(配布資料の掲載を待ってから書こうとおもっていたのですが、なかなか載らないので中間のまとめ)
5月16日に定期的に開催されているワクチンの副作用の会議、翌日17日には、予防接種の基本的なことを決めるための会議が麻布十番にある、(外国要人をお迎えする素敵な)会議施設で行われました。23日には開発や流通についての会議が開催されます。かなり早いスピードで会議が開催されるようです。
そうしないと来年も今のような状況になってしまいますし。
まず、16日の副作用会議。
会議に参加していたひとしか、会議の内容を知ることができないのは残念ですが(傍聴席からヤジがとんだとか→これまで見たことないシーンです)、討議メンバーが何を元に話あっているのかの配布資料は誰でも見ることができます。
公開が遅いために有効活用性がいまいちですが「議事録」も公開されてます。経緯に関心ある人は読みましょう。
残念ながら、今年度は配布資料の公開がおそく、今日の時点で掲載されていません(昨年度は当日か翌日に掲載されていましたが)。
こちらに掲載されますので、ときどきチェックするとよいとおもいます。
「厚生労働省 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会」
5月16日の副作用の会議について、今あるのメディア情報。
まず、情報構造を整理しましょう。情報の出所どころと、そこでどう加工されていくのか(必要があってのことですが)、自分が今見ている情報はどこか?です。
---------------------------------------------
事実1:ある医療機関で、ある人がHPVワクチンを接種した(2種類あるうちのどれか、3回シリーズのどれか、個人独特の情報として基礎疾患や既往、体調などがあり、慣れた医療機関かそうでないかという差もあります)
事実2:そこで接種後になんらかの有害事象が発生した。(カルテに記載あり)
情報1:(ここから医療機関の外に個別の症例情報が出ます)
医師が有害事象(ワクチン接種後におきた健康問題のイベントを「因果関係を問わず」)報告することを知っていて、指定フォームを用いて届け出る
※ここでもれているものがあるとおもいます。その意味で過小評価。しかし、今までのワクチンとは違う積極的な情報収集になっていうrので、他のワクチンと比べると高い頻度で報告されていると推定できます。その意味で以前からあるワクチンと比較する意義がどの程度あるのか不明。そもそも思春期に接種するものと、その他の対象と接種する際には当然、バックグラウンドの違いへの考察が必要。
情報2:医療機関から届けられた情報を集約して会議で検討。この時点では主治医の情報。
情報3:専門家会議で、カルテや前後の周辺情報などをもとにさらに詳細な問題を検討
→ここでの検討方法がどうなのか、専門的な医学的な知識や経験のある人はそうたくさんいないときにどうなるのか。
いずれにしてもここはクローズドなので、定期の副作用の会議でフィードバックされる内容を確認します。
かなり細かく会議では報告されます(配布資料はそこまで細かく書いてありませんが、カルテ情報なので妥当でしょう)
情報4:副作用の検討委員会で配布資料として公開(ここから、関係者以外でも読めるデータになります。ホームページからダウンロード可能)
情報5:会議を傍聴していた記者が、会議配布資料やその後の雄ぶらさがりレクをもとに記事をかく→ネットや紙、テレビ等でニュースとして流れる。 ←世の中の多くの人が目にするのはここ。情報4の資料を読むほど関心がある、時間がある、仕事に直結している人はそう多くない。
情報6:上記の、記者の解釈の入った、全体の一部分を伝える報道をもとに、様々な立場の人がコメントや感想をかいてネットで公開している(Facebook, twitter, LINE、ブログなど) ←ネット情報だけみて書くひとと、配布資料をもとに書いているひとには大きな溝がある
情報7:情報6(個人の感想レベル)をみてそれを事実と勘違いしたり納得したり(それは個人の自由)、拡散したり(ソースにあたらない健康情報は危険)。
情報8:匿名の誰が書いたか分からない伝言拡散情報を信じてさらに拡散する人もいる。以下省略。
