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Channel: 感染症診療の原則
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1st アナウンス: 平成25年度 FETP 初期研修

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感染症の実地疫学の訓練コースは、堺のO157アウトブレイクをきっかけに日本にも誕生しました。
国立感染症研究所に2年間のコースとして開講しています。

そのモデルは米国CDCのEISプログラムです。米国や他の国の養成プログラムの違いは、日本のコースは無給のため2年間本業をはなれて参加できるかどうかの決断に多くの人が迷うということだとおもいます。

理想は、行政の公衆衛生ドクターが、給与つきで派遣されることでありますが、公衆衛生ドクターも各地で不足しており、「2年間行ってきていいよ」と行ってもらえる人が少ないのが現状です。

もっと短期間のコースとかe-learningを併用するのも一案ですが、青森県、東京都、三重県のように地元で開催してネットワーキングもしていこうというプランはとても良いアイデアですね。

FETPの初期導入コースや短期集中講義は、外部からの参加も受け付けているので、日程が合う日があったらぜひご参加ください。

研修医の方も、1ヶ月など外部研修に参加できる方にはお勧めです。

詳細なプログラムは後ほど確認。まずは開催日程。

宿泊は、近くの「サンライズ」が便利です。門限がありますが・・・。
高田馬場のサンルート、目白のリッチモンド、ホテルメッツ、
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平成25年度FETP初期導入研修のご案内

平成25年度FETP初期導入研修を下記日程にて開催いたします。

日時:平成25年4月2日(火)〜平成25年4月26日(金)

場所:国立感染症研究所 戸山庁舎 感染研第一会議室

研修内容:

・実地疫学の基礎
・感染症サーベイランス
・アウトブレイク調査手法
・ケーススタディ
・感染症各論
・関連法規  等
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「妊婦は気をつけて」ではダメ(という気づきが大事)

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ワクチンの普及のおかげで、ある感染症は問題が見えにくくなりました。

一般の人の意識にあがらないでしょうが、病気を診る医師やコメディカルの経験知も獲得が難しい状況にあります。

少し前は、ER(というTVドラマ)で麻疹を診断できない周囲の医療者をみて、日本人留学生が「麻疹に決まってるだろ。知らねーのかよ」と一人勘違いな優越感にひたるというシーンがあったりしましたが、麻疹も日常的に出会う感染症ではなくなっており、今後、診断の遅れ等も問題になるだろうと思われます。

そして、現在都内でアウトブレイク中の風疹も、「おお、これは風疹だ」と診てすぐわかるものではなくなっています。幸いというか、報告されている症例は8割が検査診断になっています。

修飾麻疹のように、わかりにくい風疹もあります。例えば発熱無し。発疹がばーっとでたので来たけれども、、、というような症例。分母が増えると重症の人も出ますし、軽症の人もいて、個人の差も見えてきます。


そのような中、行政やメディアが扱う情報、またそこからの2次3次情報となるネット上の情報で???な記載があります。

それは、「妊婦さんは気をつけて」です。

たしかに、麻疹とちがって、風疹は罹った当事者が致命的な状況に追い込まれるリスクは小さいので、その意味で大騒ぎする必要はないかもしれません。元気になるのです。3日で終わる、という意味の別名「3日ばしか」もあります。

風疹ワクチンの導入の肝は「先天性風疹症候群の発生予防」にあります。

歴史的に、風疹が流行すると、産まれてくる赤ちゃんにトラブルが増えるということがわかっており、各国が風疹をルチンのワクチンに入れるかどうかの判断は、妊娠する女性だけでなく、地域で流行することを押さえないとというところに踏み切るところからはじまります。
しかし、ルチンのワクチンが導入され流行が抑制されると、ブースターがかからないためワクチンでつけた免疫が低下したり、年齢が上の感受性者がプールされ(ワクチン無しと比べるとその規模は小さいものの)成人での定期的な風疹流行のリスクが残ります。

だからワクチン不要とはいえませんが。このあたりはギセック先生の『感染症疫学』にも、風疹ワクチンのコントロバーシャルな点についての説明が何カ所か記載されています。

感染症疫学―感染性の計測・数学モデル・流行の構造昭和堂

メディアが大きく扱うと、それに感化されて「検査希望」が増えます。
現在、検査試薬の不足が話題になっています。
麻疹流行の時と同じですね。
東京から各地に広がると、ワクチン不足(流通がうまくいかない、という意味ですが)などもおきかねません。

皆が抗体検査をする必要はありません。

一番重要なのは「これから妊娠する予定の人」を最優先することです。

まず、妊娠しようと試みる前に(避妊無しセックスの前に) "標準の「2回接種」"をしていない場合は2回目を接種してください。
風疹になったかも(親がそう口走っている。しかし確証はない)接種もしたかも???な人は検査無しで接種してかまいません。過去になったことがあっても、接種したことがあっても、再度接種しても大丈夫です。
免疫があるかもしれない人がワクチン接種をしても問題ありません。
妊娠初期にかからないようにするためには、よくわからない状況なら接種を選択します。

検査をして、まあまあな値、ギリギリのライン、の方も今後ゆるやかに免疫はなくなっていく可能性が大きいので、妊娠計画が数年内にあるなら接種をしましょう。

そして、接種をしたら2カ月は避妊。

女性が妊娠に気づくタイミングと、感染するタイミング、感染にきづけるかどうか(風邪かな・・・で終わってしまう人もいます)。妊娠に気づいた時点ではすでに曝露リスクや赤ちゃんの健康リスクは発生してしまっており、「妊婦さん気をつけて」では遅いのです。
ブツブツが出ている人は、その症状が出る前から他人にうつす可能性がある人です。


気をつけることができる、、、のはこれから妊娠する人。妊娠するかもしれない女性の周囲の人たちです。
周囲で流行しないように、東京のようにならないように、こんなに広がってからどうしようと考えることにならないようにできることをご検討下さい。

先天性風疹症候群とは、どのような人生への影響があるのか、
そこでの当事者や親の痛みはどのようなものか、

その辺りをマンガや本で学ぶと、風疹対策の本当のゴールがわかるとおもいます。

そんなかんたんに入手は出来ない,,,という方もいると思いますので、たいへん勉強になるブログを紹介させていただきます。

ブログ おばさんディレクタ- いつの間にか市民活動支援 忘れられた沖縄風疹児

"アメリカ統治下の沖縄で原因不明の伝染病が流行した。
普通の風邪とよく似ているが、前進に赤い発疹が現れるのが特徴だった。
症状は非常に軽く、3日もすると発疹もおさまった。
このため風邪と思って 出社や登校するものも多く 
これが感染をますます 広げていった。"

東京にもこれと同じ状況があります。

"1965年2月11日づけの沖縄タイムスは1964年には74人 
1965年2月8日現在101人の患者が発見され "

東京都が2013年の第6週で把握したのは90例、7週が100例です。
沖縄には無い満員電車もあります。
沖縄より寒いので、狭い密室空間に数人が過ごす環境があります。

"産婦人科医の勧めによって 大量の中絶が行なわれ
1人の障害児も生まれなかった町もあるという。
しかし、多くの親たちは 不安を抱きながらも
健康なこどもの誕生を祈って 出産したのだった。"

過去の風疹流行期には、人工妊娠中絶が増えています。
何らかの理由で妊娠中に発疹や発熱を経験した妊婦さんがすでにおびえています。

妊婦さんが気をつける、ことはできません。
妊娠前にできることをしましょう。

なぜ、妊娠初期の感染が問題なのか。

砂川先生の「感染症の病理学的考え方」「先天性風疹症候群では胎児の細胞増殖が停止した結果で欠損症などが生じる」 で勉強しましょう。

妊婦に発疹!ぎゃあ、風疹?・・・と思ったら○○だった

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「中毒疹」という診断名を付けたことがありますか?

