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日本帰りの風疹症例 台湾

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台湾CDCが4月8日に今年1例目となる風疹症例について発表。H7N9と一緒に台湾CDCのトップページをかざっています(とほほ)

「日本渡航歴のある35歳女性。妊娠(―)。
疫学チームは160名の接触者を調査したところ、48名の妊娠可能年齢が含まれていたが、妊娠しているのは1例のみであった。この妊婦は妊娠11週で、風疹の免疫が確認された。」

風疹の免疫のない妊婦や、風疹の免疫のない乳児(1歳未満)は風疹流行地(はっきりいいまして、日本のことです)にいかないように、という再度のアラート。

ちなみに台湾の予防接種スケジュールでは、1歳と小学校前に2回接種するのは日本と同じ。日本はMRですが、台湾はMMRワクチン。ムンプスも流行抑制。

その接種率は98%
すごい。オランダなみ。

:
Taiwan CDC stresses importance of timely childhood vaccination and advises infants below one year of age and pregnant women having little or no immunity to rubella to avoid visiting endemic areas as this year’s first imported rubella case confirmed( 2013-04-09 )


On April 8, 2013, the Taiwan Centers for Disease Control (Taiwan CDC) announced this year’s first rubella case.
The case is a 35-year-old female who resided in northern Taiwan.
During mid-March, she traveled to Japan for sightseeing. Two weeks after she returned to Taiwan, she developed symptoms pertaining to rubella, including rashes, swollen lymph nodes in the neck region, joint pain and conjunctivitis.
When she sought medical attention, she was immediately reported to the health authority as a suspected rubella case and the infection was later confirmed by Taiwan CDC.
As of now, the case has fully recovered. According to the epidemiological investigation, the case had not come into contact with a case of rubella before she visited Japan and a number of rubella cases had been reported in Osaka, Japan.
Hence, it was determined that the case might have contracted the disease overseas. To prevent further spread of the disease, the health authorities has implemented a number of prevention measures and compiled a list of 160 contacts to monitor and follow up. Currently, none of the contacts has developed any suspected symptoms.

Taiwan CDC points out that in pregnant women who have no immunity to rubella, rubella infection can result in stillbirth, miscarriage or serious birth defects such as congenital deafness, glaucoma, cataracts, microcephaly, mental retardation, and congenital heart disease. Of the 160 contacts, 48 are women of child-bearing age and only one of them is pregnant (11 weeks pregnant) who was found to have immunity to rubella during her prenatal examination.

Rubella is more common in winter and spring. People can become infected through contact with the nasal secretions of rubella patients such as droplets in the air, or through direct contact with the patients. As rubella is highly contagious, a patient remains infectious one week prior to developing rashes to four days after developing rashes. Therefore, Taiwan CDC urges women of childbearing age to receive one free dose of MMR (Measles, Mumps, Rubella) vaccine or get tested for the presence of rubella antibodies in their blood at least three months before getting pregnant to ensure immunity against the disease. Pregnancy must be avoided for at least 3 months after the vaccination.

According to global disease surveillance data, rubella remains endemic in Japan. As a result, Taiwan CDC advises infants below one year of age and pregnant women having little or no immunity to rubella to avoid traveling to endemic areas. In addition, people who plan to visit Japan for viewing cherry blossoms or sightseeing, including preschool children aged between 1 and 6 that have not received the MMR vaccine and people aged between 20 and 50 that will come into contact with pregnant women and infants below one year old after returning to Taiwan, are recommended to visit the travel medicine outpatient clinic at one of the 12 contracted hospitals providing travel health services and pre-travel vaccinations to determine the need for vaccination. For more information, please call the toll-free Communicable Disease Reporting and Care Hotline, 1922, or 0800-024582 if calling from a cell phone, or visit the Taiwan CDC’s website at http://www.cdc.gov.tw.


疾管局公布今年首例赴日感染?國麻疹案例,呼籲家中幼兒應按時接種疫苗,1歲以下之嬰幼兒及不具?國麻疹抗體之孕婦,避免前往流行地區


身体診察の次は小学校の必修科目

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教え子に恵まれた編集長。
教師冥利に尽きる・・といってられない位教え子が、次々と本を上梓しています。
(本日、須藤先生らによるサパイラの身体診察の本の書評を終えたばかりなのに・・)

今度は「もしも心電図が小学校の必修科目だったら」医学書院です。
著者の香坂俊先生は大学を卒業後、米国海軍病院で研修された後、当時の某国立○○医療センターで編集長と重なりました。

非常に印象に残る青年で、新宿の赤提灯で一杯やっていると、突然、「どうして皆、EBMをやらないのですか?」と来た・・!!
編集長、さっと酔いが醒めて、「そそそ、それは君、、、。うんまた、今度、説明しよう」

その後、彼は米国で極めてCompetitiveな循環器Worldに10年近く在籍し、恐ろしく大量の資格と経験をひっさげて帰国したのであります。

使える教え子は全員使う方針の編集長。早速、若手医師セミナや薬剤師のセミナの講師をお願いしました。

そして香坂先生に「自分の専門領域の世界観」を簡単に提示するようAdviceしたのです。

難しい説明は誰にでもできるのですが、小学生にでもわかるように、短く簡単に説明するには力量が要ります。
「今日は時間が無いので長文です」と手紙を書いたのは太宰治だったかな・・。

太宰顔負けのハンサム先生が解説するEKGの本。皆様、よろしく!!

湘南藤沢徳洲会病院に行って来ました

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10年以上のお付き合いとなる旧「ちがとく」こと、湘南藤沢徳洲会病院に行って来ました。

新しい研修医達に「原則」を伝道するためです。

皆、熱心に聞いてくれました。

それにしても12人の名前を記憶するのって、30人のそれに比べて本当に楽ですね・・



編集長、頑張って2時間半話しましたが、終われませんでした。
次回、Finishして、それから結核の話の予定です。

ああ、そのまえダリワル先生の通訳もあったな・・

皆、無事に一年を乗り越えますように・・




MRワクチン足りるの? と その周辺 (風疹啓発のなかの戸惑い)

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厚労省の風疹ページには、MLなどで話題になっているMRワクチンの在庫情報が掲載されています(4月10日掲載)。
「啓発するのはいいけど、在庫不足にならないのか?」という心配がとびかっていましたので、参考になりますね。
厚労省がこういった情報を公開してくれるのは本当にありがたいです。

下記のページにあります。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/


色でハイライトしているのは、編集部の好みではなくて、今回の更新で新しくなったところです。参考までに。


このページは厚労省のトップページからさがすとなると7クリック。でもたぶん適切に選べないのでいったりもどったりするのでさらに何クリックか増えますね。

ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 健康 > 感染症・予防接種情報 > 麻しん・風しん > 風しんについて

うーむ。

Googleで「風しん」で検索すると、Wikipedia→東京都→台東区→厚労省 風しんについて
Googleで「風疹」で検索すると、1ページ目ではみつからず。
Googleで「MRワクチン」「供給」で検索すると、1ページ目ではみつからず。

供給量のところについては、皆様ご所属のML内で上記リンクで紹介をすると共有したほうがよさそうです。

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1 一般の方向けの情報

風しんの報告数が急増しています。〜首都圏の報告数が特に多くなっています。〜

昨年2,353例の報告があり、過去5年間(平成20年〜平成24年)では最も多い報告数となりました。今年は3月末時点で、既に昨年の報告数を上回り、全数報告疾患となった平成20年以降、最も早いペースで報告数が増えています。
昨年の報告によると、首都圏や近畿地方での報告が多く、患者の7割以上は男性で、うち20代〜40代が8割を占めました。今年も、同様の傾向ですが、特に首都圏での報告が多く、他の都市でも増加傾向にあります。
平成23年度の国の調査では、20〜40代の男性の15%(20代8%、30代19%、40代17%)が風しんへの抗体を持っていませんでした。
一方、20〜40代の女性の4%が風しんへの抗体を持っておらず、11%では感染予防には不十分である低い抗体価でした。
抗体を持たない又は低い抗体価の妊娠中の女性が風しんにかかると、赤ちゃんに難聴や心疾患、白内障や緑内障などの障害(先天性風しん症候群)が起こる可能性があります。
昨年の流行の影響で、平成24年10月から平成25年3月末までに、8人の先天性風しん症候群の患者が報告されました。
妊娠中の女性は予防接種が受けられないため、特に流行地域においては、抗体を持たない又は低い抗体価の妊婦の方は、可能な限り人混みを避け、不要不急の外出を控えるようにしてください。また、妊婦の周りにいる方(妊婦の夫、子ども、その他の同居家族等)は、風しんを発症しないように予防に努めて下さい。

具体的には


<風しんの定期接種対象者は、予防接種を受けましょう。>
【風しんの定期予防接種対象者】
1歳児及び、小学校入学前1年間の幼児は、多くの市区町村において、無料で受けられます。

また、妊婦を守る観点から、
特に、
 (1) 妊婦の夫、子ども及びその他の同居家族
 (2) 10代後半から40代の女性(特に、妊娠希望者又は妊娠する可能性の高い方)
 (3) 産褥早期の女性
のうち、抗体価が十分であると確認できた方以外の方は任意での予防接種を受けることをご検討ください。



接種ワクチンについて

風しんの抗体価が低い人は、麻しんの抗体価も比較的低い傾向が見られることから、風しんの予防接種を受けられる場合は、麻しん対策の観点も考慮し、麻しん風しん混合ワクチンを接種されることをお勧めしています。

風しんの単独ワクチンの需要量は例年少なく、今年度の供給量も限られていますが、今年度の麻しん風しん混合ワクチンの供給量は十分である見通しです*。

予防接種の実施医療機関については、かかりつけ医やお近くの小児医療機関のほか、最寄りの保健所にお問い合わせください。


*風しん単独ワクチンの供給実績

平成22年度:約7万回接種分
平成23年度:約7.5万回接種分
平成24年度:約15万回接種分


*平成25年度の供給見込み

風しん単独ワクチン:約17.5万回接種分
麻しん風しん混合ワクチン:約360万回接種分(定期接種として約210万回接種分の使用を想定)

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*平成25年度の供給見込み

風しん単独ワクチン:約17.5万回接種分
麻しん風しん混合ワクチン:約360万回接種分(定期接種として約210万回接種分の使用を想定)

東京都などの補助でどれくらい接種者が増えたでしょうね。

東京みたいになってからでは遅い!ということに気づいている自治体はすでに対策をはじめています。

成人の風疹ワクチン補助を始めた他の自治体は、ほかにもあります。

千葉県浦安市石川県小松市なども

なんでうちの地域はしないんだろうなー?とつぶやく前に、担当部署(感染症対策部門、保健所の)に電話やメールをし、市議会議員や県議会議員に連絡することが必要です。

そこに、感染症から地域を守ろうと動く人がいたかどうか、その時期がいつだったかで、影響を受ける人の数が変わってきます。

英国では心内膜炎の予防投与は何に対してもやらない!

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NEJM最新号に心内膜炎のReviewが載っておりました。
N Engl J Med 2013;368:1425-33.
早速、勇んで読みましたが、ほとんど新しい事は無い事がわかりとても安心。

やはり臨床家は定期的に「ほとんど新しい事無し」を確認するのが仕事ですね。

師匠の喜舎場先生曰く、「臨床医は二番煎じが大事」。新しいのは危ない、危ない。

本当に編集長にとって新しかったのは、英国では心内膜炎の予防投与は何に対してもやらない事・・

NHSの国です。基本的にしっかり自分の行動・決定に疫学的Monitoringする国ですからやれますね・・

どこかなんて、ワクチンの二回うちを根拠レスに始めると、根拠レスに続けて、根拠レスに辞められない、そして、ある日、根拠レスに辞める。


市立堺病院の研修医の諸君です。↓

明日は亀田で通訳

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もう、かれこれ何年のつきあいになるでしょうか?
John小林と編集長 go back far away.

いつも、にこやか、穏やか、平和で、冷静、そしてSharpなジョンコバ事、John 小林先生は日本の実地疫学の父(本人は叔父さんという)

彼が明日、講演するので通訳として使用して頂く事になりました。
(最近、本業よりも通訳が多い・・?)

なつかしの細川先生やオーストラリア帰りの林先生にもお会いできます。



勿論、病院疫学者、吉田眞紀子先生にも・・

さあ、明日の旅立ち前にEKGの本を読まなければ・・

感染症データのトリセツ その3(H7N9)

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H7N9は公表されている以上にすでにいろいろなことが把握されているのでありますが、まずは公表されている情報くらいは正確に読んで、コミュニケーションの際に反映するのが誠実さではないかと思うのであります。

日本のメディアだけみているとよくわからなくなるのはいつものこと。

昨日はウイルスが日本に届きましたっ!というやや興奮気味のアナウンサーが(ウイルスや感染症よりも)怖かったです。

そんなに興奮しなくても中国CDCは(今回は)情報を隠しているのではなく積極的に公開しているように見えます。見えるだけかもしれませんが。

H7N9のウイルス遺伝子情報 はこちらのデーターベースから
GISAID

遺伝子情報についてあれこれ語るには訓練やお作法がいるので当ブログの能力を超えるのでやめておきます・・・。

もう少し、臨床関係者の役にたちそうな話としては、、、、、

アウトブレイク対応のときに何をするかというプロセスを学びますね。
そこから考えてみましょう。


まず、「症例定義」を決めて(広くくくるか、狭くくくるかは感染症や状況によります)、「症例」を集めてきます。

で、次にするのはラインリストの作成。
実はもっと細かい情報がありますが、公開されているのは下記のような内容。

症例のラインリスト

ここで何か気づくことがあれば。記述疫学にいかします。

注意がいるのは、オンゴーイングの症例なのか、積極的疫学調査でひろっている後ろ向き調査の中で把握された症例なのか、です。

ベーシックなところでは、ひと・とき・ばしょ の偏りがないかなーです。
場所は地図であらわします Googlemapなどを使うと集積している地域やひろがりがみえます。もっとも病院からの報告だと特定地域になってしまうので、住んでいたところとかどの情報かが重要。


人は性別や年齢、特別な曝露のある集団か(生きた鳥を扱う市場で働いている!とか)。

そして、エピカーブ(えぴでみっくカーブ)をかきます。

症例数だけぼんぼんとのぜていってざっくり全体像をみることもできますし、
それぞれに色分けや斜線などを駆使して、同じ5人でも、重症、軽症、無症候とわけてみたり、
同じ10人でも男女でわけたりと工夫ができます。

見栄えはあなたのセンスしだい!

こちらは感染症専門の機関ECDCがつくったもの。基本にのっとり美しいです。
今回重要なのはOnsetです。発症日。

日本のニュースが報道した日ではりません。



ECDCの分析はとても参考になるので、H7N9情報がほしい人は毎日みておくといいとおもいます。


インフルエンザなのに子どもの症例がいない(把握されていない)ですね、、、という指摘あり。

予測されていた「予測できない病」

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Flu, Epi関連は編集部が専門なので、編集長は地味に臨床を続けますが、まあ、一言だけ。

このタイトルの写真は以前、イラクで戦争してた国の国防長官が記者会見で話した事を揶揄したスライドです。

国防長官曰く:
・「知ってる事がある(例:首都の場所)」と知ってる。
・「知らない事もある(例:大量破壊兵器の有無)」と知ってる。
・「知らない事がある」ことさえ知らない・・事もあるかも・・。
・もう 知らない!!


新しいインフルエンザ問題に示唆的です。多分、起きるだろうと「予測されていた」「予測できない病」を扱うという事でやんす。

Known Unknownsとしては・・
・罹患・発症しやすい年齢層
・Attack rate/死亡率
・流行期間、流行曲線の形、
・抗ウイルス薬の有効性・安全性
・合併症
・感染拡大防止策がどこまで有効か

これらが専門機関によりシステマチックに明らかにされるまで、臨床現場は日々の感染予防を守りつつ、心筋梗塞や外傷の診療を続けましょう。パンクしている医療現場の人手が成田に持って行かれない事を祈りつつ。



臨床医がFollowすると良いURLの案内が来ました。
http://www.nejm.org/page/influenza


H7N9 今週のまとめ 

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中東や中国から帰国してお熱が出て咳もあるよ、というひとはずっとまえから医療機関を受診しています。
(渡航歴を伝えているかどうかは不明ですがー)
軽症ならお帰りになりますし、肺炎とか重症感があって入院ならば、通常呼吸器感染症で行う感染予防策をOnにします。
現在は、この条件にあてはまったら保健所にお知らせ下さい、、ですのでお知らせもすることになりますが、2003年や2009年の反省を生かすならば、ここで人権問題につながるようなことのないよう、患者さんやご家族に必要以上の負荷を与えないようにするのが臨床の人の仕事でもあります。

医療者がオタオタ、アワアワしないためには、通常、「インフルエンザ様症状」の患者にどのような対応ができているか?が問われます。
患者さんは診断書をもって(遺伝子検査結果をもって)受診しませんしね。

いま、風疹が流行しているので麻疹の見落としがおきています。
インフルエンザインフルエンザ、、と緊張していると他の感染症や疾患を見落とす可能性もあるので、ときどきチームの間で声をかけあって現況把握ができるといいですね。


そして、状況がよくわからないわ・・・というときは、情報源豊富で、判断力のある信頼スジ情報をみておくのが便利。
自分で全部1次情報を見渡しても、あまりに高度すぎてわからないから。

このような表に胸がときめくかどうかは人によります。

そんなときに便利なのがCIDRAPです。

H7N9ウイルスの遺伝子情報について

お。そこにJapanの文字。

"The Japan group's findings appear to echo the report from Chinese researchers yesterday that there have been at least two introductions into humans.

The Japanese researchers also detected mutations increase binding to human receptors, a key marker health officials use to gauge the infectivity of new flu viruses. They found that the two Shanghai strains and the Anhui strain had mutations that increase the binding of H5 and N7 viruses to human-type receptors.

One was the Q226L mutation, also flagged by Chinese researchers yesterday. It has been linked to the spread of respiratory droplets in ferrets and was a finding in two controversial studies―one by Kawaoka's group―in 2012 involving lab-modified H5N1 strains."
 
関心ある人は上のリンクをお読み下さい。

CDCが暫定のガイダンスを発表したのは4月11日(日本は12日)
Interim Guidance for Infection Control Within Healthcare Settings When Caring for Patients with Confirmed, Probable, or Cases Under Investigation of Avian Influenza A(H7N9) Virus Infection

など、最新情報みわたして、これみておいたほうがいいんじゃないかなというお勧め記事がならんでいます。

あとは、ECDC。リスクアセスメントを定期的に発表するので、よくわかっていないメディアの憶測記事を減らす効果も期待できます。
公的情報とか専門家個人的コメントしかないと、全体像がよくわからないので、あいまい〜かもしれないテンコモリ情報が流れてリスコミとしてもよくないです。

ECDCが12日に発表したリスクアセスメント情報 


こんなに美しく整然とした感染症情報をかいてみたい。英語で。

On 31 March 2013, Chinese authorities announced the identification of a novel reassortant A(H7N9) influenza virus isolated from three unlinked cases of severe respiratory disease in eastern China. This is the first time that human infection with avian influenza virus A(H7N9) has been identified.

アウトブレイクの状況が数行ですっきり。記述疫学の基本。ひと/とき/ばしょ。
場所は中国の東部 人は誰?重症の呼吸器疾患 とき、最初に「発表」されたのは3月31日。新しいインフルエンザウイルスが把握された、というアナウンス。

In light of this, ECDC issued its initial risk assessment on 2 April.

2日後には初期評価を発表。これはその10日後の2回目のアセスメント。

Since then, human cases have continued to be reported from eastern China.
As of 11 April, there were 38 laboratory-confirmed cases including ten deaths reported from four bordering provinces with a concentration of cases in and around Shanghai.

現在も報告は増えており、4月11日の時点では38例の「検査室で診断された」確定症例と、10例の死亡例が周辺地域含めて把握されています。上海との関連性に注目。

検査室で確認されていない、かもしれない例とか、元気なので受診していないひとたち(おそらくたくさんいる)はカウントされていません。
分母を超重症呼吸器の人にすると死亡率は超高くなり、
血清サーベイ等で市場で働く人をしらべて、けっこう感染しているんですね、ということがわかると分母がとても大きくなるので致死率の数字は小さくなります。


Cases occur sporadically, without obvious epidemiological links.
There is currently no confirmed human-to-human transmission.

明確な疫学的なリンクはなく、散発的に発生している(把握されている)。
ヒトヒト感染は現時点では確認されていない。

(仮に同じ家族内に症例がいても、全員が生きているトリを扱う市場で働いていたらなんだかよくわかりませんね・・・)

The updated ECDC risk assessment of 12 April concludes that the risk of the disease spreading to Europe via humans or through poultry is low at this time. It lists major developments since the initial risk assessment, as well as recommendations for the EU/EEA countries.

現時点では、ヨーロッパに人やトリを介して広がるリスクは低いです。

という評価。

日本は法律施行を前倒し。そんなことできるんですね。他の感染症の対策もそれくらいのパッションでおねがいします。

備忘録 2009年インフルエンザ騒動から学んだこと(H7N9・・でやらないように)

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公衆衛生ドクターのブログ ooyake 「上海帰りの肺炎」

冷静が何より。

ネットをみていると、ひとーり、ふたーりとかつての騒動時のように「把握されたヒト」を数えて。。なひともいます。
北京に飛び火!という表現も意味不明です・・。
調べれば患者は把握されると思いますし、先にやるべきは生きた鳥の調査や市場に対する介入ではないでしょうか。
(積極的疫学調査や臨床での検査導入などが以前よりも迅速対応になっているのかなという読みをできます)
このことは後述します。

ちなみに、H5N1でのヒトヒト感染は複数事例把握されています。直接の血縁関係(親子とか)など、状況からみるとリスクはとても限定されている、というのが目下の知見です。
もっとも、同じように病気の鳥にいたのだという場合は、ヒトからなのか鳥からなのかはわかりにくいわけですが。
遺伝子検査の技術の進歩で、以前よりはいろいろなことが早く検討されています。


さて。

日本では過剰反応をしやすく、ヒステリーがヒートアップすると、人権侵害がおき、最悪、ウイルスではなく暴言によってヒトが死んだりします。必要なのはその時点でとりうる最善の策(その都度ちがう、状況依存)であって誹謗中傷ではありません。

失敗事例「知識データベース 鳥インフルエンザ」
2004年「鳥インフルエンザ?自殺でも逃れられぬ責任」

「新型インフルエンザに関する報道」

加害者にならないよう注意しましょう。

病気になった人たちを「悪者にする」ストーリー展開はやめましょう。感染症対策から遠のくだけです。
安心して療養できるようにすることが感染症対策の基本ですから。
個人情報が漏れるなんて言語道断。


2009年の語りから学びたいものです。

【新型インフル】感染者や家族へ中傷やめて 神戸市が呼び掛け

「中傷のメール・電話100件…授業再開の洗足学園校長明かす」

「感染者に申し訳ないと言わせる社会の異常」

「インフルエンザ騒ぎの中の日本滞在」

「豚インフルエンザ 深夜の緊急記者会見」

「舛添さんの会見を見て〜残念なマスコミ記者たち」

「舛添厚労相の2年(番外編) 石岡荘十」

「集団ヒステリーとも言える新型インフルエンザ騒ぎは目立ちたがり大臣とマスコミが作り出したものだ」

「「インフルエンザ感染」は犯罪なの?最近のマスコミ報道に疑問を感じる」

「一貫性のないインフルエンザ報道」

「コンビニ受診OKですか?〜27日の厚労相会見〜」

「感染症の専門家4人が舛添大臣に苦言」

難しいウイルスの研究とか政策判断とかは専門家や行政の責任者の仕事ですが、いち市民としてできることもある、責任もあるということを次の世代にも語り継ぎたいと思います。

メディアは厚生労働省や大臣が真夜中に記者会見をしないからといって攻撃をしないようにお願いします。
そんな報道が流れてもいいことは何もありません。
感染しているかどうかを表現するときに「しろ」「くろ」というような言い回しはやめてください。


インフルエンザがはやってもはやらなくても、医療機関は通常業務をしています。
そこに「過剰に」負荷をかけるのもやめましょう。破綻しかねません。

病院入り口であっても患者さんたちにカメラを向けるのもやめてください。


そんなことより。

いずれ日本の鳥からH7N○が〜とか(今までも把握されていますし!)、ヒトが感染していましたね、ということは把握されると思いますが、時間の余裕のある週末などに知識の整理などをすることをお勧めします。

ヒトと動物のインフルエンザについて復習します。
北海道大学の喜田先生のスライドで勉強させていただきます。

2010年 北海道獣医師会根室支部特別講演会 「鳥、ブタ、そしてパンデミックインフルエンザ」  

8枚目のスライドが重要。ヒトと動物のインフルエンザウイルスの違いとバラエティを学びます。わかりやすい絵です。

今回のように、もともと鳥のインフルエンザが、他の動物やヒトに感染拡大、、ということはありえることで、どれくらい感染しやすいか、どれくらい病原性が強いのかということが問題になります。

セミナーに参加して学ぶことは、最終的な対策は2つしかないという結論です。

1つは、現実的な対応としては、日々、咳やくしゃみをヒトに向けない「エチケット」の普及(おじさんマナー改善講座をするとか)、もうひとつは「なるべくヒトと動物の距離を保つ」ことです。

なるほど(って毎回思う)。

1は小学校くらいから教えるとして(遠い道のり)、2つ目は開発や経済発展と絡んだ問題ですので、冷静に政治的に施策として決断をしないといけない案件もあります。
好きなだけ開発をとなったら、野生動物の住処が奪われ、ヒトと動物が近いところにいれば、媒介動物を介してあるいは直接的に動物の病気がヒトに広がる可能性があるからです。

上記の「生きた鳥市場」Live Bird Marketがヒトへの拡大ポイントのひとつであることは把握されています。
(また、国や地域によっては家の裏の庭に鳥と生活している/具合が悪くなった鳥から食べる生活があります)

現在のWHO事務局長のマーガレット・チャン医師は1997年、香港の保健省トップであった当時に、市場の鳥の皆殺し作戦に出ます。補償やその他の問題は生じますし、関係者からうらまれたりもしますが、国としての感染症危機管理としての決断に多くのヒトが感心した(おそれいった)のを思い出します。

2008年には、鳥インフルエンザに対してGlobal Responseとして何をすべきか という資料もまとまっています。(写真が多くて読みやすい資料です。英語ですが)

