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Channel: 感染症診療の原則
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ノロ関連報道 つづき

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えー。

「名札のようなケースに二酸化塩素の発生剤を入れて首から下げ、菌やウイルスを近づけにくくする商品も人気という。」中國新聞

不要です。リスクはどう考えるんですかね。

玄米とノロウイルス感染は関係ありませんよ。
有効というならば、実験をしたということでしょうか。あえてノロをヒトに投与するようなことは倫理審査が通らないとおもいます。健康や医療に関連する情報としてかなり悪質です。

なんでかすねー。

皆さん、感染予防に必要な、標準的なことを地道にやりましょう。特別お金をかけなくてはいけないようなことはないです。

根拠の不明なものの採用はやめましょう。ないよりましではなくて、有効な対策をしない選択になるという別の問題につながるリスクがあります。他の危険が発生したときにも対処が遅れるひとになりますよ。


ノロの拡大リスク要因としては、集団生活、トイレなどの施設の共有。
感染拡大要因としては、手洗いなどの衛生行動が守れない(子どもや認知症の高齢者は周囲のサポートが重要)。
重症化のリスクとしては、高齢、基礎疾患がある、ですね。

おむつ交換や嘔吐物処理のときはマスクも必要です。
2006年のこの事例で指摘されたことは、ノロ対策に関わる人たちの緊張を高めました。
IASR「Mホテルにおけるノロウイルスによる集団胃腸炎の発生について」
病院に絨毯なんてやめたほうがいいですね(靴の音を吸収するということで採用を主張する人もいるみたいですが)。

ノロウイルスの報道が続いています。
記者会見や配布資料は一緒だと思いますが、各社趣の違う記事となっています。
全体を見てみましょう。

横浜市の病院関連です。今の時点で報道発表の掲載はありません

横浜では12月上旬から警報が出ており、各地と同様、流行は止まっていません。
ワクチンもないですし、感染力が他の病原体と比べて強く、コントロールが難しい感染症です。

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テレビ朝日 12月30日「横浜市でノロ集団感染 4人死亡、発症者は100人超」

 横浜市の病院で、入院患者と職員がノロウイルスに集団感染して4人が死亡した問題で、新たに6人が嘔吐などの症状を訴え、発症者は100人を超えました。
病院では25日から29日までの4日間で、入院患者と職員ら99人がノロウイルスに感染した疑いがあり、入院していた80歳から97歳の男女4人が死亡し、80代の男性が重症です。市の保健所によりますと、29日夜から30日朝にかけ、新たに入院患者5人と職員1人が嘔吐などの症状を訴え、発症者は105人となりました。保健所は、立ち入り検査で、病院の対策に問題がないか確認するとともに感染経路を調べています。病院側は感染の拡大を防ぐため、感染者を隔離したうえ、面会を中止しました。

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この記事にはありませんが、他社の記事によりますと、死亡例は、80歳(男)、92歳(男)、95歳(女)、97歳(女)とのことです。
インパクトを知るための分母ですが、「375床」の病院とのことです。
そして、高齢者がほとんど、認知症、経管栄養が必要な症例も多いという特徴の病院。

ノロウイルスの潜伏期間は2日ほどですので、あっという間に多くの人が発症をします。

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NHK 12月30日 「横浜の病院 発症の半数近くは4階患者」
横浜市緑区の病院で入院患者4人が死亡した、ノロウイルスによるとみられる集団感染で、発症した人の半数近くが4階の病棟の入院患者だったということで、横浜市は病院に立ち入り調査を行うなど、感染の原因などについて調べています。
病院では、今月25日から30日までに入院患者と職員合わせて105人が下痢やおう吐など感染性胃腸炎の症状を訴え、このうち80歳から97歳までの男女4人の入院患者が相次いで死亡し、1人が重症になっていて、横浜市はノロウイルスによる集団感染とみて調べています。
横浜市などによりますと、発症した入院患者は、病棟の4階で48人、2階と3階で合わせて29人と4階が中心で、発症した人の半数近くに上るということです。横浜市は、これまでの調査では施設内では消毒やおう吐物の処理の仕方に問題はなかったとする一方、職員の対応などが不十分だった可能性もあるとして、30日正午前から病院に立ち入り調査を行うなど、感染の原因や拡大した経緯について調べています。
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NHKは他社が書いていない疫学的な情報を記載。
病院は通常何階かにわかれています。
感染症が広がるときは、同じ部屋、同じ病棟で広がりやすいので、特定のフロアに集中しているということはありえます。

重症の全介助の患者さんが多く、スタッフが階をまがって仕事をしている際にはスタッフの手指経由での広がりもありえますし、逆に動ける患者さん、トイレが自立している人が一定数いるとトイレなどの施設での接触で広がっていきます。
完全なコントロールをするためには、「集団生活」をやめて、自宅に戻しましょうということになりますが、一般の方も感染して家族内に広がりますので、結局介護者を通じての感染リスクはゼロにはなりません。

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読売 12月29日 「ノロ院内感染か、4人死亡…患者ら99人に症状」