調べると、"原因がはっきりしないものや原因がはっきりするまでの一時的な病名として 付けられることが多い"とあります。

んー、なんだろうねえ、(死にそうなほど苦痛ではない、困っているから受診したけど)といっているうちに消えたら、中毒疹だったねえ、、、、もにょもにょ、でしょうか。

それで何も問題がなければよいのですが。

妊婦の場合、注意すべき点がいくつか。
今回話題にするのは2パターン。
関心ある方はサマリー等をつくることをおすすめします。

まずは、現在流行している風疹。
不安そうな妊婦さん、パートナー、親御さんに検査の必要性や母子感染リスクの説明をしなくてはいけません。
(この時期、東京だとまず風疹を心配しますね)

しかし、この中毒疹という診断を受けて、よくわからないまま症状が消えて、、、そしてそのあとに実は○○だったとわかることがあります。

文献をレビューすると、
妊婦検診をうけていなかったため。
そのとき診断して治療をしなかったため。
診断できたけど治療が不十分(効果判定が不十分)だったため。

そして、妊娠初期には感染していなかったけれど、妊娠途中でパートナーから感染したため、です。

高知県の事例


参考:国によって流行の背景や事情は異なります。リスク因子の見当たらない、幸せそうな妊婦さんを前に鑑別に挙げていくのは実際に難しい・・・。

Treatment of Syphilis in Pregnancy and Prevention of Congenital Syphilis
Clin Infect Dis. (2002) 35 (Supplement 2): S200-S209.

Risk factors for syphilis infection among pregnant women: results of a case‐control study in Shenzhen, China
Sex Transm Infect. 2007 October; 83(6): 476–480.

取材を受けるときの心得

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『AERA』の記事のお手伝いをしました。
今週号に掲載されているそうです。

大人のワクチンについての話です。
通常はI先生がいいですよ、Y先生がいいですよ、とテーマにあわせて専門家を紹介し、メディア対応はしないのですが、話題にしてもらいにくいテーマなのと、ブログを起点とした問い合わせだったのでお手伝いをすることにしました。

誠実にお手伝いしたのですが、失敗したことがあります。
記事を読んでいただくと最初の方で気づく人は気づくかもしれません。

それは書いた本の名前(T T)。

(その他にもいろいろ感想はありますが省略)

皆さんも様々なところから情報提供を依頼されるとおもいます。
感染症の話題が一般向けに紹介されるのは大事なのでなるべく手伝ってあげてほしいと思うのですが、
医療関係の話は表現によって誤解が生じた時に及ぼす影響が、他のゴハンが美味しいね的なものとは異なるために、
「原稿を掲載する前に一度見せてください」とお願いすることは重要です。

医療情報の精度の問題は、通常、記者の方にも理解されますので了解してもらえることがほとんどです。

ダメだと言う場合には、情報提供はするけれども、自分の名前を使うことは許可しないという方法もあります。

場合によっては、記者に先書きたいことがあり、専門家の言質だけとるというような取材もあります。
危険を伴います。解釈が入って誰のコメントかわからないような場合になることもあるからです。
なので、いずれにしても確認させてもらうことをアポイントの段階で伝えるようにしてください。
TVは編集されて、発言とは違う意図になるような構成になってしまうことがあります。
このため、生放送しか手伝わないと決めている人もいるくらいです。

今回はその「見せてください」を言うのを忘れてしまったので、こちらのミスでもあるのですが。

編集長が書いた本の名称は『レジデントのための感染症診療マニュアル』です・・・。
(「感染症診療の基本」、、、はレジデントノートの増刊号、という森先生のご指摘ありがとうございます。)

異常を期待しているように見える人たち

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「確証バイアス」は、自分の都合の良い事実しか見ない信じないという認知のゆがみのひとつで、日常生活の中で誰もがもっていることです。

なので、何か決定をしなくてはいけないとか、それが生命や将来に影響を与えることだったり、他人に意見するようなときには、このバイアスの影響を受けた思考プロセスをしてないかなーとふりかえったり、苦言も惜しまずしてくれる友人などに、あえて別の見方を提示してもらって「ふむふむ、そういう見方もたしかにあるよね」的な時間をもったほうがいいわけです。

ある価値観やストーリーにはまったひとたちの言動は、冷静な第三者から見ると、「あら!」「あらー!」「どっひゃあ」的なものになっていることがあります。当の本人はストーリーのまっただ中にあるので、「おかしいよ」「違う情報は無視するの?」という周囲の苦言に耳を貸せません

耳を貸さない、が一般的な表現ではありますが、貸せない、貸すことができないお気の毒な状況におかれているとみるのが、近しい人がもつべき視点かと思います。こちらが助言すればするほどヒートアップしたりかたくなになったり。次第に周囲も怒ったりするわけですが、元々のその人の距離によっては、黙って去っていきます。一緒に泥の船に乗るわけにはいかないからです。浜辺にもどって、その人が沈んだ時の救命対応をはじめる人もいるのかもしれませんが。


それはその人の信条的な問題なのか、はたまた専門家のサポートが必要な病的な線をこえているのかの判断は難しいですが、一般の人にもわかりやすい指標としては、「日常生活が破綻している」ことがあります。

例えば、パソコンやゲームの前からはなれられず昼夜逆転して生活リズムが崩れて家族が困っている、本来すべきことをいち社会人として果たしていない(子どものケア、定時に会社に行く)、言動が乱暴になり、通常の社会人コミュニケーションとしては考えられない表現になっている、、、などです。

これは具体的に想像しやすいのではないかと思います。

また、確証バイアスに関連しますが、自分が想定している問題構造に何でも関連づけていきます。
簡単にいうと、○○は〜のせいだ、せいにちがいない、です。

例えば、感染症に関連した話なら、
 「風疹流行も、ノロも、インフルエンザも、ぜんぶ放射能のせい!」です。

もちろん、免疫と抵抗力という言葉をごっちゃにしていたり、季節トレンドのある感染症とそうでない感染症、地域や性別の特徴を無視しているわけですが、その人たちが「信用ならないマスコミ!」の出している情報だけで表面的に理解(誤解)しているための思考展開には苦笑するしかありません。

数年のグラフを見れば、冬にノロやインフルエンザが流行るのはお約束的なことですし、こんなにインフルエンザが!!!といっても昨年よりピークは低かったですし、風疹にいたってはなぜ東京の20-40代のおじさんたちだけ放射能由来の風疹だけの免疫低下に陥っているのかの説明はつきません。


本来、それが問題だからなんとかしようということならば、その問題解決に動く訳です。
「駅前の道路が汚いなあ」と思ったら、自分で掃除するか、掃除をするべき人たちの管轄部門に電話して指摘するなどの行動がそれです。
しかし、道路が汚いことについて根拠の無い想像をふくらませて(妄想といいます)、それを強化していく情報を集め始めます。

