(ルー青木こと、編集長が「ぱれこういるす」という発音がおかしい・・・とぶつぶついっていますが)
日本ではパレコウイルスとよばれています。
まくだーなど がマクドナルドだったり、はすぺとう、がホスピタルだからいいじゃないですが。ぼそぼそ。
ID weekに齋藤先生の講座の先生が発表に来られたので話題にしてみたいとおもいます。
治療法も予防ワクチンもありませんが、新生児が無呼吸になったり入院していたり、山形県では成人で筋痛症の集積が確認されたりしています。
世の中には、様々な「お熱」「痛み」「かゆい」その他もろもろの症状があり、全てに100%の説明がつくわけではありません。ストレスでもおきますし、病原体でもおきますし、アレルギーでもおきますし、何か深刻な病気のサインであったりもします。
原因を考える時は、思い出しやすいもの、メディアが最近報じていたものが(ソレダ!と)フィットしやすいですが(Slovic先生)、個人のフィット感でそう決めてかかると本来の正確な診断や治療の道筋からずれていくのが課題です。
パレコウイルスのように「調べたら分かった」というのはある意味幸運です。もっとも病原体がいた=だから病気の原因だ、と即決できるわけではありません。PCRでみているのはとおりすがりかもしれません。
同時に、○○を食べた後に○○になった、も直接の原因かどうかは、「それらしさ」「仮説」としての医学的妥当性などから考えると「ちがうんじゃない?」というものもたくさんあります。
ちなみに、ヒトパレコウイルスの3型は1999年に愛知県衛生研究所が報告したそうです。
ID Weekでも話題になっていますが、マルチプレックス PCR は、一つの PCR 反応系に複数のプライマー対を同時に使用 することで、複数の.遺伝子領域を同時に増幅する方法です。
■2008年 感染症診断における遺伝子解析技術の適応
■2011年 遺伝子解析技術の新たな潮流と感染制御への適応
■2011年 呼吸器感染症検体中の多項目呼吸器ウイルス検出の試み―大阪市
"PCR detects viruses behind unexplained fevers"ということにつながるわけです。
どのように?
2012年の山形県の事例。(読売の記事から。一部加筆)
------------------
山形県衛研は、置賜地方の成人の間で2008年夏に流行した「流行性筋痛症」について、病原と見られるウイルスを特定。
「パレコウイルス3型」という子供の夏風邪などの原因ウイルスで、成人の病気との関わりが示されたのは世界で初めて。成果は米・疾病対策センター(CDC)が発行する雑誌の11月号に掲載された。
※こちらです
Epidemic Myalgia in Adults Associated with Human Parechovirus Type 3 Infection, Yamagata, Japan, 2008
ペンを握ることができないほどの握力低下。
(当事者にとってはかなりショッキングな症状だと思います)
こんな症状を訴える患者が、同年夏、同地方の病院に相次いで現れた。典型的な筋痛症の初期症状だった。いずれも20~40歳代を中心とした男女で、同じ職場で働く患者がいたことや、発症時期が短期間に集中していたことから、病原を介した感染性の病気と判断された。
(現場の先生、衛生研究所の素晴らしい気づき&連携です)
米沢市立病院で22人を診断した神経内科の栗村正之医師(現公立置賜総合病院)は、「受診しなかった人や、ほかの疾患があり、病名を確定できなかった疑い例も含めると、患者数はかなり多い」と見る。県立中央病院(山形市)でも、数人が同様の症状を訴えていたことが後に判明したという。
栗村医師らから報告を受けた県衛生研は、患者から採取した血液などで感染源の特定にかかった。ところが、流行性筋痛症を引き起こすと考えられていた「コクサッキーウイルスB型」が検出されず、水田克巳副所長は「途方に暮れました」と振り返る。
10年10月、国立感染症研究所(東京都)が、網羅的にウイルスなどを調べる最新機械を導入したと聞き、検体の一部を送ったところ、初めてパレコウイルス3型が検出された。そこで県衛生研が改めて、栗村医師から寄せられた22人の検体を調べ直した結果、14人で同じウイルスが確認され、筋痛症の病原と見られると特定した。
