診療や症例コンサルだけでなく、「感染管理」を担当されている方もいらっしゃると思います。
現在、200床以上の規模の病院には感染管理認定看護師も配置されるようになっており(派遣養成や認定者のスカウト等)、職員の手洗い指導などの教育だけでなく、血流感染や術後感染のサーベイ、アウトブレイク予防などに取り組んでいます。
医師もICD講習会に参加したり、日本環境感染学会、日本感染症学会などでも勉強する機会はあります。
医療安全/感染管理の加算をとるプロセスで、他の医療機関がどんな取り組みをし、どんな課題を抱えているのか学ぶ機会もあります。
そこで出てくる話題のひとつが産婦人科領域における感染管理、です。
日本産婦人科医会 新生児室/産科病棟感染防止策(2009)
東京産婦人科医会「有床診療所の 院内感染対策マニュアル」
"5.新生児の院内感染症
新生児は免疫能が未成熟で感染を受けやすい。細菌学的には大人の易感染者 (immunocompromised host)と同じ状態と考える。新生児に初めて定着する細菌叢は母の 産道より、むしろ新生児室内に存在する細菌が主であるという。室内にMRSAが蔓延し ていれば、容易にMRSAの保菌、感染者になりうる。MRSAが有名になり、極言すれ ば現在の院内感染対策はMRSA対策といえる(中略)MRSAの感染は、主に医療従事者の手指、器材を介した接触感染であるが、飛沫感染 も発生する。またMRSAは乾燥に強い特性をもつ。"
『助産雑誌』2011年12月号 (通常号) ( Vol.65 No.12)
「特集 感染対策どうしていますか−正常妊産婦・新生児の院内感染管理」
市立小樽病院小児科「小児科領域における院内感染対策:新生児の感染対策をモデルとして」
まあ、イロイロ話題はあります。以前ブログで記事にした「はじめてのお風呂」などもそう。
体液や血液の管理を厳密に行っている感染管理の中で、24時間赤ちゃんはお風呂に入れてもらえない施設もけっこうあるそうです。10施設ほどヒアリングをしましたが、どこも医師の指示ではありませんでした。
エビデンスは不明。
あまりEBNっぽくないQ&A Evidence based practice for newborn care
Youtube Newborn First Bath Hospital
「洗わないという選択をする場合は接触感染予防策をする必要がある」
タオルでくるまれて頭を洗ってもらえる赤ちゃん(^^) youtube First Baby Bath
是非一度、どのような手順になっているかご確認下さい。
次に、外来診療で行われる検査に関連した感染管理の話です。
今年、関係者の間で話題になっていたのが、「経膣超音波」
に関連した操作とHPV感染です。
一連の作業において、いつどのように手袋手洗いをしているのか、環境や器具の表面はどのように扱われているのか。
自分は診察をしたことがない、されたことがないのでよくわからない、という方はこちらのブログの解説記事が写真入りでたいへんわかりやすいです。
まず、内診やエコー検査に立ち会う看護師に聞いてみました。「それはとても心配する案件です」という回答がかえってきました。
経膣超音波、は一つの例にすぎません。
他の領域とちょっとちがうむきが。
関連の報告自体はあります。
Transvaginal ultrasound probe contamination by the human papillomavirus in the emergency department.
Emerg Med J 3 July 2012
High Risk HPV Contamination of Endocavity Vaginal Ultrasound Probes: An Underestimated Route of Nosocomial Infection?
PLOS one October 24, 2012
Evaluation of ultraviolet C for disinfection of endocavitary ultrasound transducers persistently contaminated despite probe covers.
Infect Control Hosp Epidemiol 2010 Feb;31(2) : 165–70.
Cleaning methods for ultrasound probes.
J Coll Physicians Surg Pak. 2008 May;18(5):286-9.
Environmental contamination makes an important contribution to hospital infection
Journal of Hospital Infection (2007) 65(S2) 50–54
The Role Played by Contaminated Surfaces in the Transmission of Nosocomial Pathogens
Infection Control and Hospital Epidemiology
Vol. 32, No. 7 (July 2011), pp. 687-699
コンタミをおこすような状況がないのか?