ときに仮想敵を作って、「それに立ち向かう私に」に陶酔していきます。この際仮想敵はなんでもよく、陶酔が維持されるストーリーを探します。ここへのハマり具合は個人差があって、自尊心感情や自己肯定感、自己承認欲求レベルなど様々なものが関与しているのは間違いありませんが、

病的だなあと感じる分岐点は、問題解決ではなく、その問題が大きくなるような、継続されるようなことを期待し始める時です。不幸の構造の証明としての犠牲者が必要だからです。
予定調和的なストーリーほ欲します。

なんでもそうですが、自分のそれまでの言動を否定するのは苦痛を伴います。間違っていたとみとめるのは大変です。
それが出来る人は幸いです。
それができない人たちは残念ながらゼロにはなりません。

そのエネルギーがあるなら、なぜ具体的な解決策をとらないのかなと思われてしまうですが、罵ったり陰謀を言い続けることじたいがその人のライフやミッションになってしまっている人たちにはそれを奪われることは自己崩壊になりますので、周囲の苦言はじゃまなものでしかありません。
さらに病的になるとストーリーのねつ造までします。

このような現象に終わりがくるのか?ですが、ある宗教にはまって、そのあとやめて元の生活に戻ってきた人たちに、きっかけは何だったのかとたずねることくらいしか学べないように思います。

病的な人への介入は難しいです。専門家に自らアクセスすることも難しいからです。(周囲がとても困ってすすめても)
注意すべきは、その影響を受ける人が増えることです。

その意味では、病的な人は放っておこう、という態度だけではだめで、カウンターとなる正しい意見を、別スジから出していくことが必要になります。
専門家にはその役割があるわけで、専門外のことはさておき、自分のテリトリーの情報についてはwatchを続けていくことが大切ですね。

「殺人ダニ」とか「日本パニック」 と その周辺

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感染症関連情報で面白い記事がありました。

J-Cast 「殺人ダニ」感染症に日本パニック 実は何百年も昔からあった病気

"「恐怖『殺人ダニ』感染症で4人目の死者」(サンケイスポーツ)
「殺人ダニ国内初確認『SFTSウイルス』死者4人の脅威」(ミヤネ屋)
「殺人ダニ 国内感染拡大」(朝ズバッ!)
「日本で4人目マダニ"感染死"」(news every.)
ホラー映画さながらの見出しで、メディアも恐怖をあおり立てる。ところが、専門家は意外と淡々とした反応だ。どうやらこの騒動は、いささか勇み足気味らしい。"

ダニじゃなくってウイルスですよ。
というか、この記事のタイトルもよくわかりませんが・・・。パニックなんておきてませんし。


前からあった問題に、たまたま気づくことがあるわけですが、、、、それは偶然だったりもします。
感染症や病気の原因については、(関係者が重要と考えて予算や人員がついて)研究がすすめば、他にも媒介動物がいるかもねーとか、実はウイルスじゃなかったねーとか、後からわかることもあります。


国や自治体は即刻対応すべきだっ!とお怒りのツイートを見ましたが、
(対応って何?)
人や家畜の健康に影響するかもしれないダニの調査や研究が地道に行われていることも知らない人の方が多いですね。

地味な仕事を続けてくださっている自治体の皆様に感謝申し上げます。

これからも、保存されている血液を調べて、SFTSだったかもの一例一例が報道されるんですかねえ。。。

自然に感染させた方が良いと誤解している人への説明

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水痘やムンプス、B型肝炎ワクチンが任意のままなのに、HPVが定期になるこの春。

病気になれば医療費の窓口支払いの自己負担はなし。しかしワクチンで予防しようとすると高額な自己負担が発生。
そのような中、現場の先生方が、保護者を励まし、子ども達を守るための取り組みをされてきました。


千葉県船橋市で開業されている先生のいのまた こどもクリニックのニュースレターをVPDの会のメーリングリストで知りました。先生のご許可をいただきまして、ニュースレターの内容を紹介させていただきます。

クリニック便り 2号では、「おたふくかぜ」と「みずぼうそう」の予防接種について」というタイトルで、自然感染した場合の合併症の内容や頻度、ワクチンでの副反応を比較しています。

合併症の話をしなければ、「かおが一時期腫れるくらいなら、まあいいか」と思う人たちもいます。

多くの保護者は、ワクチンで防ごうとしている病気の実際を知りません。
見たことも聞いたこともない、しかし、行政から手紙が来ていて、無料だし母子手帳に書いてあるし・・・といった理解や納得で接種をしているご家庭が少なくありません。(かかりつけ医への信頼も大きいです)

迷う人たちは調べたりして、アンチなサイトをみてさらにおびえていたりします。
分母分子の情報がないままメディアも不安をあおることがあります。

そのような中、なぜ、このワクチンが開発されたのか何を予防しようとしているのか、その意義や背景、専門家として推奨しますというシンプルな語りはとても重要なのだと思います。

そして、猪股先生はクリニック便り 44号で、「おたふくかぜ」と「みずぼうそう」のワクチンの2回接種のお話を紹介されています。

2回接種の話題は、まだ医療関係者でも知らない人もいます。

保護者に伝えていくための言葉を、MLなどでまた学ばせていただこうと思います。

4類になりました・・・・(ダニ関連続報)

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感染症法は、医療関係者だけでなく個人の生活や情報にもかかわってくることが書かれていますので、関心をお持ちの方は一度勉強することをお勧めします。

文章を読んでいくと頭痛がするかもしれませんので、想像しやすい感染症で生活への影響などを考えるとよいかもしれません。


たとえばインフルエンザ。新型インフルエンザの初期対応は(後から考えると)過剰なことがたくさんあったわけですが、情報が不足しているときの混乱の中にはかなり深刻な問題もおきていました。

ネットや実生活で学校や個人が誹謗中傷を受けたり、まだ保護者のケアが必要なこどもが保護者から遠い病院に隔離されてしまったりしました。

結核。一週間に300例前後報告されますが、「2類」の感染症なので、個人情報をもとに保健所から連絡がいき、接触した人の検査が必要になります。

麻疹はどうでしょうか。5類感染症なので、名前や住所などの個人情報は基本的には医療機関から保健所にはいかないカテゴリーですが、接触者への対応が必要な感染症なので、保健所から連絡がいくことがあります。


このように、病原体(感染症)によって、個人や社会を守るために必要な対応のレベルや緊急度が異なるわけです。

それが妥当かどうかという検証も必要なんですが。

最近話題になっているSFTS(エスエフティーエス、におちついたそうです。したかみそうな名前ですがー)は(なぜか)3月4日から「4類」の届け出疾患になったそうです。(昨日MLで知りました)

が、しかし。

「重症熱性血小板減少症候群」・・・これだけだといろいろあってたいへんです。なので、条件がついています。
病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る。 となっています。

問題はその病原体検査をどうすれば(どこに依頼するの、いくらなの、たくさんできるの)、でございます。

そして報告は「直ちに」になっています。直ちに…。
今のところ、以前亡くなったひとの残っている検体で調べているわけですが、、、その場合も直ちに、です。

曝露後対応の検討が必要な髄膜炎菌性髄膜炎は5類で「届出を7日以内に行わなければならない」です。
それでいいのか(どちらも)。

届け出する感染症の全体像はこちら:「感染症法に基づく医師の届出のお願い」

日本では話題になるたび盛り込まれてしまっており、その重要性や公衆衛生的な意義、分類の妥当性など臨床の先生方から???と思われてしまっているものがあります。全体の精度管理にかかわるのでこのあたりも今後どうするのか(ということを誰が決めるのか)。

まだ全体像がよくわからない感染症を本気で知らべるなら、流行地の血清サーベイランスなども大事ですね・・・

3/17 関西若手医師フェデレーション主催 ショートプレゼンテーション大会

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熱いご案内をいただきました♪

気持ちが熱い人は皆若手。コメディカルも語り合おう、、な会ですよ(^^)。
いつか参加したいなあ〜(by編集長)

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関西若手医師フェデレーション主催
ショートプレゼンテーション大会(第4回チキチキkan-fed小ネタ集)

日時:2013年3月17日(日) 12時開場 13時開始
場所:兵庫県立尼崎病院 2階講堂 accessは↓WebPage 参照
http://www.amahosp.amagasaki.hyogo.jp/access/index.html
参加対象:医学生・若手医師だが気持ちが若手の医師・コメディカルも歓迎!
事前登録:不要 
参加費  :無料、ただし懇親会費用は別途
内容: オーラルプレゼンテーション8題+ポスター発表3題
★Opening:13時〜13時20分 開会宣言・ルール説明・優勝トロフィーの返還
※各演題 発表15分以内 質疑応答5分 制限時間を超えると減点あり

1 "The Hospital is like a Distillery “ 宮里悠佑先生(箕面市立病院)
2.『家族療法初学者による、How to家族療法!』秋山泰士先生(関西医科大学心療内科学講座)
3. 診断ミスを防ぐ為に      森川 暢先生(洛和会丸太町病院) 
★休憩:14時20分-14時40分 ポスター供覧・交流
  
4.アルコール患者のTips -酒は飲んでも飲まれるな- 長野広之先生(天理よろづ相談所病院)
5.患者のミカタ 〜「あなた」と「患者」の境界線〜小林正尚先生(奈良県立医科大学附属病院)
6.介護認定主治医意見書の書き方 〜あなたはその人の将来を左右する〜井藤英之先生(麻生飯塚病院総合診療科)

★休憩:15時40分-16時 ポスター供覧・交流

7.君もiPadderになってみないか!?〜Evernote, i Annotate PDFを中心に〜劉 彦伯先生(淀川キリスト教病院)
8.論文は「おでん」を食べるように読めばいい 中山 桂先生(京都市立病院)

★Closing:17時前後 結果発表・表彰  集計時間には会場参加者でfree talkを予定!!

ポスターはこちら
https://dl.dropbox.com/u/44683250/4th%20%E3%83%81%E3%82%AD%E3%83%81%E3%82%AD%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC.JPG

内容は↓参照
https://dl.dropbox.com/u/44683250/%EF%BC%94%EF%BD%94%EF%BD%88%E3%83%81%E3%82%AD%E3%83%81%E3%82%AD%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%80%80%E5%AE%8C%E6%88%90.jpg

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風疹とSFTS で考える感染症の分母と分子

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感染症は個人や社会にとって脅威なので、それを専門的にケアする人たちがいます。

病気になったら病院に行きます。ここには、どんな病気かを考えて必要な検査や治療をしてくれるドクターやスタッフがいます。

その検査や治療をできるように、研究や開発をしている人たちがいます。
それをどこでも使えるように低コストで安定した技術にと努力をしているのはメーカーのみなさんです。
制度の中で使えるように検討している人たちもいます。

以上の人は想像しやすいとおもいますが、もっと基本的な、そしてもっとも地味な仕事をしているひとたちがいます。

それは感染症がどれくらい発生しているのかを日々見続けているひとたちです。

重症例がどれほどいるのか、致死率は?と計算するときにも、分母情報が必要になりますが、そのおおもとのデータをとりまとめをしているのもこちらです。


地方衛生研究所ネットワーク
(ドキドキ鑑別診断だけでなく、地域で市民を感染症から守ることに関心がわいてきたらこのあたりもブックマークにいれておいてください)

医師は自分の診察室で「インフルエンザ増えてきたね」と実感することができますが、自分の外来以外だとどうなのかは院内データをみないとわかりません。

インフルエンザが増えるときはたいていその周辺地域でも増えているわけですが、いつごろから、どれくらいかは「全体を見渡している人」のデータを待たないとわかりません。

感染症のトレンド(発生動向)のおおもとのデータは医師や医療機関からの報告です。

医師 → 保健所 → 自治体の発生動向調査担当者(地方感染症情報センター) →厚生労働省/国立感染症研究所 と集約されます。

ですので、地域でのより精度の高い情報をみるためには報告率が重要になり、また迅速な還元が重要になります(2週間前のデータを紙で報告されても臨床の現場ではあまりやくにたちません・・せめて直近1週間が知りたい)。

メディアが扱っているのはこのデータですので、まず時差がありますし、その数そのものの解釈の注意点を知らないと過小評価になったり過剰反応になったりもします。感染症の判断をメディア情報だけでするのは無理があるので、判断したり人に伝えるような状況になったら、1次情報としての地方感染症情報センターのデータを見に行く必要があります。

探し方は簡単。自治体名+感染症情報センター で探し、そして「週報」のデータをみます。
この場合、「見せ方」つまり、多くの人に「読んでいただく」わかりやすい報告をしているかどうかはかなり自治体によってばらつきがあります。
担当者も全員がスペシャリストや熟練者ではないので、前の担当者のやりかたそのままがひきつがれていることが多いですが、他の自治体の上手な報告をみて改善をしてくださっているところもあります。

医師のみなさんには、見ていて「うちの地域の感染症発生動向の数字は還元のしかたがいまいちだよなー」と思ったら、(批判ではなく)ぜひ、「このようにしてくれたら見やすいし現場で役立つんだけど」と提案をお願いいたします。

日々医療機関からのデータを確認し、データーベースに入力し、必要があれば問い合わせなどもし、滞りなく平時のデータを監視しているみなさんに感謝いたします(感謝しましょう)。


そして、データの解釈のためには感染症の特徴を学ぶ必要があります。よくわからない場合は感染症に詳しい先生を囲んで勉強会をすると楽しいと思います。 Know Your Diseaseです。


例えば、感染症によっては季節トレンドがあります。

沖縄では夏にインフルエンザが流行していたりしますが(亜熱帯では珍しくありません)、多くの地域では冬に大流行する感染症です。「季節性インフルエンザ」ともいわれます。新型などと対比する際にわかりやすい名称ではあります。

毎年同じようなカーブをえがきますので、「平時と同じだ」「想定の範囲内だ」ということがわかります。

これだけでわからないのは感染している層や地域です。たとえば、今年のインフルエンザは、例年とちがって小学生年齢よりも先に成人で流行が広がりました。
日本各地でいっせいに流行っているのではなく、先行する地域があり、そこが落ち着くころにまだピークの地域もあったりします。狭い日本でもそれくらいの違いがみられます。

これは質的なところをよみこまないとわかりませんし、東京発の情報ではなく地域メディアがていねいに報じようとこころがけないと、地域の人にも伝わりません。


「増えているね」は、どこかをベースにいうので、そのベースがどこかということもあります。
また「激増」していても、過小評価のこともあります。

いったい地域でどれくらいの影響をもたらしているのかは、感染症によって想定することがちがうのでそのあたりは勉強してから語るほうが安全です。

風疹:これほど流行すると、ICUに入るほどの重症例から、かぜだろう・・・と歩き回る人までいろいろいます。




ダニにかまれて重症:ダニ系の感染症はいろいろいるありますので、そのなかの特定のウイルス(をどうやって調べるのかというハードルあり)、さらに重症例となると、探していくケースがとてもかぎられてくることがわかります。











役得

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お馴染み若セミ、2013年度は更に充実した講師陣を迎えて整形、精神、腫瘍、胸部単純写真など・・のカリキュラムも・・

講師をお願いした方々は、全て研修医達から絶大な希望・人気のあった先生ばかり・・。なのに編集長、必ずしも個人的な面識のある方ばかりではありません。

当然、礼を欠かないために、可能な限りご挨拶、お願いに伺います。そのような講師陣の中でもなんとしても「三顧の礼」を持ってしても・・というのが整形領域のカリスマ、西伊豆病院 院長の仲田和正先生でした。

そこで、本日、お忙しい診療の合間をぬって時間をお取り頂きご挨拶させて頂きました!

DVDなどではすっかりお馴染み・・といった感じですが、個人的にご挨拶差し上げるのは初めて・・という事で緊張気味ながらご挨拶。

しかし仲田先生ご自身は極めてフランクな方で院内の御案内まで頂きました。

若セミの準備は大変な事もありますが、こうして有名カリスマ講師に直接会いに行ける・・というメリットもあるのです。(それから時にはK島先生のような、かつての教え子にも会える・・)

「役得」

です。 はい。

帰宅途中に夕日が沈み始めた西伊豆の海も・・



転載 MRIC 予防接種制度改革〜残るは政治の領域〜

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「予防接種後進国なんですよ」と、書いたり言ったりするときは、その構造や背景を理解しておく必要があります。

そうしないと厚労省批判をして終わってしまうからです。
厚労省は他の省庁と違い、同じ医療者が働いているところであります。
予防接種の重要性を理解していないわけではなく、その人たちだけでは難しい構造について理解し、改善のためのパスを皆で共有しながらとりくんでいく必要があります。

地域についても同様です。うちの自治体はだめだなあ・・・とダメを納得する理由や言い訳をさがすよりは、どうしたら他の自治体のような取り組みができるのだろうと策を練るほうが有益です。

国レベルの問題を考える際に、下記のような現状を知っておく必要があります。MRICからの転載です。

なぜ「総務省」が出てくるのか。
たとえば、どうして、小児専門病院を受診しているご家庭は地元なら公費のワクチンを自費で接種しないといけないのか。そのあたりの理解が深まります。


高畑さんは、お子さんが細菌性髄膜炎になった経験から、国にたいして予防接種制度改善の取り組みをされてきた方です。

2010年 ロハスメディカル 村重直子の眼4 高畑紀一・細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会事務局長


見やすくするために改行したり、文字強調は編集部の勉強ノート作業です。
もとの文章にはありません。

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予防接種制度改革〜残るは政治の領域〜

+Action for Children 代表 高畑 紀一

2013年2月27日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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1月27日、厚生労働、財務、総務の3大臣による折衝が行われ、2013年度からヒブ、小児用肺炎球菌、HPV(ヒトパピローマウイルス)の3ワクチンを定期接種とすること、その費用の9割を公費負担とすること等が確認されたとの報道がなされた。29日には各地方自治体宛に厚生労働省並びに総務省から、「9割公費負担」に係る事務連絡が発出された。これらの内容からわかることは、

・ヒブ、小児用肺炎球菌、HPVが定期接種となること
・新たに追加する3ワクチンを加えた全ての定期接種の費用の9割を公費負担とすること
・9割の公費負担は、普通交付税措置を講じることで実現すること

である。

「9割公費負担」の中身は、住民税年少扶養控除廃止による増税分を予防接種の財源にあて、それでも予防接種費用の9割に満たない部分を地方交付税で補う、というもの。これを「9割公費負担」と呼ぶのが妥当なのかどうか、疑問を抱かれる方も少なくないと思われるが、本文ではこの点はふれるつもりはない。

寧ろ、本来であればその使途は各自治体の裁量に委ねられる年少扶養控除廃止による増税分を、予防接種費用に充てるとしたこと、また9割に満たない部分とはいえ地方交付税の額自体は増えるであろうことが予想されること、新たな3ワクチンだけではなく、従来からの定期接種にかかる費用も「9割公費負担」の対象としていること等、行政の裁量として最大限の「ギリギリ」の線で決着したことに驚きを感じている。

この大きな決断のために、冒頭の3大臣の折衝が不可欠であったのだろう。
ある意味、立法府では無い行政が、現行の枠組みの中で発揮しうる、最大限の裁量を発揮したと評価すべきであろう。

ただし、このスキームは、あくまでも現行の制度内での弥縫策に過ぎない。

厚生労働省の予防接種部会が定期接種化することが望ましいとした、水痘、ムンプス、B型肝炎、成人の肺炎球菌の4つのワクチンや、保護者の希望が高まっているロタウイルスワクチンの定期接種化には到底、対応できるとは思えない。
これらのワクチンの定期接種化を実現しなければ、ワクチン後進国脱却は成しえない。
行政の裁量の枠内で講じ得る弥縫策を超える対応が、不可欠だ。


【政治に残された課題その1:財源確保策】
今回の9割公費負担を支える前提は「年少扶養控除の廃止分による増税分」を予防接種の費用に充てることにある。
しかし、この増税分は額が増加する性質のものでは無く、新たなワクチンの定期接種化に伴う予算増には対応できない。
9割に満たない部分を補てんする地方交付税についても、使途が限定された「ひもつき」のお金では無く、また、ひっ迫する国及び地方自治体の財政状況なども勘案すると、予算増に対応しきれるとは予想しがたい。
そもそも、地方交付税不交付団体では「9割公費負担」は何ら保障されるものではなく、「年少扶養控除の廃止分による増税分を予防接種費用に充てなさい」といわれているに過ぎない。
一部では年少扶養控除の復活という動きもあるとの話があり、その場合にはこれらの前提そのものが崩れ去ってしまう。 到底、今回のスキームが予防接種の財源として適切だとは言えないだろう。

そこで、定期接種の費用の確保策を講じる必要があるのだが、私の私見では、次の2つにその策は絞られてくると考えている。

1.全額、国の負担とする(国の直轄事業とする)
2.健康保険の給付とする

今回、このふたつの策についての説明は敢えて省くが、いずれの策をとるにしても、いずれかの法改正は避けられないものである。

「1」であれば実施主体を地方自治体では無く国の事業とする「大政奉還」が必要となるし、「2」であれば各保険者の説得はもちろんのこと、予防を健康保険の給付とするという健康保険制度の大幅な方向転換が必要となる(個人的には、ニコチン依存症管理、肺血栓塞栓症予防管理、生活習慣病管理等の保険適用があるのだから、既に予防が健康保険の給付となっている面があると考えている)。保険給付では無くても、メタボ健診の様に保険者の義務としての事業に位置付ける方策もあると思われるが、これも法による対応が不可欠である。

