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Channel: 感染症診療の原則
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Brain-Eating Amoeba

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ええ、本日のICAACクイズは・・
聞くだに恐ろしげな「人食い、脳食いアメーバ・・」

淡水で泳ぐのは本当に怖いですね・・特に温水プールに近い温度では・・

さて、問題は・・

ある日、元気な男の子が池で泳いでいたら頭痛その他で脳炎発症。
髄液からはAmoeba!! その名は以下のどちら?

Naegleria 対 Acanthamoba

正解はNaegleria。なぜなら・・

Naegleriaは元気な子供でもAttack。それに対してAcanthamobaはどちらかというと免疫状態の悪い人を餌食に・・
それでもAcanthamobaによる健常人の問題も出ております。

Amoebic keratitis とGranulomatous Amebic Encephalitis

写真は京都で頂いたお刺身

ダイエット中の皆様に朗報

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昨日、編集長、ジムで見つけました。
Diet中の皆様に朗報です。

ついに皆様のお肉と脂肪が商品化される事になりました。

詳細は都内、某Fitnessセンターにお問い合わせ下さい!!

編集長:もう少し早くやってくれたら沢山もうけたのに・・

編集長、これから沖縄に向かって出発です。

See you later, alligator

緊急連絡 メイルダウン

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皆様:

編集長の通常メイルがダウンしております。
緊急のご連絡は本ブログ当てにお願い申し上げます。

よろしくお願い申し上げます。

グラム陽性桿菌 いくつ言える?

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ええ、皆様、グラム陽性桿菌、いくつご存じでしょうか?

編集長:3−4ヶかな・・Clostridium, Corynebacterium, Listeria, Bacillus, Rhodococcus,

さて、本日のICAACのクイズ紹介は、そのGPRによるUTI尿路感染症。
これで、すぐ答えが出る方は尋常でありません。

正解は Actinobaculum schaalii

え・・?!!

そうなんです。編集長も「え・・?」でした。でも一応知っておこうかな・・
嫌気性なのかな、通常の尿培養では生えないみたい。CO2入れたりとかして・・

詳しくは以下をご覧下さい。既に亀田病院からは報告があります。

Oscar E. Lariosa
First report of Actinobaculum schaalii urinary tract infection in North America
Diagnostic Microbiology and Infectious Disease2010 67(3):282-

来年の岐阜メモ(性感染症学会)

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第25回日本性感染症学会が終わりました。
来年も岐阜で開催です。大会長は三鴨先生。

ICD講習会もあります。単位取得希望の方はお早めにお申し込み下さい。

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第26回 日本性感染症学会学術大会
日 時 2013年(平成25年)11月16日(土)〜17日(日)
会 場 長良川国際会議場(岐阜市長良福光2695-2)TEL 058-296-1200
〔会場は第25回と同じですが、開催月日の変更にご注意ください〕
=> http://www.g-ncc.jp/
会 長 愛知医科大学大学院医学研究科感染制御学 三鴨廣繁教授
〒480-1195 愛知県長久手市岩作雁又1-1
最初のアナウンス
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大学院生含めて学生は格安で参加できます。今回は2000円でした。

認定医や認定士をとりたい方は学会HPをご確認ください。

今回は東口クリニックの院長先生、東京医大の先生方も参加され、激しい学習の他、楽しいひとときもありました。
来年参加してみようかな〜という人のために宿泊先とグルメ情報を紹介。

まず、国際会議場の隣には、都ホテル。そう遠くないところにグランドホテル。この2つがメジャーだそうです。便利ですがお値段もそれなりにします。
駅前のビジネスホテルも便利と言えば便利ですが、長良川沿いにある古い旅館もおすすめです。

川原町は、戦争で焼けなかったために、古い町並みが残っています。

そこの「十八楼」。ここは創業150年の古いお宿ですが、設備は整っており、風情がありました。オフロだけでも利用できるそうです。
外観はこんなかんじで。


朝ご飯はバイキングと聞いていたのですが、これがすごい「健康美食朝食」で、てのかかる野菜料理などがずらっと並んでいます。

こちらはお豆腐。クリーミーなおダシのきいたスープと一緒にいただきます。


お子様も喜びそうなパンケーキ。これは型を使ったのではなく、ホットプレート上で絵を描いてつくっています。


2日目のランチタイムにでかけたのは「潜龍」http://www.senryu.co.jp/
KY先生(空気、じゃなくってフツウにイニシャルです)が予約をしたお店。
数名で便乗させていただきました。




お庭もステキです。


一番最初に出てきたのが牛肉のしぐれ煮とローストピーフ。
このあとカリフラワーのスープがでました。


お肉登場!


じゅっとのっけます。


蓋をして〜しばらくまちます。中でドンパチ音がします。


いい感じでしあがってます。


執刀。


おなかがぐうううう、となりました。


オリジナルの濁り酒があると聞いて、さっそくオーダー(午後からの発表者は味見だけ。ぼそぼそ)。

すごい濃厚です。


かなりヤバいです。


「楊貴妃の舞」という名前で1365円(安!)で販売。


郵送もしてくれるそうです〜。お土産に2本購入しました。

来年もこなくちゃー。

掘りごたつ式のお座敷なので、外国人や青木編集長のようなぎっくり腰もちのかたでも安心♪

12/13 琉球大学 PBL勉強会にでかけます

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青木編集長、自身が卒業後に学んだ(激しく働いた、窓のない研修日部屋で生活をした)沖縄県立中部病院/ハワイ大学医学部からの依頼で、1週間の集中講義にでかけています。

(あったかいんでしょうねえ・・いいですねえ・・・。お土産はブルーシールのアイスでいいですよ。ぼそぼそ)

中部病院でのレクチャーや症例カンファレンスは、離島でがんばっているスタッフのもとにもライブ中継されるそうです。

すごいですね。

豊川先生からのお声掛りで南部医療センターでもひとつ講義をさせていただきます。


さらに!昨年からは、琉球大学の医学生のリクエストにお答えし、カンファレンスを予定に組み込んでいます。

関心ある皆様、是非ご参加ください。


日時:12月13日(木)18:30 〜 20:30

場所:琉球大学 基礎講義棟1階 104教室

主催:Ryu-SCEO (PBL勉強会)

詳細はこちら→ http://blog.livedoor.jp/ryukyu_student_pbl/

親ねずみの逆襲

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沖縄県立中部病院での講義&カンファレンスシリーズがはじまりました。

早速のカンファレンスで編集長は「撃沈」したとの連絡が。いや、かすったんだけど、という言い訳がとどきました。


最初の症例。

経験豊富な感染症医が臨床症状から考えたのは「梅毒」です。
しかし、治療をしてもよくなりません。あららら。

困って相談した、お師匠さんが考えたのは「レプトスピラ」だったそうです。
しかし、うまくいきませんでした。

(青木編集長、米国のBoard試験の前に受けた集中講義の際につくった勉強ファイルを沖縄にじつは持ち込んでいまして、困難症例について備えていたのだそうです)

可能性としてあげたなかに正解はあったのですが(ここが撃沈ではないもん、な言い訳)、「アジアだったら〜なはずだから、ちがうかもね」という教科書的な解説までし、しかし、実際には正答はこれだったそうです。


何が違っていたかというと、それは「米国型」であったこと。

まあ、沖縄はアジアではありますがー、でも米国からの船や飛行機がダイレクトに来る島ですから、運ばれてきたとしても不思議はありません(きりっ)。

「保健所や県庁に伝えたんですか?編集長」

「さあ・・・S先生に聞いておこう」

さあ?


さて。それはいったいなんだったのか、、、ですが。

ヒストリー聴取の際に、どのようなことを聞くべきかは、感染症症例カンファレンスに参加したことのある人なら、リストが頭の中にあると思いますが、その中の特に重要な項目について、患者さんが不吉なことを口走っていました。


「子ねずみを殺したら、親ねずみが怒ってかみついてきた」


ぎゃあああああああああ。


ネズミって復讐するんですか!

正解はこちらをクリック

神奈川衛生研究所による解説はこちら(この際だから勉強しよう)


どんな病気の原因となるか?

Plague
Murine Typhus
Rickettsial pox
Salmonellosis
Rat bite fever
Weils disease
Hanta virus
Typhoid
Dysentery

どんな生き物?

Nocturnal in habit
Excellent swimmers
Good climbers
Good sense of smell and hearing
Can gnaw through materials like lead sheathing, aluminium, wood, wiring, etc
Can enter through very small openings

噛まれたくないです。絶対嫌です〜。噛むな〜

2/14 香川にうかがいます

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聖路加国際病院の感染症科で活躍されていた横田先生が、地元の香川で感染症診療をもりたてる勉強会をされていると聞いて、西日本出張時にお手伝いさせていただくことになりました。

香川の熱い皆様にお会いできるのを楽しみにしています。

(うどんは つるつる飲み込めなくて、もぐもぐしてしまう編集長でありますが・・・ぼそぼそ)

医師向けではありますが、薬剤師さんや医学生はじめ、他の方も参加OKだとうかがっています。
詳細は下記の電話番号にお問い合わせくださいませ。


編集長のメイルダウン 復旧は来週以降か・・

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先日もご連絡いたしましが、青木眞編集長のメイルは機能しておりません。

送って頂いても、どこかでBlack Hallのように吸収されてしまいます。困るのは、青木に届かないのにメイルを送って下さった皆様には「届けられない・・」というリターンメールが戻らない事です。
ですから、送った方は「返事が来ないなー 」と思われると思います。

これから土曜日までの間、新しいメアドをお知らせできませんので、お急ぎのかたは本Blog宛にメイルをお送りください。よろしくお願い申し上げます。

編集長

アトランタ特派員 CDCレポート

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荒岡先生にお会いしたのは杏林大学の呼吸器内科でした。
その後先生は、虎の門病院にうつられ、重症感染症の多いこの病院で、もちまえの穏やかさとガッツ、優秀なチームとともに感染管理からコンサルテーションと活躍中です。

その荒岡先生がアトランタにでかけるときいて、さっそく特派員レポートをお願いしました。

目的がすごいですよ。視察とか見学ではなく、現地で依頼されたプレゼンテーションをする、というミッションつきです!


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臨時アトランタ特派員 荒岡です。

CDC訪問記です。
今回は関わらせていただいている真菌のお仕事でCDCを訪問いたしました。

自身のpresentationは何とか無事に終わらせることができました。しっかりとした日本人英語をゆっくりとしゃべってきました。
あとは論文化に向けて、形にすべく前にすすめていきます。

真菌チームのTom ChillerさんやBenjamin Parkさんにはお世話になっています。
Tomとはこれで5回目くらいお会いしていますので、顔と名前は一致する仲にはなったと思います。

感染研にいらっしゃったDr. Hajime Kamiyaとたまたまお会いし、ほんの短時間お話しする機会もありました。

さて、今回改めて感じたことですが、CDCの規模の大きさ、懐の深さ、そして日本には同等の組織を作ることが必要ですが、できるでしょうか?いや、作らないといけないのでしょう。目先のことだけでなく、短期・中期・長期にわけたしっかりとした戦略が必要だと感じました。

CDCに入る前には、かなり手前から身分証明を提示することが必要でしたが。、Laboの奥まで見学することができました。
すごい貴重な菌株がとてつもない規模で保存されていることがわかりました。

Emergency Operation Center
http://www.cdc.gov/phpr/eoc.htm

を見学する機会も得ました。事件が起きたときの組織的な対応、そしてOperation centerにある世界中から集められているデータのモニターには圧倒されました。
今の日本には・・・でも整備しないといけないのでしょうね。

CDC Museumはパスポートなどの身分証明書があればどなたでも見学できるそうです。
http://www.cdc.gov/museum/

多くの先生がいつもおっしゃっておられる日本版CDCの必要性を、私も一端ながら十分に感じました。
今回の貴重な機会をいただきましたCDCのDr. Chillerをはじめ全てのスタッフ、虎の門病院の先生方に深く感謝しています。また、年末のPartyの時にでも時間がありましたら、お話させていただきます。

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すごいですね〜。
年末にお話をうかがうのが楽しみです!



【受付開始】第7回 水戸医学生セミナー

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徳田先生と千葉先生がタッグを組んでの水戸医学生セミナーはこんどで7回目を迎えるそうです。

参加希望の方はお早めにお申し込みください(^^)。

医学生のうちから最前線の先生方に教えていただけるのはいいですねえ〜

(編集長もリハビリのために特別枠で参加させてもらったらどうかしら。ぼそぼそ)

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第7回 水戸医学生セミナー 開催のお知らせ

http://www.mito-saisei.jp/rinsyoukensyuui15.html

水戸協同病院と水戸済生会総合病院の共催で、全国の医学生を対象に、臨床にすぐに役立つ内科と救急のエッセンスを体験するセミナーを開催します。

第6回までと同様に、内科領域で身体所見から鑑別疾患をじっくり考えてもらうこと、また救急における迅速な初期対応の重要性を体験していただきます。

内科鑑別診断については水戸協同病院の総合診療科スタッフが、救急については水戸済生会病院の救急科スタッフが中心となって、両病院研修医とともに皆さんをサポートします!

【日 程】平成25年3月8日(金)〜9日(土) 1泊2日
【会 場】水戸済生会総合病院および水戸協同病院
       ※宿泊は水戸市内のビジネスホテルを予定
【対 象】全国の医学部 新5年生、新6年生
【定 員】12名 ※定員になり次第締切
【参加費】無料 ※当院までの往復交通費はご負担ください
【コースディレクター】
  徳田 安春(水戸協同病院 総合診療科)
  千葉 義郎(水戸済生会総合病院 循環器内科)

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地域のコラボレーションいいですね〜

「いいですね〜」はいつもポジティブなハル先生の口癖です(^^)。

1stアナウンス 2013‐2014年 若手医師セミナー

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まもなく12月です(ひええええ・・・)

2013年1月以後のセミナーについての1stアナウンスです。

数年間、熟成させてきた「若手医師セミナー」と3年目を迎える「薬剤師のためのベッドサイド・ティーチングは、隔年で倍の各論を学べるように新企画となりました。

診療のの基礎となる領域は固定をし、後半のテーマを拡充いたしました。
講師やタイトルは後日発表いたします。

今回のテーマ選定にあたっては、現役の初期研修医、元初期研修医の皆様に、「こんなことに困った(困ってる)」「(特に一人のときに)判断が難しい事例やパターン」についてのヒアリングにご協力いただきました。
コメントをいただきました皆様ありがとうございました。


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【若手医師セミナー】 本会場:ベルサール神田 ※全国100箇所以上にライブ中継あり

対象:研修医。研修医以外の医師、薬剤師も参加可能です。
会場に余裕がある場合医学生も参加できます(本会場は席に余裕がありますが、規模の小さい地方会場は念のため残席を確認したほうがよいようです)

どの地域の、どの病院にいても初期研修で必要な学びができるよう、考え方や勉強の仕方のツボを含めて、指導愛に溢れたリーダーが熱く語ります。是非ご参加ください。

2013年
第1回  5/31  総合診療  
第2回  6/14  総合診療  
第3回  7/19  感染症   
第4回  8/30  ER     
第5回  9/13  ER     
第6回  10/11  精神科   
第7回  11/8  皮膚科   
第8回  12/6  整形外科  
2014年
第9回  1/10  腫瘍学   
第10回  2/14  胸部画像  

※2014年の4月からは、第5回〜10回は、「水・電解質・酸塩基平衡」「呼吸器」「アレルギー膠原病」「循環器」の予定

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【応募受付中】 FETPで感染症の実地疫学を学ぶ

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山岸先生がIDATENでアナウンスをしていたので、もう一度載せておきましょう〜。

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国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース(FETP)募集のお知らせ

昨今様々な感染症のアウトブレイクが報道されています。
FETPはこれら感染症危機管理(アウトブレイク)事例を迅速に探知し、適切に対応できる
実地疫学者の養成を目的とした2年間のコースです。
今回、2013年~2015年FETP研修生の募集(第2回)を平成25年1月4日〜1月
25日で行います。詳細は下記HPをご参照ください。
http://www.nih.go.jp/niid/ja/boshu/2920-h25-fetp-bosyuu.html

FETPでは以下の事を学べます。
・アウトブレイク調査のノウハウ
過去の事例は、広域EHEC感染症集団発生事例、大学病院多剤耐性アシネト
バクター分離集積事例等
・感染症サーベイランス解析・評価
・感染症疫学・統計学的研究の実施と英文論文の作成
・感染症危機管理に関する情報の還元・発信
・感染症危機管理についての教育

8週間のWHO西太平洋地域事務局での国際的な感染症対策の研修も可能です。
今年度から、希望者は東北大学との連携大学院に入り、学位所得につなげていくこともできます。
これらの活動のいくつかは他の場所ではなかなか学べないものです。

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無給がネック。
地方から家族を連れてくるのはなかなかたいへん。

最後のカンファレンス@沖縄

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編集長、中部病院での1週間集中講義がおわりました。
午後は人生相談コーナー(?)を設置して、明日東京にもどります。
椎木先生はじめ中部病院の皆様大変お世話になりました。

最後の症例もタフでしたね。

意識障害の高齢者が来ました。
もともと自立した生活をしていた方です。
(カルテをみると大腸がん術後、尿管結紮、胆道系術後)

プレショック。

お熱がなく、このとき血液培養はでてませんでした。
(あら)


頭のCTをみたら古い梗塞を示す画像はありましたが、それは意外な場所に。
(腫瘍か膿瘍かなあ、心内膜炎かなあ)


そうこういっているうちにシェイキングがはじまりました。
(もちろん培養検査オーダー)


皮疹があったのですが、これじたいは以前からあるというお話。

でも一応リケッチアなども考えました。
(前回のねずみに続いて今回はダニか?)


しかし、白血球が数万にあがっていました。
(きたきた)

リケッチアは白血球をあげませんので、たぶんちがうよねーという話。

肝機能と腎機能の異常あるなあ。
レプトスピラも考えるか(ここは沖縄だ)。

レジオネラも考えるか。高齢者は呼吸器症状ないことあるしなあ。

そして呼吸は18回。
(ショックならもっと早くなるよなあ)


48時間というスパンでクラッシュしているから、グラム陰性よりはグラム陽性かなあ、、、でも5回に1回くらいはグラム陰性でもなるしなあ。
うーん。フォーカスがしぼれないなあ、というときに考える心内膜炎。


正解は緑膿菌による心内膜炎でした。
(血培・尿倍でもでました)

といった、整理の仕方を話しているうちに時間となりました。

研修医の皆さんと一緒にThinking processを確認した最後の症例でした。


おしまい。



以下は完全なる余談ですが、、関連キーワードでネットの情報をみていたら、Q&Aがありました。

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緑膿菌感染症?? インターネットのQ&Aのページにあった相談

今月6日に咽頭痛などの風邪症状が出て、8日頃に38.5度まで発熱し、それから3日程でだいぶ治りほぼ回復した矢先、16日からまた同じ様な症状と発熱があり、今は熱は下がったんですが今度は黄緑色の眼やにと尿が出ています。昨日、内科に診察に行った所、普通の風邪と診断され、抗生物質や痛み止めを処方されました。

以前、緑膿菌から感染性心内膜炎を患った時に、はじめ、風邪と診断され適当に処方された抗生物質のせいで、原因不明の頻繁な高熱に見舞われ、緑膿菌に感染していた事が2か月も遅れて判明した経歴があり、今回もこのような事はないかととても心配です。でも以前、心内膜炎になった時は咳や喉の痛みや眼やにはありませんでした。明日、眼科に行くべきか内科に行って血液検査をするべきか迷っています。何かアドバイスをお願いします。
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日本脳炎ワクチン と その後(12/15)

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日本脳炎ワクチンについて、接種したあとの死亡例2例がニュースになったあとに、厚労省が迅速対応をしていますが、このたび12月21日にQ&Aが改訂されました。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou20/annai.html

会議の様子は一般メディアでもニュースになっています。
以下、強調は編集部によるもの。

前回の会議はどこでおわったかというと、1例目について詳細な臨床の情報をもう少しもらいましょう、2例目については血中濃度等野データをもらいましょう、ということでした。

今回その情報を臨床現場の協力で得て、会議でその評価を行ったということです。
(医師の皆様的には理解可能でしょうが、ネットをみると、臨床症状の判断の訓練を受けていない立場の人たちが今でもワクチンのせいだといってたりします。その根拠はよくわかりませんが。)

報道3つ紹介。

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NHK  12月12日
日本脳炎の予防接種を受けた子ども2人がその後、死亡したことについて、厚生労働省の専門家会議は、いずれも明確な因果関係は認められないという見解をまとめ、今のワクチンを使った予防接種は継続されることになりました。
日本脳炎の予防接種を巡っては、ことし7月にワクチンの接種を受けた子どもが1週間後に急性脳症で死亡したことや、10月には岐阜県で10歳の男の子が接種直後に意識を失い、その後、死亡したことが厚生労働省に報告されています。
このため、厚生労働省の専門家会議が、検査データや血液などを詳しく調べたところ、急性脳症で死亡した子どもには、別の感染症の症状があり、接種の3日後に肺炎を起こしていたことが分かりました。
専門家会議は、感染症が急性脳症を引き起こした可能性が高く、ワクチンの接種との明確な因果関係は認められないという見解をまとめました。
また、岐阜県の子どもには、持病の治療薬として一緒に飲むと死亡する危険性があるとされる薬が処方されていて、血液からも薬の成分が検出されたということです。
専門家会議は、薬の副作用による突然死の可能性も考えられ、ワクチンとの直接的な因果関係は認められないという見解をまとめました。
こうした検証結果を受けて、厚生労働省は、今のワクチンを使った日本脳炎の予防接種を継続することを決めました。

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時事ドットコム 12月12日

男児死亡、改めて因果関係否定=日本脳炎予防接種−厚労省
 日本脳炎の予防接種を受けた岐阜県の男児(10)ら2人が死亡した問題で、厚生労働省の専門家小委員会と安全対策調査会は13日、新たな調査結果を検討した上で、改めて「直接的な因果関係は認められない」との見解を示した。
 専門家小委などは今後、日本脳炎で緊急性の高い事例が報告された場合、定期的な会合以外に検討会を開くことを決めた。

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キャリアブレイン 12月12日

ワクチン副反応報告への対応案を提示- 厚労省、厚科審日本脳炎小委で

厚生科学審議会予防接種部会の日本脳炎に関する小委員会の会合が13日に開かれ、予防接種後の重篤な副反応が相次いで報告された場合の対応案を厚生労働省が示し、了承された。検討会を緊急開催して対応を検討する場合と、定期的に開く会合まで経過観察する場合を整理する内容。日本脳炎以外にも適用するかどうかは、新たに設置される予定の予防接種制度に関する評価・検討組織で議論して決める。

 対応案では、副反応の原因を、▽ワクチンが適切に保存管理・接種されていても起こり得る▽ワクチンの製造過程での何らかの不備▽ワクチンの保存管理や接種の方法などが守られていない▽接種による痛みや恐怖▽ワクチン以外の原因で起こる「紛れ込み事例」−の5つに整理。その上で、「同一施設・地域での発生か」「同一製品・ロットでの発生か」などを確認して原因を分類する手順を示した。

 分類の結果、ワクチンの保存管理や接種の方法、製造過程に起因すると想定される場合には、調査を直ちに行い、緊急性があれば検討会を緊急開催する。一方、ワクチンが適切に保存管理・接種されていても起こり得る副反応が想定の範囲内の頻度だった場合や、紛れ込み事例だと思われる場合には、定期的に開く会合まで経過観察する。 (この先はリンクで)

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今までその対応はなかったのか?というあたりが皆をビックリさせるとは思いますが、放置しないで、今このように改善が行われることを前向きに考えて支援したいと思います。

新たに設置される・・・がどんなものなのか。注目しましょう。

【Q&A】八重樫先生 呼吸器

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みなさま。若手医師セミナーでの質問について、八重樫先生が回答を書いてくださいました。
お忙しい中ありがとうございました。

下記資料は講義を前提としたもので、特定の症例のためのものではありません。
臨床の現場で実際に活用される際には主治医の責任においてお願いいたします。


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皆様、質問ありがとうございます。急性胃腸炎でダウンしていましたが復活したので回答させて頂きます。
米国呼吸器専門医・集中治療医として私が、エビデンスに基づいた標準的人工呼吸器治療と考えることとして回答していますが、くれぐれも、実際の患者さんの治療や呼吸器設定の変更、抜管の判断は指導医の先生に報告・連絡・相談をして決めてくださいね。質問の回答が少しでも皆様の理解につながれば幸いです。


Q. (ハンドアウトp.3、下段)気道確保が必要な症例に対し、気管挿管が適応になるのはわかりますが、挿管=人工呼吸器管理になるのは、挿管の際は鎮静が必要だからですか?死腔や仕事量のためですか?(研修医2年目)

A. 非常に良い質問です。全部です。気管内挿管はつらいので呼吸抑制がかかる鎮静薬・鎮痛薬が必要なことが多いですし、細くて長い気管内挿管チューブから息を吸うのは大変なので(気道抵抗が高いので呼吸仕事量が大きい)、人工呼吸器管理となることが多いです。鎮静が浅い、かつ気管内チューブを介して息を吸うのにも十分な吸気の能力がある人はT-ピースや人工鼻でも良いかもしれませんが、基本的には呼吸筋疲労を起こさないためにも、無呼吸で呼吸性アシドーシスを防ぐためにも人工呼吸器管理をした方が無難です。

Q. (ハンドアウトp.3下段)大量吐血の気道確保では実際はT-ピース程度でventilatorは必要ないのではないでしょうか?(研修医2年目)

A. 同上です。

Q. (ハンドアウトp.6)圧換気と量換気どちらを主力に使われているのでしょうか?
また、主に使われている換気モードがあればご紹介して頂けるとうれしいです。(勤務医4年目)

これは聞く人により意見が分かれる質問です。私は換気をキチンと確保する、誰にでもわかり易いのでミスが起こりにくいという観点から従量式A/C (VCV)を用い、それで患者さんがうまく人工呼吸器に同調しない、プラトー圧が高くなる等の問題が出る場合に従圧式A/C (PCV)を用います。が、より難度は高いがより快適とされるPCVを第一選択とする施設も多いです。どちらかの優位性を決定的なアウトカムで示したデータは無いので、施設に合わせて選んでいただけたらと思います。

Q. (ハンドアウトp.7、中段)圧曲線が下に凸だと、なぜ良くないのか説明して頂けたら助かります。(研修医2年目)

A. 自発呼吸だと圧曲線が下に凸ということを思い出してください。陽圧換気なのに圧曲線が下に凸ということは、人工呼吸器が従量式のA/Cで定められた流速で吸気を送っているにも関わらず、患者さんにとってはその吸気流速(吸う速さ)が不十分で、患者さんは人工呼吸器による吸気に加えて更に吸気努力をしていることの現れです。そうするとそれだけの呼吸仕事量が発生して呼吸筋疲労の原因となります。ですから、呼吸仕事量を増やさずに患者さんが吸気努力を自らしなくて済むように吸気流速を増やす必要があります。従圧式A/CやCPAP+PSでは吸気圧は一定ですが、患者さんの吸気流速に合わせた吸気流速が人工呼吸器から提供されるのでこの現象は起こりません。

Q. (ハンドアウトp.7、中段)p.7の質問の所で、圧が下に凸になっているのは、流速が足りず、呼吸筋努力で胸腔内を陰圧にしようとしているのかと思いました。
流速を上げることで改善されるというのは、時間あたりの換気量をどこかしらで感知して、呼吸筋努力を調節しているということでしょうか?(研修医2年目)

A. はい。その通りです。皆さんが細いストローを介して息を吸おうとしても、気道抵抗が高く吸気流速が上がらないので苦しく感じるのと同じことです。

Q. (ハンドアウトp.9上段)Page9.1枚目スライドですが、圧損傷の原因因子がピーク圧ではなくプラトー圧なのはなぜですか?

A. ハンドアウト p.113中段のスライドの説明で述べたように、人工呼吸器の圧グラフィックは実際に肺の中の圧ではなくて、人工呼吸器の圧力計で見た圧です。吸気の際には圧力計がある人工呼吸器側の方が肺胞の中よりも圧が高いので、気体が人工呼吸器から肺胞に流入します。その肺胞の中の圧を調べるには、吸気直後に人工呼吸器の回路を一時的に(0.2-0.5秒)遮断します。そうすると肺胞の中の圧と人工呼吸器の圧力計の圧が等しくなり、人工呼吸器の圧力計でも肺胞の中の圧が図れます。それがプラトー圧です。ですから、肺胞にかかる圧をプラトー圧が表しているので圧損傷にもっとも相関しています。一方でピーク圧の圧力は肺胞には伝わらずに気道にかかります。ですから、圧損傷との相関関係は少ないのです。

Q. (ハンドアウトp.9中段)高濃度酸素はどれ位の時間耐えられるのですか?(研修医2年目)

A.正直議論が分かれるところです。FiO2の値なら0.4以下なら安全、0.6以上ならリスクとも言いますが、これに関しても議論が分かれますし、それよりも更に難しい質問ですね。ARDSの患者だったらFiO2 >0.6を24時間以上使ったら拡散障害が残る確率が高かったデータもありますし、FiO2=100%を30分投与してもシャントが増えるとというデータもあります。大なり小なり30分でも影響はあるのではないでしょうか。一方で、患者さんに必要な酸素は投与しなければなりません。現実的な落としどころとしては、必要以上の吸入酸素濃度を使う時間は最小限とし、必要最小限の吸入酸素濃度を使うといったところでしょうか。

Q. (ハンドアウトp.9下段)SpO2が低くてPEEPを上げたいけど血圧が低い場合はどうしますか?(研修医2年目)

A. 超良い質問です。特に脱水であればPEEPを上げると血圧が下がりやすいことをよく理解した上での現場で困る質問ですね。脱水で血圧が下がっているのならCVP>12程度まで輸液してPEEPを上げてください。脱水ならそれだけでも血圧が下げりにくくなるはずです。それでも血圧が下がっている場合なら酸素化(PEEPを上げる)、血圧(昇圧剤)のどちらがより大切か考えたうえで、PEEPを上げて昇圧剤を用いる、もしくはPEEPそのままで昇圧剤は用いないか判断してください。このように優先順位をつけなければならないことは重症患者さんの管理では多くあります。

Q. (ハンドアウトp.10、中段)FiO2 1.0, PaO2 250mmHgの患者に対してFiO2 0.5まで下げるのはやや乱暴ではないですか? FiO2を0.1下げると約50mmHg下がると考えて普段呼吸管理しています。(勤務医5年目)

A. 素晴らしく良い質問です。ありがとうございます。FiO2をどれだけ下げるとPaO2がどれだけ下がるかは患者さんによって異なります。その酸素化の指標にはP/F比を使います。その患者さんであれば、P/F比はPaO2/FiO2 = 250÷1.0 = 250となります。逆にこの患者さんでFiO2 を 0.5(50%)に低下させると、PaO2はPaO2/0.5 = 250となる値、つまりPaO2=250 x 0.5 =125となります。つまりPaO2=125mmHgとなる予測なので(PaO2 >60mmHgなので必要十分)、FiO2を1.0 (100%)から0.5 (50%)とすることは安全と考えられます。もちろん、計算は計算ですのでSpO2をモニターして下がりすぎないように(<90%)する必要はあります。FiO2を0.1下げると約50mmHg下がるのはP/F比が500の患者さんのみとなります。下記の質問の回答も参考にして下さい。FiO2を1.0から0.5に下げると「乱暴」と印象を受けるのは患者さんに害が加わったらと心配されているからと察します。患者さん思いなのは素晴らしいことですね。ただ、安全とわかっていれば酸素毒性を防ぐために患者さんのためにドラスティックな変化をつけても大丈夫なはずです。もちろん、SpO2をモニターしながらFiO2を1.0⇒0.9⇒0.8⇒0.7⇒0.6⇒0.5と低下させても良いです。

<strong>Q. (ハンドアウトp.10、中段)酸素のテーパリングをする際に血ガスでなくSpO2で評価するときのポイント、実際の方法を知りたい。FiO2を下げるとき、換気の評価も必要だと思われますが、それはどうするのか等。(研修医2年目)


A. FiO2だけ減らすのであれば、経皮的パルスオキシメターでのSpO2が>90%であれば低下させてかまいません。酸素化には影響を与えますが、換気には影響を与えないので換気の評価は必要ありません。もちろん、1回は動脈血ガスでのSaO2と経皮的パルスオキシメターでのSpO2が相関しているのを(同じような値であることを)確認してからですが。動脈血のSaO2の値と経皮的パルスオキシメターでのSpO2の値が異なる病態としてはCO中毒、シアン中毒、メトヘモグロビン症、ショックなどがあります。
p.10の29枚目のスライドの「24歳男性が溺水で、、」の患者さんでは、FiO2を100%から50%に減らし、それでも大丈夫(SpO2が>90%)なら更に減らし(仮にFiO2=40%としましょうか)、それでも大丈夫なら更にFiO2=30%に減量します。
実は、(現在のPaO2)/ (現在のFiO2) = (変更後のPaO2) / (変更後のFiO2)という式もあり、それで計算するとPaO2=60となるようなFiO2は 250/1.0 = 60 / (変更後のFiO2)
つまり、(変更後のFiO2)= (60 x 1.0)/250 =0.24となり、FiO2=0.24 (24%)くらいまでは下げても大丈夫ということもこの計算からわかります(この計算はレクチャーでは割愛しました)。

Q. (ハンドアウトp.10)高いPEEPが必要なとき、時々APRVを使うのですが、亀田でAPRVを使われることはあるでしょうか?(勤務医4年目)

A. はい。通常の人工呼吸器管理では酸素化が保てない場合には非常に良い方法だと思います。その道の第1人者であるHabashi先生にも2回来て講演もして頂きました。今回のレクチャーでは複雑な上級者向けの人工呼吸器モードとして割愛しました。

Q. (ハンドアウトp.11中段)・CPAP+PSモードで呼吸管理していると、時折症例によって少ない1回換気量で呼気に移行し、その後すぐに吸気になる二段呼吸のような波形で頻呼吸になることを見受けます。このようなときに、トリガーを調節してもなかなか解決しないことがあります。どのように離脱をしていくべきでしょうか?(勤務医14年目)

A. よくあるのは1回換気量が足りないことです。Esensを初期設定の25%から10%などの小さい値にすると吸気が長くなり(下記の質問の回答参照)、解決されるかもしれません。

Q. (ハンドアウトp.11中段)・CPAPモードで、PS有る時、患者の吸気を感知して開始するのはわかるが、吸気は中止したと感知するのはどのような仕組みなのでしょうか?

A. 素晴らしい質問です。この説明は全体のバランスと初級者編ということを考えて割愛したのですが、Esensという設定値で決まります。初期設定はこれは25%に設定されています。これは、吸気の最大流速を100%として、25%以下になったら吸気が終わったものと人工呼吸器がみなし、Pressure Supportで吸気の手助けをするのをやめるというものです。このEsensを50%とか高い値にすると吸気は短くなり、10%とか低い値にすると吸気は長くなります。

Q. (ハンドアウトp.12、上段)SIMVモードの説明スライド、「全てのACは患者の吸気努力と同調している」と書いていますが、その場合、モニターは「ノッチ」が出ることが多いですか?
その次の質問スライドでも、ノッチが見当たらないんですが、、、。
SIMVのACは補助換気ではなくて強制換気でやるんでしょうか。(研修医1年目)

A. 心の目で見てください。よく見るとちっちゃな下向きのノッチが緑字の「補助」換気の前にあります。わかりづらくてすみませんね。これは自発呼吸の回数が設定された呼吸回数よりも多いSIMVの患者さんなので(補助換気だけでなく自発換気もある)、「補助換気」をしています。逆に、SIMVで設定の呼吸回数よりも少ない呼吸回数でしか息をしていない患者さんでは「強制」換気となります。

Q. (ハンドアウトp.12上段)・SIMV(従圧)+PSで、PSなしで使うことは一般的にありますか?
(勤務医14年目)

A. 非常に良い指摘です。あまりありませんね。おっしゃる通りです。わかり易さのためにPSなしのSIMVを載せたのですが、、、。

Q. (ハンドアウトp.12上段)・SIMVをあえて選択するケースはどういった時ですか?(SIMVよりもA/Cの方が優れているような気がするのですが、、、。)(研修医2年目)

A. 基本は患者さんの換気・酸素化・呼吸仕事量ををフルサポートであればA/Cモードを用いるのであまりSIMVは使いません。あえて使う場合は私の場合は2点です。?呼吸性アルカローシスが過剰になってしまう場合(A/Cモードに比べて1回換気量を少なくすることができるので呼吸性アルカローシスが軽減される)、?TIPSプロトコールという慢性人国呼吸器患者さんの離脱プロトコールを用いるとき。これは通常の人工呼吸器患者さんの8割程は自発呼吸試験(SBT)で離脱時期を見極めたら早々に離脱(抜管)できるのですが、その方法を用いても1週間以上離脱できない患者さんに用います。その場合時間をかけて徐々にSIMVモードの呼吸回数を減らし、次いでPSを減らしてステップを踏まえて離脱を目指します。CHEST 2001; 119:236–242

Q. (ハンドアウトp.13上段)「13ページの質問に関して、仮に呼吸数を22回に上げるという選択肢があれば、選択肢?と比較してどうでしょうか?ARDSの場合は、一回換気量は6−8ml/Lが死亡率が低いので、この場合はTV:400mlがベストと思います。呼吸数を上げすぎることの弊害などはないでしょうか?また、何回までなら許容できるでしょうか?」

A. A. 仮に呼吸数を22回に上げるという選択肢があれば確かにそれがベストなのではないかと思います。ARDSであれば死亡率が一回換気量が少ない方が低いですしおっしゃる通りです。この質問での選択肢をご覧の4つにしたのは、自発呼吸が18回の患者さんに設定呼吸回数を12回から18回に増やしても全く何も変わらないというのを理解してもらうためです。教育効果から、先生がおっしゃった選択肢を設けませんでした。呼吸数は上げすぎるとAuto-PEEPが怖いのですが、そうなってなければ良いと思います。ARMA研究では平均+1標準偏差の上限は36-7回/分でした。(N Engl J Med 2000;342:1301-8.)


Q. (ハンドアウトp.13中段)・プラトー圧を図るときに自発呼吸がありなかなか正確に測りにくいときは何か工夫がありますか?(勤務医14年目)

A. 実践的な良い質問ですね。実はプラトー圧を計る時に困ることはあまり無いです。数回計ればまず計れると思うのですが、、、。一方で、Auto-PEEPの測定が「呼気ポーズ」ボタンを押してもなかなかできないことはあります。その際には設定呼吸数10だけれども実際には18回/分呼吸している患者さんでは設定呼吸数を一時的に18回にします。それで格段に測れる確率は上がると思いますよ!20回とか、患者さんの呼吸数より更に早く設定呼吸数を上げると更に図りやすくなりますが、それ自体がAuto-PEEPになりやすくしていること(呼吸数を上げて吸気時間を短くすること)なので、それは行わない方が良いと思います。質問に答えてましたかね?

