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Channel: 感染症診療の原則
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ICAAC Online「Hot Topics in Vaccines」#1「卵の殻とワクチン」

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ICAAC Onlineの学び、本日からワクチンです。元のタイトルは「Hot Topics in Vaccines」

Speakersは以下の方々です。
Miriam Sturkenboom
Robert Frenck
Federico Martinon-Torres
Adam Finn

通常ならば最初のSpeakerのプレゼンから紹介するのですが、あまりにExcitingなので一番最後のAdam Finn先生(University of Bristol)のプレゼンです。

題して「卵の殻とワクチン」
(本当はSelfbiomineralization。Self自分で、bio分子生物学的に、mineralization殻を作る、ワクチン)

本題に入る前にいくつかの事実を確認:
1)ワクチンは生ものなので冷蔵・冷凍で接種場所に運搬する必要あり。これをCold chainというが、このCold chainの経費がワクチン総予算の80%を占める。80%!!
2)室温に置いておくと早期に失活する。


3)卵は殻を割るまでは腐らない。実際、英国では生卵を冷蔵庫に入れる必要無いという議論さえある。ちなみに、この殻は燐酸カルシウムです。


ならばワクチン(今回はエンテロウイルスEV71)に殻をかぶせよう:


具体的にはエンテロウイルスのタンパクを作る遺伝子の間に殻を作る遺伝子を挟む。


結果は図のように本来のウイルスタンパクVP1.2.3.に加えて、青色の殻用の部品が出来ます。


これが最終的には燐酸カルシウムの殻を作り、電子顕微鏡でも殻が見えます。


そして殻がついても、自然界のエンテロウイルスと変わらぬ増殖速度を持ちます。


しかも抗体産生能力は素晴らしい。


勿論、保存が効きます。


Cold chainが要らないワクチンへの道筋が見えた気がします。

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