Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

ICAAC Online 本日からCases in Travel and Tropical Medicine

$
0
0
ICAAC Online 本日からは「Cases in Travel and Tropical Medicine: Interactive Problem Solving」です。

Speakerは以下の4先生。本Blogで載せる写真やグラフはこれらSpeakerの発表からです。

Jordan Feld
Christina Coyle
Naomi Aronson
W. Conrad Liles

トップバッターはFeld先生。Toronto Western Hospital

症例は・・
64歳男性。アルゼンチン出身の会社重役

主訴:
両側の足に力が入らない。特に遠位>近医

病歴:
・この5日間、時々足のParesthesiaと尿の色が濃いのに気づく
・発熱無し。頭痛も無い。何もない
・既往歴は豊富:腎移植(5年前)、糖尿病(腎移植の原因)、高血圧、ワインを沢山飲みます。
・Medication:Tacrolimus、MMF、Pred、Ramipril、Metformin

身体所見:
・バイタル正常。軽度黄疸。リンパ節腫脹無し。心肺腹部OK。肝臓のサイズは15cmでCastell’s sign陽性。(Castell’s siganとは患者をSupienに寝かせ、深呼吸させて脾臓を一番下まで押し下げた状態にして、RibCageの一番下の部分と左前腋窩線の交叉するあたりを打診します。もし脾臓が大きければ深呼吸の時に、この部位が鼓音からDullな音に変化します)


・その他の慢性肝障害の身体所見無し。
・神経所見は陽性:両側下肢の力が低下、L2レベルの右側とL4レベルの左側の触覚、痛覚も少し低下

検査:
・血算:血小板少し低下13万/mm3
・Creatinine:1.4(移植腎なら良いか)
・AST134U/L、ALT195U/L、ALP110U/L、Bil:2.8、INR:1.1
CK:normal, Autoimmune screen: negative

病歴2:
・Huntingを沢山したという病歴がでます。

鑑別診断:
・Guillain Barre Syndrome (感覚障害出てるので駄目)
・Trichinosis (CKが全く正常で駄目)
・E型肝炎 :良し
・Leptospirosis (臨床像が違う。もっとAcuteなので駄目)
・T.Cruzii (Acute Chagas病に神経所見無しだから駄目)

E型肝炎について
・移植患者では無症状から酷い肝炎までスペクトラムあり
・慢性型では免疫不全症例に多い。肝硬変に進む事もあり、その時にASTの上昇はマイルド。
・更に急性でも慢性でも2-5%では神経所見が出ます。神経所見はVarietyで脳炎、神経根炎、GBSなど。HEVが落ち着くと改善。
Kamar N, Bendall RP, Peron JM, Cintas P, Prudhomme L, Mansuy JM, Rostaing L, Keane F, Ijaz S, Izopet J, Dalton HR.
Hepatitis E virus and neurologic disorders.
Emerg Infect Dis. 2011 Feb;17(2):173-9.
PMID: 21291585

疫学:
・2割のUSA人工は感染している。特に米国のWest、Midwestの住人に多い。
・感染のリスク:ペット、農家、生に近い豚を食べる。(もスリムの方は低リスクだそうです)
・E型肝炎はZoonosisなのです。


・Genotype3のみが、この種の慢性肝炎を生じる。北米はこれ。



治療:
・Ribavirin mono therapy x 12 weeksが良い。


まとめ:
・急性肝炎は自然に治まる無症候性〜急性の肝炎。とくに高齢者、妊婦で重症化する傾向。大抵、途上国への旅行歴あり。
・慢性肝炎は全く違う臨床像。急速に肝硬変に進む事あり。特に免疫不全症例で問題。(臓器移植、HIV感染症など)このGenotype3による感染症は途上国への旅行などは不要。かえって豚肉の消費、農家などがリスク。治療はRibavirinを3ヶ月。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles