Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

医療者の感染 と その周辺

$
0
0
遠い国の感染症だったエボラ(をはじめとする輸入感染症)。

現時点では、自国の医療者などが現地で曝露し発症となれば、evacuationと治療をどうするのかという問題が生じます。

リスコミを先手先手で行わないと、ヒステリックな「怖い病原体が国内へ?」とか、いつもの"自業自得"バッシングになる可能性があります。


米国の医療従事者は、キリスト教団体の活動であり、献身的な支援団体であるという周辺情報、またこれは国をあげての救命、最新の科学や医療で救うのが倫理ではないかという空気によって初期のヒステリック反応は収束しました。

初期には、ついに国内にウイルスが入った!(びっくりまーーく)的なヘッドラインもありましたが。


エモリー大学病院の専門病棟の中に隔離されている、ということや、使った毛布なんかは全部燃やしちゃいますから!というテレビインタビューの中での強調もすごかったです。
皆で誤解や偏見防止に取り組む勢いを感じました。


"medical evacuation"であり、どの飛行機でどこへ、どの病院へ、そしてそこではどのような対応があるのかがリアルタイムで正式ルートで出てくるので、メディアもそれを追いかけて事実ベース報道をしています。


エボラの流行が長期化し、支援する医療者や現場のワーカーが増えるほど、活動時間が長くなるほど、evacuationの準備や治療をどうするのかということが現実味をおびてきます。

この週末に、国境なき医師団が2名のスタッフとワーカー、またWHO関係のスタッフの死亡が発表されいます。

WHO: Medical worker infections and shortages hamper Ebola response

今朝がた(夜中の2時-3時)行われたCDC-SHEAのWebセミナーでも、なぜ現地で医療者が感染しているのかの質問がありました。
集中力が続かない激務の中でのエラーの問題だけでなく、高度流行エリアで感染判明要注意ゾーン以外のところでの曝露リスク、日常リスクなどもあるわけですが、Webセミナーでは米国内の医療者特に検査室のスタッフの安全確保について複数質問がでていました。

医者ナースはフルPPE訓練をしてますので、状況に応じて軽減したりという検討も話題ですが。


(購入やメンテナンスも必要なので予算がからみます。ゆえに最終的には部門長や組織の長のガバナンス責任です)

その他、清掃の質問もでてました。病院の契約業者がどこまでやるのか。安全確保とあわせてICTの確認事項。


昨日、政府は国内ではエボラの治療の適応をもたない、動物実験段階の治療薬について、要望があればWHOなどに提供すると発表しました。
(日本で使用するためのプロセスはまた別ですが)

感染症に関わる仲間がそのような状況においこまれないよう、非常事態には全力で守るロジを持っておくことも、何も起きていない今考えておくべきことなのだと思います。

お金だけでなく人の支援が増えれば避けられない検討事項です。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles