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Channel: 感染症診療の原則
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デング熱ワクチン と その周辺

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来月はいよいよブラジルで開かれるサッカーワールドカップです。

渡航予定の人に対しては、厚労省や外務省のページ、報道発表などを通じて、広く黄熱ワクチン接種の選択肢の情報も発信されています。
もっとも、ブラジルは全員に必要なわけではないのですが、試合会場(なにせ広い…)のある場所とか、観戦ついでに観光という人も多く、周辺旅行を計画していたりする場合は、黄熱だけでなく感染症含めてほかのアドバイスも事前に必要になってくるわけですね。


黄熱ワクチンは現在東京では予約がとりにくくなっており、選手や協会関係者、来賓扱いで行くVIPの方はすでにすませていますが、今は応援しにいくファン、取材クルーはじめ周辺の人たちが予約をとろうとがんばっています。

予約をとろうと調べるまで、多くの人は近くの病院でも接種できるだろうと考えていますが、実際には、「5人分で1バイアル」であることと、日本では位置づけが微妙なワクチンのため、現在は検疫と検疫の巡回診療先の医療機関でしか接種ができないことになっています。

(いや、ほかにも理由があるのかもしれませんが・・・)

今回はサッカーだけですが、ブラジルでのオリンピック、パラリンピックは規模が大きくなりますので、そのときはどうするんでしょうね。
一人用ワクチンが急いで認可されたりすれば、接種可能な場所も広がる素地ができそうですが。

今のところは他のクリニックで他を接種して、黄熱だけ予約を別途していくという不便さがあります。

黄熱はもちろんもちこまれてはいけない感染症でありますが。


現在、感染者数の報告がうなぎのぼりなのがデング熱です。
検査キットの普及などで検査アクセスがよくなったから、というような地域もあるのだとおもいますが、メディアの記事をみると、地球温暖化でこうした感染症が広がっている!きゃー!的なものもみかけます。


5月3日 時事 W杯キャンプ地でデング熱拡大=過去最悪、日本代表に影響も−ブラジル

蚊にさされてなるかもしれない感染症としては、「流行レベル」「頻度」で考えるリスクとしてはデング熱が大きいわけで、Healthmapでみると、ブラジルはまっかっかなんですね。

デングのワクチンはまだ開発途上ですから、1次予防としては虫よけでさされない工夫をすることが第一になります。

長袖長ズボンの用意とか、虫よけスプレーは基本的なアイテム。

虫よけは「DEET」入りのものを購入するのですが、日本で販売されているものはDEETの量が少ないので、2時間おきにぬりましょう、という助言になります。現地でもっと有効なものを買う選択肢も渡航者には教えます。

あと、蚊帳ですね。かさばるので現地で購入をするのがベストですが、あるかどうかわからない。ホテルに十分そなえられているのか事前にメールできいておく(予約する)とか。かなりアナログ対策を複数がんばってくださいな現状です。


4月28日に英語メディアでニュースになっていたのはデング熱のワクチンです。

サノフィが開発するCYD-TDVのPhase 3の情報がWHOのサイトでも紹介されていました。


New York Timesでも紹介されているわけですが、米国内でも流行している地域があるために関心も高いのではないかと想像します。

臨床試験に参加したのは2歳から14歳までの子ども10,275人。インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムです。3回接種し、プラセボ群と比較。

" The results of the new trial are better than disappointing results announced in 2012 for a smaller Phase 2 study involving 4,000 children in Thailand. "とのことです。詳細は上記WHOサイトから。

だいぶ先の話ですが、、ワクチンが完成したとして、だれを対象にどのように誰の費用負担でするのかということが課題になりますね。

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