だんだんと英語のニュースの数も減っているH7N9。
Google Trendでみてみました。
軽視しているわけではなくて、どのレベルの対応をすればいいか基礎情報が把握され、各国が通常のモニタリングでやっていく体制がととのったからですね(整ってない国もある)。
ちょうど10年前の2003年のSARS(コロナウイルスによる感染症)のときは、感染症そのものだけでなく、中国は情報出さない、その後もいろいろ隠すなど信頼やコミュニケーション上の課題が指摘されました。
今回は、各国の研究サイトが国内にあり、人的交流もすすんでいるためか、情報は順々に出てきている印象です。
当時との比較などのまとめが4月22日にMedpage Todayにありました。
SARS Lessons: Stay Alert for Emerging Pathogens
4月23日 オーストラリア バイオセキュリティ専門家インタビュー
Australian biosecurity officials say they are closely monitoring a new bird flu outbreak in China, but remain alert and not alarmed.
オーストラリアは感染対策のレベルが高いですし、麻疹が空港で一例報告されようものなら、大騒ぎになります。食中毒対応も早い。そのような人たちの視点は参考になります。
いっぽう、風疹のワクチン費用補助が自治体でバラバラとか、検疫の人も麻疹ワクチン以外は努力目標とか(聞いてびっくり)、危機感として基本的なことが????なままGWを迎えるのはこわいんですが。
成田空港で働く人が麻疹を発症とかありましたし、GWあけに空港の人が風疹発症とかニュースなりませんように。
さて。
22日のWHO会見の説明がありましたが、日本は中国の鳥インフルエンザを本日「指定感染症」にしてはどうか?という話がニュースになっていました。
「えーそれなに?」という方は法律をよみます。
感染症の診療に関わる人にとって、いろいろ仕事に関わるようなことが書いてある法律です。
よみましょう。
--------------------------------------------------------------
(指定感染症に対するこの法律の準用)
第七条 指定感染症については、一年以内の政令で定める期間に限り、政令で定めるところにより次条、第三章から第七章まで、第十章、第十二章及び第十三章の規定の全部又は一部を準用する。
2 前項の政令で定められた期間は、当該政令で定められた疾病について同項の政令により準用することとされた規定を当該期間の経過後なお準用することが特に必要であると認められる場合は、一年以内の政令で定める期間に限り延長することができる。
3 厚生労働大臣は、前二項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。
--------------------------------------------------------------
え?日本語に思えない?
ぜひほかの法律も時間があったらよんでみてください。
読んでもよくわからないように書いてあるのがデフォルト。
新聞記事に書いてあるので一般の人も知るところとしては、
"中国で急速に感染が拡大しているH7N9型鳥インフルエンザウイルスの日本侵入に備え、厚生労働省は24日、H7N9型を感染症法に基づく「指定感染症」とし、最長2年間、入院勧告や就業制限などができるとする対策案を感染症部会に示す。承認されれば感染症法の政令や、検疫所での診察や検査を可能にする検疫法の政令を改正し、5月上旬の施行を目指す。"
GW中は各方面手薄です。医療機関はお休みなく動いていますが余計な負荷をかけたり、かんちがいなオーダーがでてきたら(ウイルスより)こわいね〜と話題になっています。
先に叫んでおきましょう。
日本中から医者を集めるようなことはもうしないでください。
日本の医療機関が日々診ているのは特殊なインフルエンザだけではありません。
続き。
"東南アジアを中心に広がっているH5N1型などが含まれる「2類感染症」と同水準の対策を取るのが目的。2類感染症とするには感染症法の改正が必要なため、期間限定で早急に決められる指定感染症の枠組みを活用するのが適切だと判断した。"
おいおい、2類ってなんだよ!?な方はさらに二類のところもよみます。
日常的にみている(日常的にはみたくないけど)結核がここに入っています。
保健所への届け出をかきますし、周囲への感染予防を保健所がお手伝いします。
人権問題にならないような配慮が必要です。
※後述しますが、PPE(感染予防)は法律ではなく病原体や症状、医療行為によってきまってきます。
---------------------------------------------------------------
3 この法律において「二類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
一 急性灰白髄炎 →ポリオのことです
二 結核
三 ジフテリア
四 重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)
五 鳥インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであってその血清亜型がH五N一であるものに限る。第五項第七号において「鳥インフルエンザ(H五N一)」という。)
---------------------------------------------------------------
ところで、鳥インフルエンザと新型インフルエンザって何がちがうの?
新型インフルエンザは2009年におわっちゃったんじゃないの?
次は新新型なんじゃないの?