法改正は立法府の仕事であり、定期接種の費用の確保策がこれらのいずれかしかないとすれば、財源確保は立法府、つまりは国会の仕事であり政治家の仕事である、ということになる。
行政府の裁量における財源確保策では限界があることは、今回のスキームをみるまでもなく明らかだったものであり、国会は速やかにこの課題に取り組み答えを出す必要がある。


【政治に残された課題その2:日本版ACIP】
今回の「3ワクチン」という優先順位、そして、予防接種部会の議論におけるロタウイルスワクチンの位置付けから、我が国における日本版ACIPというべき評価・検討組織の不在の影響が伺える。
現在、予防接種部会を発展改組して、評価検討組織のスタートとする方向での議論が予防接種部会で進められている。
これ自体は、現状からみればひとつの前進ではあるが、しかしながらその役割が限定的なものに留まるであろうことも十二分に予想される。

 その一つの証左が、「3ワクチンが優先」という今回の予防接種改正法案の内容である。
3ワクチンが優先される理由は、他の4ワクチンよりも医学的な優先度が高いからではない。既に公費負担により全国的に多くの自治体が無料で接種している実態が優先されているに過ぎない。
予防接種部会の提言内容からもそのことは明らかである。
そして、3つと4つにワクチンを分けざるを得ない最大の理由、それは「財源」に他ならない。要は、財源が確保できないから、3つが優先されているに過ぎないのだ。
予防接種部会は厚生労働省内の審議会に設置された部会であり、財務省や総務省の管轄する領域にまで踏み込む権限は有していない。
このため、財源の確保策に踏み込むことができず、厚生労働行政の裁量の枠内でしか予防接種制度改革を推進できないという限界を呈しているといえよう。

また、評価・検討組織不在であるが故に、ロタウイルスワクチンの優先度評価が7つのワクチンより低いものとなっている。
現在の優先度評価のもととなっているのは、2年以上前に故・神谷齋先生を中心に取りまとめた「ファクトシート」である(今振り返っても本当に素晴らしい仕事であったと思う)。残念ながら、当時はロタウイルスワクチンは市場に登場していない。
しかし、その後にロタウイルスワクチンが登場し、接種実績の蓄積も順調に進んでいるにも拘らず、本格的な評価の対象となったのはごく最近のことである。
つまり、評価・検討組織が無いが故に、ロタウイルスワクチンが評価・検討の対象として取り上げられない時間が長時間続いてしまった、という結果が現在の優先度評価の低さにつながっているといえよう。
今後、新たなワクチンが登場するたびに、同様のラグが繰り返されることが予想されるものであり、評価・検討組織の構築は喫緊の課題であるといえる。


【残るは政治の領域】
今回の3大臣折衝が不可欠であったように、現行の予防接種は総務・財務・厚生労働の3つの省にまたがる事業となっている。
この枠組みを変えないのであれば、評価・検討組織がその役割を十分に発揮するためには設置場所は3省の外側に設けなければいけない。
現状の予防接種部会を発展改組する案では、評価・検討組織に期待される役割は十分に発揮できないであろう。この事は、期せずして今回の予防接種法改正案が示した限界からも明らかである。
3省の外に組織を作るとなると、これもまた行政の裁量を超えた政治が果たすべき仕事となる。
逆に、現在の厚生労働省内に評価・検討組織を置いたままでその期待される役割を十二分に発揮させる為には、現在の3省にまたがる予防接種事業を厚生労働省に集約しなければならない。実施は市町村では無く国の直轄とする、財源は健康保険給付とする、といった厚生労働省内でほぼ完結する事業としなければならない。
しかし、3省にまたがる予防接種事業の在り方を変えていくのも、これまた政治が取り組まなければ成しえない領域である。

評価・検討組織の構築と財源の確保、このふたつは予防接種制度改革を実りあるものとし、ワクチン後進国の汚名を返上するため残された大きな課題である。
そして、この課題に取り組み答えを提示できるのは、政治である。
課題を解消しなければ、常に更新されていく感染症とワクチン・予防接種の世界からは取り残され、ワクチンギャップの解消は望めない。
専門家はワクチンの有用性・安全性を評価し、臨床医は患者への安全な接種と啓発、メディアや患者団体・市民団体も情報提供、啓発に努め、行政も持てる裁量の中で可能な限りの対応をとってきた。
残されているのは、政治の場での議論と速やかな決断である。

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世界に伝えよう(ウイルスじゃなくて情報を)ProMed掲載:日本の風疹

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国立国際医療研究センター 国際感染症センターの氏家先生がProMedに投稿をしてくださったので、各国の公衆衛生部門に最新情報が伝わりました。

RUBELLA - JAPAN: INCREASING INCIDENCE   2013-02-28 14:22:16

世界からボランタリーに情報を集約している媒体です。

Websiteはこちら。 http://www.promedmail.org/

下にHealthmapという地図があり、アウトブレイク情報があがっているところにはピンがささっています。

妊娠予定の女性は東京や日本に行く時はワクチンを接種していきましょう的なアナウンスが行われることを期待しています。
Travel Alert! とか warning とか英語でJapanと一緒にとびかうと、オリンピク誘致どころじゃないですから〜。


PrMedに投稿をされた氏家先生は、国際保健、感染症、特にワクチンについてのエキスパートです。
今後のご活躍が楽しみな若手の先生のおひとりです。

サンドデジタルセミナーでも、薬剤師さんへのワクチン講義を依頼していますのでお楽しみに〜。

氏家先生のブログ 「国際医療について考える」
は、感染症や国際保健に関心をお持ちの学生や医療者の皆さんにおススメです♪




3/8(金) 免疫不全:薬剤師コンサルテーション力Up講座(サンドデジタルセミナー)と2013の予定

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来週3月8日は、今年度最後のサンドデジタルセミナーです。
東北大学の具先生に免疫不全を薬剤師さんに語っていただきます。
先日、東京駅近くで打ち合わせをし、スライドも完成しています。

様々な免疫不全の整理から、薬剤師さんがご専門の薬との関係など、薬剤師コンサルテーションに役立つお話になっています。
難しいことを優しく語るのはたいへんなのですが、そのあたりを編集長と練っておられました。


具先生は、佐久総合病院で広く感染症にかかわられたあと、大曲先生の静岡がんセンターで、免疫不全関連と、そしてチームのアプローチを大切にする医療を実践。

まさにそのタイトルの本も執筆されています。

感染症チーム医療のアプローチ―解決力・交渉力を磨く南江堂

大曲先生はじめ静がんの先生方がつくられた、『がん患者の感染症診療マニュアル』の初版メンバーでもあります。
(現在は第二版が出ています)



その後、国立感染症研究所のFETPコースを修了され、現在は東北大学にご所属です。

お楽しみに。

ちなみに・・・生で会場で聞いてみたい方がいらっしゃいましたらおしらせください。ご案内いたします(^^)
ライブ中継の実際などもご覧いただけます。こんな感じです↓


お調子者のおじさんもいます ↓こんな人



さて。

次年度の計画を立てている方から、スケジュールをなるべく早くアナウンスするようにという依頼が舞い込むこの頃です。
都心は少しあたたかい日が続いていますが。また寒くなるそうです。


薬剤師のための感染症コンサルテーション力Up講座は、パソコンとネット回線があれば職場でも、大学の教室でも、自宅でも視聴が可能です。

最初は、病院のDIに配布していたIDとパスワードですが、視聴希望の方が増えたため、個人でとれるようにしてもらっています。
サンドのホームページから登録できるそうです。ご確認ください。

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タイトルは仮です。

[6月11日]
1)患者・家族支援に必要な感染症予防の基礎知識:ワクチンの最新情報を含めて 
国立国際医療研究センター 国際感染症センター 氏家先生 

[9月3日]
2)感染症関連の検査の理解  
  亀田総合病院 総合診療・感染症科 細川先生

[11月15日]
3)耐性菌の理解と対応  
   がん研有明病院感染症か 原田先生

[2014年1月14日]
4)真菌感染症のマネジメント          
  虎の門病院臨床感染症科 荒岡先生 

[2014年3月4日]
5)集中治療室における感染症診療    
  クイーンズランド大学 ロイヤルブリスベン ウィメンズホスピタル感染症部門 林先生

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当事者の言葉  CRSを予防するために

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非医療者の人たちが、ニュースを見ながら不思議に思っています。

「なぜ、風疹でこんなに大きく騒いでいるのか?」と。

「私の周りにはいませんよ」「昔なったけど元気ですよ」「皆なって大きくなるんじゃないですか?」


また「風疹」を読めないとか、「ふうしん」ってかわいい名前だねとか、いろいろいわれたりもします。
よく使われる「風しん」は「軽い風邪でしょ?風って書いてあるから」というコメントもありました。ふわふわ〜。

なかには、風疹の「疹を」みて「ぶつぶつ発疹が出るからこの字なんですね。"風しん"ではわかりませんね」といったお母さんもいました。

「せんてんせいふうしんしょうこうぐん」 は音で聴いても頭の中で漢字変換ができません。

漢字を読んでも、実はなんだかわかりません。
具体的にどのような健康の問題が起こるのかは、医学生や看護学生でも勉強しないとわかりません。
染色体異常とどうちがうのか、など。


そして最後にCRSの写真を見てのコメント。「もしかして赤ちゃんに障害が残るってことですか?」


ワクチンの普及のおかげでリアルなVPDを経験しなくなったのは医療者も一般の方も同じ。

医療者や行政が何もせずに しーん としていたら(そう見えたら)危機感は共有されません。
共有しなくていい人もいるのですが、メインターゲットの人たちには伝わらないといけません。

なぜならば、英国やオーストラリア、米国が百日咳アウトブレイクに対して緊急に妊婦とパートナーに無料ワクチン接種を提供したような形での介入が(まだ)行われていないからです。

「注意をしてください」と繰り返されても、誰が何をすべきかがよく伝わりません。

注意ってなんだろう。

注意されてもアクションは難しい。
抗体価が低い妊婦さんは、お産後直ぐにワクチン接種を勧められ、退院前にするのがスタンダードであるのですが、
すすめない医療者もいたり、すすめられても何が重要かわからず接種をしない人もいます。


体験を自ら語ったお母さんがいました。今朝のNHKで紹介されました。

お子さんがCRS。実名での取材です。


番組を見た人の感想がTwitterにたくさん書かれていました。

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NHK「おはよう日本」は妊娠中の風疹感染で赤ちゃんに障害との特集。自分の赤ちゃんに障害が出て、ブログで妊娠前女性にワクチン接種を呼び掛ける女性が出演。「ああなりたくない、と思われてもいいから」という一言が耳に残った。自分の赤ちゃんへの申し訳なさを強い決意に変えた一言、凛としてた
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NHKの「おはよう日本」先天性風疹症候群の放送内容、メッセージも編集もとてもよかった。明日の感染感染学会の自分のランチョンの内容に確実に影響するなぁ
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おはようございます。今朝のNHKおはよう日本。風疹のお話、見ました。あのママさんの勇気、最大の啓蒙。本当に頭が下がる思いです
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こちらも参考に:先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会 「トーチの会」


地域によって流行レベルが異なりますが、同じように感受性者は特定世代中心にいますので、そのことを念頭に動いたほうがおいいです。
発生動向調査を眺めていると1−2週間出遅れます。
保健所の人と地域での増加傾向情報などを密に確認することをおすすめします。
そして、3月末まで無料で接種できる層(中1高3)には必ず受けてもらうようよびかけましょう。
この層がプールされるとまたどこかの時点で地域流行がおきますので。


厚労省はアクションをおこしています。風疹の専門ページができました。

2月26日付けの厚労省の通知 「先天性風しん症候群の発生予防等を含む風しん対策の一層の徹底について (情報提供及び依頼)」の一部改正について」
一部改正ですから、その前のバージョンがあるわけです。

5月25日→7月19日→1月19日付けで通知が出ているので関心ある方は全部ながめてみてください。医療者に直接ではなく、医療者や市民にこういったことを伝えましょう(お願い)という連絡が、自治体に届くわけです。
自治体から病院等の現場にどのようにおりてくるのかは地域によって異なっているでしょう。

一応最新版が一番現状を反影した、ビビッドな助言なのだろうと思ってこちらを読みます。

「妊婦の夫、子どもその他の同居家族への周知の強化を図る ことと致しました。」ここが新しい点。

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1.風しんの定期予防接種対象者に対し、積極的な接種勧奨を行うこと。

1期(1歳お誕生日)2期(小学校はいるとき)ここはけっこう高い接種率。もっと高くしよう。
 3期(中1相当)、4期(高3相当)ここは大都市部が低くなっています。東京や大阪はびりのほう。
 ここで感受性者がプールされると、また将来アウトブレイクが起きますよ・・・そのとき慌てても有料ですし
 有料だと皆さん接種はしてくれませんよ・・・

2.妊婦への感染を抑制するため、特に、
 1 妊婦の夫、子どもその他の同居家族
2 10代後半から40代の女性(特に、妊娠希望者又は妊娠する可能性の高い者)
 3 産褥早期の女性 のうち、抗体価が十分であると確認ができた者以外の者に対して、任意での予防接種
 を受けることについて検討いただくよう、周知を図ること。
 
夫ひとり、子ども2人で13000円×3=39000円。完全自費?

3.貴管内の産婦人科医療機関等に対し、妊婦の同居家族への情報提供を行うとともに、
 妊娠中に風しんに罹患(疑いを含む。)した女性に対しては、無用な不安をあおらない よう留意の上、妊婦からの相談に応じる などの適切な対応を行うよう、周知を図ること。

  無用な不安ってなんでしょう。過去にある12週までならこれくらい、○週だとこれくらい、というデータしかないです。
  相談に応じる等の適切な対応 って具体的には何?というか、やってはいけないことを列記するほうが伝わるかも?