横浜市の病院(375床)は29日、入院患者と病院職員計99人が今月25日以降、嘔吐や下痢などの症状を訴える感染性胃腸炎の集団発生があり、うち80〜97歳の男女の患者計4人が死亡したと発表した。
発症した入院患者のうち11人からノロウイルスが検出され、同病院と横浜市はノロウイルスによる感染性胃腸炎が原因とみて調べている。
 発表によると、4人が死亡したのは26〜29日。いずれも寝たきりで、死因は吐いた物が気管などに入ったことによる誤嚥性肺炎や急性呼吸不全だった。25日に症状を訴えたのは、患者のおむつ交換などを行うケアワーカー3人で、29日までに職員27人と患者72人が発症した。
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分母となるベッド数があります。
他社にはない症例情報が記載されています。

誤嚥性肺炎は嘔吐をしていなくても平時からおこる高齢者に多い疾患ですが、寝たきりで嘔吐だとさらにリスクは高まります。

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産経12月30日「力が足りなかった」と病院長謝罪 感染収束せず

「力が足りなかったことをおわびしたい」。ノロウイルスとみられる集団感染で患者や職員計99人が発症し、患者4人が死亡した横浜市の横浜田園都市病院。29日夜、記者会見した渋谷誠二院長は苦渋の表情を浮かべて陳謝したが、多くの患者がまだ症状を訴えており、感染は収束していない。この日は松山市の病院でも患者1人が死亡したことが判明。ノロウイルスの感染力の強さを見せつけている。
 会見には多くの報道陣が集まり、感染の急激な広がりについて矢継ぎ早に質問が飛んだ。病院側は感染経路について「調査中」と説明するのが精いっぱい。
 ただ、発症した患者はいずれもチューブから栄養を摂取しており、食物からの感染の可能性は低いという。最初に発症した職員3人はおむつ交換などを担当しており、渋谷院長は「ノロウイルスの勉強会を職員向けに開いていたが、職員の全てが徹底して守っていたわけではなかったかもしれない」と顔を曇らせた。

 同病院は自宅での療養が困難な終末期の入院患者が多く、年齢は70歳以上。亡くなった患者らは認知症で意思疎通も難しく、感染が命に関わることは十分に予想できた。

 院長は「病院の性格から、これまで危機感を持って感染症対策に取り組んできたつもり」とした上で、今回の感染については「まずは収束させる。その中で私たちの足りなかった部分があれば、はっきりさせたい」と口を固く結んだ。

 ノロウイルスは感染力が極めて強く、宮崎県日南市の病院でも今月23日、感染性胃腸炎の集団感染で入院中の男性患者計6人が死亡したことが発覚。感染者の便や吐いた物を処理する際には、希釈した塩素系漂白剤に浸したペーパータオルなどで拭き取るのが有効とされる。
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えー、今見ているなかではこの産経の記事が一番?ですね。
記者会見後、どのようにも記事は書こうと思えばかけますが、どのような読後印象をもつか、ですね。意図をよみとりましょう。

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東京新聞 12月30日「ノロウイルス 集団感染か4人死亡 横浜の病院 高齢者ら95人症状」

(中略)
 病院によると、死亡したのは東京都や神奈川県の四人で、八十歳と九十二歳の男性、九十五歳と九十七歳の女性。二十六日から二十九日にかけて亡くなった。病院は最初の死亡者が出た翌日の二十七日、市緑福祉保健センターに届け出ている。
 いずれも寝たきり状態の患者で、死因は吐いた物が誤って気管などに入ったことによる誤嚥性肺炎や急性呼吸不全だった。このほかに、八十代の男性一人が重症。九十四人は快方に向かっている。
 発症した九十九人は、二〜四階に入院している患者七十二人と職員二十七人。
 院長は二十九日夜の記者会見で、「多大な迷惑をかけて申し訳ありません。力不足だった」と謝罪した。
 病院の開設は一九八八年で、介護が必要な寝たきり状態の患者を中心に受け入れている療養型の医療施設。五階建てで、ベッド数は三百七十五床で、二十九日現在で三百四十三人が入院している。
 ノロウイルスをめぐっては、宮崎県日南市の病院でも今月二十三日、感染性胃腸炎の集団感染で入院中の男性患者計六人が死亡したことが発覚した

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他の記事にない情報がならんでいました。参考になります。
出身都道府県名がなんで入っているのかは不明ですが〜。


「もう、怖いから〜海外にいっちゃおうかな!」という会話が電車の中で聞こえました。
南半球とか赤道直下とかいいかもしれません。
(そこには別の感染症のリスクもありますが)


英国は昨年と比べて8割増の症例数となっています。すでに症例は100万人超え。
One million now affected by winter vomiting bug - and cases are set to soar well into the New Year

イリノイ州の刑務所でブレイク
集団生活ではあっという間に広がります。

3度目の病院閉鎖とか、現場の皆様の苦労や、家族に会えなくなる悲しみが切実と伝わってきます。

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