という方はさらに新型インフルエンザのところも読みます。
---------------------------------------------------------------
7 この法律において「新型インフルエンザ等感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
一 新型インフルエンザ(新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)
二 再興型インフルエンザ(かつて世界的規模で流行したインフルエンザであってその後流行することなく長期間が経過しているものとして厚生労働大臣が定めるものが再興したものであって、一般に現在の国民の大部分が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)
---------------------------------------------------------------
一般の方は通常のインフルエンザ予防策をとっていただき、さて病院ではどうしましょう、、ですが問題なくICTが決めているところと、「N95とか、つなぎ服とか、長靴もいるんでしょうか?」と困っているところとあるようです。
基本を振り返ります。CDCのレクチャースライド。
そもそも感染経路が何か、空気?飛沫?接触?でわかれるのでしたね。
そして、病原体がわかっているのかいないのか。患者さんが吐血しているのか咳をゴホゴホしまくっているのか。
私たちが何をするのか(食事を運ぶだけなのか、吸引をするのか)によって選べるようになっています。
長靴やつなぎ服、N95がいつどのようなときにいるのかは最終的に自分で判断できないと専門家とはいえません。
ではまずフル装備をしている事例。これはアフリカでときどきアウトブレイクするエボラ出血熱で、病棟へ行くとか検体を扱うとかいうときにとる対応。
通常、病原体が不明、病原性がわからない・高いと推定される場合にはフルスペックを使い、情報がわかっていたらレベルダウンをします。
この恰好を医療者がすると患者さんや家族、地域の人にどのようなインパクトがあるか考えることは大切。
左は訓練の写真。右は実際に曝露をする行為です。あえていうなら、防御は逆のほうがよかったかもしれませんね。
こちらは日本の映画の記者会見とかイベントの風景だそうです。
タイベック熱いです。こういったネタにつかわれることを苦々しくみていた感染症関係者。
現在の中国の対応
H7N9がらみで紹介されていた台湾とベトナムの検疫。
体温センサーは日本の空港にもあります。ずーっとみていて赤くなっている人を呼び止めますが、先日、空港で聞いたところ、1日あたりそれにひかっかるのが数名、半数は酔っ払ったひとだそうです。
潜伏期間がありますので、まあ、これにお金や人をどう投資するかという問題はありますね。。
医療機関には毎日、呼吸器感染症疑いのひともきますし、ほかの病気にも対応しています。
2009年のような混乱を起こさない対応をしてもらいたいです。。
Google Trendでみてみました。
軽視しているわけではなくて、どのレベルの対応をすればいいか基礎情報が把握され、各国が通常のモニタリングでやっていく体制がととのったからですね(整ってない国もある)。
ちょうど10年前の2003年のSARS(コロナウイルスによる感染症)のときは、感染症そのものだけでなく、中国は情報出さない、その後もいろいろ隠すなど信頼やコミュニケーション上の課題が指摘されました。
今回は、各国の研究サイトが国内にあり、人的交流もすすんでいるためか、情報は順々に出てきている印象です。
当時との比較などのまとめが4月22日にMedpage Todayにありました。
SARS Lessons: Stay Alert for Emerging Pathogens
4月23日 オーストラリア バイオセキュリティ専門家インタビュー
Australian biosecurity officials say they are closely monitoring a new bird flu outbreak in China, but remain alert and not alarmed.
オーストラリアは感染対策のレベルが高いですし、麻疹が空港で一例報告されようものなら、大騒ぎになります。食中毒対応も早い。そのような人たちの視点は参考になります。
いっぽう、風疹のワクチン費用補助が自治体でバラバラとか、検疫の人も麻疹ワクチン以外は努力目標とか(聞いてびっくり)、危機感として基本的なことが????なままGWを迎えるのはこわいんですが。
成田空港で働く人が麻疹を発症とかありましたし、GWあけに空港の人が風疹発症とかニュースなりませんように。
さて。
22日のWHO会見の説明がありましたが、日本は中国の鳥インフルエンザを本日「指定感染症」にしてはどうか?という話がニュースになっていました。
「えーそれなに?」という方は法律をよみます。
感染症の診療に関わる人にとって、いろいろ仕事に関わるようなことが書いてある法律です。
よみましょう。
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(指定感染症に対するこの法律の準用)
第七条 指定感染症については、一年以内の政令で定める期間に限り、政令で定めるところにより次条、第三章から第七章まで、第十章、第十二章及び第十三章の規定の全部又は一部を準用する。
2 前項の政令で定められた期間は、当該政令で定められた疾病について同項の政令により準用することとされた規定を当該期間の経過後なお準用することが特に必要であると認められる場合は、一年以内の政令で定める期間に限り延長することができる。
3 厚生労働大臣は、前二項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。
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え?日本語に思えない?