Q. (ハンドアウトp.13中段)・人工呼吸器装着患者において、コンプライアンス、CVPなどのパラメーターはどの程度重要視されていますか?頻回にチェックしますか?
(勤務医14年目)
A. 非常に素晴らしいご指摘です!大切です、まずはコンプライアンスについて答えます。プラトー圧を計る時に同時に測定されますが、コンプライアンスが低下している時はピーク圧とプラトー圧両方上がる場合と同じことを考えなければなりません。でも、それってピーク圧とプラトー圧両方上がることを理解していれば代用できますね。と、考えコンプライアンスは算出に計算も必要なので、簡単にするために割愛しました。米国の呼吸療法士さんは各シフト(8時間ごと)必ずコンプライアンスを記載します。また、CVPも人工呼吸器患者さんでは重要です。絶対値ではなく相対的な増減がボリュームの評価になります。

Q. (ハンドアウトp.14上段)・グラフィックがなかったり、PEEPが測定できないような人工呼吸器では、どのようにAuto-PEEPを検出すればよいのでしょうか?(勤務医10年目)

A. 非常に良い質問です。Auto-PEEPを疑った時点でグラフィックがあるPEEPが測定できる人工呼吸器に変えてください。他のオプションとしては、ハンドアウトp.14下段の図のように呼気を吐き切って流速がゼロになり、グラフが基線に戻る前に次の吸気が始まる場合を探す(flow流速グラフィックの倍率を上げると見やすいです)とかがありますが、感度・特異度が落ちます。また、古い人工呼吸器でPuritan Benett社の7200という機種を使っているのであれば、操作パネルの下に呼気ポートがありますので、それを呼気が終了直前にふさぐとAuto-PEEPが同じ原理で計れます。ふさぐと圧が高くなる場合はAuto-PEEPです。私も、こんな裏技を知っている昔の人工呼吸器を知っている人になってしまいました。
http://160.109.101.132/respcare/pb7200ae.htm

Q. (ハンドアウトp.14上段)時間があったらp14のオートPEEPのモニターの見かたを簡単でかまいませんので教えてほしいです。(研修医1年目)

A. Auto-PEEPとは、患者さんが息を吐ききっていないのに次の息を吸ってしまい、肺の中に吸気がどんどんたまってしまうこと。それを調べるためには人工呼吸器のグラフィックでわかる場合もあるし(上の質問の回答)、「呼気ポーズ」ボタンを押して、肺の中から人工呼吸器へ空気が流れている(圧の差がある)呼気の状態が終わったところで、人工呼吸器のパイプを閉鎖してみて、肺の中と人工呼吸器の圧力計が同じ圧になったところで肺の中の圧を計ってみているところです。この図ではAuto-PEEPはありませんでした。上段のグラフィックは圧グラフィックで下向きの緑の矢印が呼気ポーズがかかって回路が閉鎖されて肺の中の圧が計られている状態です。下のグラフィックはflow流速グラフィックです。

Q. (ハンドアウトp.14、中段)AutoPEEPが難しいです。(研修医2年目)

Q. (ハンドアウトp.14中段)Page14. 2枚目スライドの意味がよくわからなかったったです。
A. ですよねー。ここは米国の呼吸器内科医・集中治療医にとっても最初は理解するのが難しい概念で、様々な人が様々な説明で理解を簡単にしようとしていますが、なかなか難しいです。自分が今まで聞いた中で一番簡単でシックリくる説明を持ってきたつもりですが、それでも難しくて当然です。ですので、もう一度文章化して説明しましょう。青がバックの図を説明します。まずは左の図で、Auto-PEEPが10cmH2Oかかっています。人工呼吸器のトリガー感度は-1cmH2Oと設定されているので、-1の陰圧が人工呼吸器に伝わると人工呼吸器は「お、患者さんが息吸ってるな!」と認識してくれて吸気を押し入れてくれます。でも、Auto-PEEPが10cmH2Oだと、肺の中でAuto-PEEPに打ち勝ち、人工呼吸器に息を吸っていることをわかってもらうためには、10cmH2O -11cmH2O = -1cmで、患者さんは-11cmの陰圧を作るほど頑張って吸気努力しなければなりません。これは大きな吸気努力および仕事量です。次に、右の図に行きます。こちらでは同じ患者さんにPEEPを7cmH2Oかけました。Auto-PEEP=10cmH2Oの7割のPEEPを人工的に加えたこととなります。そうすると、合計のPEEPは10cmH2Oであることには変わらないのですが、その内訳は、加えたPEEPが7cmH2O、Auto-PEEPが3cmH2Oとなります。そうすると、加えたPEEPの分を人工呼吸器が計算して割り引いて考えてくれるので、Auto-PEEPにだけ打ち勝てば人工呼吸器に「お、患者さんが息吸ってるな!」と認識してもらえることになります。今回、肺の中でAuto-PEEPに打ち勝ち、人工呼吸器に息を吸っていることをわかってもらうためには、3cmH2O -4cmH2O = -1cmで、-4cmの陰圧を作るだけ頑張れば良いこととなります。こっちの方が人工呼吸器をトリガーするのが簡単ですね。Auto-PEEPがある患者さんにPEEP(7割程度)をかけると人工呼吸器をトリガーしやすくなり、人工呼吸器と同調しやすくなり呼吸仕事量が減るという話でした。
1回読んでわからなかったら2回、3回と読めば次第に分かってくるかもしれません。Good luck!

Q. (ハンドアウトp.15、上段)SBTは?Tチューブ(Tピース)試験と?呼吸器装着のままPS=0, PEEP=0にするのとでは、?の方が弁の抵抗の分だけ患者に負荷がかかる可能性があるが、tidal volumeや呼吸数をモニタしやすいメリットもある。?の弁抵抗は臨床的に有意といえる程のものなのか?(機種にもよると思うが)通常呼吸器装着でのSBTではPEEP5くらいはかけると思うが、このあたりがすなわち弁抵抗に相当する?(勤務医12年目)

A. 大変よく考えられた質問です。?の弁抵抗はそこまで臨床的に気にしなくて良いと思いますが、ここで言うSBTを受ける大多数の患者さんは気管内挿管を受けている患者さんです。細くて長い気管内チューブを介して息をするのは気道抵抗が大きいので呼吸仕事量が多く、その気道抵抗を打ち消すのにPS=5程度の少量のPSもしくはTCを用います。弁抵抗というより気道抵抗です。それが無いSBTは本当は抜管しても大丈夫な患者を(気管内チューブを介してというより自発呼吸が困難な環境を与えて)失敗とみなしてしまう可能性があるので、モニタしやすいメリット、PSを加えられる両方の観点からTピースでなく人工呼吸器に患者さんがつながったままCPAP+PSをお勧めします。また、その場合のPEEPは肺の虚脱を防ぐためで、弁抵抗に打ち勝つからではないと理解しています。

Q. (ハンドアウトp.19上段)NPPVをつけている患者さんがいるのですが、この場合のauto-PEEPの検出は、設定されたEPAPと実測のEPAPの値を比較すればいいのでしょうか?(勤務医5年目)

A. 非常に良い質問です。NPPVのauto-PEEPに関しては、flow流速グラフィックがハンドアウトp.14下段の図のように呼気を吐き切って流速がゼロになり、グラフが基線に戻る前に次の吸気が始まる場合を探す(flow流速グラフィックの倍率を上げると見やすいです)しかないと思います。

Q. (ハンドアウト以外)
1 気管支鏡を用いた痰の吸引には、どれほど意味があるのでしょうか?(もちろん気道閉塞ではあると思いますが、、、。)

A. 大葉性無気肺となっていて、それが通常吸引カテーテルで戻らない場合を除けば、気管支鏡でわざわざやる必要はないと考えます。

2 体位ドレナージを行っている際に、特に呼吸状態に変化がなくても設定を変更した方が良いとかはあるのでしょうか?

A. 私が知る限り特にありません。

3 ARDSでは低換気療法が必須となりますが、その際の呼吸回数は上限どのくらいなのでしょうか?

A. 下記の研究では平均+/-1標準偏差の範囲の上限でさえ、36-7回/分もあったようですが、もっと簡単に言うと「Auto-PEEPが起きない程度」の頻呼吸ならOKです (N Engl J Med 2000;342:1301-8.)

4 痰の吸引を頻回に行うとPEEP解除によるatelectraumaが危惧されますが、看護師にはどのようにアドバイスすればよろしいのでしょうか?(研修医2年目)

A. これもまた実践的で良い質問です。PEEP解除による急変、怖いですよね。移動のときとかにもよくおこりますかね。でも、吸引も大切なので、「気道が詰まったら、換気が悪くなったら、ピーク圧+/-プラトー圧が上がったら吸引お願いします」で良いと思います。

メール復旧作業続く

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この1週間、ほとんどメールにアクセスできず、しかも送られてきたメールは行方不明・・といった状況が続いていましたが、
少し復旧作業が進みました。

問題の原因は不明のままですが、かなりのメールは整理ができるようになりました。
また、元のメアドが生き返れば、皆様に大きな迷惑をかけずに安全なメアドに移行可能と思います。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

編集長。

(写真:中部病院秘伝のたこ焼きを修行するN君達)