----------------------------------------------------
報道が何を伝えていたのか。
比較すると違いなどから気づくこともあります。
タイトルのつけかた、会議のどこに注目をしているのか、他の記事にはないことを書いているとしたらそれは何か。
どこまで事実でどこから解釈か。
これは、大学のリテラシーのゼミ等でやる作業です。
初心者は言葉の意味がわからないので、言葉の「定義」については単語帳などをつくるのもいいかもしれません。
下記はネットでひろえる情報。あいかわらずHPVワクチンは"子宮頸がんワクチン"なんですね・・・。
(まあ、HIVもエイズウイルスという日本オリジナルな表記がまだあるわけですが・・)
全体を見渡して、会議にあった「事実」としては、
■"重篤な副作用" 報告の発生頻度は接種100万回当たり約12.3件。
■他の代表的なワクチンの最新データと比べると、インフルエンザワクチン(約0.9件)、不活化ポリオワクチン(約2.1件)よりは高いが、日本脳炎ワクチン(約26.0件)よりは低い
■結論として、接種を中止する根拠があるとはいえないので継続
■接種で重い健康被害が生じていると訴える民間団体が集めた副作用24件の事例が示された。うち17件は医療機関や製薬企業からの報告には含まれていなかった。
です。
そして、接種を継続しながら、詳細な調査をします、とのことでした。
会議に参加した人からきいたところでは、民間団体が提示した17例には、2つあるワクチンのうちどちらを接種したのかさえわからない事例も入っていたり、医学的な検討をするための情報じたいがなかったから、だそうです。
続報を待ちましょう。
-------------------
5月19日 愛媛新聞 社説 「子宮頸がんワクチン 副作用情報の徹底調査、公表を」
5月17日 NHK 時事公論 「子宮頸がんワクチン 揺れる安心」
5月17日 東京新聞「子宮頸がんワクチン接種 副作用1968件、重篤106件」
5月17日 朝日新聞 「子宮頸がんワクチン、副作用で重篤106件」
5月17日 FNN 「子宮頸がんワクチン、中止の医学的論拠が乏しいと定期接種を継続」
5月16日 日経新聞 「子宮頸がんワクチン、重篤な副作用106件 厚労省まとめ 」
5月16日 産経新聞 「子宮頸がんワクチン接種後に副反応1196件 詳細調査へ」
5月16日 朝日新聞子宮頸がんワクチン「一時中止を」 被害者らが訴え」
5月16日 毎日新聞 子宮頸がん:ワクチン接種は継続 専門家検討会
5月16日 読売新聞 「子宮頸がんワクチン、副反応情報を収集へ」
5月16日 共同通信 子宮頸がんワクチンで調査 厚労省、接種は中止せず
---------------------------------
今回のHPVワクチンでの"重篤”の定義はかなり幅広いので、このうち、実際に因果関係を検討すべきものとして残るものの調査が課題です。
(と,同時に因果関係が不明でも広く救済される健康被害補償制度の整備が必要)
記事の中にあるCRPSについては、
先日、当ブログで書いた、英国 サーバリックス使用のまとめ(いまはガーダシルに切り替え)もそのうちまた更新したいとおもいます。
複合性局所疼痛症候群 Complex regional pain syndrome: CRPSはペインクリニックの先生が専門的にケアしていますが、他の医療者にはなじみのない病気。
英語のファクトシート National Institute of Neurological Disorders and Stroke
もともと発症は女性>男性が多いことが知られています。こちらの調査では85%が女性。
2007年、オランダの疫学調査。
The incidence of complex regional pain syndrome: a population-based study.
" can occur in an extremity after any type of injury, or even spontaneously."
女性が男性の3倍。
こちらはオーストラリア、子どもと思春期での報告 Complex regional pain syndrome in children and adolescents.