ぜひほかの法律も時間があったらよんでみてください。
読んでもよくわからないように書いてあるのがデフォルト。
新聞記事に書いてあるので一般の人も知るところとしては、
"中国で急速に感染が拡大しているH7N9型鳥インフルエンザウイルスの日本侵入に備え、厚生労働省は24日、H7N9型を感染症法に基づく「指定感染症」とし、最長2年間、入院勧告や就業制限などができるとする対策案を感染症部会に示す。承認されれば感染症法の政令や、検疫所での診察や検査を可能にする検疫法の政令を改正し、5月上旬の施行を目指す。"
GW中は各方面手薄です。医療機関はお休みなく動いていますが余計な負荷をかけたり、かんちがいなオーダーがでてきたら(ウイルスより)こわいね〜と話題になっています。
先に叫んでおきましょう。
日本中から医者を集めるようなことはもうしないでください。
日本の医療機関が日々診ているのは特殊なインフルエンザだけではありません。
続き。
"東南アジアを中心に広がっているH5N1型などが含まれる「2類感染症」と同水準の対策を取るのが目的。2類感染症とするには感染症法の改正が必要なため、期間限定で早急に決められる指定感染症の枠組みを活用するのが適切だと判断した。"
おいおい、2類ってなんだよ!?な方はさらに二類のところもよみます。
日常的にみている(日常的にはみたくないけど)結核がここに入っています。
保健所への届け出をかきますし、周囲への感染予防を保健所がお手伝いします。
人権問題にならないような配慮が必要です。
※後述しますが、PPE(感染予防)は法律ではなく病原体や症状、医療行為によってきまってきます。
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3 この法律において「二類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
一 急性灰白髄炎 →ポリオのことです
二 結核
三 ジフテリア
四 重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)
五 鳥インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであってその血清亜型がH五N一であるものに限る。第五項第七号において「鳥インフルエンザ(H五N一)」という。)
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ところで、鳥インフルエンザと新型インフルエンザって何がちがうの?
新型インフルエンザは2009年におわっちゃったんじゃないの?
次は新新型なんじゃないの?
という方はさらに新型インフルエンザのところも読みます。
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7 この法律において「新型インフルエンザ等感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
一 新型インフルエンザ(新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)
二 再興型インフルエンザ(かつて世界的規模で流行したインフルエンザであってその後流行することなく長期間が経過しているものとして厚生労働大臣が定めるものが再興したものであって、一般に現在の国民の大部分が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)
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一般の方は通常のインフルエンザ予防策をとっていただき、さて病院ではどうしましょう、、ですが問題なくICTが決めているところと、「N95とか、つなぎ服とか、長靴もいるんでしょうか?」と困っているところとあるようです。
基本を振り返ります。CDCのレクチャースライド。
そもそも感染経路が何か、空気?飛沫?接触?でわかれるのでしたね。
そして、病原体がわかっているのかいないのか。患者さんが吐血しているのか咳をゴホゴホしまくっているのか。
私たちが何をするのか(食事を運ぶだけなのか、吸引をするのか)によって選べるようになっています。
長靴やつなぎ服、N95がいつどのようなときにいるのかは最終的に自分で判断できないと専門家とはいえません。
ではまずフル装備をしている事例。これはアフリカでときどきアウトブレイクするエボラ出血熱で、病棟へ行くとか検体を扱うとかいうときにとる対応。
通常、病原体が不明、病原性がわからない・高いと推定される場合にはフルスペックを使い、情報がわかっていたらレベルダウンをします。
この恰好を医療者がすると患者さんや家族、地域の人にどのようなインパクトがあるか考えることは大切。
左は訓練の写真。右は実際に曝露をする行為です。あえていうなら、防御は逆のほうがよかったかもしれませんね。
こちらは日本の映画の記者会見とかイベントの風景だそうです。
タイベック熱いです。こういったネタにつかわれることを苦々しくみていた感染症関係者。
現在の中国の対応
H7N9がらみで紹介されていた台湾とベトナムの検疫。
体温センサーは日本の空港にもあります。ずーっとみていて赤くなっている人を呼び止めますが、先日、空港で聞いたところ、1日あたりそれにひかっかるのが数名、半数は酔っ払ったひとだそうです。
潜伏期間がありますので、まあ、これにお金や人をどう投資するかという問題はありますね。。
医療機関には毎日、呼吸器感染症疑いのひともきますし、ほかの病気にも対応しています。
2009年のような混乱を起こさない対応をしてもらいたいです。。