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Channel: 感染症診療の原則
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感染対策の障害(正しいとわかっていてもやれない)

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質問で一番多いのは、なぜ流行がとまらないでしょうかね?
です。

まだ、全体像はわかりませんが、現場の調査などからわかっていることや、今できることについては、8月11日のWHO発表資料が細かく書いてますので、
メディアの方にはこれをまず読んでいただくのがいいと思います。

現地の情報を集約可能な機関からの情報です。

Barriers to rapid containment of the Ebola outbreak

記者の中には乳児がpatient zero(最初の患者ではないか)という記事にワクワクした人もいるようです。
likely, could be, という記載ですが。
確認検査のない伝聞ケースで、各地にまだらに広がっているのを、ここからどう広がったんでしょうねえ…という全体に一人から広がったかのような推理モードになるのははっきりいってスジ悪です。

最終的には遺伝子の系統樹なども解明されてそういったレポートもでてくるかもしれませんが、あるていど自然史がわかっている感染症での接触者調査の本来の目的は、あらたな感染者への早期対応やトリアージ。
誰が犯人か的な視線はやめていただきたいですね。

確認検査もないところで噂をたてられ、ご関係の方がせめられたりしたらたいへんです。

WHOレポートにあるようにらどうすればいいのかわかっている感染症をとめられないのは、もともと脆弱な教育や保健医療システムのせいであり、手洗いもできない環境で働かなければならない病院であり、そんななかでキャパを超える業務にあたらなければならない支援の人たちに生じてる新たなリスクです。

シエラレオネの平均寿命は50歳に届きません。
三カ国の識字率も50%前後です(女性は男性の半分)。

私たちが冷房の効いた部屋でアウトブレイクの探知や調査〜を学ぶ時、そこには支援者を拒否したり排除する、石を投げたり刃物で抵抗する住民はいません。
皆が協力するし、物品もあるという前提で学びます。
軍隊との協力が対策、厳しいオペレーションや不安への対処は新しい課題です。

内戦など、悲しい歴史を雨の週末に学ぶ中で、病原体以上に怖いものは何かを考えました。



過去の知見でまだ読み込めていないのは、動物関係のデータです。
こちらの講義資料にある文献や、今回の調査レポートなどから読みたいと思います。

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