 4.貴管内の小児科医療機関等に対し、次の事項について、周知を図ること。
 (1) 先天性風しん症候群が感染症法上の全数届出 対象疾患であること。
 (2) 風しん報告数増加地域での妊娠初期検査で風しん抗体陰性又は低抗体価の妊婦から出産した新生児に対し、先天性風しん症候群を念頭におき注意深い対応を行う必 要があること。

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風疹単独ワクチンは5千円、MRワクチンは1万数千円が相場とのことです。
どれくらいの人が受けるでしょうか。
仮に無料とするなら、どのターゲットまで広げますか?
無料ならハイリスク層は接種をどれくらいするでしょうか。


CRS全体の規模を調べるサーベイが文献を調べるといろいろでてきます。
東京都は最後、どのような評価を行うのでしょうね。

赤ちゃんが耳が聞こえないらしい、と気づいたのは5−6ヶ月の頃だった、という記載が沖縄での流行記録にありました。
大きな音に反応しないとか、そういった形で気づくのか。
沖縄の資料をいろいろ読み返しているところです。
今、40代の方に補聴器をつけている方が多いのはそのような背景があるから、と。そのストーリーを知らない医療者も増えています。

博物館 と お祭り と その周辺

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2月28日にある方が、とある博物館にお出かけになった・・・という話が紹介されていました。
以前、当ブログで紹介させていただいた、アムステルダムのSex Museumに関連する話題です。
お好みでない方はスルーしてください。

広くSexual Healthの見聞を広めようではないかという方は先へおすすみください。

記事はこちらです。
A Natural History Of The Penis: A Visit To Iceland's Infamous Penis Museum

博物館のonline ストアのページには当然グッズ販売もあり

アイスランドは遠いな〜という方には、毎年4月の第一日曜に開かれる川崎市金山神社の「かなまら祭り」をおすすめします。
(日程の詳細はあらためてご確認ください)

ウィキペディア
ガジェット通信 “かなまら祭り"
連続参加している方のレポート

もともと、各地にある「生殖器崇拝」の話は、人類学とか民俗学の本を読むと理解が深まります。
次の長期休暇にチャレンジしよう。

周辺情報不足ですみません。

上記お祭りは外国の方にもたいへん人気とのことです。

編集長の生き甲斐

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香川大学>広島・庄原・病診連携勉強会>広島大学>帰宅>鳥取・研修医交流会>大阪高槻の勉強会>大阪市立堺病院>帰宅

という筑波大学徳田教授にドクターストップをかけられた高齢者にしてはToughな講演旅行を終えました。
異常な動悸やめまいに苦しめられつつも、やはり感染症診療の向上に興味を持って下さる、特に若手医師にお会いするのは本当に嬉しい事です。

自分のセミナーなどに来て下さっている青年に各地でお会いするのも楽しみです。

更に何年も前にお勧めしたFlow Sheetを実践し、それを見せて下さる先生にもお会いしました!!



お世話になった先生がた、ありがとうございました。

(写真:鳥取県立中央病院の椋田先生、成富先生)

麻疹風疹 再び、のリスク

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麻疹については、WHOもCDCも日本の国立感染症研究所も、定期的にレポートを出しています。
排除宣言を目指す地域で、接種率を95%に挙げる取り組みがおこなわれています。

現在、都心を中心に拡大している風疹ですが、3期4期の接種機会を逃した人たちが感受性者として残るため、今後また今回のような騒動が起こる可能性があります。今回のアウトブレイクが(仮に、まだおわってませんが、というか、春から夏がシーズンな風疹ですが!)収束しても問題が終わる訳ではないということです。
またおこるかもよ、です。


感染研の最新レポートが2月に出ています。

麻疹 2012年

都道府県別の接種率をみてみましょう。

「2011年度、全国の接種率は95.3%であり、2010年度に続いて目標の95%以上を達成した。」

2回接種を徹底できている層です。

2回接種できていないひとたちのためのキャッチアップ5カ年計画は今年で終わってしまいます。3月31日までにぜひとも接種をしていただきたいですね。(4月からはMRワクチンは1万数千円自己負担です)

その問題の3期4期ですが、、、

3期が95%を超えたのは、茨城、栃木、富山だけ。

4期は95%以上を達成した都道府県はなかったが、
秋田県、岩手県、山形県、新潟県、富山県、福井県、島根県で90%以上となった

全体に、東京や大阪などの都市部は低いんですよね。(とほほ)

春から専門学校や大学に進学、あるいは東京近辺に就職する皆さん。

ワクチン接種をしてから足を踏み入れるようおねがいいたします。

皆さん、周囲にそのような方がいらっしゃいましたら、ひとこえ、ふたこえ、三声かけてください!

本郷先生の本 ご紹介

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「本の紹介を」というご依頼で紹介させていただいています。

ほんのタイトルは「Step Up式 感染症診療のコツ」
http://www.bunkodo.co.jp/book/detail_1109.html

編集は武蔵野赤十字病院感染症科副部長の本郷偉元先生。

パラパラと目次、全体の雰囲気を概観すると、この本自体がまさに「本郷偉元」ということがすぐにわかります。

一番最初にはもちろん、沖縄県立中部病院・感染症科におられた日本臨床感染症学の祖、喜舎場朝和先生のお言葉。もちろん喜舎場先生は本郷先生の感染症科医師としての原点。その後はもう、なんというか宝石箱を床に落とした直後といった風景です。宝石だらけ・・。



本郷先生は人づきあいが良くて、体育会系で仁義に厚く、それゆえ人類全員に執筆を頼まなければ申し訳ない・・といった気持に溢れるイイヤツなんです。そのため執筆者は総勢50名に近い陣容。

でも仁義に厚く正義感が強い分だけ偽物にはアナフィラキシー体質なので、現場の言葉を語れる執筆者のみで50名となっています。そのため貴重なPearlが目白押し。ひとつだけ紹介すると・・・

「Mini Lecture 細菌室と医師の協同作戦 〜前橋赤十字病院を例に〜」と題して金子心学先生がグラム染色や培養検査、さらにWHONETにまで言及されています。

まあ「百聞は一見にしかず」、是非ご一読を。値段も内容を考えると格安だと思いますね。

本の芯に脈々と流れる本郷先生の感染症に対する熱い思いが、多くの読者と共有されることを願っています。

(写真は留学前の本郷先生、岸本先生たち、後方にはT教授も・・)

さあ、次はS藤先生のサッパイラの書評だ・・Sigh

風疹対策のコミュニケーション(医療者もがんばろう)

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風疹の地域流行をとめるためにできることを関係者がするかどうかで、影響を受ける人の数(発症者、先天性風疹症候群の赤ちゃん)を変えることができます。

また、急増する届け出の対応におわれる、現場を支援することも可能です。


現在の風疹の届け出様式には、今回の流行で重要な情報を得ることが(実は)できません。


たとえば、その人が妊娠可能年齢の女性の場合、「妊娠している」「妊娠なし」なのかどうか。
職場や家族など、周囲に妊婦がいるのかどうか。

たとえば、その人が風疹→重症化→入院、合併症、、、となったような場合にそれを記載する項目がありません。

医師の皆様にそのような情報を追記していただくとたいへんたすかります。


現在、風疹は麻疹のように(誤り修正:麻疹は風疹のように)「一例出たらすぐ対応」とか、接触者の支援まではできていません(マンパワー上も無理)。
しかし、職場や学校で集団に広がったりするのを防ぐために、施設の責任者などに感染拡大阻止のための助言をすることくらいはできるそうです。

地域の保健所とのよいコミュニケーションをとってまいりましょう。
今後の、想定の範囲を超える感染症対策のときに必要な連絡をとれるかどうかは、
このような日ごろからのお互いの配慮がだいじなのではないかと思う次第です。

家族や同居者に、ワクチン接種歴不明、未接種者がいると2次3次感染と広がっていきますので、当事者を通じて予防をはたらきかけていきましょう。
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