水田副所長は「子供の感染症を引き起こすウイルスだと聞いていたので、大人の筋痛症にも関係があると分かり驚いた」と話す。
(流行パターンがかわる、あるいは視点を変えることで可視化されることがあります)
流行性筋痛症:急な発熱や喉の腫れに加え、腕や足の筋肉の痛み、脱力などの症状が出る。ほとんどは数日から1週間で回復するが、2008年に置賜地方で流行した際は、意識障害などの重篤な患者も出た。当時、高齢者や子供で筋痛症の症状を訴えた人はなく、男性の方が女性よりも症状が強く現れたという。
(2012年10月31日)
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2014年8月12日 <速報>エンテロウイルス感染症疑い患者からのパレコウイルス検出の増加―大阪府―(IASR掲載日 2014/8/12)
2014年7月30日 <速報>新潟県におけるヒトパレコウイルス3型感染症の患者報告の急増(IASR 掲載日 2014/7/30)
2014年7月31日 <速報>生後3か月未満の乳児におけるヒトパレコウイルス感染症の発生(IASR 掲載日 2014/7/31)
2012年山形県 パレコウイルス3型による成人の流行性筋痛症
2012年福岡県 福岡県におけるヒトパレコウイルス検出状況
2010年 症例 ヒトパレコウイルス3型感染により無呼吸をきたした乳児3例
2008年 2008 年夏期に広島市において多発した パレコウイルス 3 型について
2006年埼玉県 原因不明の脳炎・髄膜炎でのパレコウイルス検出とその臨床症状の解析
その他、学会等でも各病院から報告があります。
英語の文献サマリーは Science.gov.のこちらのページに美しくまとまっています。
RSウイルスなどはだいぶしられてきましたが。かぜのような症状の原因となるウイルスはそもそも100種類くらいありますので、咳やくしゃみが出る時に妊婦さんや赤ちゃんに近寄らないというゴールドスタンダードを守り、手洗いを心がける、という基本を大切にしたいとおもいます。
日本ではパレコウイルスとよばれています。
まくだーなど がマクドナルドだったり、はすぺとう、がホスピタルだからいいじゃないですが。ぼそぼそ。
ID weekに齋藤先生の講座の先生が発表に来られたので話題にしてみたいとおもいます。
治療法も予防ワクチンもありませんが、新生児が無呼吸になったり入院していたり、山形県では成人で筋痛症の集積が確認されたりしています。
世の中には、様々な「お熱」「痛み」「かゆい」その他もろもろの症状があり、全てに100%の説明がつくわけではありません。ストレスでもおきますし、病原体でもおきますし、アレルギーでもおきますし、何か深刻な病気のサインであったりもします。
原因を考える時は、思い出しやすいもの、メディアが最近報じていたものが(ソレダ!と)フィットしやすいですが(Slovic先生)、個人のフィット感でそう決めてかかると本来の正確な診断や治療の道筋からずれていくのが課題です。
パレコウイルスのように「調べたら分かった」というのはある意味幸運です。もっとも病原体がいた=だから病気の原因だ、と即決できるわけではありません。PCRでみているのはとおりすがりかもしれません。
同時に、○○を食べた後に○○になった、も直接の原因かどうかは、「それらしさ」「仮説」としての医学的妥当性などから考えると「ちがうんじゃない?」というものもたくさんあります。
ちなみに、ヒトパレコウイルスの3型は1999年に愛知県衛生研究所が報告したそうです。
ID Weekでも話題になっていますが、マルチプレックス PCR は、一つの PCR 反応系に複数のプライマー対を同時に使用 することで、複数の.遺伝子領域を同時に増幅する方法です。
■2008年 感染症診断における遺伝子解析技術の適応
■2011年 遺伝子解析技術の新たな潮流と感染制御への適応
■2011年 呼吸器感染症検体中の多項目呼吸器ウイルス検出の試み―大阪市
"PCR detects viruses behind unexplained fevers"ということにつながるわけです。
どのように?