その後も基本的には鳥で高病原性のインフルエンザが見つかれば、殺処分、商品(鳥や豚)の移動の禁止、半径○KM以内の対策の実施などが行われています。

しかしまた、生きた鳥の市場は復活します。「もうなくそう」という話にはなりません。そこは科学とか政治とはまた別の理屈があるわけです(長くなるのでこの記事では省略)。


話を元に戻します。

スライド16枚目。
ヒトとブタのウイルスの「遺伝子再集合」によって、ヒトが感染しやすくなる、を説明する図です。
なんで「ヒトに感染!」が騒ぎになるかというと、今のワクチンや治療薬で対応できないような、免疫がなくて広がりやすいようなインフルエンザが流行するととてもやっかいだからです。

公衆衛生的にはそういうことです。
(そういったことを「初の発見、報告」する研究者の方はまた別の意味でエキサイティングだと思いますが)

臨床のヒトにとっては、「インフルエンザはインフルエンザ」で、具合が悪いヒトは入院、軽症のヒトは外来。もっと軽症のヒトは病院に来ない。そういう病気です。
できれば個室に入っていただきたく(広がると病院のせい!といわれる時代)、いまどきは差額料金が数万円だったりするので、個室にいれなさいという国や自治体が患者さんやご家族に代わってぜひその費用を負担していただければと思うしだいです。そうすれば病院も安心してたくさん受け入れることができそうです。


スライド23枚目。
余談ですが、、、なんど講演会でみてもどっきりする、チアノーゼのにわとり。

スライド25枚目
Live Bird Marketの写真。
なるべくヒトと動物の距離を適切なものにする、、、という対策の原則に一番反した行為です。
「なぜ、なぜ、パッキングされたお肉じゃだめなの?」
たしかに、見学につれていかれたらN95をつけてしまうかも・・・(心理的に)。

スライド32枚目
たくさんの種類のインフルエンザウイルスが把握されています。

スライド38枚目
インフルエンザ対策を誤らせる10の迷信
これはとても大事ですね。



さらにもっと読んでみたい、という方には、
北海道大学、農水省、動物衛生研究所が公開している資料があります。

中高生にわかるように説明された北海道大学獣医学講座の資料。 「動物とヒトを感染症からまもる」

農林水産省 高病原性鳥インフルエンザについて(16ページ)

2004年 鳥インフルエンザの予防・制圧に向けた戦略を北海道から発信する

2006年 MBCフォーラム2006 古くて新しい感染症 「高病原性鳥インフルエンザとヒトへの感染」

2009年 インフルエンザウイルスの解明

2009年 北海道大学 インフルエンザウイルスの生態解明と
ライブラリーの構築−高病原性鳥インフルエンザの診断と予防への応用−



2009年をちょっと思い出せましたか?(ええ。思い出したくない方もたくさんいますよね)
2003年の騒動のプレイバック(フラッシュバックじゃなくって)はまた別記事で。


ぶつぶつ言っているうちに「過去」になっちゃいましたが、ちゃんと振り返りをした人たちもいます。

リスコミWORKSHOP! ― 新型インフルエンザ・パンデミックを振り返るクリエーター情報なしメディカルサイエンス社

Sapiraの書評

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普段、お世話になりっぱ・・の須藤先生(AND 藤田・徳田・岩田先生)がたのご苦労によりSapiraの本「サパイラ 身体診察のアートとサイエンス 原書第4版」が翻訳された事は以前にBlogで書きましたが、光栄にも書評のご依頼を頂き(これもBlogに書きましたが)、この書評を医学書院に送ったところ、医学書院編集部から「活字になる前に青木Blogに掲載してもいいよ・・」というご依頼・ご許可・・を申しつかりましたので、以下にしるす次第でございます。

↑の写真は数年前の須藤先生と徳田先生と田代先生。

編集部の許可もとっております。(こちらはBlogの編集部・・ああ大変・・)

以下、ご興味があれば、どぞ!!

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「身体診察が見直されるいまこそ手にとってほしい1冊」

書評:サパイラ 身体診察のアートとサイエンス 原書第4版
Jane M. Orient (著), 須藤 博他 (監訳)
評者:青木 眞(感染症コンサルタント)

<身体診察の今日的意義>
 本書を手にとった瞬間、最初に強く意識させられるもの、それは決してその難解な医学史的考証やラテン語文法の記載ではなく「南部」(米国南部)である。サパイラ自身が研修医時代を過ごした南部には独特の時間が流れている。それは北東部の競い合うような荒々しい速さとは極めて異質な、どちらかと言えば湿度の高い緩やかに変化する時間とでも言おうか。
 本書は序文から「現代医療に最も不足しているもの。それは時間である」と指摘する。外来患者が午前中だけで20〜30名(診察時間は1人平均5分あれば御の字)であり、スピードとテクノロジーが好まれ、情報がアナログからデジタルに変わって失われたものへの思いが薄く、医学部を平然と理系とする日本。このような国で、習得に多大な時間と忍耐・労力を要し、得られる所見の普遍性や境界の鮮明さに安定感を欠きやすい身体診察の本が、そして患者の訴えの背景にある人生に思いを馳せることを説く本書がどのように受け入れられるか。これが評者の最初の懸念であった。しかし繊細な人間関係・師弟関係を重視し、収入や利権と無関係に向学心・向上心が高く、経験値が物言う職人芸を愛し、その伝統・伝承を重視する日本の文化は南部的身体診察の文化と重なりも大きいと気づいた。もちろん肺炎には全例胸部CTなどという贅沢を続けさせる経済力に陰りが見え、身体診察が見直されるべき時期に日本が置かれている事は別としても・・・。

<丁寧・詳細・謙虚な内容>
 ある意味、全く媚びる気配がない本である。Pearlとすべきものは随所にあるが、日本人の感性ではついていけない(翻訳者さえ辟易する)ラテン語文法上のこだわりなどに埋もれており簡単に見つけることはできない。一種、気むずかしい師匠と日常生活を共にしながら少しずつ学ぶがごとく読み進むのである。しかし、その中で得るものは少なくない。紙面の関係で一部のみ紹介すると・・・
1)体重減少(P85)
・往々にして「味覚低下」から始まり、二次的に食欲が低下し体重減少に繋がっている。
→単純にがんや結核などを考えるだけでなく、味覚異常の有無を聞き、その原因なども考慮すべきということか・・・
・また単純に「体重減少」とするのではなくベルトの穴と穴の距離や、各穴の古さで、体重減少の程度や速度が分かる。
2)虹彩炎と結膜炎の鑑別(P252)
・片目をとじて開眼側に光りを当てる。閉じた側の眼に痛み=虹彩炎の可能性:Au-Henkind試験。
→評者は梅毒を扱う機会が多く、二期梅毒患者も少なからずいるので、その1割程度は合併する虹彩炎の診断に早速使う予定。