英国での発生率など。Neuropathic Pain & Complex Regional Pain Syndrome in Children
Pediatric Complex Regional Pain Syndrome
UpToDateの文献/a>なども読むといいかも。
痛みと鎮痛の基礎知識
沖縄県医師会 59歳男性症例
CRPSの患者さんのブログ
「CRPSを難病指定に」
その他、本件に関する参考情報:
記事に出てくる全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会のホームページ
ツイッターのアカウント @shikyuukeigan01
今回のニュースにはなぜか出ていませんが、4月の報道関連ではコメントを出していた薬害オンブズパーソン会議
子宮頸がんを制圧をめざす専門家会議のコメント 「子宮頸がん予防ワクチン(HPV ワクチン)副反応報道について」
上記は代理店の朝日エルが連絡先。
VPDの会もコメントを発表。「子宮頸がんの予防ワクチン(HPVワクチン)の副作用報道について」
基本的なこととして、ワクチンの有害事象報告を集めた上で、因果関係をどう考えるか
は、先に勉強しておく必要があります。英語ですがネットでも学べます。
Injection Related Adverse Effects
高木先生 「因果推論とHillの9条件」
この分類は、それが癌発生に関連するのか?などを検討する際にも使われます。
5月16日に定期的に開催されているワクチンの副作用の会議、翌日17日には、予防接種の基本的なことを決めるための会議が麻布十番にある、(外国要人をお迎えする素敵な)会議施設で行われました。23日には開発や流通についての会議が開催されます。かなり早いスピードで会議が開催されるようです。
そうしないと来年も今のような状況になってしまいますし。
まず、16日の副作用会議。
会議に参加していたひとしか、会議の内容を知ることができないのは残念ですが(傍聴席からヤジがとんだとか→これまで見たことないシーンです)、討議メンバーが何を元に話あっているのかの配布資料は誰でも見ることができます。
公開が遅いために有効活用性がいまいちですが「議事録」も公開されてます。経緯に関心ある人は読みましょう。
残念ながら、今年度は配布資料の公開がおそく、今日の時点で掲載されていません(昨年度は当日か翌日に掲載されていましたが)。
こちらに掲載されますので、ときどきチェックするとよいとおもいます。
「厚生労働省 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会」
5月16日の副作用の会議について、今あるのメディア情報。
まず、情報構造を整理しましょう。情報の出所どころと、そこでどう加工されていくのか(必要があってのことですが)、自分が今見ている情報はどこか?です。
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事実1:ある医療機関で、ある人がHPVワクチンを接種した(2種類あるうちのどれか、3回シリーズのどれか、個人独特の情報として基礎疾患や既往、体調などがあり、慣れた医療機関かそうでないかという差もあります)
事実2:そこで接種後になんらかの有害事象が発生した。(カルテに記載あり)
情報1:(ここから医療機関の外に個別の症例情報が出ます)
医師が有害事象(ワクチン接種後におきた健康問題のイベントを「因果関係を問わず」)報告することを知っていて、指定フォームを用いて届け出る
※ここでもれているものがあるとおもいます。その意味で過小評価。しかし、今までのワクチンとは違う積極的な情報収集になっていうrので、他のワクチンと比べると高い頻度で報告されていると推定できます。その意味で以前からあるワクチンと比較する意義がどの程度あるのか不明。そもそも思春期に接種するものと、その他の対象と接種する際には当然、バックグラウンドの違いへの考察が必要。
情報2:医療機関から届けられた情報を集約して会議で検討。この時点では主治医の情報。
情報3:専門家会議で、カルテや前後の周辺情報などをもとにさらに詳細な問題を検討
→ここでの検討方法がどうなのか、専門的な医学的な知識や経験のある人はそうたくさんいないときにどうなるのか。
いずれにしてもここはクローズドなので、定期の副作用の会議でフィードバックされる内容を確認します。
かなり細かく会議では報告されます(配布資料はそこまで細かく書いてありませんが、カルテ情報なので妥当でしょう)
情報4:副作用の検討委員会で配布資料として公開(ここから、関係者以外でも読めるデータになります。ホームページからダウンロード可能)
情報5:会議を傍聴していた記者が、会議配布資料やその後の雄ぶらさがりレクをもとに記事をかく→ネットや紙、テレビ等でニュースとして流れる。 ←世の中の多くの人が目にするのはここ。情報4の資料を読むほど関心がある、時間がある、仕事に直結している人はそう多くない。
情報6:上記の、記者の解釈の入った、全体の一部分を伝える報道をもとに、様々な立場の人がコメントや感想をかいてネットで公開している(Facebook, twitter, LINE、ブログなど) ←ネット情報だけみて書くひとと、配布資料をもとに書いているひとには大きな溝がある
情報7:情報6(個人の感想レベル)をみてそれを事実と勘違いしたり納得したり(それは個人の自由)、拡散したり(ソースにあたらない健康情報は危険)。
情報8:匿名の誰が書いたか分からない伝言拡散情報を信じてさらに拡散する人もいる。以下省略。
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報道が何を伝えていたのか。