遭遇したくない、船の中での感染症

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ノロウイルスが流行する時期には、各地でアウトブレイクがおきるのですが、クルーズ船の中での事件も毎年おきています。

・・・そこに医師やナースとして同乗していたらたいへんです(- -;)。

トイレや洗面所、共用施設を通じてお客さん、介抱をする人に広がって行きます。
次の港が見えるとき、甲板には脱水で目がくぼんだひとたちが並んで「早く、落ち着いたトイレにいきたい・・・」と視線をおくってきます。

とにかくたいへんです。

Eurosurveillanceにはクルーズ船内で別の感染症アウトブレイクの速報が載っていました。こちらは致死的なものでもっと怖いです。

船に医師やナースとして乗る時は、このようなことがおこりうるのだという心構えと準備をしておくしかないですね。

CLUSTER OF INVASIVE NEISSERIA MENINGITIDIS INFECTIONS ON A CRUISE SHIP, ITALY, OCTOBER 2012
Eurosurveillance, Volume 17, Issue 50, 13 December 2012

10月初旬に、クルーズ船のスタッフ(26-47歳)が4名同じ日に髄膜炎を疑う症状で病院に入院しました。

3つの大陸の異なる3つの国が出身でした。(想定する菌のセロタイプが広がります)

全員が厨房で働くスタッフでした。(濃厚接触や影響が出そうな人が広がります)

4名のうち1名が死亡。

入院の翌日に、髄液の検査で髄膜炎菌が原因であると把握されました。
菌はセログループC、multilocus sequence typing (MLST)でPorA 、FetA、 porB領域をチェック、
C:P1.5-1,10-8:F3-6:ST-11株とわかりました。
(イタリア国内で循環しているタイプの髄膜炎菌とは異なる)

rifampicin, ciprofloxacin, ceftriaxone には感受性、 penicillin と ampicillinは低感受性でした。

髄膜炎菌の場合は、濃厚接触者に曝露後予防投与をする必要がありますので、公衆衛生当局が緊急対応に動きました。
ciprofloxacin を乗客とスタッフ約2000人に対して投与することが決定となりました。
(詳細は上記リンクで)

(写真:編集長とその師匠。曰く、「だから、だからいわんこっちゃない!!。ペニシリン耐性髄膜炎菌など抗菌薬乱用のなれの果て・・)

「HIV感染症診療の研修を受けることになりました」 (事前情報希望)

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HIV感染症の研修を受けることになった看護師から「事前にどのような勉強すればいいか?」という質問がきました。
そのやりとりを紹介します。

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■まず基礎情報。日本ではどれくらいの発生状況か。

1)疫学データをみます。

まずはさっくりしたデータですが、「1年間に診断されて報告されているのは1500人」です。

多いとおもいますか?少ないと思いますか? ちなみに、結核は1週間に300人報告されています。


2)感染症の基本情報(復習です)

感染源となりうるのは、血液、精液、膣分泌液、母乳、およびこれらがふくまれた体液です。

感染力はHBVと比較すると、針刺し事故では100分の1といわれています。もちろんそれでも感染はおこります。

日本では男性同性?性的接触が多いです(アフリカは母子感染、外国ですと注射器や針の共有なども一定数います。国によるので注意)。


参考資料:国立感染症研究所が年に1回このようなまとめを出しています。プリントアウトして

読んでおきましょう。

http://www.nih.go.jp/niid/ja/aids-m/aids-iasrtpc/2628-tpc391-j.html

ここ数年で、中学生の症例報告が2例ありましたので(性感染です)。研修は一般に、成人患者を想定していますが、思春期の患者をケアする時代になっています。



■HIV感染症の病気の本質を理解しましょう。

「免疫が低下する」ことです。(性感染症、というようなことは分類をすると気の考え方です)

復習です。

1)免疫が下がったらどう困るのか。生命、健康という視点でまず整理をしてください。
2)他にも免疫が下がる人達がいます。それとどう違うのか比較をして整理してください。



■HIV感染症のケアについて

1)一番のゴールは感染しないことです。学校教育や保健所でやっていることをみわたしてみましょう。

2)しかしどんなに予防を気をつけていても感染症になる人はいます。その場合は早期診断が重要です。

発症してからだと、その後の治療や健康管理がたいへん「不利」になるからです。

しかし、いきなり患者さんは、あなたの勤務する○○病院のような大きな病院に「エイズかも」とはきません。
患者さんがどのように診断されるのか、そこで必要な配慮は何かを学びましょう。

参考資料:早期診断のコツについて http://www.hivcare.jp/miotoshi_2.pdf

参考資料:HIV検査のタイミングとコツ http://www.abbott.co.jp/medical/library/hiv-point/hiv-point.pdf



3)HIV感染症と診断されたあとのケア

他の疾患と同様に「専門的に診る医師」がいますので、そこで初期アセスメントをし、治療の開始時期などを検討します。

免疫が下がっていて感染症などになっている場合はその治療を優先することが多いです。


参考資料:HIV感染症の治療について http://www.hivcare.jp/mychoice200611.pdf

診断された初期の患者さんに渡す資料はこちらです。病気の説明や生活の注意が書いてあります。



4)患者さんの生活について

血液検査のデータなどを勘案し、「抗ウイルス療法」が開始されます。
3−4種類の薬を組み合わせるので「多剤併用療法」といわれます。(結核のような治療を想像してください)

開始したら一生継続する治療のため、生活を整えたり準備から開始します。
服薬指導は薬剤師さんがしている施設が多いですが看護師が介入することもあります。

治療を開始すると、検査で検出できないほどにウイルス複製が抑制されます。
このことにより発症を遅らせ、免疫の回復を期待します。(回復のスピードは個人差があります)

早く病気に気づけた患者さんは、通勤や通学など、それまでの生活を維持しやすく、発症してからの診断だと、入院したり生活を変化させないといけなくなる人も一定数出てくるので

健康を維持出来ているうちに治療を開始するのが理想です。

治療が安定したら、2−3ヶ月に一度の受診になります。つまり年に4回しか来ない患者さんもいるわけです。

この間に不安や健康問題(別の病気のある人、なる人もいますので。例えばインフルエンザ等)の対応は一般病院でもOKですし、必要があれば拠点病院を受診してもらいます。歯科は自治体によっては協力歯科リストがあります(東京都はもっています)。
患者さんの希望に応じて紹介をします。


感染症なので、パートナーや家族・周囲への感染予防も重要です。
空気感染ではありませんので、仕事や通学での制限は基本的にありません。(患者さんが看護師の場合、結核病棟勤務はやめたほうがよいとおもいます)

血液と体液曝露のリスクが高いのは性行為なので、バリア法での予防法を確認します。
(大人だから正しい使い方を知っているだろう、と思ってはいけません。適切に使っていたのなら感染しなかったのですから。どこかに誤解がないか必ず確認をします)


高齢者も増えてはいますが、若い患者さんが多いです。このため、妊娠出産も話題になります。

女性が感染している場合は、内科医と産婦人科医が相談をして、選択的帝王切開と抗HIV薬の使用、児への抗HIV薬の使用(※)、母乳を与えない、ということで感染率は日本では「1%以下」になっています。
海外ではウイルスが十分抑制されているケース(他のSTD合併がない)では、経膣分娩も選択されています。

※ 日本で未承認の関連治療薬は、厚生労働省の委託で行われている治療薬研究班に依頼をして取り寄せをします(医師がします)。
http://labo-med.tokyo-med.ac.jp/aidsdrugmhw/mokuji.htm


多くの患者さんが、診断初期には「妊娠はもう無理」と思っているので、産む選択肢があること、その医療サポートなどは早めに案内をします。(年齢があがってからだと妊娠しにくくなりますので)。

男性がHIV陽性の場合は、精液のHIVを除去して、体外受精をして女性の子宮に戻すという方法がとられます。ウイルス除去の技術はどの病院でもやれるというわけではないので、専門的に対応している医療機関にお願いをします。必要が生じたら相談してください。


■HIV感染症独特の話題について

1)エイズ診療拠点病院制度
昔、医療機関や医療者による診療拒否などが問題になり(恥ずかしい歴史ですね)、国がつくった仕組みです(拠点病院制度は、エイズ以外に「がん」などもあります。どの地域でも患者を同じように診ることができるように、作られている制度です。実際にはうまくいっていませんが)