<これからの医療を考えるヒントに>
 この20年間、日本の医学教育に深い関心・関係をもってきたカリフォルニア大学サンフランシスコ校のローレンス・ティアニー教授は研修医やスタッフを採用するにあたり南部で訓練された者を好む。ていねいな病歴と身体所見で真実に迫る総合診療の化身とでもいうべき彼が南部に特別な敬意を抱いていることは極めて示唆的である。


 本書の8割を読むのに3週間以上かかった。間違っても気軽に「一読をお勧めする」とは言えない大部の本であるが、電子カルテが診療現場から手書きのスケッチなどの繊細な情報を奪い、心臓超音波検査が聴診なら与えられたはずの意思疎通・安心感・敬愛を奪う今日こそ、初学者にも指導医にも手にとっていただく必要のある本である。ぜひEBMと対比させながらGOBSAT(good old boys sat at table and decided. P23)の箴言・Pearlが与える、使いやすさ、経済性、不思議な権威を噛みしめ、これからの日本独自の医療を考えるヒントにしていただければと思う。

風疹対策 誰が何にとりくんでいるか(とりくんでいないか) 4月13日(土)9:00

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今回のクロノロジーを作成しています。
アウトブレイクなどの事件の際、たくさんのプレーヤーやステークホルダーがいるわけですが、
どこが何をした、しなかったということは、今後に向けての報告書を作成する時に重要な情報です。
これは、以前、危機管理の研究班から翻訳を依頼された、SARS流行当時のカナダの検査機関ネットワークの振り返り資料を見て強くそう思ったことです。

縦に時間の経過、横には各機関を書きます。


厚生労働省にはある時から風しんの特設ページができてます。
多くの人は見る習慣がないですが。
これまでに国の取り組みとして何をしてるかは、結核感染症課からでている通知を見るとわかります。

厚労省の通知は、通常は自治体の感染症の対策部門にあててでます。
その地域でよろしく、というわけです。
あるいは学会などに協力依頼、などがあります(検査の試薬が不足してますので、など)。

これを受けて(いや、自主的に動かなくてはいけないこともありますが)、自治体はどのような呼びかけをしているか?です。

例えば、感染増加が把握された、福岡、兵庫、大阪、愛知、東京はいつの時点で県民や都民に啓発をはじめたか?です。
ホームページに載せるという最低銀のことよりは、具体的なアクションをいつとったか?です。

例えば東京。新宿区百人町にある、健康安全研究センターの中にある感染症情報センターには風疹の特設ページがあります。
現在は助成情報もまとまっていて便利ですが、本来これは西新宿にある都庁の感染症部門の仕事では?と思います。都庁のホームページを見る人がどれくらいいるかわかりませんが、健康安全研究センターよりはアクセスが多いように思います。

23区を比較するととても興味深いです。ワクチン接種補助の情報は載っていますが、住民啓発に熱心なところとそうでないところの差がとても大きいです。
今年、これを卒論テーマにしようという学生には、この違いを画像で残しておくように伝えています。

兵庫(神戸、尼崎)や大阪はどうですかね。


このようなアウトブレイクが起きたとき、それがワクチンで予防できる病気なら、緊急ワクチンプログラムが行われるのが教科書的な対応ですが、なぜかお金がないという理由で母子の健リスクはケアしてもらえていません。
妊婦さんは気をつけてという、無力感たっぷりのメッセージが先行していました。


同時期に英国のWalesでは麻疹がブレイクしており、週末に複数のwalkin無料MMRワクチンのサイトが稼働しているのと対象的です。
事前に保健所に用紙を取りに行けというようなこともありません。
(数時間待ちの行列のため、お弁当が配られているそうです。トイレはどうするのか?といろいろ疑問がわきます)。

ところで、国や自治体がアクションをとらない、あるいは遅れる理由に、学会などの専門団体がそのアピールをしていないということがあります。

土曜日の朝にざっと見渡した状況は下記のとおり。


日本公衆衛生学会 http://www.jsph.jp/

トップページに記載なにもなし!びっくり! 予防接種とか風疹とか、母子保健って公衆衛生のプロのマターではないのか?

日本保健所長会 http://www.phcd.jp/

・・・・。

日本産婦人科学会 http://www.jsog.or.jp/

お知らせには厚労省通知がならんでいます

日本産婦人科医会 http://www.jaog.or.jp/

厚生労働省の通知あり

日本周産期・新生児医学会 http://www.jspnm.com/

特にみあたらず

日本小児科学会 http://www.jpeds.or.jp/

トップページではさがせない。(CRS児のケアは小児科ではありますが、今燃え盛っているのは成人で、子どもの発症は少ないからか)

日本助産師会 http://midwife.or.jp/

母子や家族を守るスペシャリスト、です。

会員へのメッセージにもないみたいです。今日現在のお知らせコーナーは下記のようになっています。
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2013.04.12 出産は必ず産科医療専門職の元で
2013.04.01 全国助産所分娩基本データ収集システム運用開始しました。
2013.03.01 神奈川県の助産師が書類送検された件に関する日本助産師会の見解を掲載しました。
2012.11.27 ICMの助産師専門教育(2012)モデルカリキュラム掲載
2012.11.22 総務省よりお知らせ「サービス産業動向調査」が大きく変わります。
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日本感染症学会 http://www.kansensho.or.jp/ 

トップページをみますと、2011年の災害に関して麻疹のステートメントがみつかりました。
ずっと下の方をみていくとトピックスにワクチン委員会(があるんですね)からステートメント。
しかし、読んでも誰に何をうったえているのかよくわかりませんでした。少なくとも学会員になのか、一般向けなのか?くらいは明確なメッセージにしていただくと、その後につながるようにおもいます。

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日本感染症学会提言2012「インフルエンザ病院内感染対策の考え方について(高齢者施設を含めて)」 NEW(2012.8.20)
ニューモシスチス肺炎(PCP)治療薬 サムチレール®内用懸濁液15%の取り扱いについて(2012.6.26)

トピックス一覧
第28回国際化学療法学会(ICC 2013)事前参加登録のお知らせ NEW(2013.4.10)
鳥インフルエンザA(H7N9)関連情報リンク集 NEW(2013.4.9)
「MRSA感染症の治療ガイドライン」パブリックコメントの募集について(2013.4.1)
第87回日本感染症学会総会資料(2013.3.12)
ワクチン委員会から(風疹の流行について) NEW(2013.2.13)
Journal of Infection and Chemoterapy投稿について(2012.12.18)
学会誌全巻全号電子化について NEW(2012.12.5)
Journal of Infection and Chemotherapyインパクトファクター取得のお知らせ NEW(2012.7.4)
「JAID/JSC感染症治療ガイド2011」正誤表(2012.3.27)
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日本環境感染学会 http://www.kankyokansen.org/

