Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

経済と性感染症 と その周辺

$
0
0
HIV感染症については、巨額の予算が投じられて、初期から様々な検討が行われました。

ざっくりと「エイズと貧困」を語る人たちがいて、お金集めシステムにもハマる構図があったのですが、様々な疫学調査の結果、「必ずしもそうではない」という意見がでてきました(かなり早くから)。

聞きかじりでおおざっぱな話をするのは怖いなあと思ったテーマでもあります。
(先進国で日本だけが新規HIV感染が増えている!というのも、間違いです)

この話はアフリカ大陸での話です。
HIVの感染リスクには、それなりの小金が必要だと言うことです。
つまりお金や物品とセックスを交換するするだけの資金力が必要。

どこでどのようにHIVが拡大しているのかを調べていくとあることに気づいた訳です。
このなかで、割礼が根付いている地域では感染率が低いことなどもわかってきました(このためWHOが予防策として包皮切除支援をするようになりました)。

ボツワナのような、他のアフリカの国に比べて経済的に良好な国でどうして成人の3割が感染するような状況になったのか。
ダイヤモンドの発掘などで、移動労働人口が集まり、現金を手にする人が多い。その多くは男性で、しかも家族から離れていてコマーシャルセックスワークが産業として定着しています。

どうしてトラックドライバーに感染者が多かったのか。
長距離(長期間)家族と離れている中で、ドライブスルー的な休憩所には、食事だけでなく性のサービスをする人たちが集まっています。
トラック運転手へのコンドーム啓発(インド)

(他にも、「港町」に同様の理由でexposure pointがあるわけですが)


経済が活況となり、男性労働者が集まってくる場所では、性感染症の増加も把握されます。

日本でも復興のために仕事が増えている地域の診察室で、予防の関わりが必要とされていくかもしれません。

では、経済がダウンするとどのようなことがおきるのか。
一般に、性感染症の領域では、梅毒や淋病が増加するといわれています。

それは値引き合戦のなかで「NSでもいい」(NSはノースキンの略)という条件設定になっていくからです。

働く人もお客さんにも感染症リスクが高まるわけですが。

Girls' Health Labにそのリアリティを紹介する記事がありました。
「不本意ながらもノースキン」

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles