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Channel: 感染症診療の原則
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米国で救命できなかった症例、日本で救命できた場合

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8月に米国にmedical evacuationとなった医師と看護師は、出発前にZmappを投与していました。
その後、Zmapp何例かに投与され、そしてZmappが入手できなくなった今、ケースによってはマネジメントはたいへん厳しいものになりそうです。
アフリカでは、40歳以上と以下で救命率が異なることが示されています(若い方が有利)。

テキサスの症例には抗ウイルス薬が投与されましたが、8日(水)に死亡のニュースが流れています。
State Officials Follow Federal Guidance After Ebola Death

ノルウェー人MSFスタッフはオスロの大学病院に移送され、最後のZmappが投与されるとのことです。
Ebola virus outbreak: Norwegian patient to get 'last available dose of ZMapp in the world'


各地のドクターから「どうやってZmappを入手するのか?」という質問がきていたのですが、入手するもなにも在庫がない状態です。たくさんはつくれないのかもしれません。

そのようななか、日本では8日に"「1類感染症」の患者が国内で発生した場合に備え、治療に当たる専門家の会議を開催することを明らかにした。"というニュースがありました。
「国内での治療に備え専門家会議開催へ」

"承認された薬はなく、治療法も確立されていない。このため厚労省は、実際に患者が出た際に、複数の専門家が意見を出し合い妥当な治療法を検討する必要があると判断"

on demandで開催とのことです。

現場で対応する臨床医/チームに複数の専門家が妥当な治療について提言する、ということは想像しにくいかもしれません。患者を実際に診ていない人にそんなことが可能なのか(ノイズになるんじゃ?)という見方もあるでしょうが、治療が確立していないなかで、特定の人にだけ責任を負わせないという枠組みでもあります。誰が委員になるのか・・・がカギでしょうが。
いずれにしても患者さんのための最適化に皆が最善を尽くせるかということにかかってきます。

ところで、日本で実際に入院。。。。したとして、使用可能な治療薬の投与や補助療法を行い、患者さんが回復したとします。

米国の最初の2例は3週間ほどで退院しています。
血液の検査でウイルスが陰性であることを2回確認します。

日本の場合は、こちらの資料の「6.患者の医療」の「(6)病原体の陰性化の確認と退院」をみると驚愕の事実がかいてあります。

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エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱
・急性期症状消失後、1週間以上の間隔を置いた2回の検査(感染症の種類 毎に別表7に定める検体全てにおけるウイルス分離)の結果、病原体が検 出されなかった場合に、病原体を保有していないものと考えてよい。
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エボラの場合は「血液・精液」となっています。

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但し、検体毎に別表8に定める発病後の期間を超えた後の場合にあって は、1回の検査の結果、病原体が検出されなかった場合に、病原体を保有 していないものと考えてよい。
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エボラの場合は血液が8日 精液が61日となっています。
不勉強のためなぜ60日でなく61日なのかわからないのですが、、、なぜ精液はここまで厳密にかかれてしまっているのか。

個室に60日隔離は現実的ではありませんし、他の国は、退院後の性行動への注意をしたうえで退院しています。日本では人権問題になりかねませんが。そもそも精液の検査じたいそんなに簡単ではありません。

男性患者さんが入院するとたいへんなことになります。

「予防隔離」(転がるイシあたま)

「感染症新法一類感染症の危険度」

実際に患者さんが入院するかも?!となって一類感染症の病院は見直しをしているところだとおもいますが。
退院、退院後のケア、メディアふくめた過剰反応のなかで患者さんやご家族を皆で守ることも考えて行かないといけません。







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