最新のお知らせ、の今日の画面にはありません。鳥インフルエンザはのってます。


ほかにも10件ほど見てみました。来週は学生が協力してくれるので、20件ほど追加して関連団体をチェックしてみようとおもいます。


感染症のセンスをお持ちの方ならお気づきでしょう。

ゴールデンウィークが大きな山場となります。
小学校ではやっているわけではないので(2回MRワクチン接種の新日本人ですから)、チェーンを断ち切る方には作用しないでしょう。

成人で流行しているので、むしろ、連休だーヤッホー!と広く異動するわけですから、拡散になるリスクを考えて対策を提案することが必要です。


某国にお出かけの場合はA型肝炎や狂犬病が話題かもしれませんが、国内風疹流行地へ行く場合は、出発2週間前までに、免疫確認あるいはMRワクチン接種を、とよびかける必要があります。

対策をする人達の山場は、GW2週間前。


自治体が補助を準備しているものの、補助は5月からですテヘッとかいっていたら、全力で前倒しするよう説得をしましょう。あとで精算する、償還という方法があります。
中野区のホームページを参考にしてください。

4月12日はPolioワクチンの日?

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鳥インフルと風疹の影にひっそりと隠れてしまったかのようなポリオですが・・
58年前の今日(1955.04.12.)、ポリオのSalkワクチン(例の不活化されたやつ・・)の成功が広く告げられた日となりました。

恐らく世界で最も著名なポリオ患者であるルーズベルト大統領の強力なLeadershipによるものでした。

PBSのWebsiteに詳細があります。興味のある方はこちらへどうぞ・・

それにしても、相変わらず、鳥だ、風疹だ、ポリオだとワクチンに対する軸足の定まらない国です。(確か不退転の決意をした高官がいたよな・・)

(写真:Elvis Presley receives the Salk polio vaccine in 1956.)
http://www.pbs.org/newshour/rundown/2013/04/the-day-polio-began-losing-its-grip-on-america.html


妊娠とMalariaその他の原虫感染症 #3

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えー、本日は

#1:Echinococcus granularisでございます。
(北海道にはEchinococcus居ますよね・・)

症状としては、Mildな場合には単なるMassとして腹痛など。
(WHOに分類まであるんだね・・U/Sによる。知らなかった・・)

怖いには、CystのRupture、Anaphylaxisです。

妊婦にはMassと大きな子宮が狭い腹腔で空間を取り合い。物理的な問題。
あちらこちらに圧迫を生じて水腎症、腸管閉塞、分娩の邪魔などが・・

治療はAlbendazoleが第一選択。 時に手術で取ります。

#2:Schistosoma住血吸虫
・胎盤を好んでAttackするのがSchistosoma住血吸虫とMalariaだそうです。
・4000万人が罹患。

・門脈圧亢進症、肺高血圧症、膀胱炎、膀胱癌、骨盤内の種々の癒着
・治療:Praziquantel
・妊婦では:胎盤に感染。そして胎児も時に感染。臍帯が炎症おこして低体重児や死産の原因に。


#3:Malaria
・20億人が罹患。20万の新生児死亡の原因
・妊婦は2倍の蚊を寄せ付ける。(体温高いかな・・?)
・Malaria原虫に感染した赤血球はとくに胎盤の絨毛に集まる傾向 <<困るじゃないの!!



#4:積極的に胎児に感染するParasite群
・Leishmania、Trypanosoma(アフリカ、アメリカ)、Wunchereria bancrofti、Babesia、Tosoplasma、LoaLoa、Onchocerca


疲れたから、今日はここまで。

妊娠と安全な感染症治療薬

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ええ、本日も2012ICAACDVDの学びが続いております。
(といいつつ、2013の案内が入って来たりしてますが・・)

講師はCatherine Nelson-Piercy先生。(えげれすの方です)

妊娠・分娩時の直接死因でGroup A Streptococcusの敗血症が多いという話は1度でました。
・敗血症のRisk factorは、1:幼児のケアしてる。 2:咽頭痛が先に生じている
・黒人に多い。
・Seasonは冬から春(12月-4月)
・症状は下痢で熱無し。なので講師にとっては 妊娠+下痢=R/o Sepsis (おお、編集長と同じ!!)

その他
・お薬はなるべく古くからあるもの(何と高血圧にはアルファメチルドーパ!!)
・安全は母子では母優先。
・安全と思われる抗菌薬:βラクタム剤、マクロライド(講師のお気に入りはClarithromycin)
・Trimethoprimは第一トリメスタは駄目。テトラサイクリン系はいつも駄目
・GentamicinはOK。よく使う。(PIPC/TAZが多用される傾向って。世の中、何が狂ったの・・?とは講師)
・抗結核薬はINH,RIF、EB、PZA、安全。

(写真:編集長が幼少時に頻用した猫いじめ専用具。別名、Traube型聴診器とも言う)

風疹 非常事態宣言(by神奈川)

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本来流行するはずでない感染症がそこにあったら、1例でもアウトブレイクというのだ、ということを初期に学びました。

そして、疫学的リンクのある複数症例があったらすぐに対策を講じなさい、と。
それは医療関連感染症での学びでしたが。

麻疹では「一人出たらすぐ対応」が徹底されていますが、麻疹風疹対策ではなく麻疹対策はすすめられたものの、風疹対策が遅れてしまいました。

そして、地域で、ヒト-ヒト-ヒト-ヒト-ヒト感染がおきていて、母子を脅かすというもっとも優先度の高い軸をもつ風疹について(インフルエンザとは別の軸)、「いやー増えているねえ」と眺めるのはおかしなことになっています(世界的には)。

妊婦さん気を付けてね!というずれた他人事の掛け声ではだめらしいと気づいた自治体が対応を始めていますが、昨日の相模原、川崎、横浜のワクチン接種費用の助成の影響があったかなかったのかは確認していないのでわかりませんが、今日は神奈川県が緊急事態宣言をしました。

「風疹流行 神奈川県が非常事態宣言 患者数503人に」

東京はとっくに非常事態でしたので、神奈川都民、千葉都民(寝るときや住民票は県にあるけど活動している時間帯の多くは東京都の人)が多い地域でひろがらないわけがない。

20-40代の働く男性が多い、満員電車に乗る、窓のあかない(喚気の悪い)ビルのなかで仕事をいているような条件が整えば、広がることはわかっていたわけです。

503人のインパクトが分からない方もいるでしょう。おおざっぱにいうと感染症はすそ野が大きく、把握されている数字は「過小評価」になりがちです。



できることを今しましょう。

「今でしょ!」とアピールしている先生方の取り組みは、今日の9時からのNHKみるかことができます。
キャスターの大越さんは小児科でMRワクチンを接種したそうですね。

「小児科にて」4月3日
以下は一部抜粋:
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番組では、風疹の抗体を持たないまま妊娠、感染し、出産したさいたま市の女性を取材した。4か月の息子は両耳が聞こえにくい「先天性風疹症候群」と診断された。女性は、予防接種を受けていなかった自分を責め続けている。

