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第4回薬剤師のためのBST 2014 by 香坂先生 回答集

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第4回薬剤師のためのBST 2014 by 香坂先生 回答集です。

1.ARB2剤併用という処方は可能でしょうか?

可能ですが、意味はないでしょう。

2.ガイドラインでは虚血性心疾患を合併している患者さんではLDLコレステロールは100
未満と定められているが、先ほどスライドの中では70とあった。
臨床の現場ではLDLが90前後の症例だと更にLDLコレステロールを下げるよう、医師にアドバイスをしたほうが良いのか教えてほしい。

実は世界的にはLDLのターゲットを設けずに、使える最大量のスタチンを使うという路線に向かっています。ですので、LDLの値がいくつであろうとも、もしスタチンの増量が可能であればそう提言すべきと自分は考えます(まだ日本では一般的な考えとして浸透していないことも付記しておきます)。


3.PCIをされる予定、もしくはPCIをされた患者には、全症例にスタチンを入れるべきでしょうか?冠動脈狭窄部位の狭窄率は関わらずスタチンを入れるべきでしょうか?

エビデンスを信じるならば、全症例入れるべきです(少なくともトライはするべき)。狭窄率は基本有意なものであれば、ということになっているので50~75%以上のケースならば「絶対」、それ以下であっても一回は考えたほうがいいでしょう。

4.ワーファリンを使用中のビタミンKやマンゴーなどの食事制限は実際どのように説明されていますか?

毎日同じ時間に同じ量を摂取するか、まったく摂取しないかのどちらかにして下さい、と説明します。

5.β遮断薬の持参薬で困ることがあります。
当院に採用がないもので、ISA+や-の差がある場合や力価差など切り替えるにあたり指標はありませんでしょうか?

エビデンスがあるものを優先にします。ですので、心不全が絡んでいればカルベジロールかビソプロロールのみ、からんでいなくてもせいぜいこれにアテノロールを加えるくらいです。力価の指標ではっきりしたものはありませんが、自分の感触では、

ビソプロロール 2.5mg
カルベジロール 10mg
アテノロール 50mg

くらいが等価交換です。

6.ACE/ARBを使用する時、説明を聞き逃してしまったので教えていただけないでしょうか?

基本的にACE優先です。コストの問題と、あとは若干長期予後がACEの方がARBよりよさそうだからです。ARBを使うのは、どうしても空咳を避けたいときです。

7.心不全増悪で入院された患者さんの注射オーダーの薬学的管理についてハンプ、ドパミン製剤、サムスカ錠の使い方、モニタリングポイントを教えて頂きたい。

患者さんの症状が最優先ですね。心不全が代償されたと判断したら、これらの症状の改善薬はオフにします。ハンプとサムスカはおそらく長期的な予後には影響を与えませんが、ドパミンはおそらく長期的には悪くします。

8.心不全に対して推奨されるB-blockerはアメリカとヨーロッパのガイドラインではカルベジロールとピソプロロールとなっていますが日本では確か明確にされていません。
β-blockerの中での位置づけについて先生のお考えを教えてください。

これは「5」を参照下さい。日本でもカルベジロールとビソプロロール優先です。ただ、なぜかカルベジロールは日本では半量まで(20mgまで)しか使えません。心不全でのカルベジのTarget Doseは50mgです。

9.70歳以上の高齢者の外来時でのアーチストの初期用量はどのくらいが適正か?
(初回から10㎎開始で体調不良を訴える患者が多いため。転倒例も経験あり)

これは難しいですね。日本人なら5mgくらいでしょうか?アメリカでは12.5mgでした。

10.PCI後のDAPTの期間はどのくらいですか?

ガイドラインでは1年ですが、もう少し短くても良さそうです。出血を経験した方とかは半年でやめることもあります。

11.虚血性心疾患の方へ、カルシウム拮抗薬を二剤併用する処方を見かけることがあります。併用する意味はあるのでしょうか?
また、ある文献で、冠攣縮性狭心症へはベニジピンが良いというものを読んだことがあるのですが、カルシウム拮抗薬の種類によりどの血管に利きやすいやどの症状に利きやすいという違いはありますか?

ないでしょう。ただ難治性の冠攣縮狭心症で二剤併用はあります。カルシウム拮抗薬の種類でそれほど違いはなさそうです。

12.前半でLDLは下げた方がとあったが、トリグリセリドのコントロールはどう考えたらいいのか、香坂先生のお考えが聞きたい。

あまり気にしないです(変動が激しいので)。どうしてもというときは、やはりスタチンを使います。TG-HDL系をターゲットにしなくてはならないときはフィブレートを使います。

13.私の勤める施設のDrは、良く硝酸薬を使いますが、本日はあまり触れられておりません。硝酸薬は、循環器治療薬の位置づけとして、どの様に考えれば宜しいでしょうか。

症状があるようなら、長時間型のニトロをつかうことはアリだと思います。

14.狭心症の患者にはLDL-Cの値に関わらず、スタチンは導入すべきという考えでよろしいでしょうか?それはプラーク安定化のためという解釈でよろしかったでしょうか。

その通りです。おそらくプラークの安定化以外にも抗炎症作用等いろいろありそうですが、そうしたpleotropic effectに期待します。

15.スタチンは用量依存的に有害事象が増えるということでよろしかったでしょうか?文献、添付文書で増えないという報告もございます。

これはわかりません。ただ、外来でDoseを下げると副作用が和らぐことは経験します。

16.心機能低下患者で血圧に余力がない患者ではARB/ACE阻害薬よりβブロッカーを優先すべきでしょうか?

日本はβの量、特にカルベジロールが低いところで微調整が可能なので、そのほうがやりやすいですね。ACEは、それと比べると「ドカッ」という感じです。

17.心不全でACE阻害剤+ARBの併用のメリットはありますか?
CKDでは、デメリットがあるという報告はありますか?

あまりメリットはありません。ただ、大規模臨床試験で一つだけそれを指示するものがあります(REENAL)

18.CHA2DS2スコア3、HAS-BLED5の患者さんで抗凝固薬を見送った例を経験した。
出血リスクが高いので処方すべきと思ったが、先生ならばどのようなご判断をされますか?

ムンテラの上、使うと思います。CHADS が高い人は、だいたいHASBLEDも高いです。その時の選択としては、いちおう出血する確率が一番低いとされているアピキサバンを使うと思います。

19.プロプラノールとその他のβブロッカーの薬剤間にどのような差があるかにについて教えて下さい。

プロプラノロールは一日4回投与なのと、心不全に対するエビデンスがありません。

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