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Channel: 感染症診療の原則
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HPVワクチンとその周辺 2013年12月 その2

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「積極的接種勧奨の差し控え」のあいだに調査をした結果をもとに今後の方針が決まるのが今月の会議なので、周辺情報を整理して行きたいと思います。

HPVワクチンについて、鎌倉市が3060人を対象に行った調査の結果が市のHPに掲載されていました。

回収率は58.7%。 接種後に体調の変化があった 818人。 なかった977人。
(このような調査では積極的に何かいいたい人が回答をしやすい傾向があるので、接種率による影響などを常に考慮します。あまり関心がない、アピールしたいことがない人は答えない傾向。)


体調変化のうち、一番多いのは接種部位の痛みとかゆみで659人。次が部位の腫れ、あかみ で493人。
だるさ、疲労感、脱力感は162人。
手足の痛みは48人。頭痛22人、,と続きます。その他のところに30人筋肉痛や腕が上がらないという回答があります。

体調変化のあったひとのうち、787人(96.2%)は症状は回復。現在もあるは11人(1.3%)。現在もある、の11人のうち6人は生理不順。痛みかゆみは5人。

受診した人は28人。現在も通院中は4人。

自由記載は47件あり、多様です。関心ある方はぜひお読み下さい。

この情報をもとに読売新聞と東京新聞が記事を書いています。タイトルや内容について、見比べながら読むと3次情報の特徴や課題もみえてきます。

読売 子宮頸がんワクチンで体調変化、45%…鎌倉市
東京 子宮頸がんワクチン接種1795人回答 45%が体調不良訴え


最近の海外のニュース:

カナダ 男子への接種拡大(アルバータ州)
カナダでは各州の自由度が高い予防接種制度ですが、、行政単位としては2つ目とのことです。
Alberta expands HPV vaccines to boys; 2nd province to do so after PEI


英国ではHPVワクチン接種率の最新データが出てニュースになっています。
Englandでは、3回接種完了をした対象は86%と高く維持されています。

実際、健診の受検率も高いですが、英国の場合は病気になったときに、日本のように自由に高度医療にすぐにかかれるというわけではないですから、予防に力を入れるのもうなづけます。
(米国が予防に投資をするのは、がんになったらその治療で破産してしまうような人も出てくるから、という説明もなるほどおもいます)

National HPV vaccination coverage remains high

英国でも男子に拡大という話題は出ているようですが。

米国は、、、TVかなにかで発言をした方ががん患者団体や専門家やメディアから批判されています。
誤解を解消するための小児科の先生達の動きはいつも速く、MedscapeにはOffit先生がコメントを動画で掲載していました。
HPV Vaccine, Katie, Cancer Prevention: Missing the Science

米国は接種率は依然あがらずにいるのですが、それでもワクチンタイプのHPVは接種世代で減っているというデータがでました。
Reduction in Human Papillomavirus (HPV) Prevalence Among Young Women Following HPV Vaccine Introduction in the United States, National Health and Nutrition Examination Surveys, 2003–2010


このワクチンのインパクトが大きいのは、スクリーニングの健診制度がない(医療者の数も足りないし予算もない)、がんの治療や緩和ケアも整ってない途上国ですが、GAVIやUNEPIなどのサポートのもとにパイロット的に導入して評価がおこなわれています。

婦人科病棟に入院する患者の87%が子宮頸がんであるというウガンダでは、パイロット評価ののちに2015年から本格的に導入が行われるということです。
12月14日のニュース Massive cervical cancer vaccination/a>

GAVIが
HPVワクチンのサポートをしている地域

英語以外の資料を留学生に手伝ってもらって読んでいるところです。

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