比較すると違いなどから気づくこともあります。
タイトルのつけかた、会議のどこに注目をしているのか、他の記事にはないことを書いているとしたらそれは何か。
どこまで事実でどこから解釈か。
これは、大学のリテラシーのゼミ等でやる作業です。
初心者は言葉の意味がわからないので、言葉の「定義」については単語帳などをつくるのもいいかもしれません。
下記はネットでひろえる情報。あいかわらずHPVワクチンは"子宮頸がんワクチン"なんですね・・・。
(まあ、HIVもエイズウイルスという日本オリジナルな表記がまだあるわけですが・・)
全体を見渡して、会議にあった「事実」としては、
■"重篤な副作用" 報告の発生頻度は接種100万回当たり約12.3件。
■他の代表的なワクチンの最新データと比べると、インフルエンザワクチン(約0.9件)、不活化ポリオワクチン(約2.1件)よりは高いが、日本脳炎ワクチン(約26.0件)よりは低い
■結論として、接種を中止する根拠があるとはいえないので継続
■接種で重い健康被害が生じていると訴える民間団体が集めた副作用24件の事例が示された。うち17件は医療機関や製薬企業からの報告には含まれていなかった。
です。
そして、接種を継続しながら、詳細な調査をします、とのことでした。
会議に参加した人からきいたところでは、民間団体が提示した17例には、2つあるワクチンのうちどちらを接種したのかさえわからない事例も入っていたり、医学的な検討をするための情報じたいがなかったから、だそうです。
続報を待ちましょう。
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5月19日 愛媛新聞 社説 「子宮頸がんワクチン 副作用情報の徹底調査、公表を」
5月17日 NHK 時事公論 「子宮頸がんワクチン 揺れる安心」
5月17日 東京新聞「子宮頸がんワクチン接種 副作用1968件、重篤106件」
5月17日 朝日新聞 「子宮頸がんワクチン、副作用で重篤106件」
5月17日 FNN 「子宮頸がんワクチン、中止の医学的論拠が乏しいと定期接種を継続」
5月16日 日経新聞 「子宮頸がんワクチン、重篤な副作用106件 厚労省まとめ 」
5月16日 産経新聞 「子宮頸がんワクチン接種後に副反応1196件 詳細調査へ」
5月16日 朝日新聞子宮頸がんワクチン「一時中止を」 被害者らが訴え」
5月16日 毎日新聞 子宮頸がん:ワクチン接種は継続 専門家検討会
5月16日 読売新聞 「子宮頸がんワクチン、副反応情報を収集へ」
5月16日 共同通信 子宮頸がんワクチンで調査 厚労省、接種は中止せず
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今回のHPVワクチンでの"重篤”の定義はかなり幅広いので、このうち、実際に因果関係を検討すべきものとして残るものの調査が課題です。
(と,同時に因果関係が不明でも広く救済される健康被害補償制度の整備が必要)
記事の中にあるCRPSについては、
先日、当ブログで書いた、英国 サーバリックス使用のまとめ(いまはガーダシルに切り替え)もそのうちまた更新したいとおもいます。
複合性局所疼痛症候群 Complex regional pain syndrome: CRPSはペインクリニックの先生が専門的にケアしていますが、他の医療者にはなじみのない病気。
英語のファクトシート National Institute of Neurological Disorders and Stroke
もともと発症は女性>男性が多いことが知られています。こちらの調査では85%が女性。
2007年、オランダの疫学調査。
The incidence of complex regional pain syndrome: a population-based study.
" can occur in an extremity after any type of injury, or even spontaneously."
女性が男性の3倍。
こちらはオーストラリア、子どもと思春期での報告 Complex regional pain syndrome in children and adolescents.
英国での発生率など。Neuropathic Pain & Complex Regional Pain Syndrome in Children
Pediatric Complex Regional Pain Syndrome
UpToDateの文献/a>なども読むといいかも。
痛みと鎮痛の基礎知識
沖縄県医師会 59歳男性症例
CRPSの患者さんのブログ
「CRPSを難病指定に」
その他、本件に関する参考情報:
記事に出てくる全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会のホームページ
ツイッターのアカウント @shikyuukeigan01
今回のニュースにはなぜか出ていませんが、4月の報道関連ではコメントを出していた薬害オンブズパーソン会議
子宮頸がんを制圧をめざす専門家会議のコメント 「子宮頸がん予防ワクチン(HPV ワクチン)副反応報道について」
上記は代理店の朝日エルが連絡先。
VPDの会もコメントを発表。「子宮頸がんの予防ワクチン(HPVワクチン)の副作用報道について」
基本的なこととして、ワクチンの有害事象報告を集めた上で、因果関係をどう考えるか
は、先に勉強しておく必要があります。英語ですがネットでも学べます。
Injection Related Adverse Effects
高木先生 「因果推論とHillの9条件」
この分類は、それが癌発生に関連するのか?などを検討する際にも使われます。