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Channel: 感染症診療の原則
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Boot camp Day#4

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症例は70代女性、主訴は左下腿の色調変化とショック

病歴:
ADL完全自立の女性。
入院2日前にトイレで転倒し左下腿を打撲。
家人がLocal careを施す。
入院前日、発熱、左下腿の色調が変化、水疱も出現し、近医受診するも悪化。
入院となる。
既往に原因不明の心不全、肝機能障害、腎機能障害、高血圧など
編集長:「動物・ペットへの曝露は?」
発表者:Mild〜Moderateな動揺。「そそそ、それは後で・・」
編集長:この速度は連鎖球菌、髄膜炎菌、クロストリジウムといった光速の微生物と宣言後、青年の動揺に基づき以下の微生物名をWhite boardに・・

Pasteurella

身体所見:
血圧:正常、脈拍・呼吸数・体温:上昇
頭頚部、胸部、腹部:特記事項なし。
左下腿に赤紫、水疱を認める浮腫。それほど臭くない。
編集長:教科書的にはVibrio vulnificusだな・・

検査:
血液:適当に異常と正常。敗血症的・・
画像:左下腿の浮腫、ガス(−)
左下腿組織のグラム染色:殆ど白血球を認めないが、小さなグラム陰性桿菌(OR球桿菌)
編集長:あれ・・連鎖球菌でも、髄膜炎菌でも、クロストリジウムでもないか。インフルエンザ菌のようでもない。やはりVibrio vulnificusかな・・でも椎木・成田が出すにはStraightforwardに過ぎるな・・。

経過:
Debridement、培養・・
抗菌薬:メロペン+バンコ 開始
抗菌薬開始後、翌日には右下腿にも同様の病変。その後、努力の甲斐なく死亡。
編集長:(今日1のコメント)メロペン・バンコ開始後に出た病変は微生物が、①耐性である。②勢いが抗菌薬に勝る。初学者は①を考え易いが、実際は②の事が多い。実際、耐性菌に、この速度が出せるものは考えにくい。

後に、家族からペットの犬が左下腿の外傷部分を舐めていたとの情報が・・

最終診断:
Pasteurella multocidaによる軟部組織感染症、壊死性筋膜炎・敗血症

編集長:意気揚々と退室
めっちゃ気分良いわ・・

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