青木編集長と日経メディカルで対談をしてくださった本康先生。
「染色液以外の道具は100円ショップで揃えました」そうです。
ぐらせん話を当ブログに掲載する許可をいただきましたので紹介です。
そういえば・・・ナースや薬剤師さんにも教えて、クリニック内でも染めてもらえるようになったドクターがいるそうです〜。
東京都看護協会のICNコースは群馬大学の佐竹先生のラボで実習をしてましたね・・・。
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学生(6年生)の頃、市中病院への救急実習で、夜間頭痛の男性来院。
学生レベルでは普通(?) の頭痛かなと思っていました。担当した研修医の先生も、頭痛薬を処方して・・・、ところがその後、指導医の再診があり、“これは入院”と言われました。きょとんとした私と研修医の先生。
指導医が言うには、少し首が固い、話し方がややおかしいとのことでした。全然そうは見えませんでしたが、腰椎穿刺、指導医にすぐに検査室へ来るように呼ばれました。
グラム染色ではグラム陽性双球菌がみられ、指導医のテンションは高く、グラム染色の大切さを語ってくれました。PCGで治療は開始されましたが、その後病棟で痙攣が起きたと聞いて、自分だったら帰宅させていたと思うと学生ながらに怖い思いをしました。
研修医1年目、病棟の横に自分たち用の検査室がありました。
当時から、尿沈渣は自分たちですることになっていましたが、グラム染色も可能でした。
1年上の先輩にやり方を教えてもらい、その辺りを染色液まみれにしながらやっていました。スライドグラスをアルコールで拭くとか、尿は沈渣前という技は知らなかったため、それはそれは見にくい検鏡であったと思います。肺炎や尿路感染は自分たちで初期診断を付けるということを教えてもらった時期でした。見えるとうれしい(テンション↑)もので、膀胱炎が治っても染色していました。見えないのは治癒判定として有用と理解したのはずいぶん後のことでした。
大学病院から市中病院へ出ると、オーダーは出すものの、実際に染色をしたり、検鏡したりする機会はなくなりました。
グラム染色の結果が、GPC,GPRと書いてあっただけでは、何が起因菌か、検体の状況が適正であったかわかりません。当時、細菌検査室に確認に行くということもしませんでしたので、培養結果を待つといった雰囲気になっていました。
大学病院へ戻って田辺先生が来てから、再びグラム染色指導がしっかりできるようになり、細菌検査室との交流も始まりました。いい時代になってきました。病棟のPCにグラム染色アトラスがはいったのもこのころです。私は、感染性心内膜炎の経験がある程度ありますが、多くは培養結果で治療を考えていました。血培のグラム染色があると知ったのもずっと後のことでした。心内膜炎は、感染症治療とともに重要なのは手術適応とタイミングです。いろいろなところで私は話していますが、診断と同時に外科と情報を共有することが大切です。いつでも送ってきていいよと本心から思っている外科医はそうはいないと思います。ちなみに血培2セットの抵抗は循環器医にはあまりないと思います。心内膜炎疑いの時は、もっととっていましたから。コンタミの怖さはある程度分かると思います(私の医局だけかもしれませんが)。
感染症医にとってグラム染色は必須のものと思いますが、循環器内科医にとって心電図は重要なものです。しかし、心電図を見ないで洞調律、ST低下、期外収縮といわれてもピンときません。最近は全自動で所見が印刷され便利になりましたが、どうしても本物をみないと診断は難しいものです。
言葉だけで正常とか言われると某日のドクターGのようになるかもしれません。同じように外注で染色結果の紙切れをみても、GPC2+、GNR1+,GPR1+なんて書いてあっては、役に立ちません。診療所では、エコーも胃透視も尿沈渣も自分で見て所見をとるわけです。グラム染色もその一環であり、特別な気概は不要だと思います。見えたものの菌名までは到達しないことも多いと思いますが、少なくとも染色によって細菌がいるかどうかと4分画の内どれかがわかります。これに自分のところのアンチバイオグラムがあれば、広域抗菌薬を必ずしも第一選択にせずとも済むと思います。
診療所あるいは細菌検査室のない病院でのグラム染色の開始は、検体の取り扱いと廃棄物の問題があり、一概に何処でもというわけではないと思います。今回、染色にあたっては、多くの書籍やネットでの情報を得て行ったわけですが、昔を思い出してやったわりには、結構うまく染色ができたので、テンションが上がってしまいました。お恥ずかしい限りです。スタッフにもこうして診断ができるといいねといいながら見せていました。開業医で染色をされている先生は多くいらっしゃいます。ただ大事なのはそれをどう抗菌剤の選択に生かすかだと思います。結局すべてNQでは寂しい感じがします。私は感染症医ではありませんし、今の研修医の先生方のようにきちんとした勉強もしていないので、偉そうなことは言えません。でもこんな経緯でまた始めた次第です。
写真は100円ショップで買ったタイマーや楊枝、受け皿など。700円分と家のこわれたドライヤーです。流しは結構汚れるので、レンジパネルを張ってすることにしました。排液は一応一般排水とは違いますが、追求しないでください。
(写真:編集長と本康先生。カメラマン:中山博敬氏)
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「染色液以外の道具は100円ショップで揃えました」そうです。
ぐらせん話を当ブログに掲載する許可をいただきましたので紹介です。
そういえば・・・ナースや薬剤師さんにも教えて、クリニック内でも染めてもらえるようになったドクターがいるそうです〜。
東京都看護協会のICNコースは群馬大学の佐竹先生のラボで実習をしてましたね・・・。
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学生(6年生)の頃、市中病院への救急実習で、夜間頭痛の男性来院。
学生レベルでは普通(?) の頭痛かなと思っていました。担当した研修医の先生も、頭痛薬を処方して・・・、ところがその後、指導医の再診があり、“これは入院”と言われました。きょとんとした私と研修医の先生。
指導医が言うには、少し首が固い、話し方がややおかしいとのことでした。全然そうは見えませんでしたが、腰椎穿刺、指導医にすぐに検査室へ来るように呼ばれました。
グラム染色ではグラム陽性双球菌がみられ、指導医のテンションは高く、グラム染色の大切さを語ってくれました。PCGで治療は開始されましたが、その後病棟で痙攣が起きたと聞いて、自分だったら帰宅させていたと思うと学生ながらに怖い思いをしました。
研修医1年目、病棟の横に自分たち用の検査室がありました。
当時から、尿沈渣は自分たちですることになっていましたが、グラム染色も可能でした。
1年上の先輩にやり方を教えてもらい、その辺りを染色液まみれにしながらやっていました。スライドグラスをアルコールで拭くとか、尿は沈渣前という技は知らなかったため、それはそれは見にくい検鏡であったと思います。肺炎や尿路感染は自分たちで初期診断を付けるということを教えてもらった時期でした。見えるとうれしい(テンション↑)もので、膀胱炎が治っても染色していました。見えないのは治癒判定として有用と理解したのはずいぶん後のことでした。
大学病院から市中病院へ出ると、オーダーは出すものの、実際に染色をしたり、検鏡したりする機会はなくなりました。
グラム染色の結果が、GPC,GPRと書いてあっただけでは、何が起因菌か、検体の状況が適正であったかわかりません。当時、細菌検査室に確認に行くということもしませんでしたので、培養結果を待つといった雰囲気になっていました。
大学病院へ戻って田辺先生が来てから、再びグラム染色指導がしっかりできるようになり、細菌検査室との交流も始まりました。いい時代になってきました。病棟のPCにグラム染色アトラスがはいったのもこのころです。私は、感染性心内膜炎の経験がある程度ありますが、多くは培養結果で治療を考えていました。血培のグラム染色があると知ったのもずっと後のことでした。心内膜炎は、感染症治療とともに重要なのは手術適応とタイミングです。いろいろなところで私は話していますが、診断と同時に外科と情報を共有することが大切です。いつでも送ってきていいよと本心から思っている外科医はそうはいないと思います。ちなみに血培2セットの抵抗は循環器医にはあまりないと思います。心内膜炎疑いの時は、もっととっていましたから。コンタミの怖さはある程度分かると思います(私の医局だけかもしれませんが)。
感染症医にとってグラム染色は必須のものと思いますが、循環器内科医にとって心電図は重要なものです。しかし、心電図を見ないで洞調律、ST低下、期外収縮といわれてもピンときません。最近は全自動で所見が印刷され便利になりましたが、どうしても本物をみないと診断は難しいものです。
言葉だけで正常とか言われると某日のドクターGのようになるかもしれません。同じように外注で染色結果の紙切れをみても、GPC2+、GNR1+,GPR1+なんて書いてあっては、役に立ちません。診療所では、エコーも胃透視も尿沈渣も自分で見て所見をとるわけです。グラム染色もその一環であり、特別な気概は不要だと思います。見えたものの菌名までは到達しないことも多いと思いますが、少なくとも染色によって細菌がいるかどうかと4分画の内どれかがわかります。これに自分のところのアンチバイオグラムがあれば、広域抗菌薬を必ずしも第一選択にせずとも済むと思います。
診療所あるいは細菌検査室のない病院でのグラム染色の開始は、検体の取り扱いと廃棄物の問題があり、一概に何処でもというわけではないと思います。今回、染色にあたっては、多くの書籍やネットでの情報を得て行ったわけですが、昔を思い出してやったわりには、結構うまく染色ができたので、テンションが上がってしまいました。お恥ずかしい限りです。スタッフにもこうして診断ができるといいねといいながら見せていました。開業医で染色をされている先生は多くいらっしゃいます。ただ大事なのはそれをどう抗菌剤の選択に生かすかだと思います。結局すべてNQでは寂しい感じがします。私は感染症医ではありませんし、今の研修医の先生方のようにきちんとした勉強もしていないので、偉そうなことは言えません。でもこんな経緯でまた始めた次第です。
写真は100円ショップで買ったタイマーや楊枝、受け皿など。700円分と家のこわれたドライヤーです。流しは結構汚れるので、レンジパネルを張ってすることにしました。排液は一応一般排水とは違いますが、追求しないでください。
(写真:編集長と本康先生。カメラマン:中山博敬氏)
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