9月19日(金)に行われた若セミ、林先生のご講演のQAを頂きましたのでご覧下さい。
質問者 : 30代医師
質問内容 : 私が学生の頃から心マ100回の時にアンパンマンや地上の星が出ますが、音楽をやってない人にとっては難しい?
正確にこの曲のテンポを思い出し再現するのは困難だと思っていました。何かほかのいい合わせ方があればいいとずっと思っていますが、今でも同じなんだなと感じました。
質問者 : 医師 一般内科 50代
質問内容 : バッグ呼吸をする際、酸素投与下と室内気と比べると、機能予後は変わるのでしょうか。
日本の救急隊のスタディなのでほぼ全例酸素投与下のはずです。室内気を使ったスタディは見当たりません。蘇生中の酸素濃度に関するスタディは見当たりません。
質問者 : 研修医 1年目
質問内容 : アドレナリン使用者の方がそもそも予後不良の群というわけではないのでしょうか?
そんな単純なものではないと伝えたかったのです。アドレナリン投与群の方が予後が悪いというスタディが多いのですが、投与のタイミングが早いと予後がよいというスタディもあります。また死因も大きく影響してきます。まだまだ分かっていないことが多いということです。
質問者 : 医師 総合診療 50代
質問内容 : Epi投与は早い方がいい、というお話ですが、投与経路は末梢ルートない時は経気道でも有効でしょうか。
話は変わりますが、救急救命士の骨髄針使用が早く許可されるよう希望しています。
気管内投与では吸収されるのはたったの1/10しかありませんので、実効的ではなくガイドラインでは削除されました。また循環が無い状況で気管内投与がどれくらい吸収されるかはわからず、効果は無いことが予想されます。
骨髄針は結構難しいです。むしろEZ-IOによる骨髄ラインが望ましいです。救急隊の教育レベルや技術に大きく左右されるので、一概に認可すればいいというものでもないかもしれません。現に病院前気管挿管は蘇生率に逆相関が認められましたが、ドクターカーの病院前治療開始による蘇生率は高い報告があります。技術的な問題が影響している可能性もあります。実際には病院前の救急隊の気管挿管はたったの5%しか実施されておらず、対教育実施効果が低いのが実情です。
質問者 : 薬剤師60代
質問内容 : 素晴らしい講義ありがとうござます、胸骨圧迫 疲れないためには、利き手は上のほうがいいですか。関係なしですか。
途中で入れ替えは?
実際はあまり関係ありません。
利き手を胸骨に接触させた方が少しいいようですが、統計上では差はありません(Resuscitation. 2008 Feb;76(2):256-60)
ただし患者の左側に立ったら、左手を胸骨に接触させる。右側に立ったら、右手を胸骨に接触させる方がうまく圧迫できるというスタディもあります(You JS, et al. Relative effectiveness of dominant versus non-dominant hand position for rescuer's side of approach during chest compressions between right-handed and left-handed novice rescuers. Emerg Med J. 2013 Dec 8, Epub ahead of print)
質問者 : 薬剤師 20代
質問内容 : 精神科の患者さんで抗精神病薬(MARTAなどのα受容体遮断作用のあるもの)を服用している場合、蘇生にアドレナリンではなく、ノルアドレナリンを使用する病院もあるということを聞いたことがあるのですが、実際にノルアドレナリンを使用されるケースはありますか?また、アドレナリンとバソプレシンはどのような時に使い分けをされているのか教えていただけると幸いです。
抗精神薬のα遮断作用によるアドレナリンの副作用は理論上ありますが、実際には悪かったというデータは見当たりません。理論上はノルアドレナリンはいいのですが、ノルアドレナリンの有効性を示すスタディはありません。
VF、PEAなどではバソプレッシンも残念ながら、アドレナリンよりもいいというデータはありません。しかし心静止においてはバソプレッシンが有効であったという報告もありますが、非常にサンプルサイズが小さいので追試が必要です。(N Engl J Med. 2004;350:105-113.) またエピネフリンまたはバソプレッシンを交互に使い3回目にバソプレッシンを使った場合、蘇生率、退院率がより高かったという報告もあります。まだ一般的ではないですが。
質問者 : 医師 消化器外科 30代
質問内容 : 蘇生でアドレナリンの投与はガイドラインは3~5分ということになっていますが、林先生の施設では、Epi投与の間隔はどうされていますか?
あまりギチギチに考えていません。3分毎が多いですが、個人的印象では3回も使うと植物状態を作ることが多いように思えます。本当に蘇生率を上げたければエピネフリンよりもPCPS導入が最適なのでしょうが、施設が整っているところは少ないでしょう。
質問者 : 30代医師
質問内容 : 抗精神病薬を飲んでいるとエピネフリンが禁忌となっていますが、抗精神病薬を飲んでいる人がアナフィラキシーの時、何を優先させたらよいでしょうか?
迷わず、エピネフリンです。肥満細胞からの脱顆粒抑制作用はエピネフリンにしかありません。そして血管が広がったα遮断作用に対しては、リンゲルによる急速輸液でまず対処します。必要に応じてノルアド使用します。
質問者 : 医師 救急医 30代
質問内容 : 直腸温は深部温として大丈夫でしょうか。
一応,深部とは。。
ご指摘の如く食道温が最適です。直腸温では反応が遅く、過小評価されやすい欠点があります。整備されたICUでは食道温を見ていくことが重要です。ご指摘ありがとうございます。
(タイトル写真:林先生の作品)
質問者 : 30代医師
質問内容 : 私が学生の頃から心マ100回の時にアンパンマンや地上の星が出ますが、音楽をやってない人にとっては難しい?
