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Channel: 感染症診療の原則
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風疹対策 運命の分かれ道

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2012年からepidemic状態となっている日本の風疹。すでに各国が日本へ行く人へのアラートを出しています。(とほほ)

風疹は、ワクチンの無い時代に、数年おきにブレイクしては胎児死亡や流産、CRS児の増加が問題となっていました。
ワクチンの無い時代は。



では、ワクチンが導入されたらそれでOKかというとそんなかんたんな話ではありません。
2012年の前、2004年にも風疹が流行。妊娠年齢期の女性が感染してCRS報告が増加。そして、緊急提言が出ます。このときの提言どおりに対策が進まなかったため(なぜだろう・・・)、2012年にはじまるepidemic状態になっています。

しかし、同じ2004年、米国は風疹の排除宣言を出していました。女性や子どもの運命にこんなに差が生じています(2012年の米国のCRSは3例、すべてアフリカ出身の未接種/接種歴不明の母親から)。


沖縄での風疹の流行とほぼ同時期の米国で大流行。


その後の経過。


風疹ワクチンを女子だけに接種したら地域流行がおさえられず、男女に接種、2回接種と対策レベルをあげているわけですが、導入するだけではダメで高い接種率を維持する努力が必要です。



公衆衛生が強い英連邦のとりくみ。

まずカナダ。




Herd Immunityの成果は、政府の関連資料に「予防接種によってこれだけの生命や健康が毎年まもられています」という明記によって国民の理解につながっています。

こちらはオーストラリアのポスターですが、個人だけでなく周囲も守るという哲学やミッションを地域や学校を通じて学ぶ機会がります。



さて。
日本でも長いこと小児科医らが2回接種を導入するようにいっていましたが、実際に導入されたのは2006年でした。
現在は1歳と就学時にMRを接種しています(海外はMMRでムンプスも流行抑制)。



この1期2期の接種率は90%以上と高くたもたれていますが、2012年3月で終わってしまった(一部の自治体は接種漏れのひとのために延長しています)3期4期で接種をしないまま大学や会社にはいっている感受性者の増加を忘れては行けません。2013年の対応をあやまると、また同じようなことが数年後におきます。

「風疹ワクチン接種率の推移」IASR

1994年の予防接種法改正以降急激に減少し、 2001年度は38.6%と最も低い


接種率が低くて失敗しているのは日本だけではありません。ギリシャをみていみましょう。

有名なアウトブレイク報告があります。


他の国にならってワクチンを導入したもののいろいろ課題がありました。


まず、1歳に導入。こどもの風疹流行はある程度抑制できるのですが、この時に接種しなかった人たちが妊娠する時期になって感染するようになりました。このような現象は専門家の間では把握や予測されていたことです。


そして、1993年は1950年代以後最も大きなブレイクとなり、CRSも増加。


接種率は高く維持しないといけません。


日本はどうでしょうか。


風疹が流行すると、胎児の死亡、流早産、CRSをおそれての人工妊娠中絶が増加するといわれています。



2013年、今の問題に立ち返りましょう。




接種をしてもらえなかった時期の男性がハイリスク層となっています。


国のポスター


現在、各地に流行が広がっていますので、感染症関係の方はできるアクションをはじめましょう。

「感染症が専門の先生」がno actionでは、周囲が動く理由を見つけるのは難しいです(別に流行させといていいらしい、と思われます)。

その意味で学会の静けさとか、産婦人科団体の風疹ページが2012年夏でとまっていていいのかと疑問たっぷり。

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