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Channel: 感染症診療の原則
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若セミ 「感染症診療の原則」 by 編集長 Q&Aです。

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若セミ 「感染症診療の原則」 by 編集長 Q&Aです。
1.質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : パターン認識の二つの臓器(部位)に所見が出る場合、それぞれの所見があらわれる間隔については、長短あるかと思います。間隔と関連の強さには関係がありますでしょうか。

回答:
非常に臨床的な質問ですね。自分の力では圧倒的に二つの臓器・解剖・部位に、ほぼ同時に変化があった時に(例:マイコプラズマ肺炎と皮疹)同じ病態・関連を疑うことができると思います。時間差があっても数日以内であれば関連を疑えるかも知れません。


2.質問者 : 研修医 20代
質問内容 : 「CRPの正しい使い方」とはなんですか?

回答:
良く聞かれる質問なのですが、血液培養やMRIと同じように考えて頂くのが「正しい使い方」ではないかと思います。即ち「鑑別診断なくして検査なし」のルールが守られることだと思います。私が正しいと感じる使い方を二つ紹介します。
①研修医の時にSLEの患者さんが「肺炎」起こしました。細菌性のPneumoniaとLupus pneumonitisが鑑別に挙がり、CRPの上昇を認めれば前者の、そしてそれほどでもなければ後者の蓋然性が上がる・・といった議論に感銘を受けました。鑑別診断がきちんと挙げられ、CRPが遡上に挙がった疾患の蓋然性を大きく向上させるのに有用であれば用いる。
②日本の感染症診療の中枢でコロナと戦うK医師は旅行医学、熱帯医学の大家ですが、かれがアジアから帰国した発熱患者にデング熱とチフスを疑うことが多いようです。CRPが前者ではあまり上昇しませんが、後者では著明に上昇するので、①と同様に有用性があるようです。


3.質問者 : 腫瘍内科 30代
お名前 :
質問内容 : 研修医の時は血液培養をとらずに抗菌薬を出す上級医を軽蔑していましたが、自分が癌患者さんの化学療法を行うようになると、キノロンを渡しておいて、熱が出たら飲んでもらうことが増えました。耐性菌の点からよくないとは分かっていますが、大半の固形癌の化学療法のFN(好中球減少症)は軽症で、熱が出てからすぐに病院に受診してくれなかったり、いろいろな事情があります。FNの診療について、最低限守るべきことなど、先生のお考えをお聞かせ下さい。

回答:
ご指摘のように固形癌の化学療法に合併するFNは軽症でキノロンが効くことが多く、「なにも血培をやる必要は無いのでは・・」というご意見は良くお受けします。軽症+キノロン感受性菌による感染症という整理ができて、かつ病院受診が難しいような症例では仕方がないと思います。他方、キノロンが多用されることにより血培で捕まるのが酵母であったりする症例の相談もお受けします。各症例に応じてCase by caseで対応されるしかないのではないかと思います。


4.質問者 : 医師 内科 50代
お名前 :
質問内容 : 腎盂腎炎が3日たってよくならないので、USあるいはCTを行う、肺炎がよくならないので肺膿瘍を考えCTを行うという考えで診療していますが、病院では、感染症すぐに画像診断ということが多くなっているように思います。検査が容易になった時代だからかもしれません。感染症において画像診断を追加するポイントは変化してきているのでしょうか。

回答:
画像診断の用いかたは各医療機関にその文化のようなものがあり一概にお答えできませんが、以前なら単純写真ですませていた肺炎の診断にCTが始めから用いられる施設も多いようですね。青木のように画像診断の素人には単純写真の異常もCTの異常も同じ異常なのであまり診療にインパクトが無いのですが、呼吸器内科のエキスパートには胸部写真では見えないがCTでは見える所見により原因微生物の名前が挙がるということであれば、早期からのCTもありなのかも知れません。鑑別診断の想定や治療方針にインパクトを与える検査であれば容認しております。


5.質問者 : 理学療法士 50代
お名前 :
質問内容 : 毎年ありがとうございます。繰り返し講義を拝聴することで理解が深まります。今後も継続して頂きたいと思います。また、ハンドアウト資料が老眼に優しいもので大変有難かったです。

回答:
少しでもお役にたてれば幸いです。


6.質問者 : 内科医 30代
お名前 :
質問内容 : 15年以上前、学生時代から青木先生に教えて頂いた者です。呼吸数をみる、細菌検査室へ足繁く通う、など自分自身が必ず実行していた青木先生の教えを学生・研修医へも伝えて来ましたが、実際に行い続けることのできる人は1割ぐらいだと感じています。彼らを変える方法はあるでしょうか。

回答:
細菌検査室で継続的にPositiveな経験を研修医して貰えるかでしょうか? 各研修医のMotivationも異なるでしょうし・・指導医のスタイルも異なるでしょうし・・難しいです。呼吸数やグラム染色を大切にする研修医が多い施設は、指導層にもそのような方が多い印象です。

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