婦人科
東理映子 三重大学医学部附属病院 産婦人科
棟方哲 堺市立堺病院 病理診断科
藤井正人 国立病院機構東京医療センター 耳鼻咽喉科 聴覚平衡覚研究部 部長
藤井多久磨 藤田保健衛生大学産婦人科 教授
藤下晃 済生会長崎病院 副院長 婦人科部長
藤原寛行 自治医科大学産婦人科 教授
藤原恵一 埼玉医科大学国際医療センター婦人科腫瘍科 教授
藤原和子 新潟大学 産婦人科 医師
藤田宏行 京都第二赤十字病院 産婦人科部長
奈須家栄 大分大学医学部地域医療支援システム・産婦人科分野 教授
南口早智子 京都大学医学部附属病院 病理診断科 准教授
波多江正紀 鹿児島県医師会理事 母子保健、公衆衛生、医療安全等担当
富樫かおり 京都大学大学院医学研究科 放射線医学講座 教授
風間芳樹 新潟県立小出病院 産婦人科 医師
平戸純子 群馬大学医学部附属病院病理部 准教授
穂積康夫 自治医科大学附属病院乳腺科 准教授
北井里実 東京慈恵会医科大学放射線医学講座
北村邦夫 一般社団法人日本家族計画協会 理事長
堀口育代 香川県立中央病院 産婦人科
堀部晴司 藤田保健衛生大学耳鼻咽喉科学教室客員講師、宮の森クリニック 院長
本橋卓 三重大学医学部附属病院 産婦人科
本郷淳司 香川県立中央病院 部長
木下勝之 日本産婦人科医会 会長
木下由之 近江八幡市立総合医療センター 産婦人科部長
木戸晶 京都大学大学院医学研究科 放射線医学講座 画像診断核医学 特定助教
木口一成 公益財団法人東京都予防医学協会 検査研究センター長
木村 正 大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室 教授
野田起一郎 近畿大学 前学長
矢嶋聰 NTT東日本東北病院 健診センター 医師
矢野久仁子 高知市眼科医
矢野哲也 高知市内科医
油井健宏 藤田保健衛生大学耳鼻咽喉科学教室
鈴鹿清美 千葉県がんセンター 婦人科 主任医長
鈴木光明 自治医科大学 産科婦人科学講座 名誉教授
鈴木孝明 新潟県立小出病院 産婦人科 医師
鈴木済 薩摩川内市里診療所 医師
鈴木信夫 すずき内科クリニック 福島県白河市
和田裕一 宮城県産婦人科医会 会長
櫻井一生 藤田保健衛生大学耳鼻咽喉科 医師
櫻木範明 北海道大学医学部産婦人科
澤田守男 京都府立医科大学大学院女性生涯医科学 学内講師
濱田実 浜田内科胃腸科
齋藤俊章 九州がんセンター 婦人科 医師
(2015年4月2日10時 現在)
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その他ネットで読める関連の意見(ブログ等)
2015年1月 (小児科医)
2014年12月 (内科医)
2014年10月(小児科医)
2014年10月 (内科医)
このワクチンや接種じたいを反対している医師のブログ記事やHP記事なども検索でさがせます。関心ある方はチェックを。
たとえば こちら (内科医) (内科医)
最近は検診もワクチンも意味がないといっている医師の意見もメディアがとりあげています。
【有害事象/副反応についての参考情報】
2011年 【ホットな話題をわかりやすく解説】くすりと有害事象の因果関係
2012年 【ホットな話題をわかりやすく解説】続編:くすりと有害事象の因果関係
2014年 科学的な安全対策への転換をめざして(2)―個別の有害事象が副作用になるまで―
費用対効果上どうなんだという話は、これもまた試算方法等が複数あり、各国で議論が生じました。しかし、一般に高齢者の問題である癌の、死亡が減るのかという通常の判断軸とは別に、若い女性の妊娠出産に関連するイベントの評価も入ってくるので、政治判断的に公費で支援する(そのかわり製薬会社に割引交渉をする、検診間隔を開ける)という決着になっているのだと理解しています。
製薬会社のロビーは各国で嫌われていますが、だからといって予防の選択を閉ざすというわけでもない。
誰のための何の議論かを見失わないことの重要さを学びます。
4/5資料追加 【他の国の対応例】
オーストラリアが2015年2月にHPVワクチンプログラムのふりかえり資料を公表しました。
Safety(安全性) 116ページやメディア記事の分析(36ページ)も記載があります。
116ページの表をみると、2007年に学校での接種プログラムが始まってから、2007年5月集団ヒステリー、7月アレルギー、アナフィラキシー反応複数例発生、2009年1月と6月に有害事象症例報告、2013年にHPVワクチンプログラムの対象拡大の際にどのような対応を行ったのかという解説がついています。
オーストラリアとの比較においては、ワクチンでの健康被害補償は制度も中身も日本の方が当事者にとって親切な仕組みになっています。