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Channel: 感染症診療の原則
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B型肝炎ワクチン と その周辺

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耐性菌関連の情報収集を依頼されていたので、他のことがあまりおいついていなかったのですが、ワクチン関連の問い合わせが増えてきたので、また定期的にサマリーをつくっていきたいと思います。

HPVワクチンの次はB型肝炎ワクチンの話です。

B型肝炎は、キャリアの妊婦からの垂直感染(母子感染)対策はありました。しかし、それも100%の効果ではなく感染がおきてましたし、水平感染は家庭内、保育園、スポーツなどでもおきてました。

今でこそ医療で使う物品は先進国では使い捨てですし、昔は注射器も煮沸消毒をしたり針は研いで使ってました。

歯医者の器具も今のように個人用に滅菌パックをあけて交換するといったことは行われていませんでした。

手袋もなく素手であり、歯科医や外科医、助産師など血液に触れることの多い医療者の感染が多いことも知られていました。

医療よりも水平感染の機会として多いのは性行為です。
血液、精液、膣分泌液だけでなく、唾液や汗、涙等も感染源となりますので、「注意する」だけでは予防が難しいのが課題でした。

メディア関係者でも「日本のB型肝炎は予防接種が原因」と誤解してる人もいますが。

最近はウイルスの遺伝子型を調べることができますので、そのウイルスはどのあたり由来なのか誰からの感染かの推定もできます。

例えば、2015年に神戸の病院で入院患者が同期間にB型肝炎が劇場化し3人が亡くなりましたが、ウイルスの型が同じであることが報道にありました。

調べたけど感染経路はわからなかったそうです。
以前、岡山でも感染経路不明のC型肝炎の子どもへの感染がありました。
対策をしても、調査をしてもなぜ感染したのかわからないなんて怖いですよね。

急性B型肝炎HIV/エイズも「感染経路不明」が一定数います。


小児科領域でも調査があります。
厚生科学研究費補助金 肝炎等克服政策研究事業
「小児におけるB型肝炎の水平感染の実態把握と
ワクチン戦略の再構築に関する研究」平成27年1月9日
 
★厚労省の会議用のサマリースライドは検索で入手できます。


世界の症例の7割がアジア太平洋地域にいますので、海外との接点も増える中、予防ワクチンの普及が課題となってます。

日本も昨年やっと定期接種になりましたが、その前から独自に公費支援をしていた自治体がありました。
自己負担も減ってよかった!という話かと思ったら、これにクレームをつける人たちもいるのだそうです。

その関連で質問が来たので知ったのですが、もともと医療関係者や救急で働く人などは必須のワクチンですし、医学生や看護学生の接種データもよく学会発表などでみかけます。

世界では1990年代からユニバーサル化が進んでいて、こちらのデータ蓄積もありますから、何を根拠に言ってるのか?と逆質問をしたのですが、その語りを見せてもらった段階で、ワクチンをよく思わない人たちに「吹き込まれた」ことがわかりました。
利用されてお気の毒でした、という話で終わりました。

ブログとか井戸端会議ではなく、かかりつけの先生にきいたり、地域の専門団体、専門機関のHPなどで勉強しましょう。

いまマサにお読みのgoo ブログなんか根拠にしてないでマンデル先生やプロトキン先生の本、最新情報は専門機関のHPを読みましょう。
読むのが面倒な人は代替法(自分よりアンテナや精度のすぐれた人)をみつけ参考にしましょう。
思い込みを避けるためには確認の手間を惜しまないようにしましょう。


なぜそう考えるのか?と聞いてみるとわかることがあるので、コミュニケーションを惜しまずに。

参考
「私はWHOを信頼していません。」市議会でB型肝炎ワクチンの危険性を主張する市議会議員


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