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Channel: 感染症診療の原則
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沖縄県立中部病院 Day#2

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本日の症例検討会
Presenter:PGY1のI先生:

東京都在住99歳woman
(Tierney先生のお陰でFemaleという表現は無くなりました。「Female何? Cat ?」と切り替えされるからです)

主訴:喘鳴でER受診。気管支拡張剤で軽快帰宅。少し下肢に浮腫

現病歴:
・2週間前、9日前にも喘鳴気管支拡張剤(β刺激剤+SH)で軽快帰宅。
・3日前に38℃の熱でERへ。URIとして解熱剤で帰宅、その後は微熱のみ
・入院当日:体温は38度+水様便2回
・Pertinent negative:悪心・嘔吐といった上部消化管症状、悪寒旋律、Sick Contact、鶏肉・乳製品摂取歴などは無い。

既往歴:
中等度〜重度の大動脈弁狭窄症で心不全を繰り返している。

身体所見:
・General: slight sick
【V/S】E3V2M5, BP 130/70mmHg, PR 102/min, RR 30/min, BT 37.7℃
SpO2 97% (RA),
【HEENT】Eye: not anemic, icteric, no petechiae
【Neck】supple, no neck stiffness, no LNs, no mass, no goiter
【Chest】Wheeze ?°/no crackle
【Heart】RRR, Normal S1 and S2, SEM ?/? on apex
【Abdomen】BS normal, flat and soft, mild tenderness
【Back】no CVA tenderness, no spine tenderness
【Joint】no tenderness/redness/swelling
【Extremities】no erythema, no edema, no peripheral signs
【Skin】no rash, decubitus, 仙骨部軽度発赤のみ
【Rectal】粘液性便(カンファ後に膿性痰のような膿性便と知らされる), No mass, no blood

検査:
・適当に異常。特に白血球は2万以上(好酸球は無し。)腎機能、CRPなど多少異常。
・CXR:急性の変化無し(編集長には心陰影大きく見えた。心嚢炎?とも考えた)
・胸部、腹部CT:異常無い(腸管の浮腫なども無い)

編集長の思考(1):
・呼吸器、心臓、腸管と複数臓器にきている
・喘鳴はOccasional。でもASの心不全で説明できる筈。
・感染症なら以前からある喘鳴や心不全を含めて臨床経過は亜急性〜慢性的の微生物だろう。
・水様便は非特異的所見。心不全の腸管浮腫か、AS起こすほどの腸管虚血。中心的病像か?
・CXRで肺に異常陰影無しと言われるまでは、気道の結核→喘鳴+結核性心外膜炎→心不全+腸結核→慢性的下痢かな?

編集長の思考(2):
・ここで便中に白血球多数との情報(水様便と言ったのに・・!!)キャンピロ疑いの抗菌薬がAgendaに。
・「これがキャンピロだったら感染症専門医を辞めて今日、東京に戻る」と豪語していた編集長。
早速、東京に戻る用意を開始し始める。

編集長の思考(3):
・ここで血培で連鎖球菌が2セット中1セットで陽性との情報。ええ?心内膜炎かよ?
(正確には、Streptococcus infantarius (Formerly S. bovis II/1) でした)
・どうしてならば2セット中2セットでないのだ?
・「ねえ、T先生違う?」
・T先生:まあ落ち着いて。まだ終わってないから・・
・編集長:水様便といっていたのに、便中白血球++。下痢の鑑別してたら心内膜炎?

編集長の思考(4):
・ここで下痢鑑別の3軸(市中Vs病院、大腸Vs小腸、急性Vs慢性)を紹介。市中で大腸型でセミ慢性的な感染性下痢症の原因として結核、時に寄生虫(原虫+糞線虫)などを鑑別に・・

正解:糞線虫症に伴う喘鳴。ASと心不全の既往は赤いニシンでした。

この日は昼に「免疫不全者の感染症」の講義、そして夕方からは重症SLEとCMVの感染症の症例相談。とDay#2でかなりばてた編集長でした。

(写真:この中にPresenterが居ます)


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