正確にこの曲のテンポを思い出し再現するのは困難だと思っていました。何かほかのいい合わせ方があればいいとずっと思っていますが、今でも同じなんだなと感じました。
質問者 : 医師 一般内科 50代
質問内容 : バッグ呼吸をする際、酸素投与下と室内気と比べると、機能予後は変わるのでしょうか。
日本の救急隊のスタディなのでほぼ全例酸素投与下のはずです。室内気を使ったスタディは見当たりません。蘇生中の酸素濃度に関するスタディは見当たりません。
質問者 : 研修医 1年目
質問内容 : アドレナリン使用者の方がそもそも予後不良の群というわけではないのでしょうか?
そんな単純なものではないと伝えたかったのです。アドレナリン投与群の方が予後が悪いというスタディが多いのですが、投与のタイミングが早いと予後がよいというスタディもあります。また死因も大きく影響してきます。まだまだ分かっていないことが多いということです。
質問者 : 医師 総合診療 50代
質問内容 : Epi投与は早い方がいい、というお話ですが、投与経路は末梢ルートない時は経気道でも有効でしょうか。
話は変わりますが、救急救命士の骨髄針使用が早く許可されるよう希望しています。
気管内投与では吸収されるのはたったの1/10しかありませんので、実効的ではなくガイドラインでは削除されました。また循環が無い状況で気管内投与がどれくらい吸収されるかはわからず、効果は無いことが予想されます。
骨髄針は結構難しいです。むしろEZ-IOによる骨髄ラインが望ましいです。救急隊の教育レベルや技術に大きく左右されるので、一概に認可すればいいというものでもないかもしれません。現に病院前気管挿管は蘇生率に逆相関が認められましたが、ドクターカーの病院前治療開始による蘇生率は高い報告があります。技術的な問題が影響している可能性もあります。実際には病院前の救急隊の気管挿管はたったの5%しか実施されておらず、対教育実施効果が低いのが実情です。
質問者 : 薬剤師60代
質問内容 : 素晴らしい講義ありがとうござます、胸骨圧迫 疲れないためには、利き手は上のほうがいいですか。関係なしですか。
途中で入れ替えは?
実際はあまり関係ありません。
利き手を胸骨に接触させた方が少しいいようですが、統計上では差はありません(Resuscitation. 2008 Feb;76(2):256-60)
ただし患者の左側に立ったら、左手を胸骨に接触させる。右側に立ったら、右手を胸骨に接触させる方がうまく圧迫できるというスタディもあります(You JS, et al. Relative effectiveness of dominant versus non-dominant hand position for rescuer's side of approach during chest compressions between right-handed and left-handed novice rescuers. Emerg Med J. 2013 Dec 8, Epub ahead of print)
質問者 : 薬剤師 20代
質問内容 : 精神科の患者さんで抗精神病薬(MARTAなどのα受容体遮断作用のあるもの)を服用している場合、蘇生にアドレナリンではなく、ノルアドレナリンを使用する病院もあるということを聞いたことがあるのですが、実際にノルアドレナリンを使用されるケースはありますか?また、アドレナリンとバソプレシンはどのような時に使い分けをされているのか教えていただけると幸いです。
抗精神薬のα遮断作用によるアドレナリンの副作用は理論上ありますが、実際には悪かったというデータは見当たりません。理論上はノルアドレナリンはいいのですが、ノルアドレナリンの有効性を示すスタディはありません。
VF、PEAなどではバソプレッシンも残念ながら、アドレナリンよりもいいというデータはありません。しかし心静止においてはバソプレッシンが有効であったという報告もありますが、非常にサンプルサイズが小さいので追試が必要です。(N Engl J Med. 2004;350:105-113.) またエピネフリンまたはバソプレッシンを交互に使い3回目にバソプレッシンを使った場合、蘇生率、退院率がより高かったという報告もあります。まだ一般的ではないですが。
質問者 : 医師 消化器外科 30代
質問内容 : 蘇生でアドレナリンの投与はガイドラインは3~5分ということになっていますが、林先生の施設では、Epi投与の間隔はどうされていますか?
あまりギチギチに考えていません。3分毎が多いですが、個人的印象では3回も使うと植物状態を作ることが多いように思えます。本当に蘇生率を上げたければエピネフリンよりもPCPS導入が最適なのでしょうが、施設が整っているところは少ないでしょう。
質問者 : 30代医師
質問内容 : 抗精神病薬を飲んでいるとエピネフリンが禁忌となっていますが、抗精神病薬を飲んでいる人がアナフィラキシーの時、何を優先させたらよいでしょうか?
迷わず、エピネフリンです。肥満細胞からの脱顆粒抑制作用はエピネフリンにしかありません。そして血管が広がったα遮断作用に対しては、リンゲルによる急速輸液でまず対処します。必要に応じてノルアド使用します。
質問者 : 医師 救急医 30代
質問内容 : 直腸温は深部温として大丈夫でしょうか。
一応,深部とは。。
ご指摘の如く食道温が最適です。直腸温では反応が遅く、過小評価されやすい欠点があります。整備されたICUでは食道温を見ていくことが重要です。ご指摘ありがとうございます。
(タイトル写真:林先生の作品)