2012年の山形県の事例。(読売の記事から。一部加筆)
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山形県衛研は、置賜地方の成人の間で2008年夏に流行した「流行性筋痛症」について、病原と見られるウイルスを特定。
「パレコウイルス3型」という子供の夏風邪などの原因ウイルスで、成人の病気との関わりが示されたのは世界で初めて。成果は米・疾病対策センター(CDC)が発行する雑誌の11月号に掲載された。
※こちらです
Epidemic Myalgia in Adults Associated with Human Parechovirus Type 3 Infection, Yamagata, Japan, 2008
ペンを握ることができないほどの握力低下。
(当事者にとってはかなりショッキングな症状だと思います)
こんな症状を訴える患者が、同年夏、同地方の病院に相次いで現れた。典型的な筋痛症の初期症状だった。いずれも20~40歳代を中心とした男女で、同じ職場で働く患者がいたことや、発症時期が短期間に集中していたことから、病原を介した感染性の病気と判断された。
(現場の先生、衛生研究所の素晴らしい気づき&連携です)
米沢市立病院で22人を診断した神経内科の栗村正之医師(現公立置賜総合病院)は、「受診しなかった人や、ほかの疾患があり、病名を確定できなかった疑い例も含めると、患者数はかなり多い」と見る。県立中央病院(山形市)でも、数人が同様の症状を訴えていたことが後に判明したという。
栗村医師らから報告を受けた県衛生研は、患者から採取した血液などで感染源の特定にかかった。ところが、流行性筋痛症を引き起こすと考えられていた「コクサッキーウイルスB型」が検出されず、水田克巳副所長は「途方に暮れました」と振り返る。
10年10月、国立感染症研究所(東京都)が、網羅的にウイルスなどを調べる最新機械を導入したと聞き、検体の一部を送ったところ、初めてパレコウイルス3型が検出された。そこで県衛生研が改めて、栗村医師から寄せられた22人の検体を調べ直した結果、14人で同じウイルスが確認され、筋痛症の病原と見られると特定した。
水田副所長は「子供の感染症を引き起こすウイルスだと聞いていたので、大人の筋痛症にも関係があると分かり驚いた」と話す。
(流行パターンがかわる、あるいは視点を変えることで可視化されることがあります)
流行性筋痛症:急な発熱や喉の腫れに加え、腕や足の筋肉の痛み、脱力などの症状が出る。ほとんどは数日から1週間で回復するが、2008年に置賜地方で流行した際は、意識障害などの重篤な患者も出た。当時、高齢者や子供で筋痛症の症状を訴えた人はなく、男性の方が女性よりも症状が強く現れたという。
(2012年10月31日)
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2014年8月12日 <速報>エンテロウイルス感染症疑い患者からのパレコウイルス検出の増加―大阪府―(IASR掲載日 2014/8/12)
2014年7月30日 <速報>新潟県におけるヒトパレコウイルス3型感染症の患者報告の急増(IASR 掲載日 2014/7/30)
2014年7月31日 <速報>生後3か月未満の乳児におけるヒトパレコウイルス感染症の発生(IASR 掲載日 2014/7/31)
2012年山形県 パレコウイルス3型による成人の流行性筋痛症
2012年福岡県 福岡県におけるヒトパレコウイルス検出状況
2010年 症例 ヒトパレコウイルス3型感染により無呼吸をきたした乳児3例
2008年 2008 年夏期に広島市において多発した パレコウイルス 3 型について
2006年埼玉県 原因不明の脳炎・髄膜炎でのパレコウイルス検出とその臨床症状の解析
その他、学会等でも各病院から報告があります。
英語の文献サマリーは Science.gov.のこちらのページに美しくまとまっています。
RSウイルスなどはだいぶしられてきましたが。かぜのような症状の原因となるウイルスはそもそも100種類くらいありますので、咳やくしゃみが出る時に妊婦さんや赤ちゃんに近寄らないというゴールドスタンダードを守り、手洗いを心がける、という基本を大切にしたいとおもいます。