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Channel: 感染症診療の原則
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変えることができると、信じる側にたつこと

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慈善団体サマタリアンズパースの米国から派遣された医師と看護師がエボラウイルスに感染して、未承認治療薬投与が行われています。
対応をしているのはエモリー大学の診療チームです。

その後体調が改善という(開発会社の株価が大きく動くような)ニュースもありますが、専門からのコメントは、薬による効果か自然な回復か明確ではないとしています。

(2例だけではよくわかりませんし、対症療法のなかで回復者も一定数いますので、当然コメントは慎重になります)

国際的なエイズ対策を進めた貢献者の一人、ピーター・ピオット博士の、治療の選択肢があるなら広く提供すべきでは?、緊急事態なのだから、とコメントを出しています。

Ebola virus: British experts urge US and WHO to ‘give Africans experimental cure’

(エボラウイルスの発見者でもあるピオット先生は今年の11月に来日しての講演も予定されています)

当時は絶対にあり得ないと言われていた高額なエイズの治療が現在途上国で可能になったプロセスにピオット先生たちのような最前線の科学者がいました。

誰かの「変えよう」「動かそう」という声や思いと、冷静な判断をする支援者たちの力をみてきた25年です。


薬にはそもそも製造や品質管理の元の輸送など課題が多いのでシンプルにはいきませんが、今後も起こるであろうエボラのアウトブレイクへの対応のブレイクスルーとなるかの期待も寄せられています。

もう一つの期待は「ひと」ですね。

厳しい状況にあっても、先進国から周囲のアフリカの国から、医療者や物資などの支援が行われています。

日本の全体像はわかりませんが、英国は政府対応をタイムリーに公表しています。

エモリー大学病院でエボラ感染症例の看護に当たっているケアチームの看護責任者の声が一般紙で掲載されています。

I’m the head nurse at Emory. This is why we wanted to bring the Ebola patients to the U.S.

こういったものは医療者個人のアイデア
や判断で出せるものではありませんので、リスクコミュニケーションの専門家らの助言のもと組織的に行われていると考えられます。

想像や煽りと違い、実際に患者の近くにいる人たちの温度感のある言葉の力は大きいです。

その姿勢や熱意が伝わることも個人や社会を守ることにつながります。

そうやって皆に勇気を与えたもう一人のエイズ対策の専門家の言葉。
…doctors respond to a deep intuition about life and their own lives. To become a doctor implicitly places us on the side of those who believe that the world can change -- that the chains of pain and suffering in the world can be broken.
The Future of the Global Physicians Movement(Jonathan Mann)

遠くからできる支援もあります。
がんばりましょう。


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