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Channel: 感染症診療の原則
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海外から帰国した患者さんが体調不良、、はよくあるケースです。

現在はニュースの影響などで、臨時に皆のエボラ関心が高まっている→アフリカときいたらドキドキするひともいたりまします。

平時のオペレーションが整ってれば、それを皆で確認すればよいのですが、いつかやろうとおもっていて今日になってしまったところでは、この確認ができるまでちょっと忙しいかもしれませんね。

見落としてはいけない、より頻度の高いマラリアや腸チフス、渡航と関係ない病気などもありますので、輸入感染症の対応という枠での実践や体制確認もこの機会に、です。

患者としての体験が英語メディアに載ってました。

「これって、自分のこと?」です。

実名で記事になっている男性は、コロンビア大学の大学院生で、4月から4ヶ月シエラレオネのフィールドの活動にに参加。

帰国してから2週間、発熱、咽頭痛、頭痛、下痢などのインフルエンザ様の症状があったので、マウントサイナイ病院の救急部門を受診。

そこで、うたがい症例として隔離対応や検査が行われました。

結果がでるまでの72時間の経験について当事者だけでなく医者看護師も語っています。

基本的な対応はわかっていても、通常業務をしているところで考えなくてはならなくなるのが想定訓練との違い。

EXCLUSIVE: Mystery patient in New York City's Ebola scare recounts 72 anxious hours of being quarantined at hospital

日本の場合は、8/7の厚生労働省の通知をみて、自治体の担当者が、「自分たちのところでは」を検討しています。

病院で検査を検討する症例がいたら、東京都の場合は、医師から保健所に電話(夜間は ひまわり 経由)、保健所が東京都と厚労省に連絡と相談。
保健所が病院に検体を取りに来る→保健所が感染研(村山)に運ぶ→ウイルスの検査が行われる→結果の連絡を受ける、という流れです。

マラリアやデングを否定して、エボラも陰性でした、という各国のニュースを見る週末でした。
(なぜこの段階でメディアが報じるのか?ですが、どこかがプレス発表するんでしょうか)

サウジアラビアのうたがい症例では、症例は死亡していますが、ラッサ熱などのさらなる検討を行うとありました。

ラッサ熱は日本でも経験のある一類の感染症です。
(1987年3月の症例)

感染研の西條先生、森川先生(お二人とも e-learning「一類感染症講習会」で講義を聴けます)が日本語での解説も発信されているなので、そこで学ぶことができます。

「ウイルス性出血熱の特徴とエボラおよびマールブルグ病の流行」
(IASR 2011年7月)

「次々と出現する出血熱ウイルス等」(IASR 2011年7月号)

ラッサ熱はシエラレオネの血清サーベイでの抗体保有率は数%から50%弱で、
感染しても全員が発症するわけではないそうですが、数としてはエボラよりも多いこと、西アフリカも流行地域であることは知っておいたほうがよいですね。


流行してない国にとっては輸入感染症。
ときに現地から救命のための搬送も行われます。

英国でアイソレーター付きチャーター機搬送第一号となったのは、シエラレオネで働いていた20代の看護師のラッサ熱。
約30年前のケースです。
1985年 WHO

潜伏期間に帰国の場合もあります。
「西アフリカからの輸入ラッサ熱死亡例−ドイツ」
2000年 WHO

インフルエンザは広がることが想定されていましたし、実際たくさんの病院でたくさんの患者対応に追われましたが(初期の接触者対応、検査も大変でしたね)。

いま、備えを確認しているものは、病原体の性格からもだいぶ違うので、院内や地域での体制を関係者に考えてもらうよい機会としたいと思います。

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