Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

サプリと感染症の周辺 (Vitamin D編)

$
0
0
サプリと感染症の周辺

ICAAC Onlineの学び、本日からサプリ業界が飛びつきそうなタイトル「サプリで感染症の治療と予防」です。英語のタイトルは「Evidence for Vitamins and Nutritional Supplements in the Treatment and Prevention of Infections」

#:上気道感染症とビタミンDの関係。
・多くの研究がRetrospective(≒原因と結果が逆かも。沢山の交絡因子が。Publication biasのあろう・・)
・結論は、ビタミンDには合理的な抗細菌活性がある。そして基礎疾患などがありビタミンDレベルが低い集団には有効かも。健康な成人がやっても意味ない。
・ついでに、これは骨業界では問題になって久しいのですが日本国内で保険が効く測定対象は1・25dihydroxyvitaminDなのですが、世界的には25hydroxyvitaminDが測定対象なのですね。(直せないのか、こんな事も・・)

#:結核とビタミンDの関係
・SpeakerはAdrian Martineau先生(Barts and The London School of Medicine and Dentistry)

・大昔(1848年で初めてのストマイ研究の100年前)、ロンドンで1000人以上の結核患者さんに、鱈の肝臓を食べさせた群と食べさせない群で死亡率を比較。OutcomeはHardで死亡率。格段に鱈の肝臓が有用であったという話し。
・日光浴はビタミンDレベルを上げるので世界中で療養所はこんな風景。


・実際、皮膚結核が大量のビタミンDの摂取で良くなっている。


・実際、ビタミンDが結核感染にどのように効くかは編集長に深すぎなのですが、多くのInnate antimicrobial responseを動員し抗菌的に作用するようです。(例:reactive nitrogen, reactive oxygen, antimicrobial peptides, autophagy)


・他方、細胞性免疫に重要なTNFなどのreleaseを抑制するなど免疫抑制的な作用もある。

・結論から言うとIn vitroではPositiveとNegativeな両方向の効果がある。なのでIn vivoでの検討が必要。これが(AdjuVIT Trial)スメア陽性の結核患者にビタミンD投与組と非投与組に分けた。測定対象は基本は培養陰性化。しかし、その他に白血球数、サイトカインなども測定


・結果はトレンドとしてはビタミンD群のほうが培養陰性化速度は速いが統計的な有意差は出ない。でも諦めない研究者はSubpopulationでビタミンDの受容体の遺伝子形が関与しないか検討しました。そうしたらTaq�という遺伝子がhomozygousならばビタミンD投与の有無に大きな差が出ました。
・更にリンパ球減少の回復、単球過剰の回復がビタミンD摂取群で早いと分かりました。これはSabinらの1926年に既に発表されていた「肺病変が回復している時にリンパ球減少が回復し、単球過剰が回復している」という研究の素晴らしさを示しています。(22nd Annual Meeting of the National Tuberculosis Association22,(1926)252-256)

#まとめ
・抗結核薬無い時代にはビタミンDが使われた。
・生理的な量のビタミンDは臨床的な効果が無い。しかし大量のビタミンDは耐性菌などの診療に役立つかも

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles