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Channel: 感染症診療の原則
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製薬会社との接点 いま昔

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全国各地大小の病院とたくさんの接点を持つ仕事のためいろいろなことを知りますが、この関連の対応やルールがばらばらである、ということを最初に書いておきたいと思います。つまり、医療が、医師が、と過度な一般化が出来る話題ではないということです。
また、質が保たれている訳ではないという事実もあります。

製薬会社も外資と国内でカルチャーがかなりちがいます。様々な規制が行われる前から、ルールを遵守することを末端に徹底しているところもありました。

病院で言うと・・・製薬会社の影響は、カレンダーやボールペンの排除にいたるまで徹底されており、部長クラスのアポイントメントは1カ月前にする、研修医とMRの接触禁止、治療薬に関する医師への説明は、DI部門の筆頭薬剤師がする(宣伝ではなく、エビデンスにもとづいた話を聞く)というところもあれば、公立のかなり有名な病院の、一般外来に患者さんにまじって、MRが多数座って医師が通るのを待っている、研修医主体の院内勉強会に製薬会社がお弁当をもってあらわれる、、というところもあったりします(今でも)。

個々人の判断の話と、教育プログラム、病院としての姿勢が問われる部分とありますので、それぞれでご検討いただければとおもいます。

これまでにしてきた提案と工夫の例:

特定製品プロモーションの勉強会には関与しない(活用される立場にならない)。というか、もちあげないのでそういったお誘いはゼロですが。

たとえば、ワクチンで言うと、○○ワクチンを扱う会社の○○ワクチンの勉強会はしません。予防接種全体や、子どもの感染症全体の勉強会は企画できます。参加者が話のなかで特定講師の特定講義のなかにコマーシャルバイアスがかかっている、と受け取られるような内容にならないよう事前に打ち合わせをします。

若手医師セミナーは特定の薬剤についてではなく、初期研修医が2年の間に学びたいことのペースメーカー的役割がミッションであり、院内や地域でこうしたことを自前で展開するモデルをめざしてはじまりました。
薬剤師向けのセミナーは、チーム医療のための薬学部で十分学習していない病態生理について症例ベースで学びながら、医師と同コラボレーションをするのかということがテーマです。

製薬会社とのコラボレーションの際には、情報提供として15分ほどの製品説明があります。
これは逆に入れておかないと協賛についてルール上問題になりますので、必要があって入っています。

情報交換会の廃止:ホテル等で立食Partyがありますが、これは不要。→終了後の交流会は参加費制で。
お弁当は本当に必要か?を検討する:食べない人もいるし、余れば廃棄になることも。食べたい人は持参すればいいのでは? 午前午後にまたがるセミナーの場合要検討。
飲み物:社会をみわたすと、通常の会議でも出るものなので許容範囲と判断。
会場費:大規模セミナーにすると費用がかかる →共同運営者のなかに会議室や講堂を使える人がいればそれを無料か低額で借りる。
講師謝金や交通費:遠方から人をよぶとお金がかかる →地元の人材を駆使して(ネットワーク強化になります)
資料の印刷や配布:PDFでデジタルで提供し、欲しい人はダウンロードにすると紙の無駄や費用をおさえられます
タクシーチケット:講師等、妥当性のある人に必要最小限(受け取り禁止の医療機関も多いです)

メモやボールペンまで廃止という勉強会もありますが、当方で準備ができないのでそこまで管理はしていません。


スゴい決意をしなくても、できることはいろいろあるのではないかとおもいます。

なるべく使うな、的な話をする(時に自社製品を批判する)立場に企画をもってくる人たちが全体として希有な訳で、巨額が動く学会や承認案件などとは疎遠であり(社会性に欠けるともいう)、お誘いいただく方には「社内でリスクをおいませんか?他の講師紹介できますよ」という会話は当然のことながらしていますし、継続案件も、次年度以降はいつでも他の人にやってもらってもかまいませんよ、という話は毎年しています。

継続が目的化すると企画はねじまがるので。理想は、各地で、身近に皆が負担なく学べることです。

それでも運営できるのは、多くの人がリスクや条件を理解し、協力してくださるからであり、また、そういった企画ならばと足を運んでくださる先生方がいるからであります。ありがとうございます。


上記のようなことが、なんだか分からない・・・という方は、一般的に語られていること等を見渡すとよいのではないかとおもいます。

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ダイヤモンド「接待に続き売り上げ目標も廃止か 法令遵守で変わる製薬営業職」

"大学病院などの大規模病院では、夕方になると、職員通路にスーツ姿の男女がずらりと並ぶ光景が見られる。

社名の入った名札を胸につけ、早歩きで行き交う医師らに会釈を繰り返す。初めて見る人には奇異に映るだろう。
列をなしているのは、MR(メディカル・リプレゼンタティブ、医薬情報担当者)と呼ばれる製薬会社10+ 件の営業職だ。

MRは、かつてプロパーと呼ばれた。由来は「プロパガンディスト(宣伝者)」。そう呼ばれた時代は医薬品を売り込むために滅私奉公して医師に尽くすという、苛烈な営業が行われた。

「毎晩、一人十万円を超える高級酒場で医師を接待し、休日は大学教授の奥さんの買い物に同行し、犬の散歩や洗車まで行った」と当時を振り返るプロパー経験者。「学会ともなると、医師のためにホテルや交通費も会社負担で用意し、発表用のスライドもすべて無料で作成した」という。"


これはかなり凍りました。
「私の過去 製薬会社時代」

"この”○○ラート○錠”は、高血圧や狭心症の最新治療薬として、当時は画期的な製品としてドクターの間でも定評があり、いわば製品力で、放っておいても売り上げは、ある程度は上がっていた。
しかし、今度の”○○○キサン”は、そうはいかない。ほぼ完全にMR個々人の実力で売らねばならない。 さあ、たいへん!これからが、いわば本当の地獄の1丁目であった。"


"製薬業界は4月から自主的に接待規制を強化し、MRは医師への接待が実質的にできなくなった。「医薬情報活動に伴う飲食の提供」は金額が1人当たり5000円までに制限され、「医薬品説明会に伴う茶菓・弁当10+ 件代」は1人当たり上限3000円。先方の経費を負担する娯楽(旅行、観戦、観劇、ゴルフ、釣りなど)は禁止された。"


2013年8月ミクスオンライン「説明会の弁当代 下落傾向 関東で1500円前後が増加 最多価格帯は2000〜2200円」

医学界新聞連連載 「ともに考える 医師と製薬会社の適切な関係」

"ある新人女性MRは,「医師が弁当を食べている前で,自社製品の説明をするという状況には,いまだに慣れることはできない」という困惑を述べています。このような戸惑いの感情は,新人だけでなく,異業種から転職してきたMRたちからも聞かれました。

 それに対して,かつて「プロパー」と呼ばれ,プロモーションコードなんて全く存在しなかった時代から活動してきたベテランMRたちは,「医師との関係は,昔と比べると著しく適正化された」と考えています。その一方で,医師はその変化に応じて行動を変えていったのに対して,製薬業界は過去の慣行を捨てただけで,新しいビジネスのスタイルが確立できていないために,何をしたらよいかわからずに迷走しているという,興味深い意見もありました"


「私が製薬会社の弁当を食べない理由」

"例えば、いわゆる病院の「勉強会」である。
各メーカーが自分のところの薬の宣伝をする時間に弁当を出すのだ。
たいていは、その地域で最も高そうな仕出し屋からの弁当で、1000円以上で3000円くらいのものもある。
では、計算してみよう。日本で9000の病院があって、その病院で、それぞれの科の勉強会も含めて、1病院月2回と少なくみつもって、参加人数が20人として・・・"


「医者と製薬会社の関係

"僕ら医学生も実習しているとこの説明会に出てくれといわれます。これ結構うれしいんですよ。何故かわかります?なんか薬の説明なんていかにもダルそうじゃないですか?実際ダルいんですけど…弁当が出るんです。それも、かなり豪華な("▽"*)"


弁当会と製薬会社

"僕たちポリクリ班の中でひそかに使われているこの通称コード
弁当会とは薬剤説明会のことで、製薬会社が自社の製品のPRのために大学の医局ごとに説明しにくることなんです。お昼や夕食を食べながらでいいからうちの製品を聞いてくれ!って感じでお弁当を持ってきていただいてます。ほんと申し訳ないのですが、僕たち学生にとってはありがたいお恵みの弁当なんです。"


「11/17 薬の説明会」

"そんな感じで薬の説明会は「寄らば大樹」なわけ
高価な弁当に付録にと至れり尽くせりで医者に何とかして自分の会社の薬を納品してもらう接待的テンションなのか?
はたまた医者は単に踊らされているだけなのか??わからない勢力構図がこんなとこにもありそうだ "


「今日も製薬会社の営業マンさんが御弁当をごちそ うしてくれました(^-^)v 」

"製薬会社は名古屋にあるそうで東名高速でわざわざ御殿場ICで降りて御弁当を持ってきてくれました あけてびっくりすごいですよ このボリューム "

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いろいろな問題が報道されるたびに向けられる視線のなかに、どうせ○○なんだろう?というものが含まれるのもしかたない現状があること前提にした努力になります。


ちなみに、、、、
青木編集長が一番身の危険を感じたのは、昔、ある企画が終わって挨拶をして関係者と別れ、その会場だったホテルの部屋に戻ろうとしたときに見知らぬ女性がエレベーターに乗ってきて、さらに部屋の前までくっついてきたことだそうです。そりゃ耐性菌よりコワイ。

(・・昔を知る人たちに言ったらあまりおどろかれませんでした)

他の国は?ですが、テレビコマーシャルで商品名そのものを連呼することのできる米国から、オランダのように製薬のプロモーションを国が規制しているところもあります。
そこでは医師には薬剤師が説明をしているということでした。

Managed competition in the Dutch Health Care System: Preconditions and experiences so far
Legislating Low Prices: Cutting Costs or Care?
Regulating pharmaceuticals in Europe: striving for efficiency, equity and quality

Understanding and Responding to Pharmaceutical Promotion

ステークホルダーとして、議員、メディア、そして一般市民が重要になっている昨今、村の掟でなんとかなるという上司のもとだとリスク管理になってないかもしれません。

最近はICNを廊下で待っているサプライ関連の人たちも増えているそうです。
Selling Sickness conference is putting “People Before Profits”

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