「予防接種を打っておいた方がいい。というくらいの認識で、風疹になったらどんなことになるのかという事実を知らないまま妊娠してしまいました。たった1本のワクチンを打っていたら・・・」。
風疹は患者の咳やくしゃみを通じて感染するが、この女性の場合、身近に風疹の感染者はいなかった。通勤電車の中で感染したのではないかと考えているという。

そのリポートを放送した責任者でもあるぼくとしては、万が一にも自分が感染者になるわけにはいかないと思った。
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以前ブログを紹介させていただいたカニママさんもニュースに協力をされたそうです。

ぜひその活動をご支援ください。

旧式DVDプレーヤーを簡単なCD4値測定機械に

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えええ、ゴホン。皆様。良いお知らせでございます。
SwedenのKTH Royal Institute of Technologyという施設が古いDVDプレーヤーを簡単なCD4値測定機械に変えられる・・という発見をしました。

旧式のDVDプレーヤーをCD4測定器に変えられるというのはコストの点から素晴らしい事です!!

従来の flow cytometry unit は300万円くらいしたのですが、旧式のDVDプレーヤーならば2万円以下・・
しかも、DVDプレーヤーのほうが小さくて運びやすくて・・

CD4の値は当日で分かる施設が増えますね。
詳細は以下でどぞ・・

The full report, “Bioimaging: Lab on a DVD,” was published online in the journal Nature Phototonics (2013; doi:10.1038/nphoton.2013.64).

インフルエンザ+妊娠=Bad

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引き続き、2012ICAACDVDの学びが続きます。

本日のお題は「インフルエンザ+妊娠=Bad」でございます。
講師はPittsburgh大学のRichard Beigi先生

Badの例を3ヶの事例から

#1:Pandemic
・妊婦が肺炎起こすと死亡率は50%
・早産も・・
Woolstonら:JAMA 1918
Harrisら:JAMA 1919

#2:Epidemic
・Badだ

#3:Swine
・Badだ。死亡率あがる
・早期、抗ウイルス薬が良いみたい(<48時間)
・抗ウイルス薬遅れるとICU行くみたい

Jmiesonら:Lancet 2009
Louieら:NEJM2009
Siston Aら:JAMA2010:303
Hewagamasら CID2010:50


ワクチンの重要性
#1:一般的な病院の質の評価項目で肺炎の診療にインフルエンザワクチン施行しているか・・が項目としてある。

#2:最後は2012年ICAACのインフルエンザワクチンは安全!!という話。
何十年も前から安全のDataが沢山・・。
Heinonen Int J Epidemiolo 1973
Munoz Am J Obstet Gynecol 2005;192:1098-
Pool V Am J Obstet Gynecol 2006. 194:1200-


WHOでFluと戦うFukuda医師曰く・・(編集部情報)
"Almost everything you can imagine is possible. And then what's likely to happen are the things which you can't imagine" Fukuda,WHO #H7N9


(写真:シアトルの会議でKeiji Fukudaと・・)

インフルエンザ対応にあたっての必読資料 (インターリスク総研 提供)

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医療でもなんでも、最後は人、なわけです。

お金がたくさんつくテーマには、わらわらとヒト(や企業)が集まってきます。

それ、誇大広告じゃね?という怪しいものから、本当に実力がある人はこんなにいるのだ(あるいは、この企業でもこれくらいしかいないのか)という驚きもあるわけです。

インフルエンザはbig budgetが動く感染症の中でも大きなissueです。

ほかのことは整っていないのにインフルエンザだけ危機管理の文書がある企業もあります。
(それより先に、おじさんたちのド派手なカバーなしクシャミをなんとかして)

今回のインフルエンザの話題も、2009年のトラウマが残っているからかどうかは不明ですが、違うモードで浮足立っているひとたちもみかけます。
(浮き出しだつといいことがあるヒトや企業もありますけれども)

そのなかで、堅実な情報発信をしているアナリストの資料が公開されていました。

こちらの会社です。株式会社インターリスク総研。

この分野にはいろいろな企業がありますので、自分の企業や組織が相談するとなったらどうやって選ぶかという問題もありますが、企業の質を決めているのは実際にそこにいるリスク分析をしている人たちです。

私たちのように医学的な話に偏った情報ではなく、個人や社会のレスポンスをケアする戦略の視点を持っている人との交流はとても勉強になりますので、定期的に開く勉強会の中に、このようなスペシャリストを招いて学ぶのもよいアイデアです。


契約企業だけでなく、外部にもアクセス可能な資料として掲載されているところがすごいです。

インフルエンザ特集

全部読む時間がないというかたには、こちらの4月15日号だけでも読むことをお勧めします。

インフルエンザ特別措置法は医療者にも関連するので、内容を知っておく必要があります。その解説もわかりやすいです。

そして、特に秀逸なのは、5ページから。
感染症のリスクのことだけでなく、具体的に何をすべきかが書かれており、その中でも人権に配慮したこともしっかり指摘があることです(6ページ)。

これも、社会や企業や組織がおかしやすいリスクのひとつです。

プリントアウトさせていただき、事務方や経営陣、職場、地域で回覧しましょう。

(コンサルタントの小山さま、会社の皆様にはこのような資料を広く公開していただき感謝いたします)



4/20(土)風疹対策meeting と セミナー「先天性風疹症候群の根絶をめざして」

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4月20日は理化学研究所(和光キャンパス)が一般公開日となっています。

サイエンスの一大拠点ですから、一度見学に行きたいなと思っていた訳ですが、いま話題になっている風疹、先天性風疹症候群についての第一人者である加藤茂孝先生のお話を聴くことができます。

そして、その前の時間をつかって、「これまでとりくんだ風疹対策、この先取り組むべき風疹対策」の会議があります。
どなたでも参加OKです。GWまでにあと何ができるのか。情報交換をしてみたい人はどうぞご参加ください。

どちらも詳細はこちら。
11時からmeeting、14時からセミナー


加藤先生は400例をこえるCRS症例の研究をされました。
昔から今に至るまでの日本の取り組みもよくご存知です。


加藤先生の論文から学ぶことがたくさんあります。









予習をしていきたい方はこちらの資料をよんでいきましょう。

「麻疹・風疹 ―制圧・排除を目指して」
http://www.crnid.riken.jp/research/pdf/topics0608.pdf

第8回「風疹」 −母子感染による難聴の野球選手
http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/MM1009_03.pdf

モダンメディアの連載一覧はこちら


加藤先生は、国立感染症研究所を退官されたあと、米国CDCで研究員をされました。
その当時、米国が排除宣言をしたのですが、まさにそれを目の当たりにした時期です。
その時のニュースレターを見せていただきました。







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