こういった話題をきっかけに見直せるといいですね。
環境のモニタリングなどもあれば説得力もでてきます。
ところで、膣ペニス性交(性器挿入を伴う接触)をしなくてもHPV感染がおこることはこれまでにも知られていました。それは性行為に準ずる行為としての手指や器具を介した感染リスクであり、「私はレズビアンで男性との経験がないけれども子宮頸がん健診は必要でしょうか?」という相談には、「必要ですよ」と応える根拠でもありました。
Teens Who Don't Have Sex Still at Risk for HPV Infection(2012年8月
Barriers to Infectious Disease Care among Lesbians(EID 2004 Nov)
そう考えると、器具媒介感染リスクは検討に値するのではないかとおもいます。
どのような工夫ができそうでしょうか。
泌尿器科はどうなんだろうとか、いろいろ考えるポイントが増えました。
現在、200床以上の規模の病院には感染管理認定看護師も配置されるようになっており(派遣養成や認定者のスカウト等)、職員の手洗い指導などの教育だけでなく、血流感染や術後感染のサーベイ、アウトブレイク予防などに取り組んでいます。
医師もICD講習会に参加したり、日本環境感染学会、日本感染症学会などでも勉強する機会はあります。
医療安全/感染管理の加算をとるプロセスで、他の医療機関がどんな取り組みをし、どんな課題を抱えているのか学ぶ機会もあります。
そこで出てくる話題のひとつが産婦人科領域における感染管理、です。
日本産婦人科医会 新生児室/産科病棟感染防止策(2009)
東京産婦人科医会「有床診療所の 院内感染対策マニュアル」
"5.新生児の院内感染症
新生児は免疫能が未成熟で感染を受けやすい。細菌学的には大人の易感染者 (immunocompromised host)と同じ状態と考える。新生児に初めて定着する細菌叢は母の 産道より、むしろ新生児室内に存在する細菌が主であるという。室内にMRSAが蔓延し ていれば、容易にMRSAの保菌、感染者になりうる。MRSAが有名になり、極言すれ ば現在の院内感染対策はMRSA対策といえる(中略)MRSAの感染は、主に医療従事者の手指、器材を介した接触感染であるが、飛沫感染 も発生する。またMRSAは乾燥に強い特性をもつ。"
『助産雑誌』2011年12月号 (通常号) ( Vol.65 No.12)
「特集 感染対策どうしていますか−正常妊産婦・新生児の院内感染管理」
市立小樽病院小児科「小児科領域における院内感染対策:新生児の感染対策をモデルとして」
まあ、イロイロ話題はあります。以前ブログで記事にした「はじめてのお風呂」などもそう。
体液や血液の管理を厳密に行っている感染管理の中で、24時間赤ちゃんはお風呂に入れてもらえない施設もけっこうあるそうです。10施設ほどヒアリングをしましたが、どこも医師の指示ではありませんでした。
エビデンスは不明。
あまりEBNっぽくないQ&A Evidence based practice for newborn care
Youtube Newborn First Bath Hospital
「洗わないという選択をする場合は接触感染予防策をする必要がある」
タオルでくるまれて頭を洗ってもらえる赤ちゃん(^^) youtube First Baby Bath
是非一度、どのような手順になっているかご確認下さい。
次に、外来診療で行われる検査に関連した感染管理の話です。
今年、関係者の間で話題になっていたのが、「経膣超音波」
に関連した操作とHPV感染です。
一連の作業において、いつどのように手袋手洗いをしているのか、環境や器具の表面はどのように扱われているのか。
自分は診察をしたことがない、されたことがないのでよくわからない、という方はこちらのブログの解説記事が写真入りでたいへんわかりやすいです。
まず、内診やエコー検査に立ち会う看護師に聞いてみました。「それはとても心配する案件です」という回答がかえってきました。
経膣超音波、は一つの例にすぎません。
他の領域とちょっとちがうむきが。
関連の報告自体はあります。
Transvaginal ultrasound probe contamination by the human papillomavirus in the emergency department.
Emerg Med J 3 July 2012
High Risk HPV Contamination of Endocavity Vaginal Ultrasound Probes: An Underestimated Route of Nosocomial Infection?
PLOS one October 24, 2012
Evaluation of ultraviolet C for disinfection of endocavitary ultrasound transducers persistently contaminated despite probe covers.
Infect Control Hosp Epidemiol 2010 Feb;31(2) : 165–70.
Cleaning methods for ultrasound probes.
J Coll Physicians Surg Pak. 2008 May;18(5):286-9.
Environmental contamination makes an important contribution to hospital infection
Journal of Hospital Infection (2007) 65(S2) 50–54
The Role Played by Contaminated Surfaces in the Transmission of Nosocomial Pathogens
Infection Control and Hospital Epidemiology
Vol. 32, No. 7 (July 2011), pp. 687-699
コンタミをおこすような状況がないのか?
こういった話題をきっかけに見直せるといいですね。
環境のモニタリングなどもあれば説得力もでてきます。
ところで、膣ペニス性交(性器挿入を伴う接触)をしなくてもHPV感染がおこることはこれまでにも知られていました。それは性行為に準ずる行為としての手指や器具を介した感染リスクであり、「私はレズビアンで男性との経験がないけれども子宮頸がん健診は必要でしょうか?」という相談には、「必要ですよ」と応える根拠でもありました。
Teens Who Don't Have Sex Still at Risk for HPV Infection(2012年8月
Barriers to Infectious Disease Care among Lesbians(EID 2004 Nov)
そう考えると、器具媒介感染リスクは検討に値するのではないかとおもいます。
どのような工夫ができそうでしょうか。
泌尿器科はどうなんだろうとか、いろいろ考えるポイントが増えました。