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Channel: 感染症診療の原則
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若セミ 感染症診療の原則 Q/A 

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若セミ 編集長の「感染症診療の原則」でお受けした質問と回答です。

#1:CRPが役立つときはいつ(どんな場面)ですか?
①他の炎症Parameterと異なる動きをする事が教科書的に知られている場合、その異なる動き方を利用。
・SLEの症例で肺炎。細菌性肺炎ならば上昇している事が多いが、Lupus自身によるPneumonitisでは、あまり上昇しないとされているので鑑別に使用。ただし鑑別が不明、細菌性肺炎が否定できない場合はCRP正常でも治療。
②慢性骨髄炎などひとつでも多くの炎症Parameterが欲しい場合。
③HIV感染症ではγグロブリンが非特異的に増加するため赤沈ESRが慢性的に亢進。このような場合に他の炎症のパラメータが欲しい場合。
以上などがありますが、基本的にプロカルシトニンや白血球同様、「生体反応の一部を見ている」という限界をわきまえ絶対的に依存しないことが重要。


#2:非局在型病態は、除外診断の果てと考えてよいのですか?常に非局在型を考慮に入れる必要があるとしたら、どこら辺りから、この病態を考え始める、具体的な基準はあるのでしょうか?
・非常に良い質問です。
・はっきりとした数字は申し上げられませんが、細菌感染症は、大雑把に「数日」以内には局在化するといった印象があります。もっと短い場合、もっと長い場合もありますが・・。
・いずれにしても常に局在化の症状・所見を探し続ける事が重要です。


#3:プロカルシトニンの位置づけなどは?
・良く分かりません。細菌感染症の有無判定、抗菌薬の中止可能性の検討などに関する利用価値が報告されています。
・ただし最近の症例ですが、プロカルシトニンが全く正常 + インフルエンザの迅速検査が陽性の筋肉痛の症例。インフルエンザによる筋肉痛と判断されましたが壊死性筋膜炎で死亡された症例がありました。プロカルシトニンよりも呼吸数、心拍数に注目したかった症例です。
・プロカルシトニンもCRPと同様に「生体反応」に絶対的な信頼を置くと危険です。


#4:肺炎で痰の嫌気性菌培養を行うことは意義があるのでしょうか
・喀痰の嫌気性培養は通常の細菌室のProcedureではありません。行わないのが基本です。
・嫌気性菌を疑う、治療するは臨床的判断となります。


#5:呼吸数の計りかた。呼吸数を診る時、脈をとりながら患者さんのお腹、肩を見たりするのですが、なかなかうまく数えられません。先生はどのようにされていらっしゃいますか。
・私も「脈をとっている」と話し、更に「寝て下さい」と話します。主にお腹の動きをみます。


#6:感染症診療の原則について高齢医師の理解が得られない。
・私も父を説得できませんでした。
・一定の努力をして駄目ならば、単位エネルギーあたり、より効率のよい仕事をなさって下さい。


#7:鑑別診断力の強化法
・咽頭炎とリンパ節腫脹に対する鑑別を挙げる事が出来ません。
・先生のようなAssessmentが出来るようになるには、自力で一つ一つの疾患について調べ直すか、キーワードを入れたらすぐにわかるようなリストが世の中にあり、それを利用すべきか、アドバイス頂けたら幸いです。
・自分が尊敬する総合医、救急医達は、その都度、重要と思われる臨床像に対する鑑別診断をノートにまとめたりしながら進んでいるようです。
・実際の症例検討会などでRole modelとなる先生がたが、どの臨床像に注目されて鑑別診断を挙げるか・・。これを繰り返し学ばれる事です。


#8:エキノキャンディン系の使い分け
・ミカファンギンMCFGとカスポファンギンCPFGの使い分けはあるのでしょうか?
・米国のガイドラインでは「基本的に同じ」という理解で良かったと思います。多くの施設は値引率などで採用を決めているようです。
・論文はCPFGが多いので、それをMCFGに応用して良いと思います。

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