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Channel: 感染症診療の原則
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インフルエンザ と 「かぜ症候群」

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『かぜ症候群』日本呼吸器学会による解説

「かぜは、鼻からのどにかけての空気の通り道、つまり上気道といわれる呼吸器の感染症で、原因の大半がウイルスです。症状はくしゃみ・鼻水・鼻づまり・のどの痛み・咳・痰などが共通してみられ、発熱・頭痛・全身倦怠感を伴うこともあります。これらを『かぜ症候群』とまとめて呼んでいます。」

原因となるウイルスは数百種類あるとされていますが、すべてに診断キットがあるわけではありません。治療薬もありません。

この原因ウイルスの中で、その重症化のリスクの高いインフルは別扱いされているわけですが、
インフルエンザは迅速診断キットがあります。ので、インフルエンザかなーと思った人が、受診をして、医師も「検査しようかー」といい、ちょうどよいタイミングでの検査だと、「おお、インフルエンザだねー」ということになります。

軽症の人や病院が嫌い(薬も欲しくない)人は最初から病院に来ませんので検査もされませんし、症例としてカウントもされません。なので、統計では分母を何にしているか、注意。

米国CDC Cold Versus Flu
コモンなかぜとインフルエンザは違いますぜ・・という簡単な説明。

インフルエンザウイルス以外には、ライノウイルス、コロナウイルス、今年よく報道されたRSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、などが代表的(詳しくはこちら)


・・・ちょっとマニアックになりました。(どれもひとつひとつ勉強すると楽しいんですのよ♪)

「一般にはインフルエンザと「かぜ」が区別されずに混同されている」「インフルエンザウイルス以外の「かぜ」ウイルスの感染をうけて「かぜ」をひいた場合でも、「ワクチンを接種したのにかぜをひいてしまったので、ワクチンは効かない」との誤解が生じる」(国立感染症研究所の説明ページ)
・・という話も街角ではよくあります。

ワクチンも治療薬もないアデノウイルスですが、気道炎の潜伏期は1日-10日。発病の直前から、他の人への感染の可能性があります。(予防はとても難しい)

いろいろな「型」がありますが、注意喚起の行われた凶暴型も。


「米国4州でのアデノウイルス14型による急性呼吸器疾患、2006〜2007年」
IASR 2008年1月号
生後間もないあかちゃんから、軍事訓令生まで重症化・死亡した14型についてのレポート。

米国CDCは、原因不明の呼吸器感染症のアウトブレイクがあった場合には、アデノウイルス14型による感染症を鑑別診断の一つとするべきであると、医師に推奨しています。

百日咳の集団感染?と思って調査をしたらライノウイルスの感染だった、ということもありました。

高齢者施設で肺炎球菌?と思ったらヒトメタニューモだったとか。

ほとんどの感染症にはワクチンはありません。人は感染症とLiving Together。
時に命が危うくなることもある(だから、予防できるものは予防しましょう)。

病原体とか、その人の体調・病気によって影響が異なってきますので、「ただの風邪!」といってしまっていいのか。(自分のことならさておき)



医療現場では、みーんな同じような症状に最初は見えるものが多いので、医師は患者さんからいろいろ聞きながら「あれこれ」を検討していきます。

はい。気合が入ってきましたね。

では、じっくり山本先生のDVDで勉強しましょう。

“かぜ”と“かぜ”のように見える重症疾患 ケアネットDVDケアネット

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