○○さんが勤務している○○病院はこの「拠点病院」ですね。

ここには、患者を診る医師や、服薬指導をする薬剤師、生活のサポートをする看護師やMSWがいます。
もちろん拠点病院ではなくてもHIV感染症を診ることはできます。

都内にはいHIV感染症の患者さんの専門的な診療を提供しているクリニックが4つあります。
(そのひとつは青木編集長が週1回勤務している新宿東口クリニック)

※診療所だと夜間や土日に受診できて便利。


2)高額な治療費
抗HIV薬はたいへん高額のため、保険をつかって3割負担にしても、個人にとっては大きな負担となります。
一生継続するには困難があります。

このため、「免疫機能障害」で身体障害者手帳を取得し、自立支援医療を併用したりして、窓口での自己負担分を軽減することができます。所得や自治体によって手続きや仕組みが違うので患者さんの住民票のあるところを確認します。申請から制度利用までは、通常MSWが支援を担当します。


3)プライバシー
プライバシーの保護が重要なのはHIVに限ったことではありません。
しかし、患者さんの危機感は医療者の想像以上に大きいものです。
カルテや検体などで不必要なラベリングをしない、外来や病棟での会話(特に大部屋)では注意をしましょう。

誰に病気を伝えているかはケースバイケース(患者さん自身がきめる)なので、家族だから知っているだろうという思い込みをせず、患者さんに誰に伝え/伝えていないかを確認します。

ときどき「誰にも言わない」という人がいます。
しかし、不慮の事故などで意識を失ったり、自己決定が難しくなる場合を想定し、緊急連作先(者)を必ず聞いておきます。この情報がない場合は、近親者に連絡が行く医療のシステムを伝えておきます。

性的パートナーは検査が必要ですので、病気を伝えることになりますが、検査の不要な家族や職場の人には必ずしも伝える必要性はありません。

特に職場は、受診の便宜をはかってもらえるなど、メリットがある場合は伝えているケースもありますが、必ず伝えなくてはいけないものではないことは伝えておきます。

家族に伝えるかどうかも患者さんが決めます。もともとの関係性や、家族自身が病気だったりすることなども関連してくるので、「家族には伝えるべきだ」といったプレッシャーを患者さんに与えるのは不適切です。
一緒に検討をして、いつどのように伝えるとよいのかのサポートをしていきます。


4)セクシュアリティ  MSMの健康
他の疾患ではあまり最初に話題にならないことかもしれませんが、男性と性交をする男性(MSM Men who have sex with menの略)が新規感染の7割近いので、この人たちのケアニーズについて学習をします。

いずれにしても、MSMとはいったいなんぞや?ということは途中で学習が必要なことです。
「ゲイ」とか「ホモセクシュアル」というのは自己認知の話(自分が自分をどう思うか)ですが、MSMは、行動パターンを表現している医学的な用語です。
つまり、自分は○○と思っていなくても、奥さんや子どもがいても、男性と性交をする人が存在するからです。
その事情や背景は個別のもので、皆が○○だということではありません。

勉強の最初に驚く看護師も一定数います。しかし過剰反応や過剰適応はいけません。

必要な検査や治療、ケアを提供するという基本は一緒です。自分の価値観やセクシュアリティと違う人でも、ケアや診療における態度を変える必要はない、ということだけです。たんたんと、いつものとおりに医療を提供します。

しかし、患者さんによっては(全員ではない)MSM独特の悩みや、健康上の問題があるので、患者理解として勉強しておきたいテーマです。

参考ホームページ:男性と性交をする男性の健康に関する研究(厚生労働省科学研究)
http://www.msm-japan.com/

ここに、過去の調査結果があります。大変参考になりますが、全部を読むのはたいへんです。
各調査をクリックすると「研究要旨」がありますので、そこだけでも目を通すとよいかもしれません。

MASH大阪  http://www.mash-osaka.com/

複数の性感染症検査を1000円で実施したり、イベントで予防啓発をしたりしています。こちらも厚生労働省科学研究の予算が投じられています。

5)薬物依存
ドラッグとHIV感染症のリンクは日本でもあります。
問診時に使用経験を患者さんから聞くこともありますが、途中で別件で知ることもあります。
一般医療機関の心理的なサポートくらいではどうにもならないこともあり、精神科でも薬物依存対応をすべての施設ができるわけではないので、専門医療や支援をさがすことになります

困ったケースがあったらご相談ください。別途追加情報を提供します。

参考:http://www.apari.jp/npo/hiv.html


6)外国人の症例
いっときよりも外国人症例は減っていますが(経済の影響)、都内のHIV症例の一定数は外国人です。
滞在資格がある(結婚ビザなど)場合と、滞在資格がない、医療保険がない場合では、医療機関での対応やサポートの必要性が大きく変わってきます。早めに専門的なノウハウのあるNPOなどに相談をします。

日本語での医療の会話が難しい場合は(難しいことのほうが多い)通訳の手配も重要です。

東京都は派遣カウンセラーの中に外国語対応もあるので、都庁のエイズ対策担当者に相談をすることも可能です。


参考資料:外国人医療相談ハンドブック(厚生労働科学研究)
http://share.or.jp/health/library/book_list/handbook.html


参考資料:派遣カウセリング利用の手引き(厚生労働科学研究)
http://hivandcounseling.com/img/c-tebiki.pdf




■その他関連情報
プライマリケアでの早期ケアも重要ですが、専門的なケアにも取り組んでいく過程では、チャレンジ可能な資格がいくつかありますので、参考までに列記しておきます。


米国:1990年代半ばに、HIV専門看護の資格ができました。
ACRN(AIDS Certified Registered Nurse) http://www.hancb.org/certification.htm

2002年に専門医のcertificate制度を開始。2011年からは薬剤師の制度も開始。
http://www.aahivm.org/
※看護師のcertificateは他にも数種類あります。

日本では専門薬剤師、薬物療法認定薬剤師の制度が先にできました。
http://www.jshp.or.jp/senmon/senmon5.html


HIVは性感染症のひとつですから、包括的なこちらの勉強も当然必要です。

日本性感染症学会 認定医・認定士(2009年から開始)
http://jssti.umin.jp/nintei.html


日本看護協会の認定看護師とは求められる条件が違いますが、学会認定の看護師という制度ができました。

日本エイズ学会 認定医・指導医(2012年から開始)
http://jaids.umin.ac.jp/qualification/qualification_d.html

日本エイズ学会 認定看護師・指導看護師(2012年から開始)
http://jaids.umin.ac.jp/qualification/qualification_n.html


関心があったら主催団体のHPなどで確認をしてください。

以上です
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いきなり研修、よりはいいかも。です。

琉球大学のPBL勉強会にでかけてきました

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琉球大学の皆さんありがとうございました。

準備をしてくださった先輩が、何度かメールのやりとりで、手はずや流れなどいろいろな配慮をしてくださいました。
その先輩もその上の先輩の準備によってであった方でした。 昨年の様子
亀田で研鑽中の山崎先生にも感謝感謝です(^^)。

椎木先生にもご配慮いただきました。
みなみなさま、ありがとうございました。

4年生以下も参加されていたんですね・・・すごいですね。

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僕は昨年度の山崎信太郎先輩がセッティングした勉強会に参加し、先生のレクチャーや会の終盤の‘医師‘として生きる上での質疑応答などから、感染症学に更に引き込まれました。昨年僕が覚えたこの経験を、今年も誰かに味わってほしい!と思い、今回企画させていただきました。

「感染症診療における現場の考え方の基礎を垣間見れて良かった(4年次)」、
「国試勉強の間のいいスパイスになった(6年次)」等、とても好評でした。
病院実習に出ていない4年生以下の参加率は僕も驚きでしたが、先生の丁寧な解説に彼らも大満足のようでした。

ラーメン、来年も機会があればご一緒させてください。また時間が遅くなったこと、大変申し訳ありませんでした・・。

来年度の中部病院でのレクチャー楽しみにしております。僕も国試しっかりパスできるよう頑張ります。
今日はご自宅でゆっくりされていますでしょうか。今後ともより一層御身体にご留意ください。
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