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Channel: 感染症診療の原則
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ICAACのLiterature Review 移植編#3

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移植関連のLiterature review、真菌感染症その他に写ります。

#7:アスペルギルスはbronchiolitis obliterans syndrome(BOS)の原因?
・仮説はアスペルギルスがBOSの原因だとして、そのコニディアの大きさが関係するか?」というもの。(小さいほうが気道の奥のほうまで入り込んで悪さをするのではないか・・)
・BOSの症例を2施設でFollowしました。
・結果は特に65歳以上の症例でコニディアが小さいほどBOAの原因になりうる・・というものでした。そして死亡率も高くなります。

Weigt SS1, Copeland CA, Derhovanessian A, Shino MY, Davis WA, Snyder LD, Gregson AL, Saggar R, Lynch JP 3rd, Ross DJ, Ardehali A,
Colonization with small conidia Aspergillus species is associated with bronchiolitis obliterans syndrome: a two-center validation study.
Am J Transplant. 2013 Apr;13(4):919-27.
PMID: 23398785


#8:アスペルギルスのエンピリカル治療は標準的(培養・組織像)で OR Biomarkerで?
・幹細胞移植の患者ではアスペルギルス感染症を「いつ、何を指標にしてエンピリカルに抗真菌薬で治療するか」は大問題。
・オーストラリアの研究者は、「通常の培養+組織像」に対して「Biomarker(ガラクトマンナンやPCR)」での診療、どちらが良いかを比較しました。
・ちなみに幹細胞移植の症例は皆、予防的にFLCZやITCZが投与されています。(=培養で捕まえ難い)
・結果としてBiomarkerで診療したほうが以下の特徴がありました。
1)エンピリカルな抗真菌薬の使用が少ない
2)死亡率は同じ
3)特に効果があったのはFLCZやITCZで予防投与をしている症例で効果が高かったのです。(確かに培養では出にくくなっているだろうな・・)

Morrissey CO1, Chen SC, Sorrell TC, Milliken S, Bardy PG, Bradstock KF, Szer J, Halliday CL, Gilroy NM, Moore J, Schwarer AP, Guy S, Bajel A, Tramontana AR, Spelman T, Slavin MA; Australasian Leukaemia Lymphoma Group and the Australia and New Zealand Mycology Interest Group.
Galactomannan and PCR versus culture and histology for directing use of antifungal treatment for invasive aspergillosis in high-risk haematology patients: a randomised controlled trial.
Lancet Infect Dis. 2013 Jun;13(6):519-28.
PMID: 23639612


#9:臓器移植で狂犬病感染
・臓器移植で狂犬病の感染がありうることは知られていました。
・今回は脳炎発症中の症例が狂犬病の診断を受ける事なくDonor(心臓、肝臓、腎臓)になりました。18ヶ月後、4人中、1人のRecipientが狂犬病を発症、狂犬病と診断されました。
・残りの3人のRecipientは早速、ワクチンを受け抗体が出来ます。幸い免疫抑制剤の使用にもかかわらず発症していません。
・Donorが狂犬病に罹患していてもRecipientが発症するとは限らないのかも知れません。

Vora NM, Basavaraju SV, Feldman KA, Paddock CD,ら
Raccoon rabies virus variant transmission through solid organ transplantation.
JAMA. 2013 Jul 24;310(4):398-407.
PMID: 23917290


#10:臓器移植によるHIV、HBV、HCVの感染を予防(ガイドライン)
・Donorのリスクを定量化の努力です。
・1994年のガイドラインではHIVのみにFocusしていましたが、2013年の新しい版ではHIV/HCV/HBVが対象となっています。
・極めて具体的でMSM歴1年、IDU歴1年、売春歴1年・・といった感じです。
・DonorはHCVについて核酸の検査を全員うけるべきといった内容もあります。詳細は下記をどぞ。

Seem DL, Lee I, Umscheid CA, Kuehnert MJ; United States Public Health Service.
PHS guideline for reducing human immunodeficiency virus, hepatitis B virus, and hepatitis C virus transmission through organ transplantation.
Public Health Rep. 2013 Jul;128(4):247-343.
PMID: 23814319

(タイトル写真:つい、使ってしまう、この写真。水戸藩はプロレスが盛んなんですね、黄門様・・リングの奥には症例検討会用のFolderが並んでいる・・)

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