MDRーTB：INHとRIFが効かないTBのWHO治療ガイドラインがUpdateされました

多剤耐性結核菌（MDRーTB：すなわちINHとRIFが効かない）のWHO治療ガイドラインがUpdateされました。

妊婦でなく、肺外病変がなく、キノロン系に感受性有り、注射型の抗結核薬に感受性有り、Second lineの抗結核薬に1ヶ月以上曝露歴無し、・・・の条件付きですが、9-12ヶ月の治療で良い。 (Grade 2C)

古典的なMDRーTBの治療はFQと注射型抗結核薬と少なくとも２種類のSecond lineの抗結核薬を全部で20-26ヶ月（約2年）というものでした。
しかしUpdateされたWHOのガイドラインでは、それが上記の制約内ですが治療を短くできる・・というものです。

World Health Organization. WHO treatment guidelines for drug-resistant tuberculosis: 2016 update. WHO, Geneva 2016. http://www.who.int/tb/MDRTBguidelines2016.pdf?ua=1 (Accessed on May 17, 2016).

短縮型の治療は最初のIntensive phase：４－６ヶ月の（high-dose isoniazid, ethambutol, pyrazinamide, gatifloxacin [or moxifloxacin], kanamycin, prothionamide, and clofazimine) に続き、Continuation Phase、5ヶ月の（ethambutol, pyrazinamide, gatifloxacin [or moxifloxacin], and clofazimine).
この推奨の背後にある研究はバングラデシュの大きな研究。

この新しいガイドラインによると、RIF単独耐性であってもMDRーTBとして扱う・・というもの。
（編集長の教え：RIFは結核治療の柱・要）
Aung KJ, Van Deun A, Declercq E, et al. Successful '9-month Bangladesh regimen' for multidrug-resistant tuberculosis among over 500 consecutive patients. Int J Tuberc Lung Dis 2014; 18:1180.

制約に収まらない患者（例：妊婦、肺外病変あり、FQ耐性、1ヶ月を越えてSecond lineの抗結核薬を使用歴あり）は今までどおりの治療を行う。

タイトル写真：編集長とDavidSchlossberg先生（10年前くらい＠旭中央病院）