Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

H7N9 と その周辺

$
0
0
知識や経験のない人が頭をフル稼働させても、どうにもならない高レベルの判断領域というものがあります。
いっぽう、そのような高度な知識がなくても生活そのものを守る工夫や努力は別にあります。

中国のインフルエンザ(H7N9)ニュースは、インフルエンザそのものに詳しくない、疫学データを読む訓練が無い人たちには「ぎゃー」というリアクションもあるみたいですが、多くの専門家の反応もみていおいたほうがいいですね。

感染症の専門家にはウイルスが専門の人から、治療を扱う人までいろいろな人がいます。

国際的な感染症「対策」の経験があり、ウイルスにも詳しい先生のコメントがきけたらいいですね,と思ったところ、
押谷先生のメッセージが公開されていました。
こういったコミュニケーションは重要ですね。東北大学もすばらしい。

「インフルエンザA(H7N9)のリスクをどう考えるべきか ―押谷仁教授からのメッセージ2013―」

(感染症関連の拠点をもっている神戸大学や長崎大学等も是非お願いします〜)

注目すべきは、メディアに流れる前の情報をunofficianl networkで知る専門家の人たちなんですけどね。
報道は基本おどろおどろしく書きたい訳ですから(海外も同じ)。思考のベースをメディア情報にもっていくのはいいアイデアではないです。


そのメディアは、医療のことならなんでも語っちゃう(怖いね)あのひととか、あのひととか、あのひとにコメントとったりしているみたいですし、同じ専門家でもすごい狭い分野の人が、まだ裏もとれていない内容について想像でコメントしていたりして、このタイミングでのコミュニケーションとしては質が悪いなーという側面もみています。

ところで、なぜいまのようなインフルエンザ ストーリーやスキームができたのだろうと思い返してみると、医療現場の人が話題にもしていないのに公衆衛生の人も熱望していたとはきいていないのに、特別な法律ができちゃうとか(他の国はそんなことしてませんが・・・)、えー根拠なに?な薬の使い方が提案されるとか(だったら他の感染症にもspecificな策を提案しないとバランス悪い)。

いろいろな意見があってもいいですが、感染症関係者でも「なぜにこんなにインフルエンザ・・・?」という意見があることを示しておきます。

しかし。
風疹対策をしていた行政の人がこの対応に人手をさかれているそうです。もっと基本的なことができていないのに、ですね。

対策!といって(あまり効果がないのに)負荷を大きくしても、インフルエンザですから流行りますし、広がるでしょうし、広がったら一定数は死亡します。それがインフルエンザです。

ワクチンもこのようにいろいろな型のものが流行る度に開発するのは(ラボレベルでは)けっこうなお話でありますが、市場にのらないでしょうしロジもうまくいかないですから非現実的だとおもいます。

ネットをみてると「新型インフルワクチンの強制接種が怖い」といいますが、実際問題、通常の医療を維持しながらそんなにたくさんの人にワクチンをうてるほどのキャパは日本にはないんですよ。お医者さんもナースも足りませんから。そもそもつくれるのかさえ定かではない。が、予算はたくさん投じられている(目の前で起きている母子が困っている風疹を止めるためのワクチン公費のお金はないそうですが)。

ところで、昨日聞いたのは、中国帰りや中国から来た人が受診したら徹底的に検査すべきだっ!という暴言です。
検査にいくらかかるとか、知らないのかもですが、税金ですからね。必要なときに限定されるんですよ。

あ、編集長は極端にこの問題に興味がないです。電話やメールでお問い合わせはしないようにおねがいします。
個人での予防策は他のインフルエンザの対策と同じです。

では皆さん。良い週末を。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles