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司法事故 〜再審査請求から考える

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日本の警察/検察や裁判の危うさを考えるニュースが続いています。
医療同様、リスクゼロにならないとしても、エラーや事故を極力少なくする仕組みが問われるのだと思います。

弁護士はどうか?被告原告双方につきます。それぞれの出す情報、論理展開があります。

メディアが伝える情報は数段階のバイアスがあるわけですが、自分で考えるためには、ストーリー展開にまどわされず、時系列で情報を整理しなおしたり、こちらの先生のように実際に裁判を傍聴したり、判決文を読むことが必要になってきます。
「医療裁判、訴訟」(君の瞳に恋してる眼科)


当時を考えると、もっと大きなニュースになりそうですが、あまりメディアがとりあげてません。
岩上さんIWJも追っていた事件。

医療関連サイトでは記事になっています。
<2011年1月11日 m3 「“誤診”が生んだ司法事故、仙台筋弛緩剤事件」長崎大学医歯薬学総合研究科教授・池田正行氏に聞く◆Vol.1 主訴・症状は筋弛緩剤中毒では説明できず>


ことは2000年にさかのぼります(医学生の皆さんは小中学生のころ)。

宮城県仙台市泉区にある北陸クリニックで"准看護師が10月31日に当時11歳の患者 (A子さん)の点滴に筋弛緩剤「マスキュラックス」 を混入、そのため植物人間状態に陥ったとして殺人未遂事件 (第1事件) で"01年1月6日に逮捕。
のちにこの事件を含む4件の殺人未遂、1件の殺人で逮捕・起訴された事件。

このとき犯人視報道がすごかったのを覚えています。

(A子さんのご両親は医師/医療関係者で、上記看護師に関係なく、医療過誤として病院を提訴)


経過を簡単にまとめると、

2001年1月6日 准看護師 逮捕。

7月11日の初公判以来155回の公判。

2004年3月 無期懲役(仙台地方裁判所 畑中英明裁判長) 4回の公判。

2006年3月 上告棄却(仙台高等裁判所 田中亮一裁判長)

2008年2月 上告棄却 有罪確定(最高裁判所第三法廷 藤田宙靖裁判長)

2012年2月10日再審査請求 弁護団は18人に。各地の支援団体は26に。


この件についてはネット上にもいろいろ情報や見解がたくさんあるのですが(ずいぶん前のものから最近のものまで)、今回の再審査請求にあたって、弁護団の弁護士は次のようにいっています。

阿部弁護士「再現性、追試性が科学の基本なのに、土橋鑑定にはそれがなく、鑑定データも添付されていない。私たちは一審以来、科学に基づく裁判を、と訴えてきたが、受け入れられなかった。新証拠はデータを元に行った実験/分析、医学的/科学的鑑定により、守君の事実を明らかにした。裁判所は、ぜひ科学に基づいて判決を見直してほしい」と訴えた。 (「週刊金曜日」の記事より)
別の担当の弁護士による解説

メディアは勧善懲悪モードになりやすいですが、今回問題視されているような訴訟のプロセスでおかしいのでは?と指摘されていることなどは関心が低いでしょうか。


■池田先生HP:司法事故について ー医者叩き→医療崩壊の愚を繰り返さないためにー
■海道ニュース:司法過誤と医療過誤



いずれにしましても、今後の再審査の経過に注目したいと思います。

司法も間違えるし事故もおきる。医療に関する判断を、医療に関わらない人たちがしていくことの課題は今後もおきるでしょう。医師でも専門領域以外のことについてのコメントって、すごく慎重になりますし、実際に診察していないところでの発言って限界もありますし。当事者の記憶違いも生じます。医療現場には複数の人がいますし、研究発表をしたり、診療記録が残っていたり、最近は家族がICレコーダーを用意していたりと、状況も変化してます。

そして、報道内容に世論は大きく影響されます。
例えば『薬害エイズの深層』という本は中西準子先生魚住昭氏も指摘されているように、「あのとき自分はなぜそう考えたのだろう」のきっかけになりました。
原発関連で書かれた『報道災害』なども、情報を受け取る側の課題